再婚時にいわゆる「連れ子」がいるケースでは、
再婚する義理の父や母と子どもが養子縁組をして、
法的な親子関係を結ぶことが多いかと思います。
ところが、再婚時に養子縁組をしていないことも、結構あります。
例えば、あなたが実父の子で、義母が父の姓を名乗るような場合。
この場合、あなたと義母は同じ姓を名乗ることになるので、
養子縁組をしなくても、日常生活上は特に不都合がないからです。
ところが、このように義父や義母と養子縁組をしていない場合、
ずっと先のことになりますが、親の相続のときに、
あなたにとって困ったことになる可能性があるので要注意です。
例えば、実父と義理の母が再婚して、義理の母と子どものあなたが
養子縁組をしていなかったというケース。
最初に義理の母が亡くなって、次に実父が亡くなった場合は、
義母→実父→あなたと相続がされるので、特に問題がありません。
ところが、実父が先に亡くなって、次に義理の母が亡くなる、
という順序になると、義理の母が亡くなった時に、
義母の相続分が、あなた相続されないことになってしまいます。
法的には、あくまで親子関係がないと扱われてしまうからです。
このような場合、義母に他に相続人がいなければ、
「特別縁故者」の申立てをして遺産をもらう手も残っていますが、
義母に他に相続人(例えば義母のきょうだい)がいた場合には、
遺産はすべてその相続人たちのものになってしまいます。
そうなると、あなたは義理のお母さんと実の親子同然の生活を
長年続けて、介護もして、最後を看取ったにも関わらず、
義理のお母さんの遺産を一切相続できないのです。
このような不合理な結果を避けるためには、
しっかり養子縁組をしておく必要があります。
どうかご注意を。
弁護士 松田 健人2015