最高裁、フレンドリー・ペアレンタル・ルールを採用せず

色々と考えさせられる事件です。

「別居の父、逆転敗訴確定 親権は同居の母に、最高裁」

http://www.sankei.com/affairs/news/170714/afr1707140010-n1.html

現在の裁判実務では、親権者を決めるにあたっては現状維持の原則が極めて強く働きます。親権者は、端的に言えば、「どちらが親としてより相応しいか」ではなく、「今いる親のもとに置いていてはいけない事情があるか」で判断されます。

ですので、親権者争いでは、先に子どもを抱え込んでしまった親の側が圧倒的に有利にならざるを得ません。

 

このため、自民党の一部議員などからは、一方の親が子どもを抱え込んでの別居強行を制約しようとする立法の動きもあるやに聞きます。ですが、他方でこうした制限は、例えばDV被害に遭っている(主として母親)の側が子を連れて避難するための別居もできなくなる、と批判も強いところです。

フレンドリー・ペアレンタルルールは、より面会交流に積極的な親の方が親権者を決めるにあたっても有利になりますから、面会交流の促進という政策的面でも効果があるように思えます。ですが、まだ日本で採用されるにはハードルが高い、ということなのでしょうか。

弁護士 松田 健人