財産分与について

以前コラムでお答えした分をです。

離婚時の財産分与の比率について、通常は半分と聞きますが、例外として比率が異なるケースもあると聞きました。どんなケースか?

 

そもそも、財産分与とは、経済的に一体となった夫婦が協力して築いた財産を、離婚時、すなわち、経済的一体性を解消する時に、その財産を貢献度に応じて分配しようというものです。一般的には、夫婦になると共同生活を始め、経済的に一体となります。共同生活するのに必要な役割は、仕事、家事及び育児等です。それらの共同生活に必要な役割を、夫婦で分担するわけですから、どちらがどの役割を担うかは夫婦の役割分担の問題に過ぎず、財産は夫婦が同じくらい貢献して築いたものと考えます。貢献度が同じですから、離婚するとき、築いた財産は半分ずつに分けるということになります。

しかし、一方の優れた努力や能力により、著しく財産を増やした場合は異なります。例えば、株や投資信託で資産を数倍にした、起業をして多大な利益を上げた、発明をして多大な利益を上げた、高度の専門職で高額の収入を得た等です。このような場合は、役割分担の問題ではなく、一方の努力や能力ですから、貢献度が同じとは言えません。もっとも、出世頭で若くして部長になったのであり、普通ならまだ係長ぐらいだから、貢献度が高いということにはなりません。それらの努力や能力を考慮するとなると、相手のそれも考慮が必要となり、不公平と考えます。

結局のところ、原則半分ずつというのが、一般的な感覚に近く、裁判所の考え方でもあります。あくまで、一方の優れた努力や能力で著しく財産が増えている場合に、考慮されると考えてください。

弁護士 飛渡 貴之