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自己愛性パーソナリティ障害とモラハラ

自己愛性パーソナリティ障害とは

先日、元メジャーリーガのイチロー氏が、「何をしても自己肯定感が低いために人生がつらい」という人生相談に対して、「自己肯定感という言葉は自分にとっては気持ちの悪い言葉」と評したことが、ちょっとしたニュースになっていました。
職人気質のイチロー氏は、たとえ自分が周囲からどんなに高い評価を受けていたとしても、自分自身のことを安易にほめるようなことはさけて自分に常に厳しくしていなければ一流の人にはなれない、成功するために自己肯定感など高くなくてよい、という意見をお持ちのようです。

ですが、逆に<自分はこの世界のなかでも天から選ばれた特別に優れた人間なのだ>と、周囲からの評価よりも過大に自分を高く評価するタイプの人もいます。一般的に「ナルシスト」などと呼ばれたりするタイプの人ですが、そのなかには自己評価があまりに過大評価すぎるゆえに周囲の人を極端に見下す態度を取ったり、あるいは周囲に対して過度な称賛を求めて、「なぜ君はこんなに優れた僕/私を評価しないのだ!」と当たり散らしたりする等、自己愛の高さゆえに社会生活に支障をきたすという方もいます。
このような自尊心の異常な高さにより社会性が欠落し人間関係上の問題をきたす症状のことを、精神医学では「自己性愛パーソナリティ障害」と呼んでいます。

自己愛性パーソナリティ障害の症状は、

  • 誇大性(自分は世界でも特に優れた人間だという思い込み)
  • 称賛への欲求(優れた人間である自分は周りから褒められるべきだ)
  • 共感の欠如(劣った周りの人間の気持ちなどわからない)

を特徴とします。

自己愛性パーソナリティ障害の原因ははっきりとは解明されていませんが、

  • 遺伝的要因
  • 幼少期の養育環境(過度に甘やかされたり、逆に、過度に厳しく育てられる)

などが要因ではないかとされています(『MSDマニュアル 家庭版』参照)。

自己性愛パーソナリティ障害とモラハラ

このような自己性愛パーソナリティ障害の人は、職場においてはパワハラ、家庭内ではモラハラの加害者となる傾向にあります。

「俺が稼いだ金でお前は生活できているんだ。もっと俺に感謝しろ」
「たかが料理くらいのこともロクにできないお前は無能な人間だ。生きる価値もない」

等々、自分が優れていて相手が劣っているという誇大妄想的な思い込と、その裏返しである相手への過小評価や共感性の欠如から、パートナーの人格否定をするタイプ(しかも、それが問題行動とは思わず「相手のことを思って言ってあげている」などと都合よく思い込んでいるタイプ)の人は、この自己愛性パーソナリティ障害の可能性があります。

自己愛性パーソナリティ障害の診断は、医学的診断基準(DSM-5)に基づいて行います。具体的には、以下の項目のうち5つ以上に該当する場合は自己愛性パーソナリティ障害を患っている可能性が高いです。

  • 自分の重要性や才能について、誇大な、根拠のない感覚を抱いている(誇大性)。
  • 途方もない業績、影響力、権力、知能、美しさ、または素晴らしい恋という空想にとらわれている。
  • 自分が特別かつ独特であり、最も優れた人々とのみ付き合うべきであると信じている。
  • 無条件に賞賛されたいという欲求をもっている。
  • 特権意識をもっている。
  • 目標を達成するために他者を利用する。
  • 共感性に欠けている。
  • 他者を嫉妬しており、また他者が自分を嫉妬していると信じている。
  • 傲慢かつ横柄である。

自己愛性パーソナリティ障害からモラハラを受けた場合の対処法

自己愛性パーソナリティ障害の患者は、上記のように「自分が特別に優れた人間である」という思い込みにとらわれていますので、それが病気であることを自ら認めたらがない傾向にあります。したがって、たとえパートナーが問題を指摘しても、適切な治療を受けることが困難な場合も多いのです。

もしあなたのパートナーが上記の症状を有していて、かつ、これまであなたの真摯な言葉にも一切耳を傾けてくれる余地がなかったという場合には、別居や離婚をすることで、あなた自身の心と体の安全を最優先することが必要となる場合もあります。

また、「自分は常に優れていて正しく、相手は劣っていて間違っている」という思い込みに囚われているために、直接離婚の話を持ち出すと激昂しかえってモラハラがエスカレートする傾向にあります。

したがって、自己愛性パーソナリティ障害の可能性があるパートナーに対して離婚を考えている方は、離婚を直接申し入れるよりも前に、まずは弁護士に相談して離婚協議に入った際の適切な対応が取れるように準備をしておく必要性が高いです。場合によっては、直接話会うのではなく、弁護士を代理に立てたり裁判所の調停を利用するなどして、第三者をはさみながら協議するほうが良いケースも多いです。
ご自身の経験に当てはまると感じた方は、まずは一度弁護士にご相談ください。

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