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モラハラとは?意味・具体例・特徴と離婚できるかの判断を弁護士が解説

モラハラとは?意味・具体例・特徴と離婚できるかの判断を弁護士が解説

監修者 弁護士法人キャストグローバル

離婚部弁護士

モラハラ(モラルハラスメント)とは、言葉や態度、身振りによって、相手の心を傷つける嫌がらせのことをいいます。
「自分が悪いのかもしれない」「これくらいで離婚を考えるのは大げさなのではないか」モラハラに悩んでいる方の多くが、同じような思いを抱えています。

怒鳴られるわけでも、殴られるわけでもない。
それでも、言葉や態度によって心が削られ、気づけば自信を失い、笑顔が消えてしまう。

モラハラは、その苦しさが外から見えにくいからこそ、誰にも理解されず、一人で抱え込んでしまいやすい問題です。
殴る・蹴るといった身体的暴力がなくても、態度や言葉によるモラハラが、離婚や慰謝料請求の原因になることも少なくありません。

本記事では、「モラハラとは何か」という基礎から、具体的な行動例、その特徴、そして「モラハラで離婚できるのか」という判断基準について、弁護士の視点からわかりやすく解説します。

今すぐ離婚を決めていなくても構いません。
まずは、ご自身の置かれている状況を整理するための一歩として、最後まで読んでみてください。

モラハラとは何か|意味と定義

モラハラとは、言葉や態度、身振りによって、相手の心を傷つける嫌がらせのことをいいます。
モラハラは、法律上の定義はありませんが、その内容や程度によっては婚姻を継続しがたい重大な事由(民法770条1項5号)に該当し、精神的DVとしての離婚原因や、不法行為(民法709条)として慰謝料請求の対象になることがあります。
モラハラの本質は、「相手を対等な存在として扱わないこと、相手を精神的に支配すること」にあります。
加害者は、自分の価値観や考えを絶対的なものとして押し付け、相手の意見や感情を否定し続けます。
その結果、被害者は次第に「反論してはいけない」「自分が間違っている」と感じるようになり、判断力や自己肯定感を失っていきます。
これは決して性格の問題や我慢の問題ではなく、相手によるモラルハラスメント
です。

「これってモラハラなのか分からない」とお悩みの方は、下記の記事も参考にしてください。

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離婚したい方 パートナーがモラハラかもと思ったらお読みください

モラハラの具体例

モラハラは日常生活で自然に行われることが多く、被害者自身が気づきにくい特徴があります。
また、モラハラの多くは、第三者から見ると「夫婦喧嘩」「価値観の違い」に見えるため、周囲に相談しても理解されにくい傾向があります。
加害者が「冗談のつもり」「正論を言っているだけ」と主張するケースは多く、被害者もそれに納得してしまうことがあります。

しかし、以下のような場合、モラハラに該当する可能性があります。

1)モラハラの具体例

モラハラに該当する具体例を6つご紹介します。

  • 「お前は何をやってもダメだ」「誰のおかげで生活できていると思っている」などの暴言
  • 生活費を渡さない
  • 行動を監視したり束縛したりする
  • 無視を続ける
  • 無理な要求や命令をする
  • すぐに「離婚だ」と怒鳴る

このようなケースについては、下記の記事で詳しく解説しています。

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すぐに「離婚だ」と怒る夫はモラハラ?

サイレントモラハラとは|無視や沈黙による精神的支配

サイレントモラハラとは、怒鳴る・暴言を吐くといった分かりやすい攻撃ではなく、
無視するなどの態度・雰囲気、沈黙などの無言の圧力によって、相手の心を傷つけるモラハラの一種です。

1)サイレントモラハラの具体例

サイレントモラハラの主な特徴は以下の7つです。

  • 話しかけても無視したり、舌打ちやわざとらしいため息をつく
  • 不満や不平を、直接ではなく独り言のように言う
  • 数日〜数週間無視し続ける
  • 常に不機嫌な態度をとる
  • 家庭内で存在しないかのように扱う
  • 話し合いを求めても沈黙を貫く
  • 冷たい態度をとり、睨みつける

被害者は「何が悪かったのか分からない」「自分が謝れば元に戻るかもしれない」と考え、加害者の機嫌を取る行動に出てしまうことが少なくありません。
しかし、サイレントモラハラも立派なモラハラの一つであり、相手に問題があるのであって、離婚理由や慰謝料請求の対象になり得ます

モラハラ被害者に共通する特徴

モラハラの被害に遭っている方には、いくつか共通する特徴があります。
もし、以下の内容に心当たりがある場合、モラハラの影響を受けている可能性があります。
これらは「性格的に弱いから」起きるものではなく、長期間にわたる精神的攻撃によって、誰にでも起こり得る変化です。

1)自分を責めてしまう・我慢が当たり前になっている

モラハラ被害者の多くは、「自分が悪いから怒らせたのではないか」「もっと努力すれば関係は良くなるのではないか」と考えてしまいます。
しかし、相手の不機嫌や攻撃的な態度の原因を一方的に背負わされる必要はありません。
こうした思考は、モラハラによって徐々に刷り込まれていくものです。

2)相手の顔色をうかがって行動している

「今日は機嫌が良いだろうか」「この言い方をしたら怒られるかもしれない」と、常に相手の反応を気にして行動するようになっていませんか。
本来リラックスできるはずの家庭で緊張が続く状態は、心身に大きな負担を与えます。
これは、モラハラによる支配関係が成立しているサインの一つです。

3)自分の意見や感情が分からなくなっている

モラハラが続くと、「何を言っても否定される」「話しても無駄だ」という思いから、自分の意見や感情を表に出さなくなってしまうことがあります。
その結果、「自分は何をしたいのか」「何がつらいのか」さえ分からなくなってしまう方も少なくありません。

4)周囲に相談できず、孤立している

モラハラは外から見えにくいため、友人や家族に相談しても「考えすぎでは?」「どこの夫婦もそんなものだ」と言われ、相談すること自体を諦めてしまうケースがあります。
ですが、理解されなかった経験があるからといって、あなたの感じている苦しさが間違っているわけではありません。

5)体調不良や気力の低下を感じている

頭痛や胃痛、不眠、動悸、強い不安感など、はっきりした原因が分からない体調不良が続く場合、精神的ストレスが影響していることもあります。
「気のせい」「疲れているだけ」と片付けず、心と体のサインとして受け止めることが大切です。

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モラハラ被害者の特徴

モラハラの特徴

モラハラは、第三者の目が届きにくい家庭内で起こりやすい問題です。
日常生活や役割分担、経済的な関係が密接に結びつく夫婦関係では、言葉や態度による支配が「当たり前」のように積み重なっていくことがあります。
ここでは、家庭内で見られやすいモラハラの特徴を、「夫からのモラハラ」「妻からのモラハラ」という視点に分け、さらに補足として職業や社会的立場が影響するケースについて解説します。

1)夫からのモラハラ(モラハラ夫)

家庭内モラハラで多く見られるのが、夫から妻へのモラハラです。
暴力は振るわないものの、日常的に否定的な言葉を投げかけたり、妻の行動や考え方を細かく批判することで、精神的に追い詰めていくケースがあります。
「誰のおかげで生活できていると思っている」「お前は何をやってもダメだ」といった発言や、無視・威圧的な態度を繰り返すことで、家庭内に上下関係を作り出してしまうのが特徴です。
こうした状況では、被害者側が「家庭を壊したくない」「我慢すれば収まる」と考え、問題が長期化する傾向があります。

さらに詳細なモラハラ夫の特徴については、下記の記事をご覧ください。

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モラハラ夫の特徴・チェックリスト

2)妻からのモラハラ(モラハラ妻)

一方で、妻から夫へのモラハラも決して珍しいものではありません。
夫の収入や仕事ぶりを過度に否定したり、他の家庭と比べて非難したり、家庭内での役割や判断を一方的に支配する形で現れることがあります。
「あなたは父親失格」「何も決められない人」といった人格否定や、感情的な叱責、長期間の無視などが続くことで、夫が家庭内で萎縮し、意見を言えなくなるケースも見られます。
外では問題なく振る舞えている場合ほど、周囲に理解されにくく、被害を一人で抱え込んでしまう傾向があります。

さらに詳細なモラハラ妻の特徴については、下記の記事をご覧ください。

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モラハラ妻の特徴・チェックリスト

3)補足:職責や社会的立場が影響するモラハラの傾向

モラハラは特定の職責に限って起こるものではありませんが、仕事上の立場や環境が、家庭内での言動に影響するケースはあります。
例えば、職場で指示や判断を求められる立場にある人が、家庭でも同じ感覚で配偶者に接してしまい、無意識のうちに上から目線の態度や支配的な言動になることがあります。
ただし、職責そのものがモラハラの原因になるわけではなく、あくまで個人の価値観や対人姿勢が大きく関係します。

職業や社会的立場が影響するモラハラの具体的な傾向については、下記の記事で詳しく解説しています。

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職業別モラハラの特徴

モラハラ配偶者を一人にした場合のリスク

モラハラに悩んでいる方の中には、「距離を置けば落ち着くのではないか」「しばらく放っておけば変わるかもしれない」と考え、相手を一人にする選択を検討する方も少なくありません。
しかし、モラハラ配偶者を何の対応もせずに一人にすることは、状況を改善するどころか、問題をより深刻化させてしまうリスクがあります。

感情的な判断ではなく、あなた自身と家族を守るための選択ができるよう、必要に応じて離婚専門の弁護士に相談することも検討してください。

1)被害がエスカレートする可能性

モラハラ加害者は、自分が無視された・拒絶されたと感じることで、支配欲や怒りをさらに強めてしまうことがあります。
その結果、言葉の攻撃が激しくなったり、サイレントモラハラが長期化・悪化するケースも見られます。

2)責任転嫁や被害者意識が強まる

一人にされたことを「裏切られた」「見捨てられた」と受け取り、自分は被害者であり、相手が悪いという認識を強めることがあります。
このような心理状態では、冷静な話し合いがさらに難しくなります。

3)話し合いが完全に成立しなくなるリスク

「無視や沈黙で対抗する」「連絡を絶つ」などの対応は、結果として双方の溝を深め、建設的な話し合いの機会を失わせることにつながります。
特に離婚や別居を視野に入れている場合、後々の手続きに支障が出ることもあります。

4)子どもへの影響が大きくなることも

家庭内の緊張状態が続くと、子どもは強い不安を感じやすくなります。
親の一方が突然距離を取ることで、子どもが原因を自分のせいだと誤解してしまうケースもあります。
モラハラ配偶者を一人にする前に、安全面・精神面・法的な観点からの準備を整えることが非常に重要です。

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モラハラ夫やモラハラ妻を一人にするとどうなるか

モラハラが起こる背景・要因

モラハラは、被害者の性格や努力不足によって引き起こされるものではありません。
一方で、加害者側の考え方や特性、置かれている環境が影響し、モラハラという形で表面化するケースはあります。

ここで大切なのは、「背景を知ること=我慢する理由にすること」ではないという点です。
背景や要因を理解することは、状況を客観的に整理し、今後どう対応するかを考えるための材料に過ぎません。

1)自己愛傾向・支配欲が強いケース

自己愛傾向が強く、「自分が常に正しい」「相手は従うべき存在だ」と考えるタイプの場合、相手をコントロールする手段としてモラハラが使われることがあります。
このタイプは、表向きは穏やかで社会的評価が高い一方、家庭内では人格否定や無視、過度な批判を繰り返す傾向があります。
被害者が反論すると逆上したり、被害者意識を強めたりするため、話し合いによる改善が難しいケースも少なくありません。

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2)環境・ストレス・立場の不均衡が影響するケース

仕事上の強いストレス、経済的な不安、家庭内での立場の偏りなどが、モラハラを助長する要因になることもあります。
たとえば、収入差が大きい場合や、どちらか一方が生活を全面的に支えている場合、力関係が固定化し、支配的な言動がエスカレートすることがあります。
ただし、環境やストレスが原因であっても、相手を傷つける言動が許されるわけではありません。
問題の根本は「ストレス」ではなく、「それをどう相手に向けているか」にあります。

3)発達特性・性格傾向が関係するケース

一部のケースでは、発達特性や強いこだわり、感情のコントロールが苦手な性格傾向が、モラハラ的な言動につながることがあります。
たとえば、相手の気持ちを汲み取ることが難しく、自分の考えが正しいと強く信じて疑わない場合、無自覚のまま相手を追い詰めてしまうことがあります。
ただし、発達特性や性格傾向があるからといって、モラハラ行為が正当化されることはありません。
周囲への配慮や行動の改善が求められる点は、他の人と変わりません。

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アスペルガー症候群の夫との離婚

4)「変わるかもしれない」と期待してしまう心理

被害者の側が「今は大変な時期だから」「本当は優しい人だから」と考え、改善を期待して関係を続けてしまうケースも多く見られます。
しかし、モラハラは自然に改善することは少なく、むしろ被害者が我慢を重ねることで、加害者の言動が固定化・悪化していくことがあります。
背景を理解することは大切ですが、それによって自分を犠牲にし続ける必要はありません。

モラハラで離婚できるかの判断基準

「暴力はないけれど、このまま一緒に生活するのがつらい」モラハラに悩む方の多くが、このような思いを抱えています。
言葉や態度による精神的な苦痛は外から見えにくく、「本当に離婚できるのだろうか」「我慢が足りないだけではないか」と自分を責めてしまう方も少なくありません。
モラハラは立派な離婚理由になります
ですが、婚姻を継続しがたい重大な事由(民法770条1項5号)として裁判離婚がみとめられるかとは別の問題です。
重要なのは、相手の言動が、相手に対して大きな精神的苦痛を与えているかどうか、そしてそれをどのように示せるかです。
ここでは、モラハラによって離婚が認められるかを判断する際の、具体的な基準や考え方について、弁護士の視点から解説します。

1)モラハラは離婚理由として認められるのか

民法では、離婚が認められる理由として「婚姻を継続し難い重大な事由」が定められています。
モラハラは身体的暴力を伴わないため軽く見られがちですが、言葉や態度による精神的な支配や人格否定が継続している場合、この「重大な事由」に該当する可能性があります。
実際の裁判例においても「発言内容の悪質性」「頻度」「期間」「結果」などが総合的に考慮されて離婚が認められています。

2)離婚が認められたモラハラの具体例

次のような言動が継続している場合、モラハラとして離婚が認められる可能性があります。

  • 「出来が悪い」「家政婦を雇った方がマシだ」「誰のおかげで生活できているとおもっているんだ」など人格を否定する暴言や侮辱を繰り返す
  • 何を言っても無視する、見たくないポルノを見せる、避妊に協力しないなど、侮辱的支配的態度を続ける
  • 先妻の位牌を送り付ける、思い出のアルバムを焼き捨てるなど相手を著しく軽んじる行動
  • 交友関係を細かく監視するなど相手を過度に制限する
  • 生活費を十分に渡さないなど経済的虐待
  • 相手の上司にうその事実を捏造して報告するなどの精神的虐待

3)証拠がなくても離婚できるのか

モラハラは家庭内で行われることが多く、「証拠がないから離婚できないのでは」と不安に感じる方も多いでしょう。
確かに決定的な強い証拠がある方が有利ですが、必ずしもそのような証拠がなければ離婚できないわけではありません。
LINEやメールのやり取り、医師の診断書など証拠はより有効ではありますが、日記やメモなどの証拠であっても十分に有効です。
証拠の集め方については、下記の記事で詳しく解説しています。

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4)協議・調停・裁判で判断基準はどう変わるか

モラハラによる離婚は、協議離婚・調停離婚・裁判離婚のいずれで進めるかによって、必要となる説明や証明の程度が異なります。
協議離婚では相手が同意すれば成立しますが、調停や裁判になると、モラハラの内容や影響を第三者に理解してもらう必要があります。
そのため、早い段階から弁護士に相談し、状況整理や証拠の残し方を確認しておくことが重要です。

5)我慢を続ける前に考えてほしいこと

「子どものため」「相手が変わるかもしれない」という思いから、モラハラを受けながら我慢を続けてしまう方も少なくありません。
しかし、長期間の精神的ストレスは、心身の健康や判断力に大きな影響を及ぼします。
あなたが感じているつらさは、決して大げさなものではありません。
離婚するかどうかはすぐに決めなくても構いませんが、「離婚できる状況なのか」「選択肢は何があるのか」を知ることは、自分を守るための大切な一歩です。

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モラハラ配偶者との離婚手続きと注意点

モラハラ配偶者との離婚は、通常の離婚手続きとは異なる注意が必要です。
相手の支配欲や感情の不安定さから、話し合いが成立しなかったり、別居や離婚の意思を伝えたことで、言動が激化するケースも少なくありません。
そのため、最も大切なのは安全を最優先にした離婚の進め方を選ぶことです。

1)直接の話し合いを避ける

DV配偶者と同じように、モラハラ配偶者に対して、当事者同士で冷静な話し合いを行うのは非常に困難です。
離婚の意思を伝えることで、威圧的な態度や精神的な追い詰めが強まることもあります。
可能であれば、弁護士などをたてて、本人に直接連絡を取らない形で進めることが望ましいでしょう。

2)証拠を残しながら準備を進める

モラハラによる離婚では、後の調停や裁判を見据えて証拠を残しておくことが大きな意味を持ちます。
暴言の記録、LINEやメールの保存、日記やメモ、医師の診断書などは、モラハラの行為とその被害を示す重要な資料となります。

3)別居と生活基盤の確保を優先する

モラハラがある場合、離婚手続きを進める前に、生活を安定させる準備が重要になります。
別居は、離婚後を見据えた生活基盤を整えるための手段の一つです。
住居の確保、生活費の見通し、子どもがいる場合には学校や保育環境の調整など、現実的な準備を進めておくことで、精神的な負担を軽減しながら離婚に向き合うことができます。

4)別居や保護命令を検討すべき危険なサイン

中には、生活準備よりも先に「身の安全」を確保すべきケースがあります。
強い威圧、脅し、監視、連絡の強要などが続いている場合、通常の別居や話し合いでは対応しきれないこともあります。
このような場合には、裁判所の保護命令によって、加害者からの接近や連絡を制限することが可能です。
別居は「生活を整えるため」だけでなく、危険から距離を取るための緊急措置となることもあります。

5)公的な相談窓口・支援機関

モラハラに悩んでいる場合、まずは第三者に相談することが大切です。
公的な相談窓口では、匿名での相談や、今後の選択肢についての助言を受けることができます。
これらの窓口は、「必ず何かをしなければならない場所」ではありません。
今感じている不安や恐怖を整理し、安全を確保するための選択肢を知るために利用することができます。
法的な手続きや離婚を前提とした具体的な対応については、弁護士に相談することで、あなたの状況に合った進め方を確認できます。
支援機関と弁護士相談を併用しながら、無理のない形で行動していきましょう。
例えば、女性相談支援センターなどでは、子どもも一緒に一時的な保護を受けることができます。

6)協議・調停・裁判の進め方を見極める

相手が、離婚交渉に応じてくれる場合は協議離婚で解決できることもありますが、モラハラのケースでは、比較的話し合いにならず、調停や裁判に発展することが多いのが実情です。
調停では第三者を介して主張を伝えることができ、裁判では法的判断に基づいた解決が図られます。
状況に応じて、最適な手続きを選択することが重要です。
下記でも詳細に解説しておりますので、ご参考ください。

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7)早い段階で弁護士に相談する

モラハラ離婚では、初期対応を誤って、相手を逆上させ子どもを連れて消えてしまうなどの問題に発展してしまう場合があります。
弁護士に相談することで、相手との接触を避けながら手続きを進める方法や、慰謝料請求、親権、養育費などの見通しを整理できます。
一人で抱え込まず、離婚専門弁護士の力を借りながら、安全かつ確実に新しい生活への一歩を踏み出しましょう。

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モラハラによる慰謝料の相場

モラハラを理由に離婚を考えたとき、「慰謝料はいくら請求できるのか」「本当に認められるのか」と不安や疑問を感じる方は少なくありません。
モラハラは、金銭的被害ではなく精神的な被害であるため、金額が一律に決まっているわけではありませんが、一定の基準や傾向は存在します。
ここでは、モラハラによる慰謝料の相場や、金額に影響する要素について解説します。

1)モラハラによる慰謝料は請求できるのか

モラハラは、精神的苦痛を与える行為であり、不法行為として慰謝料請求の対象となる可能性があります。
ただし、単発の口論や感情的な発言だけでは足りず、人格否定や支配的な言動が繰り返し行われていることが重要な判断材料になります。

2)モラハラ慰謝料の一般的な相場

モラハラのみを理由とする慰謝料は、おおよそ5万円〜300万円程度とされるケースが多く見られます。
相場としては、軽度な場合は30万円ほど、悪質かつ継続的で精神疾患等の結果をもたらした場合は、200万円です。
ただし、これはあくまで目安であり、事案の内容によってはこれより低くなることもありますし、もっと高額になることもあります。
DV(身体的暴力)を伴う場合や、強い精神疾患を発症するほどの被害がある場合には、慰謝料額が上乗せされる傾向があります。
DV・モラハラが関係する慰謝料については、下記の記事でより詳しく解説しています。

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DV・モラハラによる離婚慰謝料の相場

3)慰謝料の金額に影響する主な要素

モラハラ慰謝料の金額は、次のような要素を総合的に考慮して決まります。

  • 具体的な発言内容や行為の内容
  • 頻度、回数、継続期間
  • モラハラに至った経緯
  • 被害者に生じた心身の不調の有無程度
  • 証拠の有無や客観性
  • その他の事情

特に、長期間にわたり精神的な支配が続き、統合失調症やうつ病などにり患している場合には、慰謝料額が高く評価される可能性があります。

4)慰謝料以外に請求できるもの

モラハラによる離婚では、慰謝料とは別に、財産分与や婚姻費用、養育費などの請求が可能です。
慰謝料だけに目を向けるのではなく、離婚後の生活全体を見据えた条件整理として、財産分与や養育費の約束が重要となります。

5)慰謝料請求が認められない、または難しくなるケース

モラハラは深刻な精神的被害をもたらす行為ですが、すべてのケースで必ず慰謝料が認められるわけではありません。
これは被害が軽いという意味ではなく、法的な評価のハードルが存在するためです。
以下のような場合、慰謝料請求が認められない、または難しくなることがあります。

  • 単発的な口論や感情的な発言にとどまる場合
    一度や二度の強い言い争いだけでは、 継続的な精神的被害として評価されにくいことがあります。
  • モラハラ行為の継続性や悪質性を示す証拠が乏しい場合
    被害を受けていても、客観的に確認できる資料がないと、慰謝料請求が認められにくくなる傾向があります。
  • 夫婦双方の言動が同程度に激しいと評価される場合
    互いに強い言葉を投げ合っていたと判断されると、一方的な不法行為と認められないことがあります。
  • 精神的苦痛との因果関係が認められにくい場合
    心身の不調があっても、モラハラとの関係性を示す説明が不足していると、慰謝料請求が難しくなることがあります。

重要なのは、慰謝料が認められなかったからといって、あなたのつらさが否定されるわけではない、という点です。
慰謝料請求は、あくまで不法行為としてモラハラの結果の法的評価の一つに過ぎずません。モラハラによって離婚自体が認められるかとは別の観点で考える必要があります。
「慰謝料は請求できないかもしれない」と感じる場合でも、早めに弁護士に相談することで、証拠の補強や別の解決策が見つかることもあります。

6)慰謝料請求を検討する際の注意点

モラハラの慰謝料請求は、相手との対立が激化するリスクも伴います。
精神的負担を最小限に抑えながら進めるためには、無理に本人同士で交渉せず、弁護士を通じて対応することが望ましいでしょう。
自分のケースでどの程度の慰謝料が見込めるのか、請求するべきかどうかについては、専門である弁護士に相談することで現実的な見通しを立てることができます。

親権・子どもへの影響

モラハラやDVが関係する離婚では、「子どもへの影響が一番心配」「親権はどうなるのか」と悩まれる方が非常に多くいらっしゃいます。
子どもは、家庭内の緊張や支配的な関係を敏感に感じ取ります。
たとえ直接的な暴力がなくても、モラハラのある環境は子どもの心に大きな影響を与えることがあります。

1)モラハラ環境が子どもに与える影響

モラハラが続く家庭では、子どもが次のような影響を受けることがあります。

  • 常に親の顔色をうかがうようになる
  • 自己肯定感が低くなる
  • 不安や緊張を抱えやすくなる
  • 対人関係に強いストレスを感じる
  • 将来的に同じような関係性を繰り返すリスク

このような影響はすぐに表面化しないことも多く、「子どもが大丈夫そうに見える」からといって安心できるとは限りません。

2)モラハラと親権の判断基準

親権を決める際、最も重視されるのは「子どもの利益(福祉)」です。
どちらの親が子どもにとって安定した生活環境を提供できるかが判断基準になります。
モラハラやDVが認められる場合、加害的な言動が子どもに悪影響を及ぼすと判断されると、親権者として不利になる可能性があります。
被害を受けている親が子どもの主たる養育者であり、日常的な世話を担ってきた場合には、その点が親権判断で重視されます。

具体的には以下のような事情が考慮されます。

父母の側の事情

     

  • 監護能力・意欲
  •  

  • 精神的・経済的家庭環境(資産、収入、職業、住居、生活態度など)
  •  

  • 居住・教育環境
  •  

  • 子に対する愛情の程度
  •  

  • 従来の監護状況(監護実績)
  •  

  • 親族・友人の援助の可能性
  •  

  • 監護補助者の有無

子の側の事情

     

  • 年齢・性別
  •  

  • 兄弟姉妹関係
  •  

  • 心身の発育状況
  •  

  • 従来の環境への適応状況
  •  

  • 環境の変化への適応性
  •  

  • 子の意思・意向
  •  

  • 父母及び親族との親和性

3)モラハラ配偶者から親権を争われた場合

モラハラ加害者は、離婚交渉の中で親権を争う姿勢を見せることがあります。
これは、相手を支配し続ける手段として子どもを利用しようとするケースも含まれます。
このような場合でも、子どもの生活実態やこれまでの養育状況を客観的に示すことで、親権が認められる可能性は十分にあります。
詳しくは、下記の記事で解説しています。

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モラハラ加害者から親権を争われたら

4)面会交流をどう考えるべきか

離婚後の面会交流についても、子どもの安全と心の安定が最優先されます。
モラハラやDVの程度によっては、直接の面会を制限したり、第三者機関を利用した面会交流が選択されることもあります。
「親と会わせるべきか」「子どもが怖がっている」と感じる場合には、無理に通常の面会を続ける必要はありません。
専門である弁護士と相談しながら、子どもにとって最善の形を検討することが大切です。

5)子どもを守るために親ができること

子どもを守るために最も大切なのは、安心できる環境を用意することです。
「離婚は子どもに悪影響ではないか」と悩まれる方もいますが、緊張や恐怖のある家庭環境が続くことの方が、子どもにとって大きな負担になる場合もあります。
親が安全で安定した環境を選ぶことは、子どもにとっても大切な選択です。
迷いや不安がある場合には、一人で抱え込まず、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

モラハラが心身に与える深刻な影響

モラハラは言葉や態度による精神的暴力であり、長期間にわたって受け続けることで、被害者の心や行動に深刻な影響を及ぼすことがあります。
中には、精神的な不調として症状が現れたり、追い詰められた結果として思いがけない行動を取ってしまうケースもあります。
ここでは、特に相談が多い2つのケースについて解説します。

1)モラハラによるカサンドラ症候群

モラハラを受け続けた結果、強い孤独感や無力感、不安、不眠、抑うつ状態などの症状が現れることがあります。
このような状態は、いわゆる「カサンドラ症候群」と呼ばれることがあります。
カサンドラ症候群は正式な医学診断名ではありませんが、配偶者との意思疎通が成立しない状態が長く続くことで、「自分の気持ちが誰にも理解されない」という感覚に陥る点が特徴です。
モラハラ加害者が自分の言動を省みない場合、被害者は問題を自分のせいだと思い込みやすく、心身のバランスを崩してしまうことがあります。
詳しくは、下記の記事でも解説しています。

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モラハラによるカサンドラ症候群

2)モラハラ被害者が不貞をしてしまった場合の考え方

モラハラによって精神的に追い詰められた結果、配偶者以外の人に心の拠り所を求めてしまうケースもあります。
孤立や否定が続く中で、誰かに受け入れられたいという気持ちが強くなるのは、決して珍しいことではありません。
ただし、精神的に追い詰められていた事情があったとしても、不貞行為は法的には不利に扱われます。
慰謝料請求や親権、離婚条件に影響することもあるため、感情だけで判断するのは危険です。
モラハラの被害状況や経緯によっては、不貞に至った背景が考慮される余地があるケースもあります。
いずれにしても、早い段階で弁護士に相談し、適切な対応方針を確認することが重要です。
さらに詳しい解説はこちらをご覧ください。

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モラハラ被害者が不貞をしてしまったら

一人で悩まず、弁護士に相談を

モラハラは、目に見える傷が残らないため、「自分が悪いのではないか」「我慢すべきではないか」と一人で抱え込んでしまう方が少なくありません。
しかし、精神的な苦痛が続く状態は決して正常ではなく、放置することで心身の不調や生活への影響が深刻化するおそれがあります。
離婚するかどうかをまだ決めていない段階でも、早めに専門家へ相談することが大切です。
離婚に強い弁護士に相談することで、モラハラに該当するかどうかの判断、証拠の集め方、今後取り得る選択肢について、あなたの状況に即した具体的なアドバイスを受けることができます。
また、別居や保護命令、慰謝料請求、親権の見通しなど、一人では判断が難しい問題についても、法的な視点から冷静に整理することが可能です。

キャストグローバルでは、モラハラ・DVを含む離婚問題に多くの実績を持つ弁護士が、あなたの気持ちに寄り添いながら対応します。
一人で悩まず、不安を感じたらまずはお気軽にご相談ください。

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法律のことはもちろん、心に寄り添いながら、「相談してよかった」と思っていただける対応を心がけています。
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