• WEB問い合わせ
  • お電話はこちら

不倫、不貞行為、浮気がバレたら?事例別慰謝料相場と3つの解決方法

不倫、不貞行為、浮気がバレたら?事例別慰謝料相場と3つの解決方法

監修者 弁護士法人キャストグローバル

離婚記事担当

不倫をしたということは、相応の慰謝料を妻から請求されることがあります。
ではいくら支払わなければならないのか。
不倫をしてしまったら、離婚をしなければならないのか。
今回は、「自分(夫)の不倫がバレた場合」を前提に、どのような対応が必要かをまとめました。
まずは、不倫をしたからといって必ずしも離婚をしなければならないということではありません。
妻との話し合い次第で離婚を回避することも可能です。
この記事では、不倫慰謝料の金額の相場、解決の方法、弁護士に依頼する場合のタイミングとメリット・デメリットについて解説します。

【この記事でわかること】

  1. 不倫の内容が悪質なものになるほど不倫慰謝料の金額が上がる
  2. 不倫の証拠があり、その内容が不倫の事実がより確かなものであるとわかるものであるほど不倫慰謝料金額が上がる
  3. 不倫慰謝料を支払うのは自分と不倫相手。自分だけで支払うこともできる
  4. 不倫慰謝料の支払いの解決方法は3つある
    話し合い、調停、訴訟
  5. 弁護士に相談するのは最初からが望ましく、依頼するのは後からでも大丈夫
  6. 弁護士に相談・依頼する4つのメリット
    【メリット①】状況を客観的にみて、専門家の冷静な意見を聞くことができる
    【メリット②】悩みや不安な気持ちを話すことができる
    【メリット③】話し合いに際して、妻と直接話をしなくてよいことになる
    【メリット⓸】調停や裁判になった場合、専門家に手続きを任せることができる
  7. 弁護士に相談・依頼するデメリットは弁護士費用がかかる

どこからが不倫?不倫、不貞の具体例と慰謝料の相場

どこからが不倫?不倫、不貞の具体例と慰謝料の相場

一般に「不倫」という言葉はよく聞きますが、法的に「不倫」とはどういう行為を意味するのか説明をします。
また、「不倫」をした場合にどれくらいの慰謝料を支払うことになるのか、その相場をお示しします。

1) 不倫(不貞行為)とは

不倫とは、法律用語では「不貞行為」といい、その意味は「配偶者のある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」です。
つまり、妻以外の人と性行為をした場合、それがいわゆる「不倫」になるのです。

2) 不倫(不貞行為)の具体例と不倫慰謝料の相場

不倫慰謝料の相場は一般に50~300万円と言われています。
そして、だいたいの事案は50~150万円で解決することとなり、それ以上の金額で解決する事案は不倫の内容が相当悪質なものであるといえます。
また、一般に不倫が原因で離婚することになれば、慰謝料の金額も高くなると言われています。
しかし、それだけが決め手となるというのではなく、不倫の内容を主な要素として、そのほかの様々な事情を総合的に考慮していくことになるでしょう。
たとえば、不倫の回数が多いとか期間が長いなど、不倫の内容が悪質なものになればなるほど、不倫慰謝料の金額はあがる傾向にあります。
加えて、その他の事情としては、たとえば、不倫が原因で夫婦の関係が破綻して離婚に至ったというような場合は、離婚まではしないという夫婦に比べて不倫慰謝料の金額があがる傾向にあります。
さらに、不倫慰謝料の金額は不倫の内容だけでなく、不倫の証拠があるのかないのか、解決の方法(当事者同士の話し合いなのか裁判所を通すのか)によっても変わってきます

不倫の内容 不倫慰謝料の金額
①夫が不倫相手と口腔性交を1回したという事案 50万円
②妻の妊娠中に夫が職場の同僚と数回ラブホテルに出入りしていた事案 60万円
③夫が飲食店の従業員削除と性行為をしていた事案 100万円
⓸夫の不在時に妻が自宅で職場の同僚と性行為をしていた事案 150万円
⓹夫の不在時に妻が不倫相手を自宅に招き性行為をしていただけでなく、不倫相手を子どもらとも交流させていた事案 250万円

その他、すでに不倫相手との生活をスタートさせている事案など、ひとくちに不倫といっても、様々な事案があります。

不倫慰謝料の金額を左右する内容と必要な証拠

不倫慰謝料の金額を左右する内容と必要な証拠

不倫の事実を立証するには、妻以外の人と性行為をしたことを裏付ける証拠が必要となります。
証拠は大きくわけて2つ、

  1. 直接的に不倫していることがわかるもの
  2. 直接的なものと併せて不倫していることがわかるもの

があります。
①の証拠があれば、ただちに「不倫していた」という事実が証明されうることになりますが、仮に①の証拠がなくとも、②の証拠がたくさん集まることによって「不倫していた」という事実が証明されることもあります。
それでは、具体的にどのようなものが①②の証拠となりうるのか、以下に示します。

1)直接的に不倫していることがわかるもの

配偶者以外の者と性的関係を結んだことを示すものがこれに該当します。

● ラブホテルに出入りしていることがわかるもの
たとえば、車のドライブレコーダーの音声や映像、ナビやGPSの履歴、出入りする様子がわかる写真や動画など。
ラブホテルは一般的に性行為をする場として認識されているため、出入りがあることにより、性行為をしていたと推認されることになります。

● 自宅に出入りし一定時間滞在していることがわかるもの
たとえば、車のドライブレコーダーの音声や映像、ナビやGPSの履歴、出入りする様子や時間がわかる写真や動画など。
自宅は性行為をする以外の理由で立ち寄ることもありうるため、ラブホテルとは異なり、出入りだけでなく、一定時間滞在していることやその時間帯から、性行為をしていたと推認されることがあります。

● 性行為をしていることがわかるようなメッセージのやりとり、写真や動画など
不倫をしているカップルによくあるのが、気持ちが盛り上がっているために、性的に過激なメッセージのやり取りをすること、性行為の様子を写真や動画に収めることです。
それらの内容から性行為をしていることがわかれば、それは不倫の証拠となります。

2)直接的なものと併せて不倫していることがわかるもの

配偶者以外の者と性的関係を結んだであろうことを示すものがこれに該当します。

  • 配偶者とは使っていない避妊具
  • 性的な薬
  • それらを購入した際のレシート、購入履歴
  • 二人分の食事の領収証、スーパーやコンビニの買い出しのレシート
  • スケジュール管理ツールに記録されている予定。

これらを組み合わせていくと、どんどん二人の行動が明らかとなり、性行為をしていることまでわかっていくということがあります。

関連ページ
何を調べるべき?浮気や不倫の証拠の集め方

不倫慰謝料を支払うのは自分?不倫相手?

不倫慰謝料を支払うのは自分?不倫相手?

不倫は民法上の不法行為に該当し、慰謝料が発生する原因になります。
考え方としては、夫と不倫相手がした不倫によって妻が傷ついたということになるので、妻に対して不倫慰謝料を支払うのはあなたでも不倫相手でもどちらでもよいのです。
そして、妻はどちらかから十分な慰謝料を支払われた場合、もう一方に対して追加で慰謝料を請求することはできません。

たとえば、あなたと不倫相手の不倫によって300万円の慰謝料が発生するという場合、その300万円はあなたが妻に支払っても不倫相手が支払ってもよいのです。
そして、仮にあなたが妻に対して300万円を支払ったとすれば、妻はもう不倫相手にはそれ以上の金銭の請求はできません。
他方、あなたがそのうちの150万円を妻に対して支払ったとすれば、妻は残りの150万円を不倫相手に請求することができます。

不倫慰謝料の支払い方法は3パターン

不倫慰謝料の支払い方法は3パターン

それでは、実際に妻に対して不倫慰謝料を支払う場合について、もう少し詳しく説明をします。
同様に、夫と相手の不倫によって、300万円の不倫慰謝料が発生する場合を例とします。

1)夫が支払って解決する

先ほど解説したとおり、300万円をあなたが妻に支払った場合、妻はもう不倫相手にはそれ以上の金銭の請求はできません。
ただ、不倫はあなただけでなく不倫相手がいたからできたことであるので、あなたは不倫相手に対して、妻に支払った300万円のうちいくらかを自分に返してくれと請求することができます(これを「求償権の行使(民法442条)」といいます)。
もちろん、求償権の行使はしてもしなくてもよいので、300万円をどのように負担し合うかについては、あなたと不倫相手との間でお話合いをしてください。

2)不貞相手が支払う

妻は不倫慰謝料をあなたではなく、不倫相手だけに請求するケースもあります。
たとえば、妻の感情として不倫相手がどうしても許せないという場合です。
ほかには、不倫はされたけど離婚しないので夫には請求しないという場合です。
これは、離婚せずに家族を続けていくのに夫から不倫の慰謝料をもらっても、家庭内でお金が回るだけになるので経済的なメリットがないと考えられることによる判断であるといえます。
この場合、原則として不倫相手は夫に対して求償権をもっていますので、不倫相手が妻に支払った不倫慰謝料のうちいくらかを夫が不倫相手に返してあげることもできます。
しかし、例外もあります。

妻が不倫相手に「求償権の放棄」を求める場合
妻が不倫相手に対して不倫慰謝料を請求する際、「求償権の放棄」を求める場合があります。
その理由は、夫に対して不倫相手が求償権を行使すれば、妻からすると不倫相手の経済的なダメージが減るため感情的に許せないこと、あなたからの支払いが結果的に家庭のお金からの支払いになるなどの事情があることです。

求償権を放棄することを条件に、不倫慰謝料の減額の交渉がされる場合
求償権の行使を口実に夫と不倫相手がその後もやり取りをすることを妻が嫌がる場合などに、不倫相手から「夫さんには求償権の行使をしないので、慰謝料の総額を減額してもらえないか」と提案をするケースもあります。

3)あなたと不倫相手二人で支払う

あなたと不倫相手のどちらかが妻に対して不倫慰謝料を支払ってから求償権の行使をするというのではなく、はじめからそれぞれいくらずつ支払うのかなどを話し合って二人から妻に対して不倫慰謝料を支払うということも可能です。
この場合、妻からすれば「あなたと不倫相手対自分」と感じることがありうるので、妻との関係を悪化させたくないのであればあまり適切な方法ではないかもしれません。

不倫慰謝料の3つの解決方法とそのメリットとデメリット

不倫慰謝料の3つの解決方法とそのメリットとデメリット

様々なケースがありますが、まずは話し合いでの解決を目指します。
それでも解決できない場合は、調停や訴訟へ移行していくことになります。
なぜなら、話し合いでの解決は比較的柔軟な解決をすることが期待できますし、調停や訴訟など裁判所を通じた手続きは話し合いに比べて労力がかかることが多いからです。
以下で詳しく説明をします。

1)  話し合い

話し合いにはルールはありません。
お互いが納得できて、合意がとれればそれでよいのです。
このため、妻があなたに不倫の証拠を突きつけてきて言い逃れできないような場合、直に不倫を認めていくらか支払うことを提案することもできます。

①話し合いで解決することのメリット

話し合いで解決することのメリットは、あなたの資力を考慮した不倫慰謝料の金額・支払い方法について交渉の余地があることです。
たとえば、不倫慰謝料の金額として150万円を支払うが、支払いのタイミングは冬のボーナスが入った後にしてほしいとか、支払いは月々10万円の分割にしてほしい、など、こちらの要望を伝え、妻の合意がとれれば支払い方法について柔軟な解決ができます。
また、不倫慰謝料の支払い以外の約束をしやすいということもメリットのひとつです。
たとえば、今後、不倫相手とは一切の連絡を取らないとか、家事育児に専念して夫婦関係の再構築のために努力する、などの不倫慰謝料の支払い以外の生活上の約束も、双方の合意さえあればすることができます。

②話し合いで解決することのデメリット

他方、話し合いで解決することのデメリットとしては、夫婦間での話し合いは往々にして感情的なものとなり、なかなか話がまとまらないということが挙げられます。
また、妻が突きつけてきた証拠が必ずしも裁判所で有効な(不倫の事実を立証するのに十分な)ものであるとは限らないので、第三者の評価にさらされないまま同種の事案と比較したときに高額な不倫慰謝料で合意してしまう可能性があることも挙げられます。
妻との合意がとれたら、のちに言った言わないの争いになることを防ぐために、合意書の作成をしておくのがよいでしょう。

③話し合いがまとまり、合意がとれたあとの処理

話し合いがまとまって合意がとれたとき、その合意の内容をなにかしらの書面に残しておくということが望ましいです。
なぜなら、あとから「こんな約束もしていた」「そんな約束はしていない」といったトラブルになりかねないからです。
書面の形式はどんなものでも構いません。
ただし、少なくとも、合意の内容・合意をした年月日・当事者の署名は記載しておきましょう。
また、書面の作成をする際に妻から公正証書の作成を求められることがあるかもしれません。
公正証書に残すことの意味は、合意書のようにのちに言った言わないの争いになることを防ぐこともありますが、仮に不倫慰謝料の支払いが約束どおりにされない場合に公正証書にもとづいて、あなたの給与や財産を差し押さえて、そこから不倫慰謝料相当額を回収するということができることにあります。
あなたが約束どおりに支払えば公正証書に残しても何ら問題ありませんが、そうでない場合、会社などにも迷惑がかかる可能性があるということに注意してください。

2) 調停

調停とは、裁判所を通じた話し合いです。
当事者間での話し合いがうまくできない場合などに利用する手続きです。

①調停申立ての方法

調停の申し立てはあなたから「妻から不倫慰謝料を請求されていて話し合いがまとまらないので裁判所に介入してほしい」といってすることもできますし、妻から「あなたとは話し合いにならないので裁判所に介入してもらいましょう」といってされることもあります。
調停の申し立ては、申立書に必要事項を記入し、必要書類を添付して裁判所に提出することによってできます。
申立書の書式や必要書類等の案内は裁判所のホームページで確認することができます。
なお、申し立てにかかる費用は数千円です。
調停では、裁判所の調停委員という専門の職員を間にはさんで、あなたと妻と交互に意見を聞いてもらい、双方の合意のとれるところを探っていくことになります。
当事者同士の話し合いと異なる点は、やはり第三者を間にはさむという点で、これにより感情的な話し合いになることをいくらか避けることができます。

②調停での話し合い

調停での話し合いでは、当事者同士の話し合いといえども、話し合いの流れはある程度裁判所の考え方に沿ったものになるといえます。
なぜなら、調停の申し立てがされているということは、当事者同士での話し合いが難しかったということを前提としているケースが多いからです。
また、調停では調停委員を介して話し合いをしますが、調停委員は裁判所の職員で、適宜裁判官と評議をしながら事案を進めていくからです。
裁判所は基本的に、証拠にもとづいて事実を認定するという考え方を前提としながら、当事者の話を聞いて話し合いの落としどころを見つけていくというスタンスで調停を進めていきます。
また、裁判所は紛争を解決するための場所なので、話し合いがまとまった後に新たな問題(調停での約束が守られずに支払いが滞るなど)が発生する可能性をできるだけ排除しようとします。
ですので、妻としては不倫の慰謝料を請求する側として、ある程度の証拠は提出しなればならないでしょうし、あなたとしては、不倫慰謝料の金額や支払い方について、当事者同士の話し合いのときよりかは柔軟な対応を求められない(冬のボーナスまでは待てないのである程度の頭金を入れたほうがよいとか、それほど長期の分割は難しいなど)可能性があります。

③調停をすることのメリット

調停をすることのメリットとしては、話し合いに第三者をはさむことにより、当事者同士で顔を合わせずに話し合いができるということ、特に不倫慰謝料の金額について、より相場にちかい内容で解決することができることが挙げられます。

④調停をすることのデメリット

デメリットとしては、まず解決までに時間がかかるということが挙げられます。
地域によりますが、調停は申し立てがされてからおよそ1カ月ほどで初回の期日(話し合いの日時)が設定され、1回で合意できることは少ないので、その後およそ1~1.5カ月ごとの期日で断続的に話し合いがなされるというイメージです。
このため、解決までに早くても数カ月から半年はかかるとみておくのがよいでしょう。
また、裁判所での期日(話し合いの日時)は、平日の日中(10~17時)に入るので、期日に出頭するために仕事を調整しなければならないということも挙げられます。
さらに、当事者同士の話し合いとの比較でいうと、不倫慰謝料の支払い以外の約束はしにくいということがあります。
これは、裁判所が法的な問題に焦点を絞って事案を処理するということがその理由です。
つまり、不倫慰謝料の事案の場合、不倫の事実があったのかどうか、あったとすればそれにより発生する慰謝料の金額はいくらなのか、というように紛争の焦点を絞って処理するということです。

⑤調停での話し合いがまとまったあとの処理

調停での話し合いがまとまった場合、調停が成立するといいますが、その場合は調停調書と呼ばれる書面が作成されます。
調停調書は、合意の内容をまとめて記載したものですが、その効果としては公正証書と似ているところがあり、仮に不倫慰謝料の支払いが約束どおりにされない場合に調停調書にもとづいて、あなたの給与や財産を差し押さえて、そこから不倫慰謝料相当額を回収するということができます。

3) 訴訟

訴訟となるのは、話し合いができないような状況であったり、話し合いが膠着してしまってこれ以上どうにもならないというような状況であることが多く、また、妻から提起されることがほとんどでしょう。
訴訟は基本的に裁判所のルールにのっとって、書面でのやり取りで進んでいきます。

①訴訟の特徴

訴訟の特徴は、事実と証拠の有無が重要となる点にあります。
つまり、裁判所の関心は不倫の事実があったのかどうか、不倫によって夫婦関係が壊れたといえるのかどうか、妻にどれほどの損害が出ているのかというところにあり、妻やあなたは、これらの事情についてそれぞれの認識や意見を、それらを裏付ける証拠とともに提出しなければならないのです。
そして、裁判所は基本的にそれぞれの事情を裏付ける証拠がなければ、その事情はないものとして判断をしていくこととなります。
したがって、たとえば実際には不倫の回数は5回あったと妻が主張をしていても、証拠は3回分しかなかったとしたら、裁判所は不倫は3回あったという事実認定をもとに慰謝料の金額を判断していくということになります。

②訴訟のメリット

訴訟のメリットは、よくも悪くも訴訟は紛争解決の最終手段なので、解決の目途が立つ点です。
話し合いや調停は、当事者の合意が取れなければ成立しないので、合意が取れなければ終わりませんが、訴訟は最終的に判決というかたちで結論が出るので、いつか終わります。
ただし、調停と同じように裁判の期日も1~1.5カ月ごとのペースとなるので、期間としては少なくとも半年程度はかかると思っておいた方がよいでしょう。
また、裁判所は証拠のない事実は事実として取り扱わないので、妻が不倫の証拠をあまり持っていなければ、不倫慰謝料の金額が大幅に下がる可能性があります。
さらに、証拠があったとしても裁判所が判断をする際には、他の裁判例とも比較をして事案を検討するはずなので、不倫慰謝料を支払うという判断でもその金額は適正なものとなりやすいです。

③訴訟のデメリット

訴訟のデメリットは、裁判の手続きをあなた自身で進めようとすると、書面の作成や期日の出席の負担が大きいという点です。

不倫慰謝料について弁護士に相談・依頼するタイミング

不倫慰謝料について弁護士に相談・依頼するタイミング

弁護士へのアプローチとしては、①相談をすること②依頼をすることの2つの段階があります。

1)弁護士に相談するタイミング

弁護士への相談は早いうちにしておくのがよいでしょう。
一旦あなた自身で対応をするという場合でも、専門家に状況を確認してもらっておおまかな方向性を見極めるということが大事です。
なぜなら、あなた自身で話し合いなどの対応をする場合、話し合いの流れができてしまってから「やっぱりこうしたい」と思っても、その段階で弁護士が軌道修正できるかどうか、あまりにも状況がこじれてしまっていると、難しい場合もあるからです。
また、状況を踏まえて、どのタイミングで弁護士に依頼すべきかということについても、専門家の意見を聞くことができます。

2)弁護士に依頼するタイミング

依頼するタイミングは5つのパターンがあります。

①一番初めから依頼する

妻から話し合いをしようと言われた段階で、あなたは弁護士に依頼をして妻とあなたの代理人弁護士とで話し合いをしてもらうことができます。
弁護士に依頼した以降は、不倫慰謝料についてあなたは妻と直接話をせずに、弁護士に任せることができます。

②話し合いの途中から依頼する

一旦、あなたと妻とで話し合いをしてみて、やっぱり直接の話し合いは難しそうだからと、あなたが弁護士に依頼をして妻とあなたの代理人弁護士とで話し合いをしてもらうことができます。

③妻に代理人弁護士がついたときから依頼する

もしかしたら、妻が弁護士に依頼をして、妻の代理人弁護士から連絡がくるかもしれません(多くの場合は、受任通知という妻の代理人に就任したので今後のお話合いの窓口は弁護士になります、という内容の書面が届きます)。
この場合、あなた自身が妻の代理人弁護士を相手に話し合いをするのは大変だと思うので、あなたも弁護士に依頼をして、双方の代理人弁護士同士で話し合いをしてもらうことができます。

④調停のときから依頼する

先ほども書いたとおり、調停の申し立てはあなたからでも妻からでもすることができます。
あなたが調停の申し立てをしようと思ったときに、そのタイミングで弁護士に依頼をするということもできます。
また妻から調停を申し立てられて裁判所から呼び出しの通知が来たタイミングで、あなたが弁護士に依頼をすることもできます。

⑤訴訟のときから依頼する

どうにもこうにも話し合いがうまくいかず、訴訟になるという場合、そのタイミングで弁護士に依頼することもできます。
訴訟になるのであれば、妻から訴訟提起することがよくあるパターンかと思いますので、話し合いの中で訴訟に移行することが分かればそのタイミングで、もし話し合いの中で分からなくても裁判所からあなたに対して訴訟提起がされましたよという内容の通知が来るのでそのタイミングで、弁護士に依頼をすることができます。

いつ依頼するのがよいか

結局のところ、いつ、弁護士に依頼するのがよいでしょうか。
様々な考え方があるとは思いますが、遅くとも、妻に代理人弁護士がついたとき、調停や訴訟になるタイミングではあなたも弁護士に依頼するのがよいでしょう。
その理由としては、まず、妻から話し合いをしたいと言われたタイミングでいきなりあなたが代理人弁護士をたてたら、妻からするとあなたがファイティングポーズを取ったかのように見えて、穏便な話し合いが困難になる可能性があります。
また、弁護士が入ると、裁判所ほどではないにしても当事者間の話し合いのときよりも法的な問題に焦点を絞って事案に対応していくことになろうかと思いますので、夫婦間の約束などの取り決めを柔軟にしにくくなる可能性があります。
ですので、必ずしも話し合いの最初から弁護士に依頼しなくてもよい場合があります。
そして、妻に代理人弁護士がついたら、あなたが妻の代理人弁護士相手に話し合いをするよりも、あなたも自身の代理人弁護士をたてて弁護士同士で話し合いをしたほうがスムーズでしょうし、あなた自身の負担も減るでしょう。
調停や訴訟になった場合、話し合いや紛争の争点は主に法的な問題になるので、専門家である弁護士に依頼した方が進行もスムーズで、あなたの負担も減るでしょう。

はじめから弁護士に依頼しない場合の注意点

はじめから弁護士に依頼しない場合の注意点

弁護士に依頼するタイミングは①一番初めから依頼する、②話し合いの途中から依頼する、③妻に代理人弁護士がついたときから依頼する、⓸調停のときから依頼する、⓹訴訟のときから依頼するの5つのパターンがあることを説明しました。
したがって、状況によってはじめから弁護士に依頼をしない場合があります。
その場合には、以下のことに注意をしましょう。

1)不倫の事実を認めるのか認めないのか、認めるとしてどの範囲まで認めるのかはあらかじめあなた自身の中で線引きをしておいて、ブレがないようにすること

妻がどのような証拠をどれくらい持っているのかわからない中で話し合いを始めて、早期に解決すればそれでよいのですが、そうではなくずるずると揉めてしまって最終的に訴訟、となった場合、話し合いの初期のころにあなたがブレてしまって余分な発言などをしているとそのことが足を引っ張る可能性があります。
話し合いは妻に録音されていることもあり、それを証拠として出されてしまったら、後から「それは違うんだ」と否定することが難しくなったり、あなたの言っていることの信用性がないと言われてしまうことになりかねません。

2)不倫慰謝料の金額やその他(特に妻に有利な内容の)条件について、安易に提案したり肯定したりしないこと

あなた自身で話し合いをしていると、妻の勢いに圧倒されて、話し合いが続くことが億劫になって、仕事が忙しくてじっくり考える時間が取れなくて・・・「もうそれでいいかも」という気持ちになり、安易に高額な不倫慰謝料の金額や妻に有利な内容の条件を提案したり、妻からの提案に肯定的な発言をしたりしてしまうことがあるかもしれません。
最終的にその内容であなた自身が納得できて合意に至り、問題が解決するのであれば構いませんが、そうでない場合、合意するまでの間に「やっぱり発言を撤回したい」「弁護士を入れていちから妥当な内容で話し合いをしてもらいたい」と思っても、合意に至る前なので理屈としてはもちろん発言の撤回も可能ではありますが、妻の心情として「いまさら発言を撤回するなんて」「一度支払うと言った金額なのだから支払いはできるはずなのにいまさら減額を求めてくるなんてどういうことなんだ」ということとなり、それ以降の話し合いが難航する可能性が高まります。
一般論としても交渉ごとはそれぞれの意見や希望のすり合わせをして落としどころを見つけていくというものですので、その点を十分に意識して、安易な発言は控えるようにしましょう。

不倫慰謝料について弁護士に依頼するメリット、デメリット

不倫慰謝料について弁護士に依頼するメリット、デメリット

1) 不倫慰謝料について弁護士に依頼する4つのメリット

①相談をするメリット

あなた自身の状況を客観的にみて、専門家の冷静な意見を聞くことができます。
弁護士は不倫慰謝料について専門家としての知識や経験を持っています。
ですので、あなたから事情を聞き取り、その状況を他の事案とも比較しながら、解決までの見込み、支払うべき不倫慰謝料の金額、個別に注意すべき点など、的確なアドバイスをすることができます。

②依頼をするメリット

妻から不倫慰謝料を請求されて、ましてや離婚の危機に陥っているということは、なかなか友人知人には話をしにくいデリケートな話題です。
弁護士に依頼をすれば、事案を進めるための方針を決めていくにあたって、あなた自身の悩みや不安な気持ちを話すことができるでしょうし、それに対して専門家としての意見を聞くこともできます。
ですので、少しはあなた自身の気持ちも和らげることができるのではないでしょうか。

話し合いに際して、妻と直接話をしなくてよいことになります。
あなたが弁護士に依頼をすると、妻との話し合いの窓口は弁護士になります。
その場合、妻と弁護士との話し合いの外であなた自身が妻と不倫慰謝料について話をしてしまうと、話があっちこっち行ってしまいかえってややこしいことになるので、原則として当事者同士での話し合いはしないでくださいということになろうかと思います。
ですので、妻と直接不倫慰謝料のことについて話をしなくてよくなるので、あなた自身の心理的な負担はいくらか軽減されることでしょう。

調停や裁判になった場合、専門家である弁護士に手続きを任せることができます。
いよいよ裁判所での手続きとなった場合、手続きそのものも内容も、より専門的なものとなります。
また、裁判所では「言いたいことは書面にまとめてください」と要求されることが多いので、書面を期限までに作成して提出するなどの事務的な作業も増えます。
さらに、前にも書いたとおり、裁判所の期日は平日の日中に開かれるので、出席するのであれば仕事との調整が不可欠となるでしょう。
そういった場合、あなたが弁護士に依頼をすれば、裁判所との細かいやり取りから、書面の作成・提出、期日への出席も弁護士があなたの代理人として代わりにすべて行うことができます。
ですので、あなたは、自身の代理人弁護士との打合せさえしっかりしておけばよいのです。

2) 不倫慰謝料について弁護士に依頼する2つのデメリット

①相談することのデメリット

相談だけであればそれほど費用もかかりませんし、相談をするデメリットはないと思います。

②依頼をすることのデメリット

依頼することのデメリットとしては、まず、弁護士費用がかかるということでしょう。
あなたが弁護士に依頼をすれば、妻に不倫の慰謝料を支払い、さらに弁護士費用も支払うことになるので、あなたの経済的な負担は増えます。
なお、もし妻が代理人弁護士をたてたとしても、あなたは妻の弁護士に関する費用は基本的に支払う必要がありません。
また、弁護士はその職務上、原則として双方当事者の代理人として業務をすることができないので、たとえば妻と費用を折半して話し合いの中立的な立場として介入してほしいというような依頼はすることができません。

もし、弁護士費用の捻出が厳しいということでしたら、話し合いをあなた自身で進めて、妻との合意がとれた際に合意書や公正証書の作成を弁護士に依頼するということも場合によっては可能ですので、一度相談されてもよいかもしれません。

まとめ

不倫の慰謝料の慰謝料は不倫の内容や証拠の有無によってその金額が変わりますが、おおよそ50~300万円が相場であるといえるでしょう。
妻から不倫の慰謝料を請求されたら、夫だけが支払いをすることも不倫相手だけが支払いをすることも、夫と不倫相手が支払いをすることも可能です。
解決の方法としてまずは、話し合いだけで解決することを目指して、どうしても話し合いが困難である場合に裁判所を通じた調停・訴訟などの手続きに進むことが労力・費用の削減につながります。
しかし、ある日突然妻に不倫がばれて話し合いをしようと言われてしまったら、焦ってしまうでしょうし、当事者間での話し合いはどうしても感情が前面に出てしまってなかなかうまくいかないということもあります。
ですのでまずは、一度弁護士に相談をしてみてください。
妻や家族のことを考えたときに一番よい解決の方法は何なのか、専門家の意見を聞きながら判断していってもらえたらと思います。

関連ページ
慰謝料を請求された

監修者 弁護士法人キャストグローバル

離婚記事担当

離婚に関する記事は、当事務所の弁護士や専門スタッフが監修しています。
離婚・男女問題で不安や悩みを抱えながら、一歩を踏み出そうとしている方も多いのではないでしょうか。

私たちは、これまで数多くの離婚・男女問題の解決をサポートしてきました。
法律のことはもちろん、心に寄り添いながら、「相談してよかった」と思っていただける対応を心がけています。
この記事を通じて、少しでも安心していただける情報をお届けできれば嬉しく思います。

ご相談・お問い合わせはこちら

関連ページ