DV離婚の慰謝料相場|増額できる証拠と請求方法を弁護士が解説

監修者 弁護士法人キャストグローバル
離婚部弁護士
目次
目次を表示配偶者からのDVで離婚を考えているものの、今後の生活のために慰謝料はいくらもらえるのか、どうやって安全に請求すればよいのか、不安に感じていませんか。
DVで離婚する場合、慰謝料請求が可能ですが、その相場や認められるかどうかはDVの態様や有効な証拠の有無によって大きく左右されます。
この記事を読めば、ご自身の状況に合わせた慰謝料の概算を把握し、請求を有利に進めるために今すぐ集めるべき証拠を特定できる状態になります。
この記事でわかること
・ DVの種類(身体的・精神的・経済的)に応じた慰謝料の相場
・ 慰謝料が相場よりも高額になるケース
・ 慰謝料請求を有利に進めるために集めるべき証拠の種類
・ 加害者と顔を合わせずに安全に請求する具体的な手順
DV(ドメスティック・バイオレンス)とは

DV(ドメスティック・バイオレンス)とは、配偶者や恋人など、親密な関係にある(またはあった)相手から振るわれる暴力のことです。
暴力には、殴る、蹴るといった身体的暴力だけでなく、暴言や無視などで精神を追い詰める精神的暴力(モラハラ)、生活費を渡さないといった経済的暴力も含まれます。さらに、性的行為を強要する性的暴力や、交友関係を制限する社会的隔離もDVの一種です。
これらは単なる夫婦喧嘩の延長ではなく、一方が力で相手を支配しようとする重大な人権侵害です。
DV(家庭内暴力)を理由に離婚は可能?慰謝料請求の可否について解説

DV(家庭内暴力)は、法律で定められた離婚理由である「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)に該当する可能性があるため、相手が離婚に同意しなくても裁判で離婚が認められる可能性があります。
また、DVは配偶者の心身を傷つける違法な行為(不法行為)であるため、精神的苦痛に対する賠償として慰謝料請求も可能です。
DVで離婚を考えている場合、慰謝料請求は正当な権利といえます。
【DVの種類別】離婚慰謝料の相場は50万〜300万円|あなたのケースはいくら?

DVが原因で離婚する場合の慰謝料相場は、一般的に50万円から300万円程度です。
ただし、これはあくまで目安であり、DVの種類、期間、悪質性、被害の程度といった個別の事情によって金額は大きく変動します。
精神的な苦痛が大きければ、相場以上の金額が認められることもあります。
ここでは、DVの種類別に慰謝料の目安を解説します。
殴る・蹴るなどの「身体的DV」で請求できる慰謝料の目安
殴る、蹴る、物を投げつけるといった身体的DVの場合、慰謝料の相場は50万円から300万円程度が目安です。
怪我の程度が深刻であったり、後遺症が残ったりした場合には、精神的苦痛が大きいと判断され、相場よりも高額になる傾向があります。
治療にかかった期間や通院の事実も、金額を算定する上で重要な要素となります。
モラハラなどの「精神的DV」で請求できる慰謝料の目安
人格を否定する暴言を繰り返す、無視し続ける、行動を過度に監視するといった精神的DV(モラハラ)の場合、慰謝料の相場は50万円から200万円程度が目安です。
身体的DVと比べて目に見える傷が残らないため、客観的な証拠を集めることが重要になります。
モラハラが原因でうつ病などの精神疾患を発症した場合は、慰謝料が増額される可能性が高いです。
夫婦間のモラハラについては「モラハラ離婚相談」もご参考ください。
生活費を渡さないなどの「経済的DV」で請求できる慰謝料の目安
正当な理由なく生活費を渡さない、借金を繰り返す、勝手に貯金を使い込むといった経済的DVの場合、慰謝料の相場は数十万円から100万円程度とされています。経済的DV単独での慰謝料請求は困難なケースもありますが、身体的DVや精神的DVと複合している場合は、慰謝料が認められやすくなる傾向にあります。
慰謝料の金額が変わる!相場より高額になる5つの増額要因

DVの慰謝料は、加害行為の悪質性や被害の大きさなど、様々な要因を考慮して決められます。
そのため、個別の事情によっては相場よりも高額になることがあり、悪質なケースでは500万円を超える慰謝料が認められることもあります。
ここでは、慰謝料が増額される主な要因を5つ解説します。
様々な事由による慰謝料の相場については「離婚慰謝料の相場はいくら?」で詳しく紹介しています。
DVの期間が長く、回数が多い
DVが長期間にわたって繰り返し行われていた場合、被害者の精神的苦痛は非常に大きいと判断されます。
一度きりの暴力よりも、常習的に暴力を振るっていた事実が認められれば、慰謝料は増額される傾向にあります。
暴力や暴言が悪質・執拗である
暴力の態様が執拗で悪質である場合も、慰謝料の増額事由となります。
例えば、凶器を使用した暴力、人格を徹底的に否定するような暴言、被害者が抵抗できない状況での暴力などがこれにあたります。
行為の悪質性が高ければ高いほど、慰謝料額も高くなる可能性があります。
被害者がうつ病など精神疾患を患った
DVが原因で、被害者がうつ病やPTSD(心的外傷後ストレス障害)などの精神疾患を発症した場合、精神的苦痛が極めて大きいと判断され、慰謝料が増額される重要な要因となります。
DVと精神疾患との因果関係を証明するため、医師の診断書が不可欠です。
DVが原因で後遺症が残った
DVによる暴力で、被害者に後遺症が残ってしまった場合も、慰謝料は高額になる傾向があります。
身体的な機能が損なわれ、将来にわたって影響が残ることは、非常に大きな精神的苦痛とみなされるためです。
後遺障害診断書などを取得して、後遺症の存在と程度を立証する必要があります。
子どもの前でDVが行われた(面前DV)
子どもの目の前で配偶者に暴力を振るう「面前DV」は、子どもに対する心理的虐待にあたります。
このような行為は極めて悪質と判断され、慰謝料の増額事由となり得ます。
子どもへの悪影響も考慮されるため、慰謝料額が高くなる可能性が高まります。
慰謝料が減額または請求できない可能性のあるケース

DVの事実があったとしても、特定の状況下では慰謝料が減額されたり、請求が認められなかったりする場合があります。
被害者側にも不貞行為などの離婚原因がある場合、双方に非があるとして慰謝料が減額されることがあります。
また、DVの程度が社会通念上許容される範囲内の夫婦喧嘩と判断されたり、DVを立証する十分な証拠がなかったりする場合も、慰謝料請求が難しくなります。
DVの事実を立証するために有効な証拠一覧|相手が否定しても大丈夫

DVの慰謝料請求では、相手が事実を否定するケースも少なくありません。
そのため、客観的な証拠を集めることが極めて重要です。
裁判になった場合、証拠がなければDVの事実を認めてもらうことは困難です。
ここでは、DVの事実を立証するために有効な証拠を具体的に紹介します。
医師の診断書や通院記録
DVによって怪我をした場合は、すぐに病院で診察を受け、診断書を作成してもらいましょう。
診断書は、怪我の事実とDVとの因果関係を示す有力な証拠となります。
精神的DVの場合も、心療内科などを受診し、うつ病などの診断書や通院記録を取得することが重要です。
怪我の状態や荒らされた部屋がわかる写真・動画
DVによるあざや傷などの怪我は、日付がわかるように写真や動画で撮影しておきましょう。
また、加害者が物に当たるなどして部屋が荒らされた状態も、DVの証拠となり得ます。
写真や動画は、DVの激しさや状況を客観的に示す重要な証拠です。
暴言や暴力の様子が記録された音声・動画データ
配偶者の暴言や暴力の様子を、ICレコーダーやスマートフォンで録音・録画することも有効な証拠となります。
特に、人格を否定するような暴言や脅迫的な言動は、精神的DVを立証する上で強力な証拠になり得ます。
身の安全を確保した上で行うことが前提です。
DVの具体的な内容を記録した日記やメモ
いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのようにしたか(5W1H)を意識して、DVの具体的な内容を日記やメモに記録しておきましょう。
継続的に記録することで、DVが日常的に行われていたことの証明につながります。
手書きでもスマートフォンのメモ機能でも構いません。
警察や配偶者暴力相談支援センターへの相談記録
身の危険を感じて警察に通報したり、配偶者暴力相談支援センターなどの公的機関に相談したりした場合、その相談記録も有力な証拠となります。
第三者機関への相談は、DVの事実を客観的に裏付けるものとして、裁判でも重視される傾向があります。
SNSやメールでの暴言・謝罪のメッセージ
SNSやメール、LINEなどで相手から暴言のメッセージが送られてきた場合、そのやり取りをスクリーンショットなどで保存しておきましょう。
また、暴力の後に「もうしないから許してほしい」といった謝罪のメッセージが来た場合も、相手がDVの事実を認めている証拠として有効です。
DV加害者と顔を合わせずに慰謝料を請求する3つのステップ

DV加害者と直接交渉することは、身の危険を伴い精神的にも大きな負担となります。
特に報復を恐れる気持ちは当然のものです。
弁護士に依頼することで、相手と顔を合わせることなく安全に慰謝料請求の手続きを進めることが可能です。
【ステップ1】弁護士に相談し、今後の進め方を決める
まずは離婚問題に詳しい弁護士に相談しましょう。
集めた証拠が慰謝料請求に有効かどうかの判断や、今後の具体的な進め方についてアドバイスを受けられます。
弁護士に代理人を依頼すれば、以降の手続きは全て弁護士が窓口となって進めてくれます。
【ステップ2】内容証明郵便で慰謝料を請求する
弁護士から代理人として、加害者宛に慰謝料請求の内容証明郵便を送付します。
内容証明郵便は、誰がいつ、どのような内容の文書を送ったかを郵便局が証明するもので、法的な請求の意思を明確に伝えることができます。
弁護士名義で送ることで、相手にプレッシャーを与え、交渉に応じさせる効果も期待できます。
【ステップ3】離婚調停や裁判などの法的手続きを進める
内容証明郵便を送っても相手が交渉に応じない、または金額に合意できない場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。
調停でも話がまとまらなければ、最終的には離婚裁判を提起し、裁判官に慰謝料の支払いを含む離婚条件を判断してもらうことになります。
これらの手続きも、弁護士が代理人として進めるため、本人が裁判所に出廷する必要は原則ありません。
離婚調停については「離婚調停とは?流れ・費用から有利に進めるポイントまで弁護士が解説」で詳しく紹介しています。
身の安全が第一!DVから逃れるための「保護命令」制度とは

保護命令とは、DV被害者の安全を確保するために、裁判所が加害者に対して被害者への接近禁止などを命じる制度です。
この命令に違反すると、加害者には懲役や罰金が科せられます。
保護命令には、被害者本人や子どもへの「接近禁止命令」や、一定期間自宅から退去させる「退去等命令」などがあります。
身に危険が迫っている場合は、弁護士に相談の上、速やかに保護命令の申し立てを検討しましょう。
DV離婚の慰謝料請求を弁護士に依頼する3つのメリット

DVで離婚する場合、心身ともに疲弊している中で、加害者と慰謝料請求の交渉を行うのは非常に困難です。
弁護士に依頼することで、被害者の負担を大幅に軽減し、より良い条件で離婚を成立させられる可能性が高まります。
精神的負担が大きい加害者との交渉を全て任せられる
弁護士に依頼する最大のメリットは、DV加害者と直接顔を合わせたり、連絡を取ったりする必要がなくなることです。
交渉の窓口は全て弁護士が担うため、精神的な負担から解放され、安心して新生活の準備に専念できます。
法的な証拠に基づき、適正な慰謝料を獲得できる可能性が高まる
どのような証拠が法的に有効か、慰謝料請求の増額要因として何を主張すべきかなど、専門的な判断は弁護士でなければ難しいものです。
弁護士は、集めた証拠を法的な観点から精査し、裁判例に基づいて適正な慰謝料額を算出し、相手方と交渉します。
これにより、自分で交渉するよりも高額な慰謝料を獲得できる可能性が高まります。
弁護士に依頼した場合の慰謝料相場については「弁護士に依頼した場合の慰謝料相場は?理由ごとの離婚慰謝料の平均」で詳しく紹介しています。
離婚後のトラブルを防ぐための証書作成までサポートしてもらえる
慰謝料や養育費などの取り決めが口約束だけだと、離婚後に支払われなくなるリスクがあります。
弁護士に依頼すれば、合意内容を適法かつ適切に離婚協議書や公正証書として残すサポートを受けられます。
公正証書を作成しておくことで、万が一支払いが滞った場合に、裁判を起こさなくても相手の給与などを差し押さえる強制執行が可能になり、離婚後のトラブルを防ぐことができます。
DV離婚の慰謝料に関するよくある質問

ここでは、DVで離婚する際の慰謝料請求について、よく寄せられる質問にお答えします。
1回だけの暴力でもDVを理由に離婚や慰謝料請求はできますか?
可能です。
暴力の態様や傷害の程度によっては、1回だけでも慰謝料請求が認められるケースはあります。
1回だけの暴力であっても、骨折などの傷害を負わされた場合や、命の危険を感じるほどの暴力であった場合、慰謝料は十分に請求可能です。
DVを証明する直接的な証拠がない場合、慰謝料請求は難しいですか?
諦める必要はありません。
診断書や写真といった直接的な証拠がなくても、DVの事実を詳細に記録した日記、友人や親族への相談メール、警察への相談記録など、複数の間接的な証拠を組み合わせることで、DVの事実を立証できる場合があります。
慰謝料請求をしないと決めつける前に、弁護士にご相談ください。
離婚した後でもDVの慰謝料を請求できますか?時効についても教えてください。
離婚後でも慰謝料請求は可能です。
ただし、慰謝料請求権には時効があります。
離婚慰謝料の時効は、原則として離婚した日から3年で成立します。また、不法行為(DVなど)に基づく損害賠償請求権の場合は、損害および加害者を知った時から3年、または不法行為の時から20年で時効となります。時効が成立すると、請求できなくなります。
離婚後に請求を考えている場合は、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
離婚専門部を持つキャストグローバルが選ばれる理由

DV離婚という複雑でデリケートな問題は、豊富な経験と専門知識を持つ弁護士に相談することが解決への近道です。
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ご相談者様の手間を省き、スムーズな解決を実現します。
まとめ

DVを理由とした離婚では、慰謝料を請求することが可能です。
慰謝料の相場は50万円から300万円程度ですが、DVの態様や期間、被害の程度によって大きく変動します。
適正な慰謝料を獲得するためには、診断書や写真、録音データといった客観的な証拠を集めることが非常に重要です。
何よりもまずご自身の身の安全を確保し、一人で抱え込まずに弁護士などの専門家に相談することが、解決への第一歩となります。
DV離婚のお悩みは弁護士法人キャストグローバルにご相談ください

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監修者
弁護士法人キャストグローバル 離婚部
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