「離婚をしたい」と考えたとき、どんな手続きや準備が必要なのか、また、誰に相談するのがよいのか分からないという方は多くいらっしゃいます。離婚は、感情的な決断であると同時に、法的・経済的な整理を伴いこれまでの生活が変わる大きなライフイベントです。
この記事では、弁護士が「離婚の流れ」「養育費の相場」「財産分与」などをわかりやすく解説します。
また、モラハラ・DV、不倫、浮気、熟年離婚、親権やシングルマザーの生活など、さまざまな離婚の形にも触れながら、あなたの状況に合わせた対処法を紹介します。
離婚の種類と決める項目
離婚とは、夫婦が法律的な婚姻関係を解消することを指します。多くのケースでは話し合いによる協議離婚で成立していますが、合意に至らない場合は調停や裁判に進むことになります。
1)離婚は4種類
離婚には次の4種類があります。
- 協議離婚(話し合いで離婚すること)
- 調停離婚(裁判所の手続きの一つである調停によって離婚すること)
- 審判離婚(調停後に裁判所の判断である審判によって離婚すること)
- 裁判離婚(裁判に訴えて裁判所の判決によって離婚すること)
2)離婚の際に決める項目
離婚の際には、話し合いや調停で決めるべき項目が複数あります。主なものは以下の4つです。
- 婚姻費用(離婚成立までの生活費負担分と養育費)
- 財産分与(預貯金・不動産・退職金などの分配)
- 慰謝料請求(不倫・暴力・婚姻関係破綻の原因がある場合)
- 親権(子どもの監護、財産管理など)
- 養育費(子どもが自立するまでにかかる費用)
これらは離婚後の生活に直結するため、あいまいなまま進めるのではなく、文書化しておくことが重要です。
離婚の原因
離婚の原因には、「性格の不一致」だけでなく「不倫・浮気」、「モラハラ・DV」などの深刻な問題もあります。また、「子どもができない」「治療を続けても結果が出ない」といった不妊の問題は、夫婦にとって非常に深い悩みです。さらに、夫以外の男性の子どもを出産し夫の子どもとして育てる「托卵」が原因となるケースもあります。
- 性格の不一致:信感や会話の減少、生活習慣の不一致など、夫婦関係が破綻する前兆を示す言葉です。
- 不倫・浮気:パートナー以外との肉体関係は不貞行為とされ、慰謝料の対象になります。
- モラハラ・DV:「モラハラ」は言葉や態度による相手への精神的な攻撃。最近ではモラハラに関する相談が増加しています。「DV」は暴力・威圧・生活費を渡さない等。
- 不妊:不妊そのものは法律上の離婚原因ではありませんが、長期間にわたる治療や精神的負担が重なり、夫婦関係が破綻してしまうケースは少なくありません。
- 托卵:パートナー以外の男性の子どもをパートナーの子どもとして出産し、養育することで、DNA解析がすすんでおり、後々判明して家庭崩壊となるケースも。
離婚を伝える前にやるべきこと
離婚を進めるには、冷静な準備が必要です。感情的に話し合う前に、次の4つを意識しましょう。特に、モラハラや不倫などが原因の場合、証拠が非常に重要です。
- 離婚をする理由(一時的な感情で後悔しないために)
- 証拠の確保(LINE・録音・通帳コピーなど)
- 財産の把握(預金・不動産・年金)
- 子どもとの生活設計(親権・養育費・面会交流)
お金の問題|慰謝料・養育費・財産分与
離婚に伴う金銭トラブルの代表が「慰謝料」「養育費」「財産分与」です。経済的な条件を明確にしておくことで、離婚後の生活も安定しやすくなります。
- 慰謝料:不貞行為や暴力などが認められる場合に請求できます。
- 養育費:相場は、裁判所が出す養育費算定表が参考になります。
- 財産分与:婚姻期間中に築いた夫婦共有財産を分けます。
子どもの問題
離婚では、親権や養育費、面会交流といった子どもに関する問題が最もデリケートで、慎重な対応が求められます。
現在は「共同親権制度」の導入が注目されており、これまでのようにどちらか一方が親権を持つのではなく、父母双方で子どもを育てる権利と責任を共有する形が検討されています。
親権を決める際には、裁判所は「子どもの利益」を最も重視します。単に収入や生活環境だけでなく、これまでの養育環境や子どもとの関係の深さも判断材料になります。
また、親権を持たない親であっても、「面会交流権」が認められ、定期的に子どもと会うことが可能です。円滑な交流を続けるためには、感情的な対立を避け、合意書や調停を通じたルール作りが大切です。
さらに、子どもの生活を支えるためには、養育費の取り決めが不可欠です。養育費は「養育費算定表」をもとに計算されます。収入や生活環境の違いによって、算定表とおりにならないこともあります。
平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について | 裁判所
適切な取り決めを行うためには、弁護士のサポートを受けながら文書で明確にしておくことが、子どもと親の双方にとって安心です。
熟年離婚
最近では、長年連れ添った夫婦が別れる「熟年離婚」も増えています。退職金や年金分割など、経済的リスクへの備えが必要です。
熟年離婚では、特に長年の家計をどう清算するかが大きなテーマになります。
年金分割制度を活用することで、離婚後も老後の生活を安定させることが可能です。
- 退職金の財産分与
- 年金分割制度の活用
- 老後資金の確保
弁護士に相談すべきタイミングとメリット
離婚問題は、法律・手続き・証拠の準備などがあり生活の変化が大きい上に、感情も複雑に絡みます。早い段階で専門家に相談することで、結果やストレスなどの負担が変わります。
「いつ弁護士に相談すべきか」「どんなメリットがあるのか」は、多くの方が最初に不安を抱えるポイントです。
ここでは、離婚を検討し始めた人が後悔しないために、弁護士に相談する最適なタイミングと、相談することで得られる具体的なメリットをわかりやすく解説します。
1)弁護士に相談すべきタイミング
離婚を考え始めた段階で相談を始めて、継続的に相談を重ねておくことで、最も大きな効果を生みます。
初期の対応次第で「証拠が残るか・不利にならないか」が大きく変わり、次のような判断を早い段階で整理できます。
- どの行為が慰謝料請求の対象になるか
- 証拠をどのように確保すべきか
- 別居のタイミングや生活費(婚姻費用)の請求
- 相手との話し合い・連絡の進め方
- 協議・調停・裁判を見据えた準備
特にモラハラ・DV・不倫・財産管理の不透明化など、日常行動が証拠として蓄積できるケースでは、早期相談が決定的な違いを生みます。
2)弁護士に相談するメリット
離婚について、弁護士に相談するメリットは、交渉代理、書面作成等、適切な権利獲得、裁判手続き、将来の不利益を避けられることです。
- 相手との交渉を任せられる(感情的対立を避けられる)
- 書面作成や証拠整理のサポート
- 適切な養育費、財産分与の獲得
- 調停・裁判での適切な主張・立証
- 将来、養育費を受け取れないなどの不利益を回避する
また、以下のような争点がある場合は、弁護士のサポートがある方が望ましいでしょう。
- 不倫DVなどの慰謝料の請求
- 多額の財産分与が期待できる
- 子どもの親権争い
- モラハラ・DVなど安全の確保が必要
キャストグローバルでは離婚専門部を持ち、離婚に特化した弁護士が対応します。一人ひとりの状況に合わせて、最適な離婚手続き・証拠収集・交渉方針をご提案します。
まとめ|離婚の完全ガイドで学ぶ次の一歩
離婚は、法的な手続きと経済的な整理を伴う大きなライフイベントです。この記事では、弁護士が「離婚の種類(協議・調停・裁判など)」、「慰謝料・財産分与・親権・養育費」といった決めるべき項目を解説しました。
主な離婚の原因として、性格の不一致の他、不倫・浮気、モラハラ・DVなどがあり、それぞれ証拠の確保が非常に重要です。
離婚を有利に進めるには、財産の把握や証拠の確保など、冷静な事前準備が必要です。特に金銭面では、慰謝料、養育費、財産分与の明確化が離婚後の生活安定に直結します。子どもに関する問題(親権、養育費、面会交流)は最もデリケートであり、「子どもの利益」を最優先に文書化が不可欠です。
熟年離婚では年金分割など、長期的な経済的リスクへの備えが重要です。
弁護士への相談は、証拠収集や交渉方針など、離婚を考え始めた初期段階から行うことで、適切な権利獲得や将来の不利益回避につながります。
本ガイドを通じて、あなたの状況に合った最適な選択肢を見つけましょう。
離婚後の生活を見据えた冷静な判断こそが、後悔のない再出発への第一歩です。
もし今、不安や迷いがある場合は、ひとりで抱え込まずキャストグローバルの離婚部の弁護士にご相談ください。離婚を特化して扱う弁護士があなたの状況に合わせて最適な解決策を一緒に考えます。
