保険会社から提示された車の全損評価額が低すぎて納得できない -相談解決事例-
保険会社から提示された車の全損評価額が低すぎて納得できない
自車:普通自動四輪
相手:普通自動四輪
道路:T字路
態様:交差点内の出会い頭衝突
- 物損 91万円(初回提示額)→102万7455円(受領金額), 人損42万6870円(受領金額)
概要
1 事故態様
事故は、T字交差点内の出会い頭事故でした。依頼者が優先側道路を直進中に、相手方が一時停止を無視して交差点内に進入し、衝突した、という状況です。
幸いにも怪我は打撲程度で済みましたが、車が大破し、全損扱いとなってしまいました。
2 相談内容
ご相談にいらっしゃった時点で、過失割合については85対15とすることで双方の合意ができていました。しかし、車が大破し修理費が高額となってしまい車の時価額を超えてしまったため、いわゆる「経済的全損」(※物理的に修理は可能であるが、修理費が時価額を超えるために全損扱いとされること)となってしまいました。
当初の保険会社からの物損の提示額は、時価額で83万8100円でした。しかし、依頼者はこの時価評価額があまりに低すぎて納得できない、ということで、当事務所にご相談にいらっしゃいました。
解決までの流れ
1 物損について
依頼者のご希望は、短期間でできる限り物損の賠償額をアップしてほしい、というものでした。
そこで、短期間でかつ最大限に賠償をアップさせる方法として、時価額を争うのではなく、買い替え諸経費を最大限上乗せするよう求める方法を、ご提案しました。
交通事故では、車両全損時の時価額は、通称「レッドブック」と呼ばれる時価額算定本を基に算出されます。中古車の時価を争った場合、たとえ裁判にもこんでも、レッドブックに同一の車種・型・年式が掲載されている場合には、裁判所の判決でもレッドブックの時価額を基礎にすることが一般的です。このため、時価額自体を争っても争いが長期化するだけで結局賠償額が上がらなかった、という結論に至ることも多いのです。他方、全損時に新車に買い替える場合の諸経費の中には、裁判例上、損害として認められている項目があります。こうした諸経費については、当事者による示談段階では保険会社からまったく提示されないことがほとんどで、弁護士が入って指摘し交渉することで、スムーズに賠償額をアップすることが期待できます。
依頼者の方にこうした事情をご説明してご納得をいただいた上で、依頼者より新車購入時の注文書を証拠として送っていただきました。そして、この注文書を基に諸経費額の交渉を行った結果、以下の項目を、賠償に上乗せすることができました。
・自動車取得税 5,845円
・リサイクル料金 9,790円
・登録届出代行費用 24,240円
・車両本体の消費税 78,880円
—――――――――――――――――――――
・以上合計 118,755円
・過失相殺15% 100,942円(受取金額アップ額)
結果として、ご依頼どおりに短期間の交渉で物損額を10万円以上アップすることができ、依頼者の方にも大変ご満足をいただけました。
2 人損について
幸いにも怪我は打撲のみでしたので、およそ2カ月弱の治療で完治することができました。示談交渉の結果、通院期間に応じて裁判基準(弁護士基準)満額で慰謝料を獲得したほか、お仕事を休まれた日数に応じて休業損害も獲得しました。
事例のまとめ
車両時価額のように交渉が長期化しがちな争点で揉めている場合には、時価額にこだわるよりも、むしろ買替諸経費のように比較的短期間で上乗せが期待できる損害項目を交渉した方が、スムーズに示談額アップの話し合いがまとまる場合もあります。
今回のケースでは、依頼者の方が早期解決のメリットをご理解いただき、かつ、短期間の交渉で受領額をアップすることができたことから、依頼者の方からも大変にお喜びいただけました。
監修:弁護士法人キャストグローバル
大津オフィス 人身傷害交通事故担当