交通事故で脊椎損傷を負った場合、運動機能や感覚などにさまざまな障害が出ます。しかし、「脊髄損傷」が大けがだということは分かっていても、具体的にどこがどう損傷して、どのような症状が生じ、交通事故後の生活にどう影響するのかは知らないという人も多いのではないでしょうか。
交通事故で脊髄損傷の可能性がある場合は、適切な診察を受け、医師に正確な後遺障害診断書を作ってもらい、後遺障害認定を受けることで、適正な慰謝料を受け取ることができます。
今回は、交通事故により脊髄損傷を負った場合の対応や慰謝料や後遺障害認定を受けるための方法を解説します。
交通事故で脊髄損傷を負った場合の慰謝料や後遺障害認定を弁護士が詳しく解説
監修者 弁護士法人キャストグローバル
弁護士 松田 健人
目次
目次を表示交通事故による脊髄損傷とは
脊髄とは、脳からの手足を動かすといった信号を伝えるもので、脊柱管という背骨の中の管に束となって収まっており、この脊髄と脳とを合わせて中枢神経と呼びます。脊髄は脊柱管(背骨)の中を通り、場所により頸髄、胸髄、腰髄、仙髄と分けて呼ぶこともあります。
脊髄損傷は、年間約5000人発生しており、20歳代と60歳代に多いです。原因は、交通事故、転落、転倒の順に多く、高齢化が進む日本では、高齢者の転倒による受傷が増えています。
交通事故による脊髄損傷は、車両の衝突やその後の転倒などの外部からの強い力が脊髄に直接的または間接的に影響を与え、神経組織が損傷することを指します。脊髄は脳からの命令を全身に伝える重要な役割を担っているため、その損傷は身体に甚大な影響を及ぼします。
交通事故による脊髄損傷は、事故の衝撃の大きさや受傷部位によって異なる症状を引き起こします。例えば、頸部(首)の脊髄が損傷すると四肢麻痺が発生し、胸部や腰部の損傷では下肢麻痺が主に見られます。また、脊髄が完全に切断された場合、損傷部位以下の感覚や運動機能が完全に失われることがあります。
脊髄の各部位とそれぞれの損傷が引き起こす可能性のある主な症状
部位 | 場所 | 主な症状 |
頸髄(けいずい)損傷 | 首にある脊髄 | 全身麻痺(四肢麻痺)、呼吸困難、一部の腕と手の動きの制限、手指の細かい動作の障害 |
胸髄(きょうずい)損傷 | 胸のあたりにある脊髄 | 上肢はおおよそ正常に動かすことができる、乳首~へそより下の感覚消失、下半身の麻痺、膀胱や腸の機能障害 |
腰髄(ようずい)損傷 | 腰のあたりにある脊髄 | 下肢の麻痺、歩行困難、膀胱や腸の機能障害 |
仙髄(せんずい)損傷 | 骨盤あたりにある脊髄 | 足の一部の麻痺、歩行困難、性機能障害、膀胱や腸の機能障害 |
損傷部から下への信号が遮断されてしまうため、損傷部が上であればあるほど、その影響が大きくなります。また、脊髄損傷の影響は身体的なものだけでなく、心理的な側面にも及びます。突然の身体機能の喪失は、被害者にとって大きなストレスとなり、うつ病や不安障害を引き起こすことも少なくありません。そのため、脊髄損傷の治療には、身体的リハビリテーションだけでなく心理的サポートも不可欠です。
さらに、脊髄損傷は被害者の日常生活を大きく変えるため、経済的な影響も無視できません。長期的な治療やリハビリテーション、介護が必要となる場合、医療費や介護費用がかさむことが予想されます。また、職業復帰が困難になるケースも多く、収入減少や失業のリスクも考慮しなければなりません。
このような背景から、交通事故における脊髄損傷の被害者は、後の生活に関わる経済的負担のために、適切な慰謝料をしっかりともらっておかないといけません。慰謝料は、被害者が受けた身体的、精神的な苦痛を金銭的に補償するものであり、専門の弁護士に相談することで適切な金額を計算し請求することが可能です。弁護士のサポートを受けることで、適切な補償を得られ、手続きもスムーズに進めることができるでしょう。
完全損傷とは
完全損傷は、脊髄が完全に断裂してしまい、損傷部位以下の運動機能や感覚機能が全く失われる状態です。この場合、四肢麻痺や下肢麻痺だけでなく、自律神経系の異常や呼吸困難といった深刻な症状が伴います。被害者は日常生活のあらゆる場面でサポートを必要とし、場合によっては24時間体制の介護が必要となることもあります。
完全損傷の場合、被害者の生活は大きく変わり、精神的なストレスも計り知れません。このような重大な影響を受ける被害者に対して、精神的なフォローは非常に重要ですし、適切な慰謝料の獲得も非常に重要です。慰謝料は、被害者の精神的苦痛や生活の変化に対する賠償として支払われるものであり、その額は事故の状況や後遺障害の程度によって大きく異なります。
不完全損傷とは
不完全損傷は、脊髄が部分的に損傷している状態で、損傷部位以下のなんらかの運動機能や感覚機能が残る状態です。この場合でも、損傷の部位や程度によって症状は多岐にわたります。例えば、歩行が困難になる、特定の動作が制限される、感覚が鈍くなるなどの症状が見られることがあります。不完全損傷の場合も、脊髄損傷の慰謝料請求手続きは同様に重要です。
脊髄損傷の被害者が慰謝料を請求する際には、これらの症状がどれだけ生活に影響を与えているかを詳細に証明することが求められます。
治療履歴や診断書、MRIやCTスキャンの画像、リハビリの経過報告など、具体的な証拠を揃えることが重要です。また、日常生活や仕事にどれだけ支障が出ているかを記録し、証拠として提出することも効果的です。
交通事故による脊髄損傷での損害賠償請求は非常に専門的で、個人では対応が難しい場合が多いです。経験豊富な交通事故専門の弁護士に相談することお勧めします。弁護士に相談することで、これらの証拠をどのように収集し、提出すべきかのアドバイスを受けることができます。弁護士は被害者の代理人として、加害者側や保険会社との交渉を行い、適正な慰謝料や逸失利益を請求します。
交通事故による脊髄損傷の主な症状と麻痺の程度
では、神経伝達がうまくいかなくなると、どういった問題が生じるのでしょうか。
脳からの命令が伝わらなくなるというのは、思うように身体が動かせなくなることを意味します。このことを「麻痺」と呼びます。
また、感覚器官から脳へ情報伝達ができなくなるというのは、熱い、痛いといった感覚がなくなり、何も感じられなくなることです。
麻痺の程度は、脊髄がどのくらいひどく損傷を受けたかによります。
最悪の場合、脊髄が完全に断裂してしまうと、そこから下の身体の部位は完全に動かなくなってしまうのです。しかし、一部の損傷にとどまる場合は、少しであれば自分の意志で動かせることもあります。
また、麻痺の範囲は脊髄損傷を受けた位置によって決まります。
脳と身体の各部位を繋ぐのが脊髄の役目なので、損傷によって影響を受けるのはその損傷から下ということになります。
腰のあたりの低い位置に損傷が生じた場合、腕や呼吸器には影響はありません。それより下の、脚に麻痺が生じることになります。
しかし、首のあたりの高い位置で損傷が生じた場合、腕も脚も、胸も影響を受けます。場合によっては呼吸器が麻痺し、人工呼吸器が必要になるほど重症になる場合もあります。
脊髄損傷の症状は、一般的には、以下のような症状が現れることがあります。
脊髄損傷の障害 | 具体的な症状 |
運動機能の喪失 | 四肢麻痺(頸椎損傷による)、下肢麻痺(胸椎や腰椎損傷による) |
感覚の喪失 | 四肢麻痺(頸椎損傷による)、下肢麻痺(胸椎や腰椎損傷による) |
反射異常 | 痙攣や反射の異常 |
自律神経系の異常 | 血圧や心拍数の異常、発汗や体温調節の障害、消化器系や排尿、排便の問題 |
呼吸困難 | 上部頸椎の損傷による呼吸筋の麻痺 |
疼痛 | 神経因性疼痛(非常に強い痛み) |
これらの症状は、事故後の被害者の生活の質を大きく左右するため、早期の診断と適切な治療が不可欠です。慰謝料の請求においても、これらの症状がどれだけ生活に影響を与えているかを詳細に記録し、証拠として提出することが重要です。
精度の高いMRIによる画像撮影の重要性も見逃せません。MRIは脊髄損傷の詳細な状態を把握するための、正確な診断と治療計画の策定に役立ちます。MRIの画像は、慰謝料の請求においても重要な証拠となります。
さらに脊髄損傷から合併症を引き起こすことも多く見られます。筋力低下やまひの為に、動作が限られる、動くことが出来ないことによって、血栓、床ずれ、筋肉の短縮、尿路感染症、肺炎などが見られます。
脊髄損傷による高度の麻痺
脊髄損傷による高度の麻痺は、被害者の運動機能と日常生活に深刻な影響を及ぼします。例えば、頸椎の損傷による四肢麻痺は、腕や脚の動きが完全に失われることがあります。これにより、日常的な動作や自立した生活が困難になり、専用の介護が必要となります。また、胸椎や腰椎の損傷による下肢麻痺は、歩行困難や車椅子生活を余儀なくされることが多いです。
軽度の麻痺では、比較的軽い運動機能の喪失や感覚の異常が見られます。これにより、特定の動作が難しくなることや、一部の感覚が鈍くなることがあります。軽度の麻痺でも、長期間にわたるリハビリテーションが必要となる場合があります。
脊髄損傷の程度に応じて、適切な治療とリハビリテーションが必要です。早期の診断と治療が、回復の可能性を高める鍵となります。また、慰謝料の請求においては、これらの麻痺の程度が被害者の生活にどれだけ影響を与えているかを証明することが重要です。専門医の診断書やリハビリテーションの記録を詳細に提出することで、適正な慰謝料の受け取りが可能となります。
交通事故による脊髄損傷は、被害者の生活を一変させる重大な事態です。正確な診断と適切な治療、そして法的な支援を受けることで、被害者とその家族が少しでも早く通常の生活に戻れるようサポートが必要です。
脊髄損傷による中度の麻痺
中度の麻痺では、部分的な運動機能の喪失や感覚の異常が見られます。例えば、損傷部位以下の感覚が部分的に失われ、温度や痛みを感じにくくなることがあります。また、筋力が低下し、日常生活の動作に支障をきたすことがあります。自律神経系の異常も発生しやすく、血圧の変動や発汗異常、消化器系の問題が生じることがあります。
脊髄損傷による軽度の麻痺
軽度の麻痺では、比較的軽い運動機能の喪失や感覚の異常が見られます。これにより、特定の動作が難しくなることや、一部の感覚が鈍くなることがあります。軽度の麻痺でも、長期間にわたるリハビリテーションが必要となる場合があります。
脊髄損傷の程度に応じて、適切な治療とリハビリテーションが必要です。早期の診断と治療が、回復の可能性を高める鍵となります。また、慰謝料の請求においては、これらの麻痺の程度が被害者の生活にどれだけ影響を与えているかを証明することが重要です。専門医の診断書やリハビリテーションの記録を詳細に提出することで、適正な慰謝料の受け取りが可能となります。
交通事故による脊髄損傷は、被害者の生活を一変させる重大な事態です。少しでも不安がある場合は、交通事故に詳しい弁護士にご相談ください。正確な診断と適切な治療、そして法的な支援を受けることで、被害者とその家族が少しでも早く通常の生活に戻れるようサポートします。当事務所では、交通事故被害者は相談料無料で対応いたしますので、安心してご相談ください。
交通事故による脊髄損傷の治療方法
このように、身体に重大な影響を及ぼす脊髄損傷ですが、治癒することはあるのでしょうか。
現代医学の力では、損傷した脊髄を完治させることはできません。できるのは、被害者の体調を管理して現状を維持し、リハビリテーョンを施すことで、麻痺を抱えた身体で生活することに馴らすことだけです。
このように永続的に重大な影響をもたらすことから、脊髄損傷は交通事故によるケガの中でも最も重いものの一つと捉えられているのです。
なお、近年、脊髄神経の成長を促す研究や損傷した脊髄を再生させる再生医療及び神経幹細を移植して機能回復を試みる移植治療などの研究が多く行われています。研究の成果が早く出ることを祈るばかりです。
交通事故による脊髄損傷により請求できる損害賠償
損害賠償と慰謝料と示談金の違い
損害賠償(示談金)とは、交通事故によって被った損害を金銭的に補填するためのものです。具体的には、治療費、入院費、リハビリ費用、失業期間中の収入の補償などが含まれます。これらの費用は、事故の直接的な影響を受けた被害者が生活を続けるために必要な支出として計算されます。
一方、慰謝料は精神的な苦痛や身体的な苦痛に対する補償です。脊髄損傷は身体的な障害だけでなく、心理的な影響も大きいものです。そのため、被害者が感じる精神的な苦痛やストレスに対しても適切な補償が行われます。慰謝料の金額は、損傷の程度や後遺症の有無、被害者の年齢や職業などを総合的に考慮して決定されます。
項目 | 説明 |
損害賠償 | 交通事故によって被った損害を金銭的に補填するためのもの。治療費、入院費、リハビリ費用、失業期間中の収入の補償などが含まれる。 |
慰謝料 | 精神的な苦痛や身体的な苦痛に対する補償。損傷の程度や後遺症の有無、被害者の年齢や職業などを総合的に考慮して決定される。 |
交通事故で脊髄損傷を負った場合の慰謝料
交通事故による慰謝料の算出には下記3つの基準が存在し、それぞれ異なる金額が算定されます。
- 自賠責基準
- 任意保険基準(保険会社基準)
- 弁護士基準(慰謝料の額が最も高い)
自賠責基準は最低限補償される金額であるのに対し、任意保険基準は保険会社の独自の基準によって支払われます。一方で、最も高額となるのは弁護士が介入することで算出される「弁護士基準」です。
適切な補償を求めるのであれば、弁護士基準による請求が必須です。
また、交通事故で脊髄損傷になった場合には以下の損害賠償を請求できます。
損害賠償の種類 | 説明 | 相場・計算基準 |
入通院慰謝料 | 交通事故による怪我のための入院・通院による精神的苦痛に対する賠償金 | 通院1月53万円、通院1月28万円 |
後遺障害慰謝料 | 交通事故によって後遺障害を負った場合の精神的苦痛に対する損害賠償金 | 690万円〜2,800万円 |
後遺障害逸失利益 | 後遺障害が原因で労働力を(一部)失った場合の収入損失に対する補償 | 交通事故に遭う前の基礎収入や就労可能年数を基に算出 |
休業損害 | 交通事故により仕事を休む必要があった期間の収入損失に対する補償 | 実際の収入を基に算定 |
介護器具などの購入費 | 後遺障害により必要となる介護器具の購入費用 | 実費分が請求可能 |
将来の介護費 | 症状が固定後に発生する将来介護費 | 施設介護か自宅介護、職業付添人か近親者付添人による |
家屋や車の改造費 | 後遺障害によって生じる自宅や車の改造費 | 後遺障害の内容や程度、改造の必要性や経済性で判断 |
将来の生活に必要な雑費 | 日常生活で必要となる消耗品や小物類の購入費 | 実費分の請求が可能 |
それぞれ過去の裁判例などを用いて算出した「相場」があり、被害者は請求前に相場がどのようなものかを知っておくべきです。
交通事故による脊髄損傷の後遺障害等級と慰謝料の比較
脊髄損傷によって認められうる後遺障害等級と自賠責保険から支払われる慰謝料の金額は以下のとおりです。
後遺障害等級 | 症状 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
後遺障害等級12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの | 94万円 | 290万円 |
後遺障害等級9級10号 | 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの | 249万円 | 690万円 |
後遺障害等級7級4号 | 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの | 419万円 | 1,000万円 |
後遺障害等級5級2号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの | 618万円 | 1,400万円 |
後遺障害等級3級3号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの | 861万円 | 1,990万円 |
後遺障害等級2級1号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの | 1203万円 | 2,370万円 |
後遺障害等級1級1号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの | 1850万円 | 2,800万円 |
脊髄損傷により後遺症が残る場合、その程度に応じて後遺障害等級が認定されます。等級が高いほど、慰謝料や逸失利益の補償金額も増加します。脊髄損傷という後遺症の重大さを鑑みて、最も自賠責保険金額の上限額や慰謝料金額の高い1級まで認められうることになっています。
1級の後遺障害が認定された場合、生活全般にわたって常に介護が必要であるから、高額な慰謝料等賠償金を請求することが出来ます。それ以下であっても、生活に大きな支障が出る症状が残っていますので、適切な賠償金を請求し受けることが大切です。
そして、事故の当事者間の合意や裁判によって決まる慰謝料の金額にも、この後遺障害等級が大きく影響を与えています。
なぜなら、後遺障害等級は第三者機関が細かな基準を用いて後遺症の程度を厳しく判定した結果であるため、公平な慰謝料金額を決めるにあたって非常に有用であると考えられているためです。
合意や裁判によって自賠責基準より高額な慰謝料金額が定められた場合、加害者本人や加害者側任意保険会社は、自賠責保険から出た慰謝料分を差し引いた残りの金額を被害者に支払うことになります。級によって自賠責保険から支払われる保険金の合計額の上限が定められています。
交通事故で脊髄損傷を負った場合の逸失利益
交通事故で脊髄損傷を負った場合の逸失利益は、被害者が将来得られるはずだった収入の減少分を補償するための重要な要素です。逸失利益の算定には、被害者の年齢、職業、収入、後遺障害等級などが考慮されます。若い人であれば将来的な収入の見込みが高いため、逸失利益の金額も大きくなる傾向があります。
逸失利益の計算方法は、基本的に次のように行われます。
被害者の事故前の年収×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応する中間利息控除係数(ライプニッツ係数) |
まず、事故前の収入を基に将来的な収入を予測します。それに対して、後遺障害が原因で働けない期間や労働能力の喪失率を掛け合わせ、最終的な逸失利益を算出します。
ただし、逸失利益の請求には、仕事への実際の影響を証明するために、医師の診断書や収入証明書など、具体的な証拠が必要です。これらの書類を適切に揃え、提出することで、より正確な逸失利益を請求することができます。
脊髄損傷の介護費用
脊髄損傷の介護費用脊髄損傷によって日常生活に支障が出る場合、介護費用も損害賠償の対象となります。家族による介護やプロの介護サービスの費用など、被害者が必要とする支援を受けるための費用が補填されます。介護費用は、被害者が自立した生活を送るために必要な介助費用や介護機器の購入費用なども含まれます。
交通事故による脊髄損傷のための損害賠償請求は複雑で専門的な知識が必要です。適切な補償を受けるためには、専門の弁護士に相談し、詳細なアドバイスを受けることが重要です。
交通事故による脊髄損傷での後遺障害等級認定の流れ
後遺障害等級認定の大まかな手続の流れは、次のようになります。
- 病院での治療開始
- 症状の固定
- 後遺障害診断書などの書類の提出
- 後遺障害等級認定
症状固定
「症状の固定(もうこれ以上よくならないであろうという状態)」の段階になってから残存症状の程度が判るので、医師に症状が固定されたと診断されてから、後遺障害等級認定の資料を提出することになります。
治療を開始してから症状が固定するまでの期間は傷害の程度によって様々ですが、一般的には治療開始から半年から一年ほど経てば症状が固定することが多いとされています。
症状固定の注意点
保険会社としては、出来る限り早く、「症状固定(もうこれ以上よくならないであろうという状態)」としたいと考えます。なぜなら、症状固定にすることで、それ以降のリハビリ・治療を払わないようにしたいからです。保険会社からは、「そろそろ症状固定として、その後のことは後遺障害として考慮します」というような、結果的にしっかり賠償を払ってくれるかのような言い方をして、症状固定に持っていこうとすることがあります。
脊髄損傷の治療において、回復期のリハビリであるのか否かを診療に判断する必要があります。保険会社の言い分を鵜呑みにすることなく、交通事故に詳しい弁護士にしっかり相談してください。
症状固定の時期は、その後の損害賠償、その後の生活に対して、大きな影響を与えます。
後遺障害認定の申請2つの方法(被害者請求と事前認定)
後遺障害等級認定の手続きには、被害者請求と事前認定の2つの方法があります。
種類 | 説明 |
被害者請求 | 被害者自身または、その代理人弁護士が申請手続きを行う方法。被害者が自分で後遺障害診断書以外の資料、つまり診断書やレントゲン画像、その他専門家の意見等も全て集めて、損害保険料率算出機構に提出するという方法です。 |
事前認定 | 加害者側の任意保険会社が資料を集め、損害保険料率算出機構に後遺障害等級の認定をお願いしてくれるという方法なのです。 事前認定の一番のメリットは、手間がかからないということ。被害者は、主治医から後遺障害診断書をもらって保険会社に提出するだけで済みます。 |
等級認定には上記2つの方法がありますが、資料を被害者が集めるのか、相手の保険会社に任せるのかの違いです。どちらが主導権を握るのかということが、大きな違いであり重要な違いです。
事前認定の場合、任意保険会社が、必要な資料を収集してくれます。
一方、被害者請求の場合、後遺障害診断書等の必要書類を自分で準備し、相手の保険会社を通すことなく、自賠責保険会社に対して書類を送付します。
被害者請求に必要な書類は主に次の書類です。
被害者請求に必要な書類
- 保険金支払請求
- 交通事故証明書
- 事故発生状況報告書
- 診断書、診療報酬明細書(施術証明書、明細書)
- 後遺障害診断書
交通事故による脊髄損傷は弁護士に相談することもご検討ください。脊髄損傷は、介護も必要になることもある重大な障害です。そのため後遺障害等級認定の手続きに精通しており、申請書の作成や必要書類の準備、保険会社との交渉などをサポートしてくれる交通事故専門の弁護士に相談することをお勧めします。また、適切な等級認定を受けるために必要なアドバイスを提供してくれるため、認定の確率が高まるとともに、慰謝料の増額も期待できます。
弁護士費用特約を利用すれば、費用の心配もありません。
交通事故による脊髄損傷で後遺障害認定を受ける6つのポイント
後遺障害認定に必要な検査資料や書類の作成
事前認定でも被害者請求でも同じ資料を提出すれば同じ後遺障害等級が認められます。注意する点は、保険会社は書類の不備を指摘しません。特に後遺障害診断書の不備は、本来の等級より低い等級が認定される可能性があります。
被害者請求は手続きが煩雑なので、交通事故に詳しい弁護士に依頼することをお勧めします。
精度の高いMRI・CTによる画像診断
後遺障害の程度を正確に認定してもらうためには、MRIによる画像所見の存在が非常に重要になってきます。なぜなら、画像というのは最も客観的に障害の程度を示すことができる証拠だからです。
脊髄のどの位置に損傷が生じているか、どの程度の損傷であるかなど、MRIでハッキリ示すことができれば、より高い後遺障害等級の認定の可能性が高まります。しかし、場合によってはMRIを撮ってもその判読が容易でないため、医者に損傷を認定してもらえない場合もあります。MRIを用いた診断に納得がいかない場合は、一度弁護士に相談して、損傷を認定してもらえる可能性が少しでもないかどうか確認してみるのも一つの手です。
電気生理学的検査
筋電図や神経伝導速度検査などの電気生理学的検査も後遺障害認定において有効な証拠となります。これらの検査は、神経の機能がどの程度損なわれているかを客観的に示すことができるため、後遺障害等級の判断に大きく関与します。これらの検査結果があることで、脊髄損傷の具体的な影響を説明することが可能となります。
神経症状テスト
神経症状テストも重要な要素です。具体的なテストには、感覚や運動機能、反射機能の評価が含まれます。これらのテストは、日常生活や労働能力にどの程度の影響があるかを明確にするためのものです。専門的な医師による神経症状テストの結果は、後遺障害等級の認定において非常に重要な証拠となります。
例えば、誘発テスト(スパーリングテスト、ジャクソンテスト)、深部腱反射、徒手筋力テスト、病的反射、筋萎縮検査などです。
交通事故の後遺障害詳しい専門医を受診
交通事故による脊髄損傷の後遺障害等級認定を受けるためには、専門医の診断が不可欠です。一般の医師ではなく、脊髄や神経に詳しい専門医に診てもらうことで、より正確な診断を受けることができます。専門医の診断書は、後遺障害等級の認定において非常に高い信頼性を持っているため、専門医を受診することを強くお勧めします。
交通事故後の日常生活・労働への支障を立証
後遺障害等級の認定を受けるためには、脊髄損傷が日常生活や労働にどれだけの影響を及ぼしているかを立証する必要があります。具体的な例として、食事や入浴、トイレなどの日常生活動作の困難さ、職場での業務遂行能力の低下などを示す資料や証言が有効です。これにより、どの程度の支障が生じているかを明確に示し、適正な後遺障害等級を得ることができます。
交通事故の相談無料・着手金0円、弁護士費用特約で費用の心配はありません
当事務所は、相談料無料・着手金0円にて受け付けております。
弁護士費用は後払いで、賠償金獲得後に賠償金からお支払頂きますので、ご依頼時点で費用を頂くことはありません。
また、弁護士費用特約にご加入の方であれば、一事故について、一人あたり、最大300万円までの弁護士費用が補償されますので、費用の心配はほとんどありません。
交通事故による脊髄損傷を弁護士に依頼するメリット
- 弁護士が被害者の代理人となり加害者側と交渉
- 適切な後遺障害等級の獲得
- 医師と連携して申請書類をサポート
- 慰謝料や賠償金が増額する可能性が高い
交通事故による脊髄損傷の解決事例
【脊髄損傷や他の後遺障害と合わせ後遺障害等級併合8級の認定を受けた事例】
後遺障害等級 併合8級
受傷部位:頸椎歯突起骨折、脊髄損傷、軸索骨折、骨盤部打撲傷、その他擦過傷
依頼者は、相手方がひき逃げをしていたことから相当怒っておられました。何とかしてほしい、相手が許せない、保険会社の対応も悪いと、ご連絡を頂き、動けないので病院へ出張相談へ行きました。首を固定なくてはならない程大けがを負ったのですが、奇跡的に、回復しました。
保険会社の担当者は、治療期間やその方法について、あまり制限することもなく、依頼者が納得する治療を納得する期間出来ました。もっと大きな後遺障害が残るかと思っていましたが、奇跡的に回復しました。