後遺障害等級認定とは

交通事故による後遺障害の認定基準を解説します。

そもそも「後遺障害」とは何か?

「後遺症」と「後遺障害」は違う概念です。

交通事故に遭い、首に痛みが残った場合、「後遺症」ではありますが、「後遺障害」には当たらない場合があります。つまり、「後遺症」とは、治療後に残った残存症状のことをいいます。ところが、「後遺障害」とは、その「後遺症」のうち、自賠責法の等級に該当するものをいいます。したがって、交通事故によって、なんらかの後遺症が残ったとしても、自賠責法の等級に該当しない場合は、「後遺障害」とは認められません。そして、自賠責法の等級に該当する場合とは、客観的(医学的)に後遺症があることが認められ、かつ、労働能力を喪失する程度の後遺症を残すものをいいます。なお、「後遺障害」と認められないと、原則として、損害賠償の対象となりません。

「後遺症」であっても、金銭賠償がされる「後遺障害」になるわけではありません。

「後遺症」
治療後に残ったすべての残存症状。
「後遺障害」
後遺症の中でも、交通事故を原因とし、客観的(医学的)に認められ、労働能力が低下(喪失)する程度の症状と認められることで、自賠責法の等級に該当するもの。

どのようにして「後遺障害」の等級認定を得るのか

相手の自賠責保険会社に必要書類等を提出します。

相手の自賠責保険会社は、損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所に対して、必要書類等を送付し、後遺障害の有無、等級が認定されます。

【必要書類】

  1. 自賠責保険支払請求書兼支払指図書
  2. 交通事故証明書
  3. 事故発生状況報告書
  4. 診断書及び診療報酬明細書(施術証明書及び明細書)
  5. 後遺障害診断書
  6. レントゲン、MRI等の画像

《書面で後遺障害にあたることを証明》する必要があります。

原則として書面審査です。担当者が聞き取りにわざわざ来てくれたりしてくれません。例外的に、外貌醜状(顔等に傷が残った場合)について記載がある場合は、面談があります。つまり、書面に記載がない症状、書面上後遺障害があると証明できないものは、ない又は後遺障害と認められません。記載がないものは、知るすべがないですから、考慮することは出来ません。したがって、記載漏れや検査漏れなどがあった場合は、著しい不利益を被る可能性があり、さらにその不利益に気が付かないという大きな問題があります。これが高い専門性が要求される理由です。取り返しのつかないことになる前に、後遺障害等級認定に強いキャストグローバルの弁護士に相談ください。

後遺障害にはたくさんの種類(等級)があります。

後遺障害の「等級」とは?

交通事故による後遺障害は、別表IとIIにわかれて、部位や程度によって1~14級までの等級に分類され、140種類もの細かな分類がなされています。この等級は、労働者災害補償保険法の等級と同じです。しかしながら、労働者災害補償保険法とは判断基準が少し異なります。様々な後遺症がある中で、公平適正な損害賠償がなされるように、基準が設けられています。したがって、この基準に照らし合わせて認定されます。

等級はどのように決まるのか?

まず、後遺障害診断書の自覚症状欄を確認し、「後遺症」がある部位を確認します。次に、「後遺症」を引き起こす他覚所見の有無、後遺障害等級にあたる証明が出来ているかを確認します。

「後遺障害等級認定」には、3つの決まりがあります。

併合 部位の違う後遺障害が複数ある場です。重い方の等級またはその重い等級を一つ繰り上げることを言います。14級が二つの場合は、併合14級、12級と11級があれば、併合10級となります。
加重 既に後遺障害を認定された方が、その後また交通事故に遭い、より程度が重くなった場合です。すでにある後遺障害分については、原則として、賠償の対象となりません。
準用 等級表にないが、同程度の等級といえる場合です。たとえば、嗅覚脱失や味覚脱失などがあります。

認定基準は「明確ではない基準」もあります

認定基準が明確でないものもあります。例えば、「局部に神経症状を残すもの(14級9号)」「局部に頑固な神経症状を残すもの(12級13号)」です。「神経症状」とはどの程度か、「頑固」とはどの程度か、読み取ることは出来ません。痛みや痺れの程度は、自覚症状であり、今の医学では客観的に数値化することはできません。基準があいまいなため、提出する書類、判定する担当者、JA共済とそれ以外等、様々な事情によって結果が変わりうるということです。つまり、同じ後遺症が残った人がいたとして、提出する書類の内容により、後遺障害と認められる人と後遺障害が認められない人が出てくるのです。高い専門性が必要な理由です。後遺障害等級認定に強いキャストグローバルの弁護士に相談ください。

後遺障害等級認定後の流れ

後遺障害における賠償額は、等級に基づきます。

交通事故による後遺障害に対する賠償額は、主に後遺障害慰謝料、逸失利益であり、後遺障害等級を基準にします。認定された後遺障害等級をもとに、保険会社は自社の基準で損害賠償金を算出し、被害者に提示するという流れになります。

等級認定から賠償金提示までの流れ(当事務所ではおすすめしませんが、事前認定の場合です。)

  1. 怪我の治療終了(症状固定)
  2. 後遺障害診断書等を医師に書いてもらう
  3. 損害保険利率算出機構が等級認定の審査する
  4. 認定の結果により、保険会社が賠償額を算出する

後遺障害等級に納得できない場合は、異議申立てをすることが出来ます。何度でもできますが、症状固定から3年以内でなければなりません。また、保険会社の提示額に納得できない場合は、増額を求めて交渉することが出来ます。