交通事故が原因で「下半身不随(麻痺)」になってしまったら、将来を考えるだけでもつらい気持ちになりますし、目の前の現実から目を背けたくなるのも仕方がありません。
しかし、今のままではあなたにとって、本当に適切な補償を受けられないおそれがあります。
交通事故による下半身不随で適切な補償を受けるためには、弁護士への依頼が必須です。
そこで今回は、下半身不随になってしまった場合の慰謝料の相場と、後遺障害等級について弁護士が詳しく解説していきます。
本当に適切な補償を受けるためにも、ぜひ参考にしてください。

突然の交通事故による下半身不随で日常生活が一変

交通事故により、突如として下半身不随になるということは、被害者だけでなく、家族にとっても生活そのものが大きく変わる重大な出来事です。
これまでの日常生活とは一変すると表現しても、決して過言ではありません。

当事務所へのご相談の中にも、車との強い接触が原因となったバイク事故がきっかけで下半身不随になってしまったというご相談や、下半身不随に対しての慰謝料が少ない気がする、退院後の生活が不安で……、といったご相談をいただきます。皆同じように、健康面での不安だけでなく、仕事を失ってしまい今後の生活をどうしていけばいいのか等、今後の生活面・経済面での強い不安を抱えてご相談にいらっしゃられます。
実際、下半身不随となった場合には、次のような生活面での負担が生じます。

日常生活の困難さ

下半身不随になると、下肢がまったく動かなくなってしまうために、人の最も基本的な動作の一つである歩行が不可能になります。
車椅子を使っての生活が必須となりますが、そうなると、自宅の玄関の出入りから始まって、階段の昇降や、浴室での入浴、炊事や洗濯、毎日何回も行う必要のあるトイレの使用など、以前は何気なく行っていた日常生活のあらゆる面で移動に大きな困難を伴うことになってしまいます。このため、自宅の住環境のバリアフリー化が必要となるケースが多く、改修には大変な費用がかかることになります。

家族の介護負担

下半身不随は、被害者本人だけでなく、家族も大きな影響を受けます。
特に介護を行うご家族の方にとっては、日常的に多くの時間と労力を被害者の介護に割くことになるため、仕事や自身の生活にも大きな影響が出てもおかしくはありません。
ご家族の中には、仕事を辞めて介護に専念する必要がある場合もあり、これが経済的な負担をさらに増大させることになります。

適切な賠償金の請求

以上のような生活の変化と困難に対応するには、事故による損害に見合った適切な賠償金を請求し、支払ってもらうことでしか解決策はありません。
賠償金としては、医療費や、介護に必要な費用、住宅改修費用、事故による収入の損失補填など、被害者と家族が直面する多くの経済的損失を請求することになります。

また、半身不随の場合、事故による影響は一時的なものではなく、長期にわたるものです。
今後の人生を通しての十分な賠償金の支払ってもらうためにも、示談交渉は慎重に行わねばなりません。
そして、適正な賠償金を受け取るため、弁護士によるサポートが必須といっても過言ではありません。

「下半身不随」と「下半身麻痺」の違いとは

では、「下半身不随」と「下半身麻痺」には、どのような違いがあるのでしょうか?
結論からいえば、両者とも下半身が正常に機能しない状態を指し、大きな違いはありません。
しかし、用語の意味には細かな違いがあります。
具体的に言えば、「下半身不随」は一般的な表現であり、下半身が個人の意志に従って動かない状態を示します。一方で、「下半身麻痺」は医学的な用語であり、中枢神経や末梢神経の損傷が原因で生じる身体機能の障害を指す言葉です。
とはいえ、実際にはどちらも似たような状況を示すため、気にするほどの違いはありません。

交通事故による下半身不随(麻痺)の原因と症状

以下では、交通事故による下半身不随(麻痺)の原因と症状についてご説明します。
下半身不随(麻痺)となる原因は、おおきくわけると、脳・脊髄(中枢神経)の損傷の場合と、下肢の関節(股関節、膝関節、足関節(足首))の骨折や靱帯断裂等による器質的損傷が原因の場合があります。

頭蓋骨骨折

交通事故による頭部への強い衝撃により頭蓋骨を骨折すると、脳がダメージを受けることがあります。頭蓋骨骨折が生じた場合、神経系の中枢である脳が直接ダメージを受け、脳のなかで下半身の神経制御機能に悪影響が生じた場合には、下半身不随になる可能性があります。

脳損傷・脳梗塞

脳損傷は、脳組織が直接的に物理的な力によるダメージを受けることによって発生します。
この損傷により、脳内で神経伝達が妨げられ、下半身麻痺を含む運動障害が引き起こされる可能性があります。また、めずらしいケースですが、脳梗塞が引き起こされた場合、脳の特定部位への血流がブロックされ、同様の結果を招くことがあります。

外傷性くも膜下出血

頭部への強打によって発生する外傷性くも膜下出血は、くも膜と軟膜(脳を包む膜のうち最も内側の膜)の間の出血を指します。出血による脳損傷を伴う場合、中枢神経や末梢神経が損傷し、下半身に神経機能障害を引き起こす可能性があります。

脊髄損傷

脊髄損傷は、交通事故による強い衝撃などによって、脊髄が損傷を受けることで起こります。
脊髄は身体の運動や感覚を司る中枢神経であり、損傷してしまうと下半身不随を含むさまざまな運動障害が発生する可能性があります。

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交通事故で下半身不随になった場合に請求できる主な損害賠償慰謝料の種類内容

交通事故で下半身不随になってしまった場合は、以下の項目の慰謝料損害賠償を請求できます。

  1. 入通院慰謝料
  2. 後遺障害慰謝料
  3. 後遺障害逸失利益
  4. 休業損害
  5. 介護器具などの購入費
  6. 家や車などの改装費用
  7. 将来の介護費
  8. 将来の生活に必要な雑費

入通院慰謝料

入通院慰謝料は、治療を受けている間の精神的な苦痛に対する補償です。
入院や通院期間全体を通じて、その期間の長さと怪我の重さによって慰謝料の額が決定されます。

【弁護士基準の入通院慰謝料 重傷の場合】
弁護士基準の入通院慰謝料表

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後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、後遺障害(いわゆる後遺症のうち、自賠責法施行令に基づく1級~14級の定義に該当する症状が残った場合)に、後遺障害が残ったことへの精神的苦痛に対して支払われる補償です。後遺障害の等級の重さに応じて支払われ、障害の程度が生涯にわたる影響を及ぼすことを考慮し、等級が重いほどより高額の慰謝料が認定されます。

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後遺障害逸失利益

後遺障害が残ると、それまでは普通に一人でできていた仕事が出来なくなったり、同じ事をするにも時間がかかるようになったりと、仕事の能力が低下します(労働能力の喪失)。
逸失利益は、この、労働能力の喪失によってり減少した将来の収入を補償するもので、事故前の収入、労働能力を喪失する年数(通常、後遺障害が残った年齢から被害者が67歳になるまでの年数)、そして後遺障害の等級の重さに応じた労働能力の喪失率(一番重い1級が100%、最も軽い14級で5%程度とされます)を基に計算されます。

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休業損害

交通事故後に仕事を休む必要があった期間の収入損失に対する補償です。
実際の収入を基に、休業期間に相当する額が算定されます。
また、主婦業(家事従事者)のように実際には収入がない方の場合でも、家事ができなくなったことによる補償が受けられます。

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介護器具などの購入費

下半身不随となれば、介護器具などを新たに購入しなければなりません。車椅子やベッドなど、日常生活をサポートするための器具や設備の購入に必要な費用が含まれます。

家や車などの改装費用

下半身不随の状態でも生活できるだけの住環境を整えるため、住宅や自動車のバリアフリー化の改装にかかる費用が補償されます。

将来の介護費

継続的な介護が必要な場合に、将来の介護費を補填するために支払われます。

将来の生活に必要な雑費

日常生活で必要となる消耗品や小物類の購入費用は、実費分の請求が可能です。

 

交通事故による下半身不随の後遺障害等級と慰謝料

下半身不随では、認められた後遺障害等級によって支払われる慰謝料が異なります。
以下では、交通事故による下半身不随の後遺障害等級と慰謝料について、簡易的にまとめてみましたのでぜひ参考にしてください。

下半身不随の後遺障害等級と慰謝料(弁護士基準)

麻痺の程度によって認められる、主な後遺障害等級と慰謝料(弁護士基準)は以下のとおりです。下半身不随の慰謝料は、算定基準によって金額が異なります。

算定基準には、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3つがありますが、以下ではもっとも高額となる弁護士基準についての慰謝料をまとめてみました。

後遺障害等級 麻痺の程度 慰謝料(弁護士基準)
第1級1号 両足に高度の麻痺(常に介護が必要) 2,800万円
第2級1号 両足に中程度の麻痺(随時介護が必要) 2,370万円
第3級3号 両足に中程度の麻痺 1,990万円
第5級2号 ・片足に高度の麻痺
・両足に軽度の麻痺
1,400万円
第7級4号 片足に中程度の麻痺 1,000万円
第9級10号 片足に軽度の麻痺 690万円
第12級13号 ・軽微な麻痺: 12級13号
・両足に軽微な麻痺: 12級13号
290万円

交通事故による下半身不随で後遺障害等級が認定されるまでの流れ

後遺障害等級は、被害者請求と事前認定のいずれかの方法で手続きを行います。

被害者請求は、基本的にはすべて自身で資料などを集めて、後遺障害等級認定を行っている自賠責保険会社にて直接手続きを行います。必要な書類を揃えたり、提出したりといった準備はすべて自分自身で行う必要がありますので、被害者の方の負担は大きいです。

一方で、事前認定は、加害者側の任意保険会社に資料の提出など、必要な手続きのほとんどすべてを任せることができるため、手軽で簡単であるという違いがあります。
では、被害者請求と事前認定、一体、どちらの方法により手続きを行うべきでしょうか。
以下では、それぞれの手続きについて簡単な流れをまとめてみました。

自賠責保険会社に被害者請求

被害者請求を行う場合、基本的には以下の流れになります。

1. 自賠責保険会社に被害者請求

被害者は、加害者側の自賠責保険会社を確認し、被害者請求を行います。
必要書類などは、自賠責保険会社に問い合わせることで一式を入手可能です。

2. 自賠責損害調査事務所へ書類が渡る

必要書類一式を自賠責保険会社に提出すると、後遺障害等級認定を中立な立場で行っている、自賠責損害調査事務所へと書類が渡ります。

3. 審査結果が自賠責保険会社に通知される

審査結果は、直接被害者へ送られるわけではなく、自賠責保険会社を通じて行われます。

4. 結果に基づいた支払いがされる

その後、自賠責保険会社から被害者に対して結果が通知されます。
支払うべき保険金があれば、自賠責保険会社から支払いがされます。

加害者側の任意保険会社に事前認定を申請

事前認定を行う場合、基本的には以下の流れになります。

1. 後遺障害診断書の作成・提出

症状固定後、任意保険会社から送られてくる後遺障害診断書を医師に記載してもらいます。
作成された後遺障害診断書は、任意保険会社へ提出します。

2. 自賠責損害調査事務所へ書類が渡る

任意保険会社は、受け取った後遺障害診断書の他に必要となる書類を作成し、自賠責損害調査事務所へ提出します。

3. 審査結果が任意保険会社に通知される

審査結果は、直接被害者へ送られるわけではなく、任意保険会社に通知されます。

4. 結果に基づいた支払いがされる

その後、任意保険会社から被害者に対して結果が通知されます。
支払うべき保険金があれば、任意保険会社から支払いがされます。

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被害者請求と事前認定のどちらの手続きを選ぶべきか

先程も述べた通り、被害者請求は、自ら準備をしなくてはならないため被害者の方にとっては準備の負担が重く、一方で、事前認定は、加害者側の保険会社に手続きをお任せできるので楽、という違いがあります。どちらの手段をつかっても最終的に審査するのは自賠責保険ですから、であれば準備が楽な事前認定の方が一見すると便利で良さそうにも思えます。
ですが、正解はまったく逆で、重度の後遺障害であればあるほど、事前認定に頼るのではなく、被害者請求により自分で後遺障害を申請すべきです。

なぜなら、加害者側の保険会社はあなたに賠償金を支払う側であって、決してあなたの味方ではないからです。相手方の保険会社は、重い後遺障害の等級が認定されると自分達が支払わなければならない賠償金が増えるだけで、かえって損をする立場にあります。適切な後遺障害等級を得るためには、自賠責法でさだめられた後遺障害等級ごとの要件を満たすように診断書等の資料を作成する必要がありますが、相手方の保険会社任せでは、こうした認定基準に沿った適切な資料作成をサポートしてもらうことは期待できません。

もっとも、被害者の方の多くが、「被害者請求をどうやってすればいいか皆目見当がつかない」という方ばかりでしょう。そこで、後遺障害の認定基準に熟知した弁護士に相談し、そのサポートのもとで適切な資料を準備して被害者請求を行う必要があります。弁護士法人キャストグローバルでは、ご依頼者の方の後遺障害認定については原則すべて被害者請求を行っており、後遺障害に詳しい弁護士が手続きをフルサポートしています。

交通事故による下半身不随で適切な慰謝料を得る7つのポイント

では、交通事故による下半身不随で適切な慰謝料を得るにはどうすべきでしょうか?
以下では、適切な慰謝料を得るための8つのポイントをご紹介します。

  1. 適切な治療を受ける
  2. 主治医に適切な後遺障害診断書を作成してもらう
  3. 適切な後遺障害等級を認定してもらう
  4. 既往歴による素因減額に注意する
  5. 適切な慰謝料を算定する
  6. 相手方保険会社の示談内容を弁護士に確認する
  7. 交通事故に強い弁護士に依頼する

1. 適切な治療を受ける
交通事故により下半身不随と診断された場合、脳や脊髄の損傷が原因で足に麻痺が生じることがあります。このため、MRI、CT、レントゲンなどの検査を通じて、病状を正確に把握し、その原因を突き止めることが必要です。
また、適切な治療とは、リハビリテーションや適切な投薬も含まれます。

そして、定期的な治療は、麻痺の改善を目指すだけでなく、通院期間が慰謝料の算定に影響を与えるため、治療の継続が慰謝料増額につながる可能性があります。通院リハビリが面倒であっても、医師の指示がある限りは根気強くリハビリを続けることが大切です。
治療を継続し、身体の改善とともに適切な慰謝料を目指しましょう。

2. 主治医に適切な後遺障害診断書を作成してもらう
後遺障害等級認定において、後遺障害診断書の内容は非常に重要となります。
もし、主治医に後遺障害診断書を作成してもらえないと、等級認定そのものを受けることができなくなってしまい、損害賠償を1円も受け取れないなんてことになりかねません。
ですが、すべての医師が後遺障害等級認定に有効な診断書を作成できるわけではありません。
後遺障害の認定のためには、各等級ごとに自賠責法施行令で定められた一定の要件を満たす必要がありますが、医師は医学のプロではあるものの、多くの医師は自賠責法の認定基準を熟知しているわけではありません。このため、後遺障害診断書の作成を医師任せにしてしまうと、認定のために必要な検査を行わずに診断書を書いたり、認定基準に関わる重要な事実を書き漏らしたりすることがあります。
より適切な等級認定を受けるためには、後遺障害等級の認定基準を熟知した弁護士の介入が必要ですになります。

3. 適切な後遺障害等級を認定してもらう
下半身不随による慰謝料は、後遺障害等級認定の結果で金額が大きく変わります。
もし、適切な等級を認定されなかった場合、実際は受け取れるはずだった何百万円というお金が支払われない、なんてことになりかねないのです。

先程述べた通り、より適切な後遺障害等級を認定してもらうためには、加害者側の任意保険会社任せになってしまう事前認定でなはなく、すべての書類に目を通すことができる被害者請求を利用すべきです。
とはいえ、被害者請求を個人で行うのは簡単ではないため、交通事故問題に精通した弁護士を経由し、手続きを行うことを推奨します。

4. 既往歴による素因減額に注意する
事故による損害賠償を交渉する際、既往歴が影響を受けることがあります。
既往歴とは、これまでにかかった病気などのことです。たとえば、脳挫傷で下肢麻痺とった被害者の方が交通事故に遭う前に持病で脳梗塞をしたことがあり、そのために足が上手く動かせなくなってリハビリ治療した履歴があるような場合に、既往歴あり、とされます。

保険会社は、既往歴を理由に、「素因減額」という形で損害賠償額を減額しようとします。
これは、怪我は交通事故ではなく、既往歴により悪化したとする主張です。
まったく健康な人が交通事故により下肢麻痺となった場合、交通事故により0→100の損害が生じたことになりますが、例えば持病か何かの理由でもともと足が30悪かった状態の人が交通事故により100悪い状態まで悪化した、という場合には、交通事故による悪化は100-30=70となります。このように素因の30%分が損害賠償金から減額計算されることを素因減額と言います。
素因減額が認められると不利になってしまうため、注意が必要となります。

しかし、一般の方にとっては難しい問題であるため、既往歴による素因減額を主張された場合は、即座に回答せずに専門の弁護士へ相談するようにしてください。

5. 適切な慰謝料を算定する
適切な慰謝料を算定するには、交通事故における3つの算定基準を知る必要があります。

・自賠責基準:最低限度の補償
・任意保険基準:任意保険会社独自の算定基準
・弁護士基準(裁判基準):過去の裁判例などを用いた最も適切な基準


以上のとおり、適切な慰謝料を算定するのであれば、弁護士基準による算定が必須です。
しかし、個人で交渉していては、弁護士基準による請求が認められることはまずありません。
より適切な慰謝料を得るためには、弁護士に介入してもらい、弁護士基準による請求によって慰謝料を得るしか方法がないのが現実です。

6. 相手方保険会社の示談内容を弁護士に確認する
相手方保険会社から提示された示談内容は、すぐに合意すべきではありません。
基本的に、最初の提示内容については被害者側にとって不利な条件になっていることがほとんどです。合意を迫られても、即答せずに「検討させてほしい」といって必ず一旦は保留にしましょう。
というのも、示談は一度合意してしまうと、後になって取り消すのは難しいです。
不利な条件で示談してしまわないためにも、相手から提示された内容は必ず弁護士に確認してもらうことを推奨します。

弁護士法人キャストグローバルは相談料無料なので、ぜひお気軽にご相談ください。

7. 交通事故に強い弁護士に依頼する
交通事故による下半身不随で適切な慰謝料を得るために、もっとも重要なポイントといっても過言ではないのが、交通事故に強い弁護士に依頼することです。
まず、弁護士が加入したというだけで、慰謝料はほぼ増額されることになります。
なぜなら、弁護士基準による請求が可能となるためです。
また、治療中の被害者にとって相手保険会社との示談交渉は大変な負担です。
しかし、弁護士に依頼してしまえば、示談交渉をすべて代理で行ってもらえるばかりか、最終的には裁判などの法的手続きまですべてを任せることができます。
その他にも、後遺障害等級認定のための後遺障害診断書の作成補助や、被害者請求といった手続きもすべて代理で行います。

交通事故の下半身不随・症状別|後遺障害等級と後遺障害慰謝料

下半身不随の原因は、脳や脊髄の損傷以外にも、下肢の骨折や靱帯断裂などによっても起こりえます。
下半身不随を伴うほどの骨折は、部位によってさらに細かな分類があります。

特に、神経系の障害や機能障害を併発している下半身不随においては、部位ごとの後遺障害等級認定の結果が慰謝料算定に大きな影響を及ぼします。
部位ごとの詳しい解説は、以下のページをご参考ください。

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交通事故で下半身不随になった場合の弁護士相談や費用について

下半身不随になってしまうような交通事故問題は、早期の段階で弁護士に相談し、より適切な慰謝料を受け取れるようサポートしてもらうべきです。
とはいえ、弁護士と聞いただけで、なんとなくハードルが高いと感じてしまったり、費用面が心配になったりしてしまう方が多いのではないでしょうか?
そこで以下では、弁護士相談や費用について詳しくご紹介していきます。

なぜ弁護士に相談することが重要か

交通事故の慰謝料請求は、専門知識がないと適切な解決は困難です。
弁護士に相談することで、提示されている内容の妥当性や、適切な慰謝料額、適切な後遺障害等級などについて、正確な知識を得ることができます。
インターネット上で調べてみることももちろん重要ですが、掲載されている事案がすべて自身の状況とまったく同じであることはありません。
しかし、弁護士に相談することで、個々の状況に応じたアドバイスをもらうことができます。
なにから手をつけていいかわからない、今後の方針がわからないといった悩みを抱えているのであれば、まずは弁護士への相談をおすすめします。

経験豊富な専門の弁護士に依頼するメリット

  1. 弁護士が被害者の代理人となり加害者側と交渉
  2. 適切な後遺障害等級の獲得
  3. 医師と連携して申請書類をサポート
  4. 慰謝料や賠償金が増額する可能性が高い

交通事故というのは、一生のうちに何度も経験するものではありません。
そのため、交通事故問題に精通している一般の方はまずいませんし、事故被害に遭っているというのに、手続きについて勉強している余裕などあるわけがありません。

しかし、相手となる保険会社は、交通事故問題の交渉を専門に扱っているプロです。
そんなプロを相手に、一般の方が自身に有利な条件を引き出すのはほぼ不可能でしょう。
しかし、交通事故問題を専門としている弁護士であれば、保険会社以上の知識と経験を持っているばかりか、いざとなれば裁判提起も可能です。保険会社にとって裁判は大変な負担になるため、できれば避けたいのが本音です。

弁護士法人キャストグローバルには、大手保険会社の顧問事務所での勤務経験があり、保険会社の対応を熟知した弁護士が在籍しておりますので、保険会社とのやり取りは安心してお任せいただけます。

交通事故の相談無料・着手金0円、弁護士費用特約で費用の心配はありません

当事務所は、相談料無料・着手金0円にて受け付けております。
弁護士費用は後払いで、賠償金獲得後に賠償金からお支払頂きますので、ご依頼時点で費用を頂くことはありません。
また、弁護士費用特約にご加入の方であれば、一事故について、一人あたり、最大300万円までの弁護士費用が補償されますので、費用の心配はほとんどありません。

 

交通事故による下半身不随の解決事例

【バイク事故により下半身不随になってしまった事例】

後遺障害等級1級1号
受傷部位:胸腰椎脱臼骨折、左鎖骨遠位端骨折、両側気胸、多発肋骨骨折

自車が信号のある交差点を青信号で直進していたところ、相手が対向車線から右折をしようとしてきて、衝突したというもの。
「事故に遭った」とご家族からのお電話でした。ご本人はICU(集中治療室)におられるとのことで、詳細がわからないものの、ひとまず原付バイクと普通自動四輪との右直事故であること、おそらく今後歩くことができないであろう後遺障害が残りそうな大怪我をされたことを把握しました。こちらからは交通事故事件の一般的な流れをご説明し、ご本人が集中治療室を出られてから一度、ご家族と面談させていただくお約束をしました。
面談の日、事故の状況やお怪我の状況、ご本人の様子などを詳しくお伺いし、こちらからも交通事故事件のお手続き、特に後遺障害の等級に関してご説明させていただきました。弁護士費用特約を付けておられなかったのですが、ご家族だけではお手続きをするのにご不安があるとのことでしたので、弊所でご依頼いただくこととなりました。

本件で代理人弁護士としてさせていただいたお仕事は大きく2つあります。

ひとつめは生活環境の調整です。障害者支援施設の職員の方、役所の方やリハビリ担当の方らと話し合いをして、ご依頼者さまのお身体の様子やリハビリの状況を共有したうえで、申請できる役所での手続き関係の整理をしたり、自宅で生活するために必要な器具などの整理をしたり、リフォームが必要な箇所を整理するなどして、将来的にご依頼者さまが障害者支援施設を出てご自宅で生活をされるための環境を調整する会議に代理人弁護士として参加しました。

ふたつめは、相手方保険会社との交渉です。相手方保険会社にも代理人弁護士が就いていましたので、いわゆる弁護士基準でお話し合いをしました。傷害部分については、これまでにすでに発生している損害ですので、算定が比較的容易であるものの、後遺障害に基づく損害については将来発生しうる損害を算定しなければいけないので、容易ではありません。そこで我々は過去の裁判例を調査し、請求額を裏付ける理由を固めました。また、代理人弁護士の仕事は相手方代理人に請求するだけではありません。交渉をまとめていくことも必要ですので、折り合いを付けられる項目、つけるべき項目や訴訟提起に踏み切るべきラインの見定め、交渉でまとめるメリット・デメリット、訴訟提起をしたときのメリット・デメリットをご依頼者さまにご提示させていただきながら、ご家族も交えて何度もお打ち合わせをさせていただきました。
最終的には、交渉でも合意可能なラインに達しましたので、訴訟提起をせず交渉でまとめ事件を集結させることとなりました。

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下半身不随事故のよくあるお悩みと解決方法

Q 加害者側保険会社が治療費や休業損害の対応はしてくれるが、下半身不随で介護や自宅改装等にも費用が掛かるのに素早い対応をしてくれない。
A まずはご自身やご家族が加入している保険をご確認下さい。人身傷害補償保険や搭乗者傷害保険に加入している場合にはこれら保険から先に保険金を受け取ることがあります。また、介護保険等の社会保険の適用も検討してみてください。これらは後に加害者側保険会社から受ける補償額と調整がされることがありますが、受け取れる総額が減ることはありませんのでご安心下さい。それでも、差し当たっての金員が足りない場合には加害者側保険会社に損害費目を定めず内払をして欲しいと依頼してみてください。加害者側保険会社はあらかじめ損害費目を定めて補償金を支払うことには抵抗があっても、示談した際に合意する補償額から必ず差し引ける内払いとしてなら支払っても構わないと判断することは相応に見受けられるところです。
以上のことをしてもなお金銭的に困窮する場合は一度弁護士にご相談下さい。仮処分等の法的手続きを検討できる場合もあります。

Q 両下肢麻痺で後遺障害1級1号が認定されたのに収入があるとして加害者側保険会社が後遺障害逸失利益の額を減額してくる。
A 後遺障害1級1号が認定された場合は原則として就労は困難とされていますが、両下肢麻痺の場合でも上肢には支障がなく車椅子が利用できる仕事に就労することで収入を得ている場合には当該実態から後遺障害逸失利益の減額を加害者側保険会社が主張してくることは往々に見受けられます。当該加害者側保険会社の主張は事故がなかった場合のあるべき収入から事故後の収入の差額を補えば補償としては足りるとの考え方(差額説)に拠るものですが、一方で残存した後遺障害の内容から通常想定される労働能力の喪失状況、すなわち両下肢麻痺であれば通常仕事に従事できないであろうということを前提に後遺障害逸失利益は決められるべきとの考え方(労働能力喪失説)もあるところ、裁判所をはじめ現在の交通事故賠償実務においては、どちらの考え方も極端であるとしてこれらの折衷説を採っています。したがって、被害者としては収入を得ていたとしてもその多くは被害者の努力で本来あるべき労働能力の喪失を補っていることによるものであるから、後遺障害逸失利益の補償としては事故がなかった場合のあるべき収入から事故後の収入の額面上の差額では足りないことを具体的に主張して交渉していくことになります。その際、どのような事情を主張すべきかは是非専門の弁護士を頼っていたければと思います。

Q 加害者側保険会社が支払うとして提示している介護料では将来到底足りないがどうすれば良いか。
A 将来介護費用については補償する期間が長期になり高額になることが多く、加害者側保険会社は低廉な金額から慎重に交渉してくることが多いです。例えば、介護ができそうな同居の家族がいる場合には職業介護人ではなく家族介護を前提とした金額を提示してくるといった具合です。しかし、例えば介護を行うのが被害者の父や母である場合はいずれ歳を重ねるに体力が衰え介護を行うことは困難になると思料されますし、そもそも家族にも自身の都合があるので仮に時間があるからといって介護をしなければならない義務がある訳ではなく、また被害者としても職業介護人の専門的な介護を受けたいという希望がある場合も見受けられます。ついては、加害者側保険会社の一件もっともらしい主張を鵜呑みにすることなく、具体的に必要な介護の担い手と内容を介護保険の認定資料や介護計画書、職業介護人の費用見積書等と伴に主張していき、適正な介護料の補償を受けられるよう交渉していく必要があります。その際、どのような事情を主張すべきかは後遺障害逸失利益の交渉同様、是非専門の弁護士を頼っていたければと思います。