離婚するには具体的な行動が必要
夫との夫婦生活にウンザリしてしまい、離婚することを決意したのに、夫が離婚に応じてくれないため困っている。そのようなときには、今回、解説する内容を理解して、自分のやるべきことをしっかりと把握した上、具体的な行動に出るようにしましょう。
もちろん、いざ離婚問題を解決しようとすれば、多くの問題を解決しなければならず、エネルギーを必要とします。それでも、動き出さなければ何も始まりません。
離婚を拒否する夫と離婚する3つの方法
説得
一番簡単に離婚する方法は、夫婦間の合意に基づき離婚届を記入して、それを役所に提出する方法です。これを協議離婚といいます。
しかし、夫が離婚を拒否する限り、当然、離婚届を完成させることはできませんから、そのままでは協議離婚はできません。そこで、まずは、夫が離婚に応じるよう説得できる可能性について考えてみましょう。
どんな場合でも、他人を説得するときに一番大切なのは、相手の気持ちになることです。つまり、離婚に応じない夫の気持ちについて考えてみるのです。そうすると、説得の材料が見つかるはずです。
たとえば、妻から離婚を突き付けられた夫が夫婦関係の修復を強く望んでいるために離婚を頑なに拒否しているのであれば、修復の可能性のない現実を落ち着いて伝えれば、あきらめて離婚に応じてくれる可能性があります。
あるいは、離婚すること自体は応じる意向でも離婚後に子どもと会うことができなくなることを懸念して離婚に応じてくれないのであれば、養育費の支払を通じて子どもの支えになれることや特に問題なければ面会交流により定期的に子どもと会うことは可能であることを伝えることにより、離婚に応じてもらえることもあるでしょう。
調停
離婚に応じるよう説得することが困難である場合には、残された離婚の方法は、裁判離婚になります。但し、現在の法律では、離婚訴訟を提起する前に必ず離婚調停を起こすことになっています(調停前置主義)から、まずは離婚調停の申立を行うことになります。
調停は、離婚に関する協議の場を家庭内から家庭裁判所に移すものです。家庭内での離婚に関する協議は、ともすれば夫婦喧嘩の延長になり、両者ヒートアップするだけに終わってしまうこともありますし、妻としては真剣に離婚について話し合いを求めているのに、夫だけは家庭内の夫婦喧嘩の延長であるかのように思っており真面目に取り合ってくれないこともあります。
そういう意味では、離婚調停の申立は、妻としての離婚の決意の固いことを明確に伝える手段になるものですから、離婚成立に向けた大きな一歩になります。
調停では、家庭裁判所の2名の調停員(通常は男女各1名)を交えて、離婚に関する合意について話し合いを行います。このとき、2名の調停員は、夫婦間の離婚に関する意向を伝達するメッセンジャーの役割を担うとともに、適宜、夫婦双方に対して、離婚に関する合意を形成できるよう説得します。
調停は、結局のところ、夫婦間の合意がなければ成立しないものですから、離婚を希望する妻としては、調停員という第三者の協力を得ながら、離婚に応じない夫を再度説得する場であると考えます。
ちなみに、別居中に夫から生活費を送金してもらえないために困っているときは、離婚調停と同時に婚姻費用分担調停の申立を行うことにより問題を解決することができます。
訴訟
調停不成立の場合には、最終手段である離婚訴訟に踏み切ります。そこでは、もはや夫の離婚に対する意向は問題になりません。
裁判官は、夫婦間において争いのない事実や証拠により認められる事実を踏まえて、法律上の離婚事由(法定離婚事由)のあると判断すれば、判決により夫婦を離婚させます。
離婚前の別居は慎重に判断するべき!
夫のDV・虐待のあるケースでは別居すべき
夫の妻に対するDVにより離婚問題の生じている場合には、妻の心身の安全を確保するため、早期に別居すべきです。また、妻に対するDVはない場合でも、子どもに対する虐待のあるケースでも同様です。
別居後の夫による執拗な追跡の可能性のある場合には、適宜、女性シェルターの利用を視野に入れて、最寄りの福祉事務所に相談するようにしましょう。
夫のDV・虐待のないケースではケースバイケース
夫のDV・虐待のないケースでは、離婚前の別居の必要性はケースバイケースです。以下の別居のメリットとデメリットを踏まえて慎重に判断するようにしましょう。
別居のメリット
離婚前の別居のメリットは下記の通りです。
①毎日の生活上のストレスから解放されること
②冷却期間を設けることができるため話がスムーズに進む可能性を高めること
③未成年の子のいる場合、離婚の際の親権者は現状維持を原則とするため別居して子どもを養育することは将来的に親権を取得できる可能性を高めること
別居のデメリット
逆に、別居することのデメリットとしては下記3点が挙げられます。
①別居後の転居先及び生活環境を整えるための負担を強いられること
②婚姻費用の分担(生活費の負担)
③離婚に関する証拠の収集・保全を困難にさせる可能性のあること
万が一の場合に備え、別居をする前に専門の弁護士に相談することを強くおすすめします。
別居や離婚調停について支障や懸念点のある場合には弁護士に相談しましょう!
離婚したいのに夫が応じてくれない場合には、説得による協議離婚、それが無理であれば離婚調停の申立、それでも駄目なら、離婚訴訟を提起します。
夫のDV・虐待のあるようなケースでは、心身の安全の確保のため、早期に別居するようにしましょう。他方、そうした危険のない場合には、別居にはメリットとデメリットの双方あるため適宜状況に応じて慎重に判断しましょう。
別居中、夫から生活費を送ってもらえないために困っているときには、離婚調停と同時に婚姻費用分担請求の申立を行いましょう。
いずれにせよ、夫が離婚に応じてくれない場合には、最終的に離婚に漕ぎつけるまでに相応のエネルギーと時間を必要とすると同時に適切な判断を迫られることもあります。
当事務所では、なるべく相手と交渉して解決する、出来るだけ裁判手続きを使わない、早期解決を目指すという方針を原則としていますが、状況に応じて、時間をかけて、しっかり争う場合もあります。
お客様にとって最大の良い結果になれるよう全力でサポートいたしますので、まずは一度安心してご相談ください。