請求できる買い替え諸費用について

交通事故被害に遭い、その所有車両が損傷されかつ全損認定された場合、
加害者に対して車両損害として全損時価額及び買換諸費用を請求できます。

買換諸費用とは

買替諸費用とは、交通事故により車両が全損となったことにより、新たに車両を購入することを余儀なくされた場合に、車両購入に伴って支出を余儀なくされる諸費用をいいます。

そして、買替諸費用については、車両の取得価格に付随して通常必要とされる費用の範囲内で損害として認定され、加害者に請求できると考えられています。この点、加害者側に請求出来る買替諸費用については、裁判例の集積により、概ねその内容に争いがなくなっています。

買替諸費用として肯定されることがあるもの

交通事故の損害である買替諸費用として認められることがあるものに以下のようなものがあります。

  • 登録費用
  • 車庫証明費用
  • 登録手続きの代行費用
  • 車庫証明手続の代行費用
  • 納車費用
  • 廃車費用
  • リサイクル料金
  • 自動車取得税

そして、結構見落としがちでかつ多額になるのが

  • 消費税相当額

買替諸費用として否定されるもの

買替諸費用として認められないものに以下のようなものがあります。これらのうち、上3つは、買い替えたかどうかにかかわらないから、事故がなくてそのままその事故車両を乗っていてもかかる費用だからです。最後の4つ目は、相当性を欠くというものです。

  • 買い替え車両の自賠責保険料
  • 自動車税
  • 自動車重量税
  • 相当額を超えるディーラー報酬部分の限度を超える登録手続きの代行費用・車庫証明手続の代行費用・納車費用

最後に

示談交渉段階では、加害者側の保険会社は、買替諸費用という言葉を出さないで、ざくっとこれぐらい払うのでいいでしょという感じで話してきます。あたかも車の評価額を高く見積もってあげたのだから、これでいいしょという論法です。一見よいとおもうかもしれませんが、買替諸費用は、5万円から10万円程度にはなります。消費税があるために、事故車両の時価が高ければ、それだけで車両価格の10%ですから多額です。

また、買替諸費用を請求したとしても、全否認してくることも多く、特に、双方に過失が認められる事案については、ほぼ買換諸費用を認めないということが多いように思えます。

この点については、保険会社側の運用上の問題ですが、単に担当者の無知の場合もあります。無知の知という言葉がありますが、話にならない方もおられますので、そんな方との話はきわめて苦痛です。なんの生産性もないですから。

こんな保険会社担当者や相手方と議論をするよりも、弁護士に委任する方がよっぽど早く楽ですし、場合によっては、訴訟提起をした方が、早く解決できることでしょう。全損と思われる場合は、一度弁護士に相談されるのをお勧めいたします。