後遺障害等級認定に納得いかない場合の異議申立方法

異議申立に期限はあるのか

交通事故の後遺症が残ると、その後遺症の程度によって後遺障害等級が認定されます。
この後遺障害等級の高さによって、自賠責保険の保険金上限が決まるのです。それだけでなく、任意保険の保険金の額も後遺障害等級を参考に決められることがほとんどです。

そのため、交通事故被害者にとって後遺障害等級は、ときに数百万円の保険金の獲得を左右する非常に重要な数字となっているのです。

しかし、自分が思っているような等級認定がされるとは限りません。
むしろ、「後遺症で大変な苦労をしているのに、こんなに低い等級なの?」と思う方のほうが多いでしょう。
また、むちうちなどの比較的軽い後遺症だと、最も低い14級にすら認定されないこともざらにあります。
それでも黙って受け入れるしかないのでしょうか?

実は、後遺障害等級の審査をやり直してもらう手段があるのです。
後遺障害等級の認定・不認定に納得がいかないときは、「異議申立」という手続を行うことで、再審査してもらうことができます。

異議申立は、自賠責保険会社または任意保険会社を通じて、後遺障害等級認定を行う機関である損害保険料算出機構に必要書類を提出することで行います。

ありがたいことに、異議申立には期限が設けられていません。等級認定から時間が経っても、異議申立をすることはできるのです。

しかし一方で、保険会社に対する損害賠償請求権は、後遺症の症状固定から3年で時効によって消滅してしまいます。
つまり、症状固定から3年以上経った後で後遺障害等級の異議申立が認められても、損害賠償金が回収できないので全く意味が無いのです。

異議申立それ自体には期限がないとはいえ、症状固定から3年以内には結果を出す必要があると思っておきましょう。

異議申立は何度でも行う事が可能

では、この異議申立には回数制限はあるのでしょうか?

実は、回数に制限はないのです。希望すれば何度でも異議申立てできます。

ただし、何度も繰り返せば等級が上がりやすくなるというわけではありません。
また、上述のとおり損害賠償請求権には時効があるので、何度も異議申立をしているうちに時効が来てしまったということにもなりかねません。

闇雲に何度も異議申立をするのではなく、後遺障害等級認定申請と最初の異議申立の準備を入念に行うことが重要なのです。

異議申立の書式、書き方について

異議申立は任意保険会社または自賠責保険会社に書類を提出することによって行います。
必ず提出しなければならないのは「異議申立書」です。特に様式に規定はありませんが、保険会社からもらえるはずです。

この異議申立書には、最低限以下の事項を記載することになります。

  • 提出先の名前(自賠責保険会社or任意保険会社)
  • 提出日
  • 被害者の氏名・住所・電話番号
  • 事故に遭った日
  • 証明書番号
  • 後遺障害等級認定申請の認定結果
  • 異議申立ての趣旨(どの等級の認定を求めるのか)
  • 異議申立ての理由(審査の結果が不合理である理由と、認定を求めている等級こそが適切である理由を説明)

事故に遭った日や証明書番号は、交通事故証明書に記載されています。
交通事故証明書は自動車安全運転センターから取り寄せることができます。

異議申立書の他には、以下のような書類を必要に応じて提出しましょう。

  • 診断書
  • 医師の意見書
  • レントゲン写真
  • 陳述書

ただし、手当たり次第になんでもかんでも提出すれば良いというものではありません。
なぜ最初の審査で思ったような等級が認定されなかったのか、どのような症状が正確に評価されていないのかを考えて必要なものだけを提出するよう心がけましょう。

納得いく等級を獲得するために何をすべきか

異議申立の記載事項で最も重要なのは「異議申立の理由」です。

しかし、これをきちんと説得的に書くのは、多くの人にとっては想像以上に大変なことです。
というのも、ふつうの人は法律的な文章を書くこと自体に慣れてないからです。その上、交通事故の異議申立の場合は後遺症についての医学的な知見とそれを文章に表す力も求められます。

「弁護士に依頼するのは面倒そうだから、自分で勉強して書こう!」と思っても、付け焼き刃の知識で仕上げた異議申立書ではせっかくの申立ても高確率で棄却されてしまいます。

ただでさえ異議申立てが認められる確率は低いのです。
そのわずかな可能性をモノにするために、早めにプロである弁護士に依頼することを強くオススメします。

後遺障害等級認定に強い弁護士とは

とはいっても、どのような弁護士に依頼すればよいのか迷ってしまいますね。

まず大事なのは、家や職場から通いやすい距離にある弁護士事務所を選ぶことです。
弁護士とのやりとりは電話やメールを使用することが多いですが、どうしても弁護士事務所まで出向く必要も出て来ます。そういった場合に移動が負担にならないような、アクセスの良い弁護士事務所を選びましょう。

また、交通事故の案件を多く扱っている弁護士事務所であることも大事なポイントです。
一口に弁護士といっても、企業法務ばかり扱っている弁護士や、離婚を多く扱っている弁護士など、強みは様々です。
せっかく弁護士に依頼するのならば、交通事故、とりわけ後遺障害等級認定に関する実績を掲げている弁護士事務所に依頼しましょう。経験豊富な弁護士に依頼すれば、どのような記載が等級認定のために重要なのか熟知しているため、希望する等級認定へまた一歩近づくことになります。

当事務所では上位後遺障害等級獲得、賠償金大幅増額などと、豊富な解決実績もございます。交渉力にも自信があり、お客様のご要望に沿うよう全力でサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。

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