後遺障害の種類

交通事故の後遺障害と一口に言っても、それらは様々です。
まずは、その中でも代表的な後遺障害について簡単に説明しましょう。

むち打ち

後遺障害の中で最も多いのが、むち打ちです。ただし、むち打ちというのは正式な病名ではありません。
「むち打ち」は、外傷性頸部症候群、頸部捻挫、頸椎挫傷、バレー・ルー症候群、神経損傷などの総称なのです。

これらの「むち打ち」には、他覚的症状(医師などの第三者が客観的に認識できる症状)のあるものとないものがあります。
むち打ちは後遺障害の中でも程度が軽いものであるため、後遺障害等級の認定(12級または14級)を受けるには、この他覚的症状があるということが重要になってきます。

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高次脳機能障害

事故で脳が損傷を受けた結果として、精神に生じた障害のことです。
記憶力がなくなる、計算ができなくなるといった認知障害や、感情がコントロールできなくなる、複数のことを同時に行えなくなるといった行動障害が含まれます。

認められる後遺障害等級は、1級、2級、3級、5級、7級、または9級です。

脊髄損傷

脊髄に損傷を受けることで生じる障害です。
脊髄が損傷を受けると、身体のその先の部位には脳からの命令が届かなくなってしまい、また、感覚器も機能しなくなってしまいます。
具体的には、呼吸麻痺や四肢麻痺、自律神経障害などを発症します。

認められうる後遺障害等級は、1級、2級、3級、5級、7級、9級、または12級です。

外貌醜状

事故による傷や、場合によっては手術の跡も、後遺障害として認定されることがあります。

傷の部位(一般的には、顔や肘から先の腕、膝から先の脚)や、大きさによって認定の可否と等級(7級、9級、または12級)が決まります。

上肢機能障害

肩・肘・手の関節や手指の関節に障害が生じた場合、それを上肢機能障害と呼びます。
上肢機能障害の場合、関節の可動域制限の程度によって後遺障害等級(1級、5級、6級、8級、10級、または12級)が決まります。

下肢機能障害

股・膝・足の関節や足指の関節に障害が生じた場合、それを下肢機能障害と呼びます。
これについても、可動域制限の程度によって、後遺障害等級(1級、5級、6級、8級、10級、または12級)が決まります。

後遺障害認定は書類審査のみで行われる

では、後遺障害等級はどのような方法で認定されるのでしょうか。

大前提として、後遺障害等級を認定してもらうには症状固定に至る必要があります
症状固定とは「もうこれ以上、ケガが良くなることはない」という状態です。
そうなって初めて、医師は後遺障害診断書を作成することができるのです。

この後遺障害診断書が、等級の認定に当たって一番大事な書類です。
しかし、事前認定ではなく被害者請求を選んだ場合には、以下の書類も被害者が自分で用意しなければなりません。

  • 交通事故証明書
  • 支払請求書 兼 支払指図書
  • 事故状況説明書
  • 印鑑証明書
  • 診断書と診療報酬明細書

被害者請求ではこれらの書類を揃え、加害者の加入する自賠責保険会社へ提出することになります。
(事前認定の場合は、加害者の加入する任意保険会社に後遺障害診断書のみを提出すれば良いです。)

しかし、事前認定であっても被害者請求であっても、書類のみで後遺障害等級の審査がなされることに変わりありません。
形式・内容ともに不備のないように書類を揃えることの重要性がわかるかと思います。

交通事故との因果関係が認められなければ等級認定されない

また、注意しなければならないのは、「事故と障害との間に因果関係無し」と判断されてしまうと、後遺障害等級は認定されないということです。
具体的には、当該事故でそのようなケガを負い、そのケガからそのように回復し、結果としてそのような障害が残ったという一連の流れが自然であり、納得いくものであれば因果関係があるとされます。

因果関係が否定されるケースとしては、事故前から障害があった場合や、事故と関係のない理由で障害が生じた場合などが挙げられます。

また、医師が「事故と障害とに因果関係あり」と診断書に記載しても、因果関係が認められるとは限りません。
等級認定において因果関係が認められない場合は意外と多いのです。

適切な後遺障害等級の認定を受ける方法

後遺障害等級は、自賠責保険だけでなく、任意保険の金額にも大きな影響を及ぼします。
そのため、本来であれば高い等級に認定される後遺障害なのに、低い等級に認定されてしまったとなると、被害者はその差で損をしてしまいます

上述のとおり、等級認定の審査は書類審査のみで行われるため、適正な認定を受けるには書類をきちんとそろえて提出することが何より重要です。

では、書類の提出にはどういった方法を採るのが良いのでしょうか。
事前認定を選べば、手続自体はとても簡単に終わります。
しかし、加害者側の任意保険会社を介するため、提出した書類に不備があっても、誰も指摘してくれないというデメリットがあります。

一方で被害者請求は、交通事故後の多忙な生活の最中に、書類をいくつも揃えるという面倒な手続を行うことになります。これは被害者にとって負担の大きい作業です。

しかし、弁護士に相談すれば、書類の収集についてアドバイスをもらったり、内容・形式を確認してもらったりすることができます。
適切な等級認定を受けるための一番確実な道は、被害者請求を選択し、かつ弁護士に相談することといえるでしょう。

等級認定に納得いかなければ異議申し立てが可能

後遺障害等級認定の審査結果に納得がいかない場合は、異議を申立て、再度審査してもらうことができます。

異議申立ても、書類を揃えて保険会社へ提出するという方法で行います。
一般的に揃えるべき書類は、以下のとおりです。

  • 異議申立書
  • 診断書
  • 検査等の資料
  • その他、等級認定に有利となる書類等

これらの書類の有無や内容によって、異議申立てが通る可能性は大きく変わります。
まずは交通事故に詳しい弁護士に連絡して、異議を申立てたい旨を伝え、相談するようにしましょう。

また、当事務所では後遺障害を適正に認定してもらう為にどうすればいいのかっといた点を医学的見地から押さえており、その点を後遺障害診断書に反映させることで、適正な後遺障害認定獲得をサポートします。
無料相談も行っておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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