父親が親権を勝ち取る方法|不利な離婚でも有利になる5つのケース

監修者 弁護士法人キャストグローバル
離婚部弁護士
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目次を表示離婚に際し、父親が親権獲得を取ることは決して不可能ではありません。
一般的には女性側が強いですし、そのようなデータもあります。ですが、裁判所が重視するポイントを理解し、適切な準備を進めることで、親権を勝ち取る方法は存在します。
この記事では、父親が親権争いで有利になる具体的なケースや、そのために離婚前から準備すべきことを解説します。
お子様との未来を諦める前に、まずは正しい知識を身につけましょう。
この記事でわかること
・ 親権者を決める際に裁判所が重視する判断基準
・ 父親が親権争いで有利になる具体的なケース
・ 不利な状況を覆して親権を勝ち取るための準備と戦略
父親の親権獲得は本当に不利なのか?統計データで見る現状

「親権は母親がとるもの」というイメージから、父親が親権獲得を目指すのは難しいと感じる方は少なくありません。
実際に、統計データを見ても父親には不利な現状がうかがえます。
しかし、なぜそのような割合になるのか、その背景を理解することが親権獲得への第一歩です。
ここでは、データに基づいた客観的な事実と、その理由について解説します。
父親が親権者になれる割合は約1割
国立社会保障・人口問題研究所の人口統計資料によると、子をもつ夫妻別離婚数に対し父親がすべての子の親権者となった2024年の割合は10.7%でした。父親が親権者となった割合は約1割にとどまっています。2000年の12.1%と比べると、長期的にやや低下していることが分かります。
この数字だけを見ると、父親の親権獲得の確率が低いことは事実です。
しかし、これはあくまで統計上の結果であり、個々の事情が考慮されるため、諦める必要はありません。
参考:人口統計資料集2026
なぜ母親が親権争いで有利とされるのか
母親が親権争いで有利とされる主な理由は、女性側が育児において中心的な役割を担ってきているからです。
裁判所は、親権の判断にあたり、子どもの福祉を最優先に考えて、生活環境の変化を最小限に抑える「監護の継続性」を重視します。
多くの家庭では、母親が子どもの世話を主にしており、育児の時間も父親よりもかなり長いため、結果として母親が有利になるケースが多くなります。
特に子どもが乳幼児の場合、授乳できるのも女性側に限られるなど、この傾向はより顕著になります。
そもそも親権者が決まる仕組みとは?裁判所が重視する7つの判断基準

親権はまず夫婦間の話し合い(協議)で決められますが、合意できない場合は家庭裁判所での調停や裁判に移行します。
法律で明確な基準が定められているわけではなく、裁判所は「子の福祉(子どもの幸せ)」を最優先に、以下の7つのような基準を総合的に考慮して、どちらがより親権者にふさわしいかを判断します。
これらの基準を理解し、自身が親権者に適していることを主張・立証することが親権獲得の鍵となります。
離婚と子どものことについては「離婚と子どものこと」で詳しく紹介しています。
1.これまでの育児実績を示す「主たる監護者」としての評価
裁判所は、これまでどちらが主体的に子どもの監護を担ってきたかを非常に重視します。
具体的には、食事の準備、入浴、寝かしつけ、保育園や学校の送迎、学校行事への参加、病気の際の看病など、日常的な育児への関与度合いが評価されます。
これまで主に育児を担ってきた親が、離婚後も引き続き監護することが子どもの福祉に繋がると判断されます。
2.現在の生活環境を維持する「監護の継続性」の原則
子どもの心身の安定のため、できるだけ現在の生活環境を維持することが望ましいという考え方です。
裁判所は、子どもが慣れ親しんだ環境を変えることによる精神的負担を考慮します。
そのため、別居前から子どもと一緒に暮らし、安定した監護状態を続けている親が有利になります。
別居時に子どもを置いて家を出てしまうと、監護の継続性が途切れ、親権争いで不利になる可能性が高まります。
3.離婚後の養育環境が整っているか
離婚後に子どもを育てるための具体的な環境が整っているかも重要な判断基準です。
具体的には、子どもと暮らすための住居が確保されているか、保育園や学校への通学に支障はないかなどが審査されます。
また、仕事で帰りが遅くなる場合であっても、祖父母など親族からのサポートを受けられる体制が整っていると、高く評価されます。
4.親の心身の健康状態や監護への意欲
子どもを育てる親自身の心身が健康であることは、安定した監護に不可欠です。
深刻な病気や精神的な問題を抱えていないか、また、子どもに対する愛情や責任感を持ち、監護への強い意欲があるかが考慮されます。
虐待や育児放棄といった問題がある場合はもちろん、親としての適格性が欠けていると判断され、親権者として認められるのは困難になります。
5.兄弟姉妹を分離させない「きょうだい不分離の原則」
子どもが複数いる場合、兄弟姉妹は一緒に生活することで情緒的な安定を得られると考えられています。
そのため、裁判所は特別な事情がない限り、兄弟姉妹を分離させるべきではないという「きょうだい不分離の原則」を重視します。
親権を争う際は、すべての子どもを一緒に引き取って監護できる環境を整えていることを示す必要があります。
6.子ども自身の気持ちを尊重する「子の意思の尊重」
子どもの年齢に応じて、本人の意思も尊重されます。
家庭裁判所の実務では、おおむね15歳以上の子どもについては、その意思が最も重要な判断材料となります。
子どもがどちらの親と暮らしたいかを明確に表明した場合、裁判所はその気持ちを最大限に尊重する判断を下す傾向があります。
15歳未満であっても、子どもの意思は聴取され、判断材料の一つとして考慮されます。
7.相手との面会交流に対する協力的な姿勢
離婚後、子どもと離れて暮らす親との面会交流を認めるかどうかも、親権者を判断する上で考慮される要素です。
子どもの健全な成長のためには、両親との関わりが重要だと考えられています。
そのため、相手方を不必要に排除しようとせず、面会交流に協力的・寛容的な姿勢を示す親の方が、親権者としての適格性が高いと評価されやすくなります。
親権が取れなくても面会交流は可能です。面会交流については「親権が取れなくても「面会交流」がある!条件や申立方法について」で詳しく紹介しています。
父親が親権獲得で有利になる5つのケース

統計上は不利に見える父親の親権獲得ですが、裁判所の判断基準に照らし合わせると、父親に有利な状況となるケースも存在します。
母親側に監護能力の問題がある場合や、父親がこれまで育児の中心を担ってきた場合など、子どもの福祉の観点から父親を親権者とすべきと判断されることがあります。
ここでは、父親が親権獲得で有利になる代表的な5つのケースについて具体的に解説します。
1.父親が主体的に育児を担ってきた実績がある場合
父親が、主に育児を担当してきたなど、これまで主体的に子どもの世話をしてきた実績がある場合は、親権争いで有利になります。
裁判所が重視する「主たる監護者」が父親であると認められれば、母親と同等、あるいはそれ以上に評価される可能性があります。
育児日記や連絡帳の記録など、客観的な証拠で育児実績を示すことが重要です。
2.母親による育児放棄(ネグレクト)や虐待の事実がある場合
母親が子どもに必要な食事を与えない、不潔な環境で生活させるなどの育児放棄(ネグレクト)や、身体的・精神的な虐待を行っている場合、母親は親権者として不適格と判断されます。
これらの事実を客観的な証拠(医師の診断書、写真、録音、児童相談所の記録など)で立証できれば、父親が親権を獲得できる可能性は非常に高くなります。
3.母親の心身の健康状態に問題がある場合
母親が重い精神疾患を患っている、アルコールや薬物への依存症があるなど、心身の健康状態に問題があり、安定して子どもを監護することが難しいと判断される場合も、父親が親権者として選ばれる可能性が高まります。
この場合も、医師の診断書や通院歴といった客観的な証拠に基づき、母親の監護能力に問題があることを具体的に主張する必要があります。
4.子どもが15歳以上で、父親と暮らすことを強く希望している場合
子どもの年齢がおおむね15歳以上の場合、その意思が最大限尊重されます。
子ども自身が明確な意思で「父親と暮らしたい」と強く希望しているのであれば、裁判所はその気持ちを覆すような判断をすることはほとんどありません。
子どもの意思は、家庭裁判所調査官による面談などを通じて確認されます。
このケースでは、父親に特段の問題がない限り、親権を獲得できる公算が大きくなります。
5.母親が子どもを置いて家を出て行ってしまった場合
母親が子どもを家に残したまま一方的に別居を開始した場合、父親が子どもの監護を継続している実績が作られます。
この状況では「監護の継続性」の観点から父親が有利になります。
母親が自ら監護を放棄したと見なされる可能性もあり、親権争いにおいて父親側の主張が認められやすくなります。
ただし、相手の同意なく子どもを連れ去り、無理やり監護実績を作ることは違法と判断されるリスクがあります。
子どもを強引に連れ去られてしまった場合は「親権を返したくない!子どもを強引に連れ去られてしまった場合の対処法」で詳しく紹介しています。
不利な状況を覆す!父親が親権を勝ち取るためにやるべき5つのこと

不利な状況からでも、適切な準備と行動によって親権を勝ち取ることは可能です。
重要なのは、感情的に相手を非難するのではなく、裁判所が重視する判断基準に沿って、自身が親権者にふさわしいことを客観的な証拠で示すことです。
離婚を切り出す前から計画的に準備を進めることが、親権獲得の可能性を高める鍵となります。
ここでは、父親が実践すべき5つの具体的な方法を解説します。
子どものために離婚したい場合は「子どものために離婚したい|親権・タイミング・影響の判断基準と対処法」で詳しく紹介しています。
1.育児への関与を示す客観的な証拠(育児日記など)を集める
「自分が育児を頑張ってきた」という主張だけでは不十分です。
日常的にどれだけ育児に関わってきたかを示す客観的な証拠を集めましょう。
具体的には、子どもの食事や健康状態を記録した育児日記、保育園や学校の連絡帳への記入、行事に参加した際の写真や動画、病院へ連れて行った際の領収書などが有効です。
これらの証拠は、あなたの監護実績を裏付ける強力な材料となります。
2.離婚後の安定した監護体制(実家の協力など)を具体的に示す
離婚後の生活設計を具体的に提示することも重要です。
仕事と育児をどう両立させるのか、勤務時間の調整は可能か、もし残業や出張がある場合、子どもの面倒は誰が見るのかといった点を明確にする必要があります。
例えば、近くに住む祖父母に送迎や食事の補助を頼めるなど、具体的な監護の協力体制を整え、それを裁判所に示すことができれば、監護能力が高いと評価されます。
3.別居する際は必ず子どもと一緒に家を出る
裁判所は「監護の継続性」を重視するため、別居後も子どもを監護している親が有利になります。
そのため、別居を決意した際は、原則として子どもと一緒に家を出ることが親権獲得のためには重要です。
ただし、相手の合意なく一方的に子どもを連れ去ると「違法な連れ去り」と見なされ、不利になる危険性があります。
別居のタイミングや方法は、事前に弁護士に相談するなど慎重に進める必要があります。
4.経済的な安定性や子どものための住環境を整える
子どもが安定した生活を送るためには、経済的な基盤と適切な住環境が不可欠です。
安定した収入があること、子ども部屋を確保できる広さの住居を用意できることなどを示しましょう。
ただし、単に収入が多ければ有利というわけではありません。
他方、収入がすくないということが不利になるということもありません。
5.母親側の育児における問題点を具体的に主張・立証する
もし母親側に育児放棄や浪費、子どもへの不適切な言動などの問題がある場合は、その事実を具体的に主張し、客観的な証拠で立証することが重要です。
「母親失格だ」といった感情的な非難ではなく、子どもの福祉に悪影響を及ぼす具体的な事実を、録音データや第三者の証言、家計簿の写しなどを用いて冷静に示しましょう。
これにより、あなたが親権者としてより適格であると判断されやすくなります。
モラハラ加害者から親権を争われた場合は「モラハラ加害者から親権を争われたら」で詳しく紹介しています。
父親の親権に関するよくある質問

父親が親権獲得を目指すにあたり、多くの方が共通の疑問や不安を抱えています。
ここでは、特にご相談の多い質問について、結論から簡潔にお答えします。
個別の状況によって対応は異なりますので、あくまで一般的な回答として参考にしてください。
父親が親権を獲得するために、別居時に子どもを連れて出るべきですか?
別居の際、子どもを連れて出るべきかについては、その状況を慎重に判断する必要があります。裁判所は子どもの生活環境の継続性を重視する傾向があるため、別居後も子どもを監護している実績がある親が有利になる場合があります。しかし、相手の同意なく強引に子どもを連れて出ることは、「違法な連れ去り」と判断され、親権の獲得において不利になるリスクがあります。そのため、別居の際は、弁護士に相談するなど、慎重な対応が求められます。
妻が不倫(不貞行為)をした場合、父親が親権を取るのに有利になりますか?
妻が不倫したことが、親権争いにおいて、父親が親権を取るために有利な事実となりません。
親権はあくまで「子どもの福祉」を基準に判断されるためです。
しかし、不倫相手との交際を優先して育児を放棄しているなど、子どもの養育に悪影響が出ている場合は、母親の親権者としての適格性が問われ、父親に有利に働く可能性があります。
離婚慰謝料の請求とは別の問題として考える必要があります。
父親が親権者になった場合、母親から養育費はもらえるのでしょうか?
はい、もらえます。
養育費は子どもを監護・教育するための費用であり、親権者でない親も支払う法的な義務を負います。
父親が親権者となった場合、母親に対して養育費を請求できます。
金額は、父母双方の収入や子どもの人数、年齢などに応じて、裁判所が公表している「養育費算定表」を目安に決定されます。
養育費の相場や計算方法については「養育費の相場|年収・子供の人数ですぐわかる早見表と計算方法」で詳しく紹介しています。
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まとめ:父親の親権獲得は諦めずに、まずは弁護士へご相談ください

父親の親権獲得は、決して簡単な道のりではありませんが、不可能ではありません。
裁判所が何を重視するのかを正しく理解し、離婚前から計画的に準備を進めることが重要です。
育児実績の証拠集めや、離婚後の監護体制の構築など、やるべきことは多岐にわたります。
一人で抱え込まず、まずは親権問題に詳しい弁護士にご相談ください。
専門家と一緒に最善の戦略を立てることが、お子様との未来を守るための第一歩となります。
監修者
弁護士法人キャストグローバル 離婚部
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