家庭内セクハラは離婚理由になる?慰謝料請求の条件や相談先を弁護士が解説

監修者 弁護士法人キャストグローバル
離婚部弁護士
目次
目次を表示配偶者からの執拗な性的言動に対し、「夫婦なら当たり前のことなのか」「自分が我慢すればいいだけでは」と一人で悩んでいませんか。
この記事を読めば、ご自身の受けている苦痛が客観的に「ハラスメント」であると認識し、今後「耐えるべきか」「別居・離婚などの法的措置に進むべきか」を判断できるようになります。
この記事でわかること
・ 家庭内セクハラに該当する具体的な行為
・ 離婚や慰謝料請求が認められるための条件
・ 慰謝料請求を有利に進めるために集めるべき証拠
・ 悩みを法的に解決するための具体的な相談先
もしかして私も?夫婦間でも起こる「家庭内セクハラ」とは

家庭内セクハラとは、夫婦や親子など家庭内で起こる、相手の意に反する性的な言動全般を指します。
職場などで行われるセクシュアルハラスメントと同様に、家庭内という閉鎖的な空間であっても、相手に精神目苦痛を与える行為は許されません。
夫婦間であっても、性的自己決定権は尊重されるべき個人の権利です。
家庭内セクハラは「性的DV」の一種です
家庭内におけるセクハラは、DV(ドメスティック・バイオレンス)防止法で定められている配偶者からの暴力のうち、「性的暴力」に該当する可能性があります。
DVと聞くと身体的な暴力を想像しがちですが、嫌がっているのに性的な行為を強要することも、相手の心と体を傷つける深刻な暴力の一種なのです。
「夫婦なら当たり前」は間違い!同意のない性的行為は苦痛です
「夫婦なのだから性交渉に応じるのは義務だ」といった考え方は、法的に認められません。
たとえ夫婦であっても、すべての性的行為にはお互いの同意が必要です。
相手が嫌がっているにもかかわらず行われる性的行為は、単なる夫婦喧嘩ではなく、個人の尊厳を侵害する行為であり、精神的な苦痛を与えます。
これらは家庭内セクハラに該当!よくある5つの具体例

家庭内セクハラには、さまざまなケースが存在します。
以下に挙げるのは、配偶者からの相談でよく聞かれる代表的な例です。
ご自身の状況と照らし合わせながら確認してみてください。
1. 嫌がっているのに何度も体を触る・性交渉を求める
相手が明確に拒否しているにもかかわらず、執拗に体を触ったり、性交渉を強要したりする行為は、家庭内セクハラの典型例です。
気分が乗らない、疲れているなどの理由で断っても、「夫婦の義務だ」などと言って応じさせようとすることも含まれます。
2. ポルノ動画や雑誌を無理やり見せる
自分が興味のないポルノ動画やアダルト雑誌などを、無理に見せようとする行為もセクハラに該当します。
また、その内容について感想を求めたり、同様の行為を強要したりすることも、相手に多大な精神的苦痛を与える行為です。
3. 他人の前で性的な冗談を言う・からかう
友人や親族など、第三者の前で夫婦間の性生活について話したり、相手を性的な対象としてからかったりする行為は、相手に屈辱感や羞恥心を与えます。
プライベートな事柄を本人の許可なく公にすることは、人格を否定する行為ともいえます。
4. 容姿や体型について性的に侮辱する言葉を浴びせる
「女として魅力がない」「その体型では誰も相手にしない」など、相手の容姿や体型を性的な側面から貶め、侮辱するような暴言もセクハラの一種です。
このような言動は、相手の自尊心を深く傷つけ、精神的に追い詰めるモラルハラスメントにも該当します。
5. 避妊に協力しない
望まない妊娠の不安を抱えながら性交渉を強いる、あるいは避妊具の使用を拒否するなど、避妊に協力しない行為も性的DVと見なされます。
これは、相手の身体の自己決定権を無視し、一方的にリスクを負わせる非常に悪質な行為です。
このような行為を理由に、法的な措置を取ることは可能なのでしょうか。
家庭内セクハラを理由に離婚や慰謝料請求は可能?

結論から言うと、家庭内セクハラの程度や態様によっては、離婚や慰謝料請求が認められる可能性があります。
夫婦間の問題であっても、法律は個人の尊厳が不当に侵害される状況を放置しません。
離婚できるケース|法定離婚事由「その他婚姻を継続し難い重大な事由」
相手が離婚を拒否している場合、裁判で離婚を認めてもらうには民法で定められた4つの法定離婚事由のいずれかが必要です。
具体的には、不貞行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、その他婚姻を継続し難い重大な事由、を指します。
家庭内セクハラは、このうち「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があります。
夫婦であっても性的自己決定権は尊重されるべきであり、拒絶しているにもかかわらず執拗に体を触るなどの行為によって婚姻関係が修復不可能なほど破綻していると判断されれば、裁判離婚が認められます。
一人で抱え込まず、まずは専門家へ状況を相談することが解決への一歩です。
慰謝料請求が認められるための2つの条件
慰謝料請求が認められるには、主に2つの条件を満たす必要があります。
- 一つは、相手の行為が不法行為にあたること。
- もう一つは、その行為によって精神的苦痛を受けたこと
です。
家庭内セクハラは、相手の性的自己決定権を侵害する不法行為であり、それにより受けた精神的ダメージに対して慰謝料を請求できます。
家庭内セクハラで請求できる慰謝料の相場
家庭内セクハラを理由とする慰謝料の相場は、一概には言えませんが、おおむね50万円から300万円程度となるケースが多いです。
金額は、セクハラの期間、頻度、内容の悪質性、受けた精神的苦痛の度合いなどを総合的に考慮して判断されます。
慰謝料請求を有利に進めるためには、客観的な証拠が不可欠です。
慰謝料の相場については「離婚慰謝料の相場はいくら?原因別に弁護士が解説|請求できる条件とは」で詳しく解説しています。
慰謝料請求を有利に進めるために|家庭内セクハラの証拠集め

家庭内セクハラは密室で行われることが多く、「言った・言わない」の水掛け論になりがちです。
そのため、慰謝料請求や離婚を有利に進めるには、客観的な証拠をいかに集めるかが重要になります。
日時や言動を詳細に記録した日記・メモ
いつ、どこで、何をされた(言われた)のか、その時にどう感じたのかを、できるだけ具体的に記録しておきましょう。
継続的な記録は、ハラスメントが一度きりの出来事ではなく、日常的に行われていたことを示す有力な証拠となります。
相手との会話や暴言の録音データ
相手からの性的な暴言や、性交渉を強要する際の会話などを録音したデータは、非常に強力な証拠です。
相手に気づかれないよう、スマートフォンの録音アプリなどを活用するとよいでしょう。
ただし、違法な手段での録音は証拠として認められない可能性もあるため、注意が必要です。
不快な気持ちを伝えたLINEやメールの履歴
LINEやメールで「やめてほしい」「不快だ」といった拒否の意思を伝えたにもかかわらず、相手がセクハラ行為を続けた場合、そのやり取りの履歴は有力な証拠になります。
相手が自分の行為の問題性を認識していたことを示す材料にもなります。
精神的苦痛を証明する医師の診断書
家庭内セクハラが原因で不眠やうつ症状など、心身に不調をきたした場合は、心療内科や精神科を受診しましょう。
医師による診断書は、セクハラによって受けた精神的苦痛の大きさを客観的に証明する重要な証拠となります。
証拠がある程度集まったら、次のステップに進むことを検討しましょう。
【全3ステップ】家庭内セクハラから抜け出すための具体的な行動手順

現状から抜け出し、自分らしい生活を取り戻すためには、冷静に行動を起こすことが重要です。
以下の3つのステップを参考に、具体的な計画を立ててみましょう。
ステップ1:まずは自分の状況を客観的に記録する
前述したように、まずは証拠集めを始めましょう。
感情的にならず、「いつ、どこで、何をされたか」という事実を淡々と記録することが大切です。
これにより、自分の置かれている状況を客観的に把握でき、第三者に説明する際にも役立ちます。
ステップ2:安全を確保するために別居を検討する
相手からのセクハラがエスカレートする可能性がある場合や、精神的な限界を感じている場合は、身の安全を最優先に考え、別居を検討しましょう。
一時的に実家や友人の家に身を寄せる、あるいは公的なシェルターを利用することも選択肢の一つです。
ステップ3:専門家である弁護士に相談し法的措置を考える
身の安全を確保し、集めた証拠をもとに、離婚問題に詳しい弁護士に相談しましょう。
弁護士は法的な観点から、離婚や慰謝料請求が可能かどうか、今後どのような手続きを進めるべきかについて具体的なアドバイスを提供してくれます。
弁護士以外にも、状況に応じて頼れる相談窓口があります。
一人で抱え込まないで!家庭内セクハラの悩みを相談できる窓口

家庭内の問題は他人に相談しにくいと感じるかもしれませんが、一人で抱え込む必要はありません。
専門知識を持つ機関に相談することで、解決の糸口が見つかるはずです。
警察(緊急性が高く身の危険を感じる場合)
相手から暴力を振るわれるなど、身体的な危険が差し迫っている場合は、迷わず110番通報するか、最寄りの警察署に相談してください。
警察相談専用電話「#9110」では、緊急性の低い悩みについても相談に乗ってもらえます。
参考:警察に対する相談は警察相談専用電話 「#9110」番へ | 政府広報オンライン
配偶者暴力相談支援センター(公的な支援を受けたい場合)
全国の自治体に設置されている相談窓口で、DV被害に関するさまざまな相談に応じています。
カウンセリングや一時保護、自立支援など、公的なサポートを受けることができます。
どこに相談すればよいか分からない場合は、まずDV相談ナビ「#8008」に電話してみましょう。
参考:DV(配偶者や交際相手からの暴力)に悩んでいませんか。一人で悩まず、お近くの相談窓口に相談を!|政府広報オンライン
弁護士(法的な解決を目指す場合)
離婚や慰謝料請求といった法的な解決を具体的に考えている場合は、弁護士への相談が最も有効です。
あなたの代理人として相手と交渉したり、法的な手続きを進めたりしてくれます。
初回相談を無料で行っている法律事務所も多いため、まずは気軽に相談してみることをお勧めします。
家庭内セクハラに関するよくあるご質問

ここで、家庭内セクハラについて、多くの方が抱える疑問にお答えします。
夫からの性的な要求を断ると不機嫌になります。これも家庭内セクハラにあたりますか?
はい、該当する可能性があります。
相手が不機嫌になることを利用し、罪悪感を抱かせて性的行為を強要する行為は、精神的な圧力をかけるDVの一形態と見なされる場合があります。
同意のない性的行為は、いかなる理由があっても許されません。
家庭内セクハラが原因で離婚する場合、子どもへの影響は考慮されますか?
はい、離婚の際には子どもの福祉が最優先で考慮されます。
親権者の指定や面会交流の取り決めにおいて、ハラスメントの事実が判断材料の一つとなります。
配偶者への暴力がある家庭環境が、子どもの健全な成長に悪影響を及ぼすと判断されることもあります。
家庭内セクハラの明確な証拠がないのですが、弁護士に相談しても意味はないでしょうか?
いいえ、決して無意味ではありません。
直接的な証拠が乏しい場合でも、弁護士はあなたの話から状況を整理し、今後どのような証拠を集めればよいか、どのような対応が可能かについてアドバイスできます。
まずは専門家に相談することが、解決への大きな一歩となります。
専門家への相談を検討される方のために、当事務所が選ばれる理由をご紹介します。
弁護士法人キャストグローバルが選ばれる3つの理由

当事務所は、離婚問題に特化した専門チームを擁し、これまで数多くのご相談者様をサポートしてまいりました。
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そのため、財産分与に伴う不動産の名義変更(登記手続き)や税務上の問題など、離婚に付随して発生するさまざまな法的手続きをワンストップでサポートすることが可能です。
まとめ

家庭内セクハラは、決して「夫婦間の些細な問題」ではありません。
あなたの尊厳を傷つけ、心身を疲弊させる深刻なハラスメントです。
嫌だと感じる性的言動を我慢する必要はなく、法的な手段で解決できる可能性があります。
まずは勇気を出して、信頼できる窓口に相談することから始めてみてください。
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詳しくは「離婚・慰謝料 解決サポート|弁護士法人キャストグローバル」をご参考ください。
監修者
弁護士法人キャストグローバル 離婚部
離婚に関する記事は、当事務所の弁護士・専門スタッフが監修しています。離婚・男女問題のご相談を中心に、これまで6,200件以上のご相談に対応してきました。
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