家事をしない夫の離婚率は?慰謝料請求や離婚したい場合の条件を弁護士が解説

監修者 弁護士法人キャストグローバル

離婚部弁護士

夫が家事を全く手伝ってくれず、育児や仕事との両立に心身ともに疲れ果て、「いっそのこと離婚した方が楽になるかもしれない」と悩んでいませんか。
その不満は、決して特別なものではありません。
この記事では、日本の夫婦における家事分担の実態や、夫婦間の分業と離婚との関係について、公的統計や研究結果をもとに解説します。

「夫が家事をしてくれない」という状況だけで直ちに離婚が認められるわけではありませんが、家事負担の偏りが夫婦関係にどのように関係するのかを知ることは、今後の生活を考えるうえで重要です。
慰謝料の問題も含め、専門家の視点から詳しく解説します。

この記事でわかること

・ 家事をしない夫との離婚リスクが客観的データでどの程度高いのか
・ 「家事放棄」を理由に離婚や慰謝料請求が認められる法的な条件
・ 関係修復を試みるための具体的なステップ
・ 離婚を決意した場合に有利に進めるための準備と証拠集めの方法

【データで見る】家事をしない夫との離婚率は本当に高いのか?

【データで見る】家事をしない夫との離婚率は本当に高いのか?

夫が家事をしないことへの不満が、夫婦関係に影響することはあります。
ただし、日本の公的統計や研究を確認すると、「家事をしない夫のいる家庭は離婚率が○倍になる」と直接示したデータがあるわけではありません。
一方で、日本の公的調査からは、家事負担が妻側に大きく偏っている実態が確認されています。また、近年の研究では、夫婦間の伝統的な分業と離婚との関係も分析されています。

ここでは、こうした日本のデータをもとに、家事分担と夫婦関係・離婚との関係を見ていきます。

夫婦間の分業と離婚の関係を示す日本の研究結果

日本の夫婦を対象とした研究では、夫婦間の伝統的な分業と離婚との関係が分析されています。

内閣府経済社会総合研究所(ESRI)が2026年に公表した研究では、2007年に導入された厚生年金の合意分割制度を利用し、夫が主に仕事を担い、妻が家事を担うという夫婦間の分業が、離婚の意思決定にどのように関係するのかを分析しました。
その結果、夫婦間の分業から得られる利益の減少が大きかった夫婦では、制度導入年とその後3年間における離婚が10~20%増加したことが示されています。

日本の夫婦において、夫婦間の役割分担によって得られる利益が変化すると、離婚の意思決定にも影響する可能性があることを示す研究結果です。

参考:夫婦間分業の利益と離婚の意思決定:年金分割制度導入に基づくエビデンス : 経済社会総合研究所 – 内閣府

日本の夫婦では妻に家事負担が偏っている

日本の公的統計を見ると、夫婦間の家事分担には大きな偏りがあります。
国立社会保障・人口問題研究所の「第6回全国家庭動向調査」では、夫が17~19時台に帰宅する世帯でも、妻の73.7%が家事の80%以上を分担していました。
さらに、夫の帰宅時間にかかわらず、約16%の妻が家事を100%担っていました。
また、家事の種類によって夫の参加状況には差があり、第6回調査では、夫が週に1~2回以上行う割合は「ゴミ出し」「日常の買い物」「食後の片付け」で比較的高い一方、「部屋の掃除」は23.7%、「炊事」は23.6%にとどまっています。

このように、日本の夫婦では家事の一部を夫が担うケースが増えているものの、家事全体の負担は依然として妻側に偏っていることが分かります。

参考:2018年社会保障・人口問題基本調査 第6回全国家庭動向調査 結果の概要|国立社会保障・人口問題研究所

なぜ夫は家事をしない?「手伝っているつもり」の危険な思い込み

なぜ夫は家事をしない?「手伝っているつもり」の危険な思い込み

多くの妻が夫の家事不参加に不満を抱える一方で、夫自身は「自分は家事をやっている」と認識しているケースが少なくありません。
この認識のズレが、夫婦間の溝をさらに深める原因となります。
夫が家事をしない、あるいは「手伝っているつもり」になってしまう背景には、いくつかの典型的な心理や考え方が存在します。

その理由を理解することは、問題解決の第一歩です。

「ゴミ出しだけ」で家事をしていると主張する夫の心理

夫が「ゴミ出し」や「たまの食器洗い」といった特定の家事のみを担当し、それを以て「家事を分担している」と主張する背景には、家事全体の大変さを理解していないという理由があります。
料理、洗濯、掃除、育児といった日々の膨大な家事を見ていないため、その見えない家事の存在に気づいておらず、一部の目に見える作業だけで自分は家事の分担を果たせていると思い込んでいるのです。

このため、妻が不満を訴えても、こんなにやっているのになぜ感謝されず不満があるのかと、妻の気持ちを理解できないという状況に陥りがちです。

「俺の方が稼いでいる」は家事をしない正当な理由にならない

「自分の方が収入が多いのだから、家事は妻がやるべきだ」という考え方は、家事をしない夫が持ちがちな理由の一つです。
しかし、これは法的に見ても正当な主張ではありません。
夫婦には民法上、相互に協力し扶助する義務(同居・協力・扶助義務)があります。
これには家事の分担も含まれており、収入の多寡が家事分担義務を免除する理由にはなりません。

また、この考え方は、夫婦関係を対等なパートナーシップではなく、経済力による主従関係と捉えている表れともいえます。

共働きと専業主婦で家事分担の考え方は変わるのか

共働き世帯であるか、妻が専業主婦であるかによって、家事分担の期待値が変わるのは事実です。
しかし、専業主婦であっても、夫が家事を全くしなくて良いという理由にはなりません。
特に乳児の育児は24時間体制であり、専業主婦が一人で全てを担うのは大きな負担です。

共働きの場合は、双方が仕事をしている以上、家事も公平に分担するのが原則です。
どちらの家庭形態であっても、夫婦として協力する姿勢がなければ、妻側の不満は溜まり続けることになります。

夫が家事をしないことを理由に離婚はできる?法定離婚事由との関係性

夫が家事をしないことを理由に離婚はできる?法定離婚事由との関係性

夫が家事をしないことへの不満が限界に達し、離婚を考え始めたとき、「そもそも家事をしないことだけで離婚できるのか」という疑問に直面します。
離婚は夫婦の合意があれば可能ですが、相手が応じない場合は法的な離婚理由が必要となります。
ここでは、離婚に至るための法的な手続きと、家事放棄がどのように離婚理由として認められる可能性があるのかについて解説します。

離婚するための3つの方法「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」

離婚の方法は大きく分けて「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」の3つがあります。

・協議離婚:夫婦間の話し合いで合意し、離婚届を提出する方法です。日本の離婚件数の約88%を占めています。
・調停離婚:家庭裁判所で調停委員を介して話し合い、合意を目指す方法です。協議で話がまとまらない場合に利用されます。調停で合意に至らない場合は、審判離婚に移行することもあります。
・裁判離婚:調停でも合意に至らない場合に、裁判所に離婚を認めるかどうかの判決を求める方法です。法的に定められた離婚理由が必要とされます。裁判離婚には、和解離婚や認諾離婚も含まれます。

詳しくは「離婚手続きの流れと準備を弁護士解説|後悔しないための完全ガイド」をご参考ください。

裁判離婚で認められる「法定離婚事由」とは

相手が離婚に同意せず、裁判で離婚を求める場合には、法律で定められた4つの法定離婚事由のいずれかに該当する必要があります。

1. 不貞行為(不倫・浮気)
2. 悪意の遺棄
3. 3年以上の生死不明
4. その他婚姻を継続しがたい重大な事由

家事をしないという理由は、直接これには当たりません。
ですが、家事をしないことによって、さまざまな問題へ派生し、その他婚姻を継続しがたい重大な事由に関連する可能性があります。

「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当する可能性

夫の家事放棄が離婚理由として認められうるのは、「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当する場合です。
これは、夫婦関係が修復不可能なほどに破綻している状態を指します。
家事をしない根底には、夫が経済的な主従関係と捉えている場合もあり、このような考えがあると、モラハラやDV、暴言、浪費癖など、他の問題が複合的に存在することがあります。

これかが複合的に重なり合って、会話もなく、家庭が機能不全に陥いり、夫婦間の信頼関係が完全に失われることがあります。

家事をしない夫に慰謝料は請求できる?認められる条件と証拠集め

家事をしない夫に慰謝料は請求できる?認められる条件と証拠集め

離婚を決意した際、これまでの精神的苦痛に対して慰謝料を請求したいと考えるのは自然なことです。
しかし、夫が家事をしないという理由だけで慰謝料を請求することは、法的に見ると簡単ではありません。
慰謝料が認められるためには、一定の条件を満たし、それを裏付ける客観的な証拠が必要となります。

ここでは、慰謝料請求の可否と、そのために準備すべきことについて解説します。

家事をしないこと「だけ」での慰謝料請求は難しいのが実情

結論から言うと、夫が単に家事に非協力的であるという理由のみで、慰謝料の支払いが認められる可能性は極めて低いです。
慰謝料は、不倫やDVなど、相手の違法な行為(有責行為)によって精神的苦痛を受けた場合に発生します。

家事分担に関する考え方の違いは、夫婦間の協力義務違反とは評価されても、直ちに違法な権利侵害とまでは見なされないのが一般的です。
そのため、家事放棄を理由とした慰謝料請求は、協議離婚や調停離婚の交渉材料として主張することはできても、裁判で法的に認めさせるのは困難です。

慰謝料請求が認められやすいケース(モラハラ・DV・不倫など)

慰謝料請求が認められるのは、家事放棄の根底にある考えがあり、この考えからくる、明確な有責行為が存在する場合です。
例えば、家事をしないことを理由に「誰のおかげで生活できているんだ」「役立たず」といった暴言を日常的に浴びせるモラハラ、身体的な暴力を振るうDV、不貞行為(不倫)などが該当します。
これらの行為は、婚姻関係を破綻させた原因として法的に違法性が高いと判断されるため、慰謝料請求の正当な根拠となります。

家事問題とこれらの問題が複合している場合は、慰謝料を請求できる可能性が高まります。

離婚を有利に進めるために有効な証拠の集め方

慰謝料請求や離婚を有利に進めるためには、相手の有責行為を客観的に示す証拠が不可欠です。
有効な証拠としては、以下のようなものが挙げられます。

モラハラや暴言の証拠:ICレコーダーによる音声の録音、暴言が書かれたメールやLINEのスクリーンショット、詳細な日記
DVの証拠:怪我の写真、医師の診断書、警察への相談記録
不貞行為の証拠:配偶者と不倫相手がラブホテルに出入りする写真や動画、肉体関係を示すメッセージのやり取り。

これらの証拠を計画的に集めることで、交渉や裁判を有利に進めることができます。

限界を迎える前に|家事をしない夫への対処法と離婚準備

限界を迎える前に|家事をしない夫への対処法と離婚準備

夫の家事放棄に対する不満が積もり、心身ともに限界を感じる前に、状況を改善するための具体的な行動を起こすことが重要です。
まずは関係修復に向けた努力を試み、それでも改善が見られない場合には、冷静に離婚の準備を進めるという段階的なアプローチが考えられます。
ここでは、現状を打破するための4つのステップを紹介します。

ステップ1:まずは夫婦で冷静に話し合う機会を設ける

最初のステップは、感情的にならずに夫婦で話し合うことです。
「なぜ家事をしてくれないのか」と相手を責めるのではなく、「自分一人では負担が大きく、心身ともに辛い状況にある」という事実を冷静に伝えましょう。
夫が家事の大変さを具体的に理解していない可能性もあるため、自分の状況を客観的に説明し、協力を求める形で対話を試みることが重要です。

この話し合いが、お互いの認識のズレを埋める第一歩となります。

ステップ2:家事の分担を具体的に可視化する(家事分担表の活用)

話し合いの際には、家事の全体像を「見える化」することが有効です。
「家事分担表」などを作成し、料理、掃除、洗濯、買い物、子供の世話といったタスクをすべて書き出してみましょう。
それぞれの家事にかかる時間や頻度も記載することで、妻側にどれだけの負担が偏っているかが一目瞭然になります。

この表を基に、どちらがどの家事を担当するかを具体的に決めることで、「手伝う」という意識から「分担する」という当事者意識への転換を促します。

ステップ3:家庭裁判所の「夫婦関係調整調停(円満)」を利用する

夫婦間の話し合いだけでは解決が難しい場合、家庭裁判所の「夫婦関係調整調停(円満)」を利用するのも一つの方法です。
これは離婚を前提としない調停で、調停委員という中立な第三者を交えて、夫婦関係を改善するための話し合いを行います。
専門家が間に入ることで、感情的な対立を避け、冷静に問題点を整理し、具体的な解決策を見つけやすくなります。

法的な手続きではありますが、関係修復を目指すための選択肢として有効です。

ステップ4:離婚を決意した場合に始めるべき準備と手続きの流れ

あらゆる努力をしても関係改善が見込めず、離婚を決意した場合は、計画的に準備を進めることが大切です。
まずは、離婚後の生活設計(住居、仕事、収入など)を具体的に考えましょう。
次に、財産分与の対象となる共有財産(預貯金、不動産、保険など)をリストアップします。

慰謝料や養育費を請求する場合は、その根拠となる証拠集めも始めます。
準備が整ったら、相手に離婚の意思を伝え、協議離婚の話し合いを開始します。
話がまとまらなければ、調停、裁判へと進んでいきます。
詳しくは「【弁護士監修】離婚の完全ガイド|慰謝料・財産分与・親権・養育費まで徹底解説」で解説しています。

家事をしない夫との離婚に関するよくある質問

家事をしない夫との離婚に関するよくある質問

家事をしない夫との離婚を考える際、多くの方が同じような疑問や不安を抱えています。
ここでは、特に多く寄せられる質問について、結論から簡潔にお答えします。

共働きなのに夫が家事をしません。これは離婚理由として認められますか?

共働きで家事負担が一方に偏ることは、離婚理由として認められる可能性があります。
ただし、それ単独で裁判上の離婚理由「婚姻を継続しがたい重大な事由」と即断されるのは難しいです。

家事放棄に加え、モラハラや生活費を渡さないなどの事情が重なり、婚姻関係が破綻していると判断されれば、法的な離婚理由として認められる可能性が高まります。

「稼いでいるのは俺だ」と家事をしない夫に慰謝料を請求することは可能ですか?

「稼いでいるから」という理由で家事をしないこと自体を理由に、慰謝料を請求することは極めて困難です。
しかし、その発言が「誰のおかげで生活できるんだ」といった暴言を伴うモラハラに該当し、精神的苦痛を与えたと証明できれば、慰謝料請求が認められる可能性があります。
慰謝料は、あくまで不法行為に対して認められるものです。

相談実績6,200件以上|キャストグローバルが選ばれる3つの理由

相談実績6,200件以上キャストグローバルが選ばれる3つの理由

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まとめ:夫の家事問題で悩んだら、一人で抱え込まず専門家へ相談を

まとめ:夫の家事問題で悩んだら、一人で抱え込まず専門家へ相談を

夫が家事をしないことへの不満は、決して「わがまま」ではありません。これは離婚に繋がりかねない深刻な問題です。
関係修復を試みても状況が改善しない、あるいはすでに精神的に限界を感じているのであれば、一人で抱え込まずに専門家である弁護士に相談することをお勧めします。

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離婚問題の解決をサポートする「弁護士法人キャストグローバル」のご紹介

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監修者

弁護士法人キャストグローバル 離婚部

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相談実績6,200件以上
弁護士紹介
藤井若菜、山本典佳、神田欽司
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