有責配偶者とは?有責配偶者は離婚できない?離婚請求が認められる条件を弁護士が解説

監修者 弁護士法人キャストグローバル
離婚部弁護士
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目次を表示不倫などの有責配偶者にはあたるが、離婚をしたいからどうしたらいいのかと悩んでいませんか。
この記事を読めば、有責配偶者に該当するケースや、離婚が認められるための条件、慰謝料などの金銭面への影響を理解し、今後の具体的な交渉方針を立てられるようになります。
この記事でわかること
・ 有責配偶者と判断される行為の具体例
・ 原則認められない離婚請求が、例外的に認められるための条件
・ 有責性が慰謝料や財産分与などのお金の問題に与える影響
・ 有責配偶者から離婚を切り出し、合意を目指すための交渉ステップ
有責配偶者とは?どのような行為が該当するのですか?

有責配偶者とは、離婚の原因を主として作った側の配偶者を指します。
夫婦関係が破綻した責任を負うべき側と言い換えることも可能です。
有責配偶者と認められるには、その行為が民法で定められた「法定離婚事由」に該当する必要があります。
具体的には、不貞行為や悪意の遺棄などが典型的な例です。
どのような行為が有責と判断されるかを知ることが、今後の離婚協議を進める第一歩となります。
まずは定義から解説!「有責配偶者」とは離婚原因を作った側の配偶者のこと
有責配偶者とは、婚姻関係の破綻について専ら又は主として責任のある配偶者をいいます。
婚姻関係の継続が困難になったことについて、主な責任を負うべき人物を指します。
例えば、不貞行為(不倫や浮気)を行った側がこれに該当します。
法律上、夫婦は互いに協力し、貞操を守る義務(貞操義務)などを負っていますが、これに違反する行為が有責行為とされます。
裁判で離婚を請求する際には、この有責性が離婚の可否や慰謝料の判断に影響を及ぼす重要な要素となります。
不貞行為(不倫・浮気)だけじゃない!有責配偶者と判断される4つの具体例
有責配偶者と判断される行為は、不貞行為だけではありません。
民法第770条第1項に定められた法定離婚事由に該当する配偶者を有責配偶者とされるのが一般的です。
具体的に以下の4つが挙げられます。
- 配偶者に不貞な行為があったとき
- 配偶者から悪意で遺棄されたとき
- 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
- その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
「4.その他婚姻を継続し難い重大な事由」には、長期間の別居やDV、モラハラ、過度な浪費などが含まれる場合があります。
以下、これらを説明します。
悪意の遺棄(生活費を渡さない・一方的な別居など)
悪意の遺棄とは、正当な理由なく夫婦間の協力・扶助・同居の義務を果たさない行為を指します。
これもまた、有責行為と判断される重要な要素の一つです。
具体的には、働けるにもかかわらず生活費を家に入れない、健康上の問題などがないのに一方的に家を出て別居する、などが該当します。
夫婦は互いに助け合って生活する義務があるため、これを意図的に放棄する行為は、夫婦関係を破綻させる原因と判断されるのです。
ただし、単なる喧嘩での家出や、相手の暴力から逃れるための別居などは、正当な理由があると判断され、悪意の遺棄にはあたりません。
3年以上の生死不明
配偶者の生死が3年以上にわたって全く確認できない場合も、法律上の離婚原因として認められています。
残った側としては、生死不明の配偶者を探す努力をしたことなどを証明し、家庭裁判所に離婚を請求する手続きを進めることになります。
警察への捜索願の提出や、親族への聞き込みなどが、その証明の一環となります。
回復の見込みがない強度の精神病の場合
配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないと診断された場合も、法定離婚事由に該当します。
ただし、この要件は厳格に判断されます。
単にうつ病や統合失調症であるというだけでは認められず、専門医の診断に基づき、意思の疎通が不可能で、夫婦としての協力義務が果たせないほど重度であり、かつ将来的な回復の可能性が極めて低いことが必要です。
また、相手側から離婚を求める場合、裁判所は、離婚後の療養生活に配慮した具体的な方策が立てられているかどうかも考慮するため、離婚が認められるハードルは高いといえます。
有責配偶者からの離婚請求は原則として認められないというのは本当ですか?

自ら離婚原因を作った有責配偶者からの離婚請求は、原則として裁判所では認められにくいのが実情です。
これは、自分の非を棚に上げて一方的に離婚を要求することが、信義誠実の原則(相手の信頼を裏切らないように誠実に行動すべきという原則)に反すると考えられているためです。
ただし、例外が存在します。
条件を満たした場合には、有責配偶者からの離婚請求であっても認められる可能性があるため、諦める必要はありません。
【重要】例外的に有責配偶者からの離婚請求が認められる3つの条件
有責配偶者からの離婚請求が原則認められない一方で、夫婦関係が完全に破綻している場合には、形式的な婚姻関係を維持させることがかえって不自然であるとする考え方もあります。
判例では、以下の3つの条件を総合的に考慮し、例外的に有責配偶者からの離婚請求を認める場合があります。
これらの要件は、離婚を認めても相手方が酷な状況に置かれないことを証明するための重要な基準となります。
条件①:夫婦の別居期間が相当の長期間に及んでいる
例外が認められるための最も重要な条件が、相当な長期間にわたる別居です。
別居が夫婦双方の年齢および同居期間との対比で相当の長期間に及んでいる場合です。
別居期間が、同居期間よりも長ければいいということでもありません。
期間の対比において、夫婦としての実態が失われてから長い年月が経過している場合、婚姻関係はすでに破綻していると判断されやすくなります。
また、別居期間を単独で取り出した時に長い場合も認められやすいです。
過去の判例ではおおむね10年前後が一つの目安とされてきました。
近年では同居期間との比較や他の事情も考慮され、5年から8年程度の別居期間で離婚が認められたケースもあります。
一方で、別居3年程度では、まだ期間が短いと判断されることもあります。
条件②:夫婦の間に未成熟の子(経済的に自立していない子)がいない
夫婦の間に経済的に自立していない未成熟の子どもがいる場合、有責配偶者からの離婚請求は認められにくくなります。
これは、親の身勝手な都合で離婚することにより、子どもが精神的・経済的に不安定な環境に置かれるべきではない、
という「子の福祉」の観点が重視されるためです。
特に、子どもが幼いほど、この条件は厳しく判断される傾向にあります。
ただし、子どもがいても、離婚後の養育費の支払いが確実になされるなど、子どもの生活環境が十分に保障されている場合は、離婚が認められる可能性も出てきます。
条件③:離婚によって相手方が精神的・経済的に極めて過酷な状況に置かれない
有責配偶者からの離婚請求を認めることによって、相手方が精神的、社会的、経済的に極めて過酷な状況に置かれないことも重要な条件です。
例えば、相手が病気で働けない、高齢で収入を得るのが難しいといった状況で、離婚によって生活が困窮することが明らかな場合は、離婚請求は認められません。
離婚を求める有責配偶者側が、十分な財産分与や慰謝料を支払うなど、離婚後の相手の生活を保障する具体的な提案を示すことが、この条件を満たす上で考慮される要素となります。
離婚専門部が解説!3つの条件を満たさなくても協議や調停で解決できる可能性
裁判で離婚を請求する場合、前述の3つの条件は非常に重要です。
しかし、これらの条件をすべて満たさなくても、離婚を成立させる方法はあります。
それは、夫婦間の話し合いによる「協議離婚」や、家庭裁判所の調停委員を介した「調停離婚」です。
これらの手続きでは、相手が最終的に離婚に合意すれば、有責性や3つの条件に関わらず離婚が成立します。
慰謝料や財産分与で相手に有利な条件を提示するなど、誠実な姿勢で交渉に臨むことで、裁判を避け早期に解決できる可能性は十分にあります。
有責配偶者であることは、慰謝料や財産分与にどう影響しますか?

有責配偶者であることは、離婚時のお金の問題に大きく影響します。
最も直接的な影響は、慰謝料の支払い義務が発生する点です。
一方で、財産分与や子どもの養育費については、有責性とは切り離して考えられるのが原則です。
もっとも、有責配偶者からの離婚が認められにくいことから、離婚をするために相応の譲歩をすることになることが多いでしょう。
それぞれの項目でどのような影響があるのかを正しく理解し、適切な条件での離婚を目指しましょう。
慰謝料の支払い義務が発生する可能性が高い
有責配偶者は、その有責行為によって相手方に与えた精神的苦痛を償うため、慰謝料を支払う責任を負う可能性が高いです。
慰謝料は、離婚原因を作ったことに対する損害賠償と位置づけられています。
不貞行為やDV、悪意の遺棄など、相手の人格権を侵害する行為があった場合に請求が認められます。
慰謝料の支払いは、相手の離婚への合意を得るための交渉材料となることも多く、有責配偶者にとって避けては通れない問題の一つです。
有責行為の程度によって変動する慰謝料の金額相場
慰謝料の金額は、法律で一律に決められているわけではありません。
金額の決め方としては、有責行為の内容や悪質性、婚姻期間、相手方が受けた精神的苦痛の度合いなどを総合的に考慮して決定されます。
例えば、不貞行為の場合の慰謝料相場は、一般的に100万円から300万円程度とされていますが、不貞の期間が長い、相手が妊娠・出産したなどの事情があれば増額される可能性があります。
反対に、婚姻期間が短い、すでに夫婦関係が破綻していたなどの場合は減額または支払いが不要となることもあります。
「有責だから財産はもらえない」は誤解!財産分与は原則2分の1
有責配偶者であっても、財産分与を受ける権利が無くなるわけではありません。
「有責だから財産は一切もらえない」というのは誤解です。
財産分与は、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産を公平に清算する制度であり、離婚原因とは別問題として扱われます。
そのため、貢献度に応じて財産を分けるのが原則で、専業主婦(主夫)の貢献も考慮され、基本的には2分の1の割合で分けることになります。
ただし、慰謝料的な意味合いを含めて、財産分与の割合を調整する形で合意がなされるケースもあります。
親権者の決定において有責性は直接的な不利にならない
親権者の決定において最も重視されるのは、「どちらの親と暮らすのが子どもの利益・福祉に最も適うか」という点です。
したがって、親の有責性が親権者の適格性に直接結びつくわけではありません。
例えば、親が不貞行為をしていたとしても、子どもへの愛情や監護能力に問題がなければ、親権者になることは可能です。
ただし、DVや子どもへの虐待、育児放棄などが離婚原因である場合は、子どもの福祉を害する行為と見なされ、親権者の判断において極めて不利な事情として考慮されます。
養育費の金額も有責性とは無関係に算定される
養育費は、子どもが経済的に自立するまでに必要となる生活費や教育費などを、親の扶養義務に基づいて分担するものです。
これは子どもの権利であり、親の離婚原因とは全く関係がありません。
したがって、有責配偶者であるからといって養育費の負担額が増えたり、減ったりすることはありません。
養育費の金額は、家庭裁判所が公表している「養育費算定表」に基づき、お互いの収入に応じて客観的に算定されるのが一般的です。
養育費の相場については「養育費の相場|年収・子供の人数ですぐわかる早見表と計算方法」で詳しく解説しています。
有責配偶者から離婚を切り出すには、どうすればよいですか?

有責配偶者から離婚を切り出す場合、裁判での請求は原則として認められにくいため、まずは当事者間の話し合いによる合意を目指すのが基本です。
感情的な対立を避け、相手の生活への配慮を示しながら、段階的に手続きを進めていく必要があります。
協議、調停、裁判というステップを理解し、それぞれの段階で適切な対応をとることが、スムーズな離婚成立の鍵となります。
STEP1:まずは夫婦間での話し合い(協議離婚)で合意を目指す
最初のステップは、夫婦間での話し合い(協議)です。
有責配偶者であるという立場を自覚し、相手に対して真摯に謝罪したうえで、離婚したい理由を誠実に伝えましょう。
この際、一方的に要求を突きつけるのではなく、慰謝料や財産分与などで相手に有利な条件を提示し、離婚後の生活への不安を解消することが重要です。
お互いが離婚そのものと離婚条件に合意できれば、離婚届を役所に提出するだけで協議離婚が成立します。
双方の合意形成が最も円満な解決方法です。
協議離婚については「協議離婚の進め方|流れ・必要書類・注意点を弁護士が解説」で詳しく解説しています。
STEP2:協議がまとまらなければ家庭裁判所に離婚調停を申し立てる
夫婦間の話し合いで合意に至らない場合や、相手が話し合いに全く応じない場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。
調停は、裁判官と民間の有識者から選ばれた調停委員が間に入り、双方の意見を聞きながら、合意に向けた話し合いを進める手続きです。
第三者が関わることで、感情的な対立が和らぎ、冷静な話し合いが期待できます。
調停で離婚の合意が成立すれば、その内容は調停調書に記載され、判決と同じ効力を持ちます。
調停離婚については「離婚調停とは?流れ・費用から有利に進めるポイントまで弁護士が解説」で詳しく解説しています。
STEP3:調停不成立の場合は離婚裁判(訴訟)へ移行する
調停でも合意ができなかった場合(調停不成立)、最終手段として離婚裁判(訴訟)を起こすことになります。
裁判では、法律上の離婚原因があるかどうか、また有責配偶者からの請求が例外的に認められる条件を満たしているかを、証拠に基づいて裁判官が判断します。
前述の通り、有責配偶者からの離婚訴訟は原則として認められにくいため、相当の別居期間などの客観的な事実を主張・立証していく必要があり、極めてハードルが高い手続きとなります。
離婚裁判の費用については「離婚裁判の費用相場と内訳|誰が払う?弁護士費用や払えない時の対処法」で詳しく解説しています。
弁護士が解説!有責配偶者が交渉を有利に進めるための話し合いのコツ
有責配偶者が交渉を進める上で最も重要なのは、相手の感情に配慮し、離婚後の生活保障を具体的に提示することです。
相場よりも高い慰謝料や、財産分与での譲歩を提案することで、相手の経済的な不安を和らげ、合意を得やすくなります。
弁護士に代理人として交渉を依頼するのも有効な手段です。
弁護士が間に入ることで、感情的な対立を避け、法的な観点から冷静かつ的確な主張ができます。
これにより、相手も話し合いに応じやすくなるというメリットがあります。
有責配偶者に関するよくある質問

有責配偶者に関して、多くの方が疑問に思う点について解説します。
有責配偶者とは、具体的にどのような行為を指しますか?
有責配偶者とされる主な行為は、不貞行為、悪意の遺棄、DVやモラハラなどです。
これらの行為は、法律で定められた離婚原因に該当し、夫婦関係を破綻させた主な責任がある行為といえます。
有責配偶者からの離婚請求は、絶対に認められないのでしょうか?
原則として認められませんが、絶対に不可能というわけではありません。
長期間の別居、未成熟の子がいない、相手が離婚により過酷な状況に陥らない、という3つの条件を満たす場合には、例外的に離婚請求が認められる可能性があります。
自分が有責配偶者の場合、子どもの親権は獲得できないのでしょうか?
親権者の判断は、どちらの親と暮らすのが「子の福祉」に資するかが最優先されます。
そのため、夫または妻が有責配偶者であること自体が、直ちに親権を獲得できない理由にはなりません。
これまでの養育実績や子どもへの愛情、離婚後の養育環境などが総合的に判断されます。
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まとめ

有責配偶者とは、不貞行為など離婚の原因を作った側の配偶者を指します。
有責配偶者からの離婚請求は、裁判では原則として認められませんが、長期の別居などの条件を満たせば例外的に認められる可能性があります。
また、相手の合意があれば協議や調停での離婚は可能です。
その際、慰謝料の支払い義務は生じますが、財産分与や親権、養育費は有責性とは別の基準で判断されます。
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監修者
弁護士法人キャストグローバル 離婚部
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