不倫慰謝料はいくら?相場と請求の11の基礎知識を弁護士が解説

監修者 弁護士法人キャストグローバル
離婚部弁護士
目次
目次を表示「パートナーの不倫が発覚した。慰謝料はいくら請求できるのだろうか。」
「相場はいくらなのか」
「不倫相手、パートナーにも請求できるのか」
「離婚したほうがいいのか、それともやり直すべきか」
何から整理すればよいのかを詳しく分からなくなる方が少なくありません。
不倫問題は、
- 慰謝料の相場
- 請求できる条件
- 不倫相手への請求の可否
- 消滅時効
- 証拠の有効性
- 離婚や子どもへの影響
などの論点が絡み合う法律問題です。
誤った判断をすると、本来請求できるはずの権利を失ったり、不利な条件で解決してしまったりする可能性もあります。
本記事では、「不倫慰謝料について知っておくべき11の基礎知識」を、裁判例の傾向も踏まえながら体系的に解説します。
配偶者の不倫に対して慰謝料請求を検討している方や、逆に慰謝料を請求された方も、まずは整理することから始めましょう。
1. 不倫慰謝料とは?請求できる基本条件
不倫慰謝料とは、配偶者の不貞行為によって受けた精神的苦痛に対する損害賠償です。
法律上は不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求となります。
パートナーに対して、慰謝料請求が認められるためには、主に次の条件が必要です。
- 不貞行為(肉体関係)があること
- 婚姻生活の平和の侵害=婚姻関係が破綻していないこと
- 損害の発生=精神的苦痛を被ったこと
ここでいう不貞行為とは、原則として異性間による肉体関係を伴う関係を指しますが、近時は、同性間よる肉体関係を含むようになっています。
頻繁な連絡やデートのみでは足りないと判断されることが多く、証拠の有無が極めて重要になります。
また、婚姻生活の平和を侵害することですから、不倫があった時点で夫婦関係がすでに破綻していた場合には慰謝料請求が認められません。
婚姻関係が破綻していた場合は、「いつの時点で破綻していたのか」という点も争点になります。
婚姻関係が破綻していないことは、特に争点となります。
ここでいう「破綻」とは、単に夫婦仲が悪いという程度ではなく、客観的にみて夫婦関係が修復困難な状態にあることをいいます。
例えば、
- 長期間にわたり別居している
- 離婚の合意が成立している、または離婚調停中である
- 生活費の支払いがなく、実質的な夫婦関係が消滅している
といった事情がある場合には、「すでに婚姻関係は破綻していた」と判断される可能性があります。
さらに、単に「別居している」というだけではなく、長期間である必要があります。
例えば、単身赴任や一時的な別居、冷却期間としての別居であれば、婚姻関係は継続していると評価されることが一般的です。
そのため、不倫があった時点で夫婦関係がどういう状態だったのかが、慰謝料請求の可否を左右する重要な判断材料になります。
基本的な条件の詳細については、 下記の記事で詳しく解説しています。
2. 不倫は犯罪なのか?法律上の位置づけ
不倫が発覚すると「犯罪になるのでは」と不安になる方もいます。
結論として、不倫(不貞行為)は犯罪ではありません。
日本では不倫そのものを処罰する刑法の規定はありません。
不倫は刑事問題ではなく、民事上の損害賠償の問題として扱われます。
そのため、問題の中心は「慰謝料をいくら請求できるか」「請求が認められるか」という点になります。
3. 慰謝料はいくら?不倫慰謝料の相場を事例で解説
不倫慰謝料の相場は一律ではありません。
一般的には、数十万円から300万円程度が一つの目安とされることが多いですが、次の事情によって増減します。
- 婚姻期間の長さ
- 不倫の回数・期間・その他の事情
- 離婚に至ったかどうか
- 未成年の子どもの有無
- 不貞後の態度
裁判例の傾向としては、次のような水準が一つの目安とされています。
- 離婚に至らないケース:50万円〜150万円程度
- 離婚に至ったケース:150万円〜300万円程度
もっとも、不倫慰謝料の金額は一律ではなく、事案ごとの事情によって大きく異なります。
以下、代表的な事例で見てみましょう。
【事例①】婚姻数年・子ども1人・不倫期間半年・離婚せず
慰謝料額は80万円と認定されました。同様の事案において、70万円~100万円に収まるケースが多く見られます。
期間が比較的短く、回数も多くはなく、離婚に至っていない点が考慮されています。
【事例②】婚姻15年・子ども2人・不倫期間5年・別居(その後離婚)に至った
慰謝料額が、300万円と認定されました。長期間にわたり不倫が継続し、結果として別居(離婚)に至った場合は、200万円〜300万円程度が認められることがあります。
不貞期間が長く、回数も多い、一方で、婚姻期間が長く、別居という結果に至ったことが考慮されました。
【事例③】すでに別居中で夫婦関係が悪化していたケース
慰謝料額が50万円となりました。不倫発覚前から長期間別居していたなど、婚姻関係が弱まっていた事情がある場合は、50万円以下にとどまることもあります。
婚姻関係が破綻していたと認められた場合には、慰謝料請求が認められないことになります。
慰謝料額は、総合的に事情を考慮して、どれほどの精神的苦痛を与えたのかにより判断されます。
婚姻期間、不倫の悪質性、子どもの有無、離婚の有無などを総合的に考慮した個別判断となるため、相場だけでなく具体的事情の整理が重要です。
ご自身のケースでどの程度が見込まれるかは、事情を整理したうえでの個別判断が必要です。
さらに詳細な相場の解説は、下記の記事をご覧ください。
4. 不倫相手にも慰謝料請求できるのか
慰謝料は配偶者だけでなく、不倫相手にも請求できる場合があります。
不倫は、配偶者と不倫相手による「共同不法行為」と考えられるためです。
もっとも、不倫相手に慰謝料請求が認められるためには、先ほどの条件に加えて、下記④の要件が必要です。
- 不貞行為(肉体関係)があること
- 婚姻生活の平和の侵害=婚姻関係が破綻していないこと
- 損害の発生=精神的苦痛を被ったこと
- 不倫相手に故意・過失があること
不倫相手の故意・過失とは、既婚者であると知っていた、または既婚者であると知り得たことをいいます。
なお、不倫相手とパートナーの双方に請求することも可能ですし、どちらか一方に請求することも可能です。
ただし、二重取りで2倍受け取れるということではありません。共同で一つの不法行為をした結果一つの損害が生じたということになりますから、二人合わせて一つです。
また、どちらか一方が慰謝料を払った場合でも、二人での共同ですから、もう一方に対して、相手の負担分を支払うように請求することができます。
これを求償といいます。
求償権については、下記の記事で詳しく解説しています。
また、実際の事例については、下記の記事をご参考ください。
5. 不倫慰謝料の時効|請求できる期間に注意
不倫慰謝料には、請求できる期間の制限(消滅時効、民法724条)があります。
主な時効の起算点は次のとおりです。
- 不倫相手、不貞行為を知ったときから3年
- 不貞行為があったときから20年
特に重要なのは「知ったときから3年」という期間です。
話し合いを続けているうちに時効が成立してしまうケースもあります。
時効が成立すると、原則として慰謝料を請求できなくなります。
判断に迷う場合は、早めに専門家である弁護士へ相談することが重要です。
6. 不倫慰謝料請求で重要な証拠【事例で解説】
不倫慰謝料請求では、不貞行為(肉体関係)を裏付ける証拠が極めて重要です。
裁判では感情的な主張だけでは足りず、客観的な証拠によって不貞行為の存在を立証できるかが大きな分かれ目になります。
代表的な証拠は次のとおりです。
- ラブホテルへの出入り写真や動画
- 肉体関係を示唆するLINEやメールのやり取り
- 相手宅での宿泊とその他肉体関係を推測できる事実があること
- 不倫を認める自認書や録音データ
これらの証拠は、それ単体で肉体関係があったと立証できることになります。
これらの証拠がなかったとしても、総合的な判断によって、肉体関係があったと判断される場合があります。
【事例①】ホテル(ラブホテル以外)の出入り写真
複数回にわたるホテル出入りの写真がある場合、不貞行為が強く推認され、慰謝料請求が認められる可能性が高くなります。
【事例②】親密なLINE
「会いたい」「愛している」といったやり取りに加えて、より親密さを表すようなやり取りがある場合です。
【事例③】手つなぎ、キスなどの写真
友人関係を超えているという証拠にはなります。単体で肉体関係があったとまでは推認することが難しいです。
【事例④】コンドーム、大人のおもちゃなどの写真
パートナーと使っていない道具が見つかった場合には、他で使っているという証拠になります。誰と使ったかまではわからない点に注意が必要です。
証拠収集の段階から法的な視点を持つことが重要です。
不貞行為の証拠については、下記の記事もご参考ください。
昨今、GPSをつけた探偵が逮捕されるなど、違法な方法で取得した証拠が問題となっています。裁判で証拠として認められない、場合によっては逮捕されるなどの問題となりますので、証拠収集方法に注意してください。
7. 不倫は離婚や生活全体にどのような影響があるのか
不倫が発覚すると、次のような影響が生じることがあります。
- 慰謝料請求を受ける、または請求する
- 離婚協議や調停に進む
- 別居に発展する
- 子どもや親族を巻き込む問題になる
精神的な負担が大きくなるだけでなく、住居や収入、子どもの生活環境など、現実的な問題が次々と生じます。
また、不倫が原因で夫婦関係が悪化すると、話し合いが感情的対立に発展しやすく、解決まで長期化することもあります。
慰謝料請求はあくまで問題の一部にすぎず、今後の生活設計まで見据えた冷静な判断が重要です。
次に、不貞などによって、離婚へ向けて進んだ場合のポイントを解説します。
8. 離婚に伴うお金の問題
離婚に至る場合、慰謝料以外にも整理すべきお金の問題があります。
主なものは次のとおりです。
- 財産分与
- 婚姻費用(別居中の生活費)
- 養育費
- 年金分割
慰謝料は精神的苦痛に対する賠償ですが、財産分与は夫婦が協力して築いた財産を分ける制度であり、性質が全く異なります。
不倫をした側であっても、財産分与を受ける権利があります。
婚姻費用は、収入の多い側が婚姻費用を支払う義務を負うことが多いです。
感情的な責任論とは別に、法律上の権利義務を正確に整理することが重要です。
詳しくは下記の記事で解説しています。
9. 不倫と子どもの問題(親権・養育費)
子どもがいる場合、不倫問題は親権や養育費の問題にも影響します。
不倫するような相手に子どもを任せられないとおっしゃる方は多いです。感情的にはとても理解できるのですが、「不倫をした=親権が取れない」ということはありません。
親権は、子どもの利益(福祉)により判断され、不倫とは直接関係がないからです。
判断にあたっては、下記4点が総合的に考慮されます。
- これまで主に監護してきたのは誰か
- 現在の生活環境の継続性
- 監護体制や収入状況
- 子どもの意思(年齢に応じて)
また、不貞をして離婚するのだから養育費を払いたくない、とおっしゃる方も多いです。ですが、養育費は子どもの生活のための費用であり、不貞と直接関係がありませんから、支払う義務があります。
不倫の有無だけで結論が決まるわけではないため、感情論ではなく、子どもの将来を見据えた判断が必要です。
詳しくは下記の記事をご参考ください。
10. 離婚するか迷っている場合の考え方
不倫が発覚したからといって、必ず離婚を選ばなければならないわけではありません。
実際には、下記のような複数の選択肢があります。
- 離婚せずに(不貞相手のみに)慰謝料を請求する
- 関係修復を前提に話し合う
- 一定期間別居して冷静に判断する
- 離婚と慰謝料請求を同時に進める
重要なのは、感情が整理できていない段階で結論を急がないことです。
離婚する場合でも、しない場合でも、下記の準備は共通して重要です。
- 証拠を確保しておく
- 慰謝料の消滅時効を確認する
- 自分の将来設計を整理する
迷っている段階でも、弁護士への相談は可能であり、選択肢を整理すること自体に意味があります。
11. 不倫問題は早めの相談が解決への近道
不倫問題は感情的対立が強くなりやすく、当事者同士の話し合いだけでは解決が難航することも少なくありません。
慰謝料の金額、証拠の有効性、時効、財産分与や養育費など、法的論点は多岐にわたります。
自己判断で進めた結果、
- 本来請求できたはずの慰謝料を請求できなくなる
- 不利な条件で示談してしまう
- 不要なトラブルが拡大する
といった事態につながる可能性もあります。
弁護士に相談することで、現在の状況に応じた最適な対応方針を整理することができます。
配偶者の不倫にお悩みの方も、慰謝料請求を受けた方も、早期の対応が問題の長期化を防ぐ重要なポイントになります。
一人で抱え込まず、専門家である弁護士に相談することが解決への近道です。
まとめ|不倫慰謝料は全体像の整理が重要
不倫慰謝料は、請求できる条件、相場、証拠の有無、時効、さらには離婚や子ども、お金の問題まで、多くの要素が関係します。
ご自身の状況を正確に整理することが、適切な判断への第一歩です。
不倫問題は、精神的にも大きな負担を伴います。
しかし、正しい知識を持ち、証拠や時効などのポイントを押さえて行動することで、後悔のない解決につながります。
立場や状況によって、取るべき対応は一人ひとり異なります。
キャストグローバルでは、離婚専門部があり、不倫慰謝料を含む離婚問題に多くの実績を持つ弁護士が、あなたの気持ちに寄り添いながら対応します。
一人で悩まず、不安を感じたらまずはお気軽にご相談ください。
▶ 配偶者の不倫に悩んでいる方へ
慰謝料を請求できるのか、不倫相手にも責任を問えるのか、証拠は足りているのかなど、早い段階で見通しを整理することが重要です。
ご自身の状況でどのような請求が可能かは事案によって異なるため、一度弁護士に相談し、具体的な見通しを確認することをおすすめします。
▶ 慰謝料を請求された方へ
請求額は妥当か、減額できる可能性はあるのか、支払義務があるのかなど、法的な整理が必要です。
請求内容が法的に妥当かどうかを判断するためにも、早い段階で弁護士に相談し、対応方針を整理することをおすすめします。
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