コラム

疼痛性感覚異常(CRPS)の後遺障害等級について

  • 交通事故

疼痛性感覚異常はどんな症状が出るのか

交通事故について調べたことがある方であれば、「疼痛性感覚異常」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?

疼痛性感覚異常(CRPS)とは、簡単に説明すると「事故によって生じたケガを治療・ギブス固定した後で、ケガをした腕や脚の一部に原因がハッキリしない痛みなどの症状が現れること」です。

疼痛性感覚異常には大きく分けてCRPS typeⅠ(従来のRSD(反射性交感神経性ジストロフィー))とCRPS typeⅡ(従来のカウザルギー)とがあります。
TypeⅠの症状には、ずきずき疼くような痛みや皮膚の色の変化、膨張、骨の萎縮、関節の可動域の制限、発汗状態の変化などが挙げられます。
一方でtypeⅡの代表的な症状は、灼けるような痛みや痛覚過敏などです。

この記事では、疼痛性感覚異常の概要と、その後遺症が残った場合に認められうる後遺障害等級について説明します。

疼痛性感覚異常の原因とは

疼痛性感覚異常の原因は、未だ明らかになっていないというのが現状です。
今のところ、原因の有力候補であると考えられているのは、末梢神経の損傷、遺伝的要因、ケガによるストレスなどです。

ちなみに、上で出てきたtypeⅠとtypeⅡのちがいは、typeⅡは明らかな末梢神経の損傷後に症状が現れる(typeⅠはそうではない)ということにあります。
とはいえ、疼痛性感覚異常は原因ではなく現れている症状によって診断されることがほとんどです。そのため、結局原因はハッキリしないことがほとんどとなっています。

疼痛性感覚異常は医師でも判断が難しい

上述のとおり、疼痛性感覚異常はその原因が明らかではありません。
またその症状も様々で、上に挙げた代表的なもの以外にも、しびれや抑うつ状態、皮膚の温度変化なども症状として現れることがあります。

そのため、交通事故後に被害者が疼痛を訴えたとしても、医師が確信をもって「これは疼痛性感覚異常である」と判断することはなかなかできません。
本来であれば疼痛性感覚異常に当てはまる場合でも、医師とのコミュニケーションが不完全で、疼痛性感覚異常と診断されていないといったケースも多くあると思われます。

この後遺症に限った話ではありませんが、医師には自分の感じる痛みや気になる症状を詳しく、できるだけ正確に伝え、適切な診断と治療を受けられるよう自分で気をつけるようにしましょう。

どの様な痛みがあるのかを医師に正確に伝える事が重要

このように、医師であってもその判断は難しい後遺症であるため、ケガの後に疼痛が残っていると感じた場合はできるだけ早く専門医にかかることが重要です。
疼痛性感覚異常の症状は、ケガの治療・ギブス等での固定後、しばらくしてから急に現れることがあります。しかし、事故からかなり時間が経ってから通院を始めると、症状と事故とが関係ないものではないかと疑われてしまう場合があるのです。
また、早めに通院を始めれば、その分早めの後遺障害認定に繋がるため、認定された場合に保険金がもらえる時期も早まります。

後遺障害等級認定の可能性を上げるためにも、早めの診断を得られるように動きましょう

また、後述するように、どのような痛みがあるのか、どのくらい痛いのか、どのくらいの頻度で生じるのかが後遺障害等級認定に大きく影響を与えることになります。
そのため、医師から聞かれずとも、自分が感じる痛みについては詳しく伝えることが大事です。
また、どのような痛みがあったかを忘れないように、自分でも日記のような形で詳しくメモを取っておくと後々役に立つかもしれません。

疼痛性感覚異常の後遺障害等級

疼痛性感覚異常によって認められうる後遺障害等級は、軽いものから順に以下の4つです。

  • 14級(局部に神経症状を残すもの)
  • 12級(局部に頑固な神経症状を残すもの)
  • 9級(神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの)
  • 7級(神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの)

ただし上述のとおり、疼痛性感覚異常は原因がハッキリしないものであるため、後遺障害等級認定へのハードルはかなり高い、特に12級以上のハードルは高いと覚悟しておきましょう。

まず、後遺障害等級認定してもらうためには、客観的にハッキリと症状が現れている事実を示さなければなりません。
具体的には、ケガをしていない側の腕脚と比べて、ケガをした側の腕脚に以下のいずれかが認められなければなりません。

  1. 関節の可動域の制限
  2. 骨の萎縮
  3. 皮膚の変化

これらのうちのいずれかが客観的に明らかに認められなければ、後遺障害等級は認定されないのです。

こうした症状が認められることを前提に、疼痛の頻度や強度、部位、性状、持続時間や疼痛の原因と考えられる所見を総合的に考慮して、被害者の労働能力に与える影響の大きさを判断し、それによって後遺障害の等級が認定されるのです。

上記の①〜③が認められたとしても、疼痛が労働能力に影響を与えるほど強いものではないと判断されてしまうと、後遺障害等級には認定されません。
そのため、前述のとおり、痛みについて詳しく記録し、医師にしっかり伝えておくことが重要となるのです。

医師に症状を伝える際、自分の表現方法に不安のある方は、ぜひ一度当事務所へご相談ください。