離婚後の扶養義務はどうなる?扶養義務の内容や対象者の範囲を弁護士が解説

監修者 弁護士法人キャストグローバル
離婚部弁護士
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目次を表示離婚を考えたとき、「相手の生活費は支えなければならないのか」「子どもの養育費はもらえるのか」といったお金の問題は避けて通れません。
これらの問題は、法律で定められた「扶養する義務」があるかどうかにあります。
この記事では、離婚における扶養義務の内容や、対象となる人の範囲について、専門家の視点からわかりやすく解説します。
この記事を読めれば、離婚後の扶養義務がどうなるのかを正しく理解し、ご自身の状況に合わせて適切に行動できるようになります。
この記事でわかること
・法律で定められた「扶養義務」の基本的な内容と対象範囲
・離婚によって元配偶者への義務はなくなり、子どもへの義務は継続する点
・離婚の前後で請求できる「婚姻費用」と「養育費」というお金の種類
・相手が支払いを拒んだ場合の法的な対処方法
扶養義務とは?民法で定められた親族間で支え合うためのルール

扶養義務とは、自分一人の力では生活が困難な親族に対して、経済的な援助を行う義務のことです。
これは単なる道徳的な助け合いではなく、民法という法律(民法877条)で定められた法的な義務であり、特定の親族間で互いに支え合うための重要なルールとして機能しています。
わかりやすく言えば、身内に生活に困っている人がいれば、一定の範囲で経済的にサポートしなければならない、と法律で決まっているのです。
この扶養義務の具体的な内容は、扶養する側とされる側の関係性によって、その重さが異なります。
どこまで支える必要がある?扶養義務の2つのレベル「生活保持義務」と「生活扶助義務」

扶養義務には、その義務の重さによって2種類に分けられます。
一つは「生活保持義務」、もう一つは「生活扶助義務」です。
生活保持義務は、自分と同じレベルの生活を相手にも保障する、非常に重い義務を指します。
扶養によって自分の生活レベルが下がったとしても、その下がったレベルで相手を扶養しなければなりません。
これに対し、生活扶助義務は、自分の生活を維持した上で、余力がある範囲で相手を援助(扶助)する義務です。
義務のレベルが異なるため、誰に対してどちらの義務を負うのかを理解しておくことが重要です。
次に、扶養義務を負う対象者の具体的な範囲について見ていきましょう。
扶養義務は誰が負う?民法で定められた対象者の範囲

扶養義務を負う人の範囲は、民法で定められています。
これを「扶養義務者」と呼びます。
すべての親族や家族が対象となるわけではなく、法律で定められた特定の関係にある人がこの義務を負います。
具体的には、配偶者、直系血族、兄弟姉妹が原則的な扶養義務者とされています。
また、特別な事情がある場合には、家庭裁判所の判断によって、これ以外の親族も扶養義務を負うことがあります。
直系血族(祖父母・親・子・孫など)と兄弟姉妹
直系血族とは、自分と直接的な親子関係でつながる系統の親族を指します。
具体的には、自分の祖父母、両親、子、孫などがこれにあたります。
これらの親族間では、互いに扶養する義務があります。
例えば、高齢で収入のない親の生活を、その子が支えるケースが典型です。
また、兄弟姉妹間でも互いに扶養義務を負うことが法律で定められています。
配偶者(夫・妻)
夫婦は、結婚している間、互いに協力し助け合う義務を負っています。
これには、経済的な扶養も含まれます。
したがって、配偶者の一方が病気や失業などで収入がなくなった場合、もう一方の夫または妻は、相手の生活を支える扶養義務を負います。
この義務は、夫婦関係が継続している限り続きます。
事実婚(内縁関係)と法律婚の違いについては「事実婚(内縁関係)とは?法律婚との違い、メリット・デメリット」で詳しく紹介しています。
特別な事情がある場合の三親等内の親族
民法では例外として、「特別な事情」がある場合に限り、家庭裁判所の判断によって、三親等内の親族にも扶養義務が課されることがあります。
3親等の親族とは、甥や姪、おじやおばなどが含まれます。
例えば、他に頼れる親族がいない状況で生活に困窮している場合など、例外的に義務が発生する可能性があります。
離婚すると扶養義務はどう変わる?配偶者と子どもへの影響

離婚は、家族関係に大きな変化をもたらすため、それに伴い扶養義務の内容も変わります。
特に、元配偶者と子供に対する義務については、離婚前と後で扱いが大きく異なるため、正確に理解しておく必要があります。
離婚によって扶養義務が消滅する関係と、変わらずに継続する関係があるため、それぞれについて確認することが重要です。
離婚とお金に関する情報については「離婚とお金について」で詳しく紹介しています。
元配偶者(夫・妻)への扶養義務は原則なくなる
離婚が成立すると、法的な夫婦関係が解消されます。
それに伴い、配偶者として互いに負っていた扶養義務は、原則としてなくなります。
つまり、離婚後は元夫や元妻の生活を経済的に支える法的な義務は免除されるのが基本です。
ただし、財産分与や慰謝料とは別の形で、離婚後の元配偶者の生活を一定期間支援する内容の合意(扶養的財産分与など)を双方で行うことは可能です。
子どもに対する扶養義務はなくならない
離婚によって夫婦の関係は終わりますが、親子の関係は法的に何ら変わりません。
そのため、親が子どもに対して負う扶養義務は、離婚後もそのまま継続します。
親権者であるかどうかに関わらず、親は子どもの生活を支え、成長を見守る責任を負い続けます。
この義務が、離婚後に支払われる「養育費」の法的な根拠となります。
養育費については「親権・養育費とは?離婚時の決め方や相場、共同親権を弁護士が解説」で詳しく紹介しています。
扶養義務に基づいて離婚前後に請求できるお金の種類

扶養義務は、具体的なお金の請求という形で権利として現れます。
特に離婚を巡る状況では、離婚が成立する前と後で請求できるお金の種類が異なります。
夫婦や親子という関係性から生じる扶養義務を根拠に、生活を維持するために必要な費用を相手に求めることが可能です。
ここでは、離婚の前後で請求できる代表的なお金について解説します。
離婚が成立する前なら「婚姻費用」を請求できる
離婚が成立するまでの間、たとえ別居していても法的には夫婦であることに変わりはありません。
そのため、夫婦間の扶養義務に基づき、収入の少ない側は多い側に対して生活費を請求する権利があります。
このお金を「婚姻費用」と呼びます。
婚姻費用には、配偶者の生活費だけでなく、子どもを監護している場合にはその養育費も含まれます。
婚姻費用の請求については「婚姻費用を請求したい!相場、請求手続きと最新算定表について弁護士が解説」で詳しく紹介しています。
離婚した後なら「養育費」を請求できる
離婚が成立した後は、子どもに対する扶養義務に基づいて「養育費」を請求できます。
養育費は、子どもが経済的に自立するまでに必要となる、衣食住の費用や教育費、医療費など一切の費用を指します。
親権者でなくとも、親である以上は子どもを扶養する義務があるため、子どもを監護していない親は養育費を支払う責任を負います。
親権・養育費については「親権・養育費とは?離婚時の決め方や相場、共同親権を弁護士が解説」で詳しく紹介しています。
相手が婚姻費用や養育費の支払いを拒否した場合の対処法

婚姻費用や養育費は法的な権利ですが、相手が話し合いに応じず、支払いを拒否するケースは少なくありません。
このような問題が発生した場合、当事者間での解決が困難であれば、法的な手続きを通じて解決を図る必要があります。
主な対処法として、家庭裁判所での調停や審判を利用する方法があり、最終的には相手の財産を差し押さえる強制執行も可能です。
養育費が払われない場合の罰則や強制執行、免除されるケースについては「養育費が払われない!どうする?罰則や強制執行、免除されるケースを弁護士が解説」で詳しく紹介しています。
家庭裁判所に「婚姻費用分担請求調停」を申し立てる
相手が婚姻費用の支払いに応じない場合、家庭裁判所に「婚姻費用分担請求調停」を申し立てることができます。
調停とは、裁判官と調停委員が間に入り、双方の事情を聞きながら話し合いを進め、合意を目指す手続きです。
ここで合意に至れば調停が成立し、合意内容をまとめた調停調書が作成されます。
この調書は、裁判の判決と同じ効力を持ちます。
家庭裁判所に「養育費請求調停」を申し立てる
離婚後に相手が養育費を支払わない場合も同様に、家庭裁判所に「養育費請求調停」を申し立てることが可能です。
調停では、裁判所が公表している「養育費算定表」を参考に、双方の収入や子供の人数、年齢などに応じて適切な金額が話し合われます。
調停で合意に至らない場合は、自動的に審判手続きに移行し、裁判官が支払うべき金額を決定します。
養育費の相場と計算方法については「養育費の相場|年収・子供の人数ですぐわかる早見表と計算方法」で詳しく紹介しています。
扶養義務に関する問題は離婚に強い弁護士への相談が重要

扶養する義務に関する問題、特に離婚が絡む婚姻費用や養育費の請求は、法律的な知識だけでなく、交渉の進め方が結果を大きく左右します。
当事者同士での話し合いは感情的になりがちで、かえって問題を複雑にしてしまうことも少なくありません。
後悔しない離婚を実現するためには、早い段階で離婚問題に精通した弁護士に相談することが重要です。
専門家が介入することで、冷静かつ法的に有利な交渉を進めることが可能になります。
【課題の深掘り】当事者間の交渉で陥りがちな精神的疲弊と将来のリスク
当事者間での話し合いは、「相手が聞く耳を持たない」「感情的になり話が進まない」といった状況に陥りがちです。
このような交渉を続けることは心身ともに疲れ果ててしまうだけでなく、法的に不備のある内容で合意してしまうリスクも伴います。
例えば、口約束だけで書面を残さなかったり、作成した合意書の内容が不十分で法的な意味をなさなかったりすると、後になって約束が守られず、結局トラブルが再燃するという問題が頻発します。
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当事務所は、これまでに6,200件以上の相談実績があります。
2021年版の弁護士白書によれば、弁護士1人当たりの年間の家事調停事件数は東京でわずか0.7件とされており、いかに多くの離婚事件を扱わない弁護士が多いかがわかります。
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扶養義務に関するよくある質問

扶養する義務に関する問題は、個別の事情によって疑問点が多岐にわたります。
ここでは、特に離婚に関連して多く寄せられる質問とその回答をまとめました。
離婚後の子どもの扶養義務は何歳まで続くのですか?
原則として、子が経済的に自立し、独立して生活できるようになるまでです。
離婚協議などで、「大学を卒業するまで」や「20歳まで」などと取り決めることも多いです。
ですが、夫婦の合意によって、扶養義務がなくなるわけではありません。
子どもの進学など、個別の事情を考慮して当事者間で話し合い、柔軟に期間を設定してください。
親権が何歳までかについては「親権は何歳まで?離婚後の養育費はいつまで?18歳終了の影響も解説」で詳しく紹介しています。
扶養義務で支払う養育費の金額はどのように決まるのですか?
養育費の金額は、まず当事者間の話し合いで決めます。
金額の基準は、家庭裁判所が公開している「養育費算定表」です。
この算定表は、支払う側と受け取る側の双方の年収、子どもの人数と年齢に応じて、標準的な養育費の月額がわかるように作られています。
養育費の相場と計算方法については「養育費の相場|年収・子供の人数ですぐわかる早見表と計算方法」をご参考ください。
再婚した場合、元配偶者や子どもへの扶養義務に変化はありますか?
元配偶者への扶養義務は離婚時に消滅しているため、再婚による変化はありません。
子どもへの扶養義務は、親である限りなくなりませんが、養育費の金額が変更される可能性があります。
例えば、養育費を受け取る側が再婚し、子どもが再婚相手と養子縁組をした場合は、一時的にはその再婚相手に扶養義務がありますので、減額の理由となり得ます。
再婚相手との子が生まれたことで養育費減額が認められたケースについては「再婚相手との子が生まれたことで養育費減額が認められたケース」で詳しく紹介しています。
弁護士法人キャストグローバルが選ばれる理由

離婚という人生の大きな決断において、どの弁護士に依頼するかは、その後の人生を大きく左右する重要な選択です。
当事務所が多くのご依頼者様から選ばれるのには、離婚問題に特化した専門性と、ご依頼者様に寄り添う確かなサポート体制という理由があります。
離婚問題に特化した「離婚専門部」によるチーム対応
当事務所では、離婚問題のみを専門的に取り扱う「離婚専門部」を設置しています。
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一般的な法律事務所では他の事件と並行して対応することも少なくありませんが、当事務所では離婚案件に特化した効率的なフローを構築しており、ご依頼者様一人ひとりに寄り添う時間を確保しています。
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そのため、離婚に伴って発生する不動産の登記手続きや税金の問題なども、グループ内で連携してワンストップで対応可能です。
複数の事務所に依頼する手間なく、安心してすべての手続きをお任せいただけます。
まとめ

扶養義務は、民法で定められた親族間の法的な義務です。
特に離婚の際には、配偶者への義務は原則としてなくなりますが、子どもへの義務は継続し、婚姻費用や養育費という形で具体化します。
これらの金銭問題は、当事者同士の話し合いだけでは感情的な対立を生みやすく、将来的なトラブルの原因にもなりかねません。
法的に適切な内容で、かつご自身の権利を確実に守るためには、離婚問題に精通した専門家である弁護士のサポートが不可欠です。
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離婚に関する問題は、慰謝料、財産分与、親権、養育費など、複雑な法律問題が絡み合い、精神的な負担も非常に大きいものです。
当事者だけで解決しようとすると、感情的になってしまい話が進まないことも少なくありません。
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初回相談は無料です。一人で悩まず、まずは私たちにご相談ください。
離婚問題に関する弁護士への相談については「離婚・慰謝料 解決サポート|弁護士法人キャストグローバル」で詳しく紹介しています。
監修者
弁護士法人キャストグローバル 離婚部
離婚に関する記事は、当事務所の弁護士・専門スタッフが監修しています。離婚・男女問題のご相談を中心に、これまで6,200件以上のご相談に対応してきました。
離婚・男女問題で不安や悩みを抱えながら一歩を踏み出そうとしている方へ、法律のことはもちろん、心に寄り添う対応を心がけています。夫婦カウンセラーの資格を持つスタッフも在籍し、傷ついた心にも寄り添ったサポートを提供しています。