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離婚・慰謝料 解決事例、コラム

当事務所で解決した離婚・慰謝料事例の一部のご紹介となります。

男性
性別:
男性
子ども:
あり

有責配偶者からの離婚を求められたケース

1 依頼内容

婚姻関係が悪化しており依頼者は離婚を求めていましたが、依頼者の不貞行為により関係は最悪なものとなりました。相手方に不貞行為がバレてしまい、話し合ったのですが、相手方は相談者の不貞行為をどうしても許すことはできないというものでした。また、相手方は、相談者と一緒に生活することも出来ないし、出来るとも思っていないということでした。そうであるにもかかわらず、相手方は相談者との離婚を拒み続けました。相手方からみても依頼者から見ても婚姻関係は完全に破綻しているのですが、相手方は離婚を拒否し続け、裁判手続外での話し合いでは解決しませんでした。夫婦関係調整調停(離婚)を申し立てて、離婚について話し合いをしましたが、それでも決着はつきませんでした。そこ
で、やむなく離婚を求めて訴訟提起をすることになりました。

2 裁判での対応

有責配偶者からの離婚請求について、従来の裁判例においては、「積極的破綻主義」という考え方がとられています。どういうことかといいますと、一方の配偶者が、配偶者以外と肉体関係をもつといった不貞行為や、配偶者へのDV、社会通念を超えた暴言等により実質的に夫婦関係が破綻していることがあります。その場合、夫婦関係が破綻しているわけですから離婚を認めるべきです。破綻の原因を作った配偶者からの離婚請求においても、基本的には離婚を認めるべきでしょう。しかしながら、破綻の原因を作っていない配偶者が、離婚によって経済的に困窮し、生活がままならなくなるのはかわいそうです。このような特段の不利益を被る場合には離婚を認めるべきでない、という考え方を「積極的破綻主義」といいます。

本件において、たとえばお子さんが幼いことで養育に不便が生じたり、相手方の収入が少ないため経済的に苦しくなってしまうということがあり、離婚を認めてしまうと相手方に酷であると言える事情が多少なりともありました。相手方が離婚を拒否していた理由はまさにそこです。そうはいっても、夫婦関係はもはや修復不可能と考えている夫婦に、夫婦関係を継続させることは現実的ではありませんでした。

このような状況でしたので、裁判官も訴訟段階から相手方に就いた代理人も、基本的には離婚をする方向で一致することができ、あとはどれだけの条件をこちらが提示できるかが問題となりました。最終的には、依頼者のご両親にも協力いただき、何とか相手方が納得できる条件を提示することができたので、無事和解により解決しました。

3 コメント

有責配偶者からの離婚の相談を受けることも多いです。相手が許せないという気持ちはとても分かりますので、容易に離婚を受け入れられないというのももっともなことです。しかしながら、夫婦関係が完全に破綻してしまい、到底回復が困難であるにもかかわらず、一つ屋根の下に暮らしていくというのは、精神的に相当な負担となります。相手の第二の人生を考慮しつつ粘り強く交渉していかねばなりません。離婚したくないと言われても、どうしてそう思うのかという言葉の奥にある趣旨目的を感じ取ることは、いかなる問題解決においても大切なことです。