養育費の公正証書作成費用|手数料の計算方法と補助金制度を弁護士が解説

監修者 弁護士法人キャストグローバル

離婚部弁護士

離婚後の養育費の不払いを防ぐため公正証書の作成を検討しているものの、具体的な費用がわからず、一歩踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
公正証書の作成にかかる手数料や料金は、取り決める養育費の金額によって変動するため、事前に概算を把握しておくことが重要です。
この記事を読めば、ご自身のケースで公正証書作成にかかる費用の目安がわかり、自治体の補助金制度の活用法も含めて予算の目処を立てられます。

弁護士が専門家の視点で詳しく解説しますので、作成すべきかどうかの判断にお役立てください。

この記事でわかること

・ 養育費総額(最大5年分)で決まる公正証書作成費用の仕組み
・ 費用負担を軽減できる自治体の補助金・助成金制度
・ 裁判なしで強制執行できるなど、公正証書を作成するメリット
・ 公正証書の効力を無駄にしないための作成時の注意点

養育費の公正証書作成にかかる費用とは?費用の内訳と相場を解説

養育費の公正証書作成にかかる費用とは?費用の内訳と相場を解説
養育費に関する公正証書の作成費用は、主に「公証人手数料」と、謄本代などの「諸費用」から構成されます。
全体の費用相場は、取り決める養育費の金額にもよりますが、数万円程度になることが一般的です。
公証人手数料は、法律で定められた基準に基づいて算出されるため、どの公証役場で作成しても同じ金額になります。

一方で、弁護士などの専門家に作成のサポートを依頼した場合は、別途依頼料金が発生します。
離婚の弁護士費用については「離婚の弁護士費用の内訳と総額目安」で詳しく紹介しています。

公正証書作成の手数料は「目的の価額」によって決まる

公正証書作成の基本手数料は、その証書で取り決める法律行為の目的の価額に応じて決まります。
目的の価額とは、その契約によって得られる経済的な利益を金額で表したものです。
養育費の場合は、将来受け取る養育費の総額がこれにあたります。

この総額が大きくなるほど、手数料も段階的に高くなる仕組みです。
具体的な金額については、政令で定められた基準表に基づいて算出されます。

手数料以外にも必要となる諸費用一覧

公正証書の作成には、基本手数料以外にもいくつかの実費(諸費用)がかかります。主なものは以下の通りです。

これらの料金は、作成する公正証書の内容や枚数によって変動します。

  • 正本・謄本の交付手数料:1枚あたり300円
  • 送達手数料:実費(送達証明書代を含む場合があります)
  • 証書の枚数が4枚を超える場合の加算料金:5枚目以降1枚につき300円
  • 印紙代(収入印紙):公正証書は原則として非課税ですが、金銭消費貸借契約など特定の契約内容を含む場合は必要になることがあります。

養育費の金額で変わる!公正証書の基本手数料

養育費の金額で変わる!公正証書の基本手数料
養育費の公正証書を作成する際の基本手数料は、養育費の総額(目的の価額)によって法律で定められています。
以下の表は、日本公証人連合会が定める基準です。
ご自身のケースで受け取る養育費の総額がどの区分に該当するかを確認することで、手数料の概算金額を把握できます。

この基本手数料に、前述の諸費用が加算された金額が、公証役場に支払う総額となります。

目的の価額 手数料
50万円以下 3,000円
50万円を超え100万円以下 5,000円
200万円を超え500万円以下 13,000円
500万円を超え1000万円以下 20,000円
3000万円を超え5000万円以下 33,000円
5000万円を超え1億円以下 49,000円

参考:12 手数料 | 日本公証人連合会

手数料の基準となる「目的の価額」の計算方法とは

手数料の基準となる「目的の価額」は、養育費の支払い総額を指しますが、計算には特別なルールがあります。
養育費のように長期間にわたって定期的に支払われる金銭については、契約期間全体の総額ではなく、「支払い期間の5年分」を上限として計算することになっています。

例えば、子どもが0歳で20歳まで支払う約束をした場合でも、計算に用いるのは20年分ではなく5年分の金額です。
このルールを知らないと、手数料を過大に見積もってしまう可能性があるため注意しましょう。

具体例でわかる!養育費の月額ごとの手数料シミュレーション

ここでは、具体的なケースを想定して手数料がいくらになるかシミュレーションしてみましょう。

  • ケース1:月額6万円、支払い期間4年間
  • 目的の価額:6万円×12ヶ月×4年=288万円

この場合、目的の価額は「200万円を超え500万円以下」の区分に該当するため、基本手数料は13,000円となります。

  • ケース2:月額10万円、支払い期間12年間
  • 目的の価額:10万円×12ヶ月×5年=600万円

支払い期間が5年を超えるため、上限の5年で計算します。
この場合、目的の価額は「500万円を超え1,000万円以下」の区分に該当するため、基本手数料は20,000円です。

この基本手数料に、謄本代などの諸費用が数千円程度上乗せされた金額が、支払う総額の目安です。

公正証書作成の費用は誰が支払う?夫婦間の負担割合の決め方

公正証書作成の費用は誰が支払う?夫婦間の負担割合の決め方
公正証書作成にかかる手数料や料金の負担割合について、法律上の明確な定めはありません。
そのため、夫婦間の話し合いによって自由に決めることができます。
一般的には、将来の支払いを確実にするために作成を希望することが多い権利者側(養育費を受け取る側)が全額を負担するケースや、双方の合意文書であることから費用を折半するケースが多く見られます。

後々のトラブルを避けるためにも、公正証書の作成を合意する段階で、費用の負担についても話し合っておくことが重要です。

費用負担を軽減できる!自治体の補助金・助成金制度の活用方法

費用負担を軽減できる!自治体の補助金・助成金制度の活用方法
養育費の確保を支援するため、多くの自治体では公正証書などの作成にかかる手数料や料金を補助する制度を設けています。
これは「養育費確保支援事業」の一環として行われており、ひとり親家庭の経済的負担を軽減することを目的としています。
補助の上限額は自治体によって異なりますが、3万円から5万円程度であることが多く、公証人手数料の大部分をカバーできる可能性があります。
費用面で作成をためらっている場合は、お住まいの自治体で利用できる制度がないか、必ず確認することをおすすめします。

補助金の対象となる条件と一般的な申請の流れ

補助金の対象となるのは、一般的に「ひとり親家庭の親」で、「養育費の取り決めに関する公正証書を作成した」などの条件を満たす方です。
所得制限が設けられている場合もあります。申請の流れは、まず公正証書を作成し、公証役場へ手数料などの料金を支払います。
その後、領収書や公正証書の謄本、戸籍謄本などの必要書類を揃えて自治体の窓口に申請するのが一般的です。

申請期限は自治体によって異なるため、早めに各自治体の情報を確認し、手続きを進めましょう。

お住まいの自治体の補助金制度を確認する方法

ご自身が住んでいる市区町村の補助金制度を確認するには、自治体の公式ウェブサイトで調べるのが最も確実です。
検索エンジンで「〇〇市養育費公正証書補助金」といったキーワードで検索すると、関連するページが見つかりやすいでしょう。

もしウェブサイトで情報が見つからない場合や、詳細な条件について確認したい場合は、市役所や区役所の「子育て支援課」や「ひとり親支援担当」といった窓口に直接電話で問い合わせることをお勧めします。
担当者が申請方法や必要書類について詳しく教えてくれます。

費用をかけてでも養育費の公正証書を作成すべき3つの理由

費用をかけてでも養育費の公正証書を作成すべき3つの理由
公正証書とは、公証人が法律の専門家として当事者間の合意内容を証明し、作成する公的な文書です。
作成には費用がかかりますが、それに見合う大きなメリットがあります。

特に養育費のように長期にわたる支払い約束については、口約束や当事者間だけで作成した合意書とは比較にならないほどの強い効力を持ちます。
将来の不安を解消し、子どもの権利を守るために、公正証書の作成は非常に有効な手段といえます。

離婚協議書と公正証書の違いについては「離婚協議書と公正証書の違いは?作成メリット・費用・効力を弁護士が解説」で詳しく紹介しています。

理由1:支払いが滞った際に裁判なしで強制執行できる

公正証書の最大のメリットは、強制執行認諾文言を付けておくことで、養育費の支払いが滞った際に、裁判手続きを経ることなく直ちに強制執行が可能になる点です。
この効力により、相手の給与や預貯金などを差し押さえることができます。

通常の合意書では、まず裁判を起こして判決を得なければ強制執行ができないため、時間も費用もかかります。
公正証書があれば、この手間を大幅に省けるのです。

理由2:相手に「支払わなければならない」という心理的プレッシャーを与えられる

公正証書は、公証人が作成に関与する公的な文書であり、その証明力は非常に高いものです。
単なる口約束や私的な合意書とは異なり、「支払いを怠れば直ちに財産を差し押さえられる」という法的な効力を持っているため、支払い義務者に対して強い心理的プレッシャーを与えます。
このプレッシャーが支払い遅延や不払いの抑止力となり、約束通りの履行を促す効果が期待できます。

将来の安定した養育費の請求において、この心理的効果は無視できません。

理由3:将来の「言った言わない」のトラブルを未然に防げる

離婚時に取り決めた養育費の金額、支払い期間、支払い方法などの合意内容が、公的な文書として明確に記録されることも大きなメリットです。
時間が経つにつれて記憶が曖昧になったり、一方的な解釈で内容を変更しようとしたりする「言った言わない」のトラブルを確実に防ぐことができます。

後から「そんな約束はしていない」と言い逃れされる心配がありません。
公正証書に記載された内容が法的な効力を持つ明確な証拠となり、将来にわたる無用な紛争を避けるための重要な注意点となります。

公正証書作成で後悔しないための注意点とよくある失敗

公正証書作成で後悔しないための注意点とよくある失敗
養育費の公正証書は非常に強力な文書ですが、作成にあたってはいくつかの注意点があります。
内容に不備があったり、重要な取り決めが漏れていたりすると、期待していた効力を発揮できない可能性があります。
よくある失敗例を知り、後悔のない公正証書を作成するためのポイントを押さえておきましょう。

内容に不備があると強制執行できないケースがある

公正証書に強制執行力を持たせるためには、「債務者は、本証書記載の金銭債務を履行しないときは、直ちに強制執行に服する旨陳述した」という「強制執行認諾文言」を必ず記載する必要があります。
この一文が抜けていると、支払いが滞っても裁判なしでの強制執行はできません。
また、差し押さえる対象を特定できるよう、支払い義務者の住所、氏名、生年月日などを正確に記載することも重要な注意点です。

内容に曖昧な点があると、いざという時に効力を発揮できないため、専門家によるチェックが望ましいです。

口約束で決めた追加の取り決めは法的な効力を持たない

公正証書を作成した後で、「子どもの進学時に特別費用を支払う」といった追加の取り決めを口約束で交わすケースがあります。
しかし、公正証書に記載されていない約束は後々立証が困難なため、法的な効力を持たすことができず、強制執行の対象にもなりません。
将来発生する可能性のある費用(入学金、留学費用、高額な医療費など)についても、できる限り具体的に協議し、その負担割合などを公正証書の内容に盛り込んでおくことが重要です。

口約束に頼らず、すべての合意事項を書面化するという注意点を守りましょう。

作成を弁護士に依頼するメリット

公正証書の作成はご自身でも可能ですが、法的に不備がなく、将来の状況変化にも対応できる内容にするためには、離婚問題に詳しい弁護士への相談が有効です。
弁護士に依頼することで、適切な合意内容のアドバイス、相手方との交渉代行、公証役場との煩雑な手続きの代理などを任せられます。
これにより、精神的・時間的負担が大幅に軽減されます。
弁護士に依頼した場合の費用はかかりますが、法的に問題のない公正証書を作成できる安心感は大きなメリットです。

当事務所への公正証書に関する相談事例については「公正証書で養育費の月額について取り決めがあるにもかかわらず、養育費の増額がみとめられた事案」で詳しく紹介しています。

養育費の公正証書作成費用に関するよくある質問

養育費の公正証書作成費用に関するよくある質問
養育費の公正証書作成に関して、多くの方が抱く疑問についてお答えします。
費用を抑える方法や、相手方が協力してくれない場合の対処法など、具体的な悩みを解決するための参考にしてください。
もし、ここにない疑問や個別の事情で相談したいことがあれば、専門家である弁護士に問い合わせることをお勧めします。

公正証書の作成費用を少しでも安く抑える方法はありますか?

遺言書作成においては、自治体によっては補助金・助成金制度を設けている場合があります。
これらの制度では、作成にかかる費用の一部が補助されることがあります。

詳細については、お住まいの市区町村の窓口に問い合わせてみましょう。

また、弁護士に依頼せずご自身で手続きを行えば、専門家への依頼料金はかかりませんが、内容に不備が生じるリスクも考慮する必要があります。

相手が公正証書の作成や費用の支払いに応じない場合はどうすればよいですか?

相手が作成自体に非協力的な場合は、家庭裁判所に「養育費請求調停」を申し立てる方法があります。
調停が成立すれば、その内容は「調停調書」に記載され、これは公正証書と同様に強制執行が可能な効力を持ちます。

費用の支払いに応じない場合は、まずは費用を立て替え、後から相手に請求することも考えられますが、話し合いでの解決が基本となります。

財産分与や慰謝料も公正証書に記載する場合、費用は変わりますか?

はい、変わります。
公正証書の手数料は、記載される法律行為ごとに計算されます。
養育費、慰謝料、財産分与をそれぞれ別の契約として扱い、各項目の目的価額に応じた手数料を算出します。

最終的には、それらの手数料を合算するか、または最も高額な手数料を適用するなどのルールに基づいて全体の料金が決まります。
そのため、養育費のみの場合よりも手数料の金額は高くなるのが一般的です。

養育費の相場については「養育費の相場|年収・子供の人数ですぐわかる早見表と計算方法」で詳しく紹介しています。

キャストグローバルが離婚問題で選ばれる理由

キャストグローバルが離婚問題で選ばれる理由
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まとめ

まとめ
養育費の公正証書とは、将来の支払いを確実にするための強力な公的文書です。
作成には費用がかかりますが、裁判なしで強制執行できるという大きなメリットがあります。

費用は養育費の総額に応じて決まり、自治体の補助金制度を利用すれば負担を軽減できる可能性があります。

しかし、内容に不備があると効力を発揮できないため、確実に子どもの権利を守るためには、作成段階で弁護士などの専門家に相談することが賢明です。

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監修者

弁護士法人キャストグローバル 離婚部

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