養育費が払われない!どうする?罰則や強制執行、免除されるケースを弁護士が解説

監修者 弁護士法人キャストグローバル

離婚部弁護士

離婚後に養育費が支払われないとどうなるのか、疑問に思う方は少なくありません。
養育費の不払いは、単なる約束違反ではなく、法的な措置につながる可能性があります。
最悪の場合、給与や財産が差し押さえられる強制執行や、法改正による罰則の対象となることもあります。

一方で、失業などやむを得ない事情で支払いが免除・減額されるケースも存在します。
この記事では、養育費を払わない場合に起こりうることや、具体的な対処法について解説します。

養育費は子どもの権利!親としての支払いは法的な義務です

養育費は子どもの権利!親としての支払いは法的な義務です

養育費は、子供が経済的に自立するまでに必要となる監護や教育のための費用です。
これは離婚した元配偶者のためのものではなく、子どもの健やかな成長を支えるための権利といえます。
たとえ離婚して親権がなくなっても、親子である事実に変わりはなく、親には子どもを扶養する義務が民法上定められています。

一般的に父親が支払うケースが多いイメージですが、これは夫と妻の収入に応じて分担されるものであり、性別は関係ありません。
親である以上、子どものために養育費を支払わないといけないのです。
親権や養育費の取り決めについては「親権・養育費の決め方や相場」で詳しく紹介しています。

養育費が支払われない場合にする5つの法的措置

養育費が払わない場合にする5つの法的措置

養育費の不払いが続いた場合、単に支払いを待つだけでなく、法的な手段を通じて請求することが可能です。
支払わない相手に対しては、段階的に複数の措置を講じることができます。
これらの措置は、相手に心理的なプレッシャーを与えるものから、強制的に財産を差し押さえる強力なものまで様々です。

ここでは、養育費の不払いを解決するために取りうる5つの法的措置について解説します。

内容証明郵便による支払いの催告

養育費の支払いが滞った場合、まずは「支払ってくれ」という意思を伝えるために、内容証明郵便を送付する方法があります。
これは、いつ、どのような内容の文書を送ったかを郵便局が証明する制度です。
法的な強制力はありませんが、請求の意思を明確に示すことで相手に心理的なプレッシャーを与え、支払いに応じてもらう効果が期待できます。

また、将来的に裁判手続きへ移行した場合、請求を行った証拠として利用することも可能です。

家庭裁判所からの履行勧告・履行命令

調停や審判などで養育費の取り決めをしたにもかかわらず支払われない場合、家庭裁判所に申し立てて「履行勧告」や「履行命令」を出してもらう方法があります。
履行勧告は、裁判所が義務者に対して支払いを促す制度で手数料はかかりませんが、強制力はありません。
一方、履行命令はより強く支払いを命じるもので、正当な理由なくこれに従わない場合は10万円以下の過料が科される可能性があります。

給与や預貯金など財産の差押え(強制執行)

他の手段で解決しない場合、強制執行(差押え)という強力な方法で養育費を回収できます。
これは、相手の給与や預貯金、不動産などの財産を差し押さえ、そこから強制的に支払いを受けられるようにする手続きです。
これにより、相手の意思に関わらず養育費を払ってもらえるようになります。

特に給与の差押えは、将来にわたって継続的に発生する養育費についても一度の手続きで回収できるため、非常に有効な手段です。

民事執行法改正による罰則の可能性

2020年4月に施行された改正民事執行法により、財産開示手続の実効性が強化されました。
財産開示手続とは、裁判所が義務者に対して自身の財産について開示させる手続きです。

正当な理由なく開示しない、または虚偽の開示をした場合、以前よりも重い「6か月以下の懲役または50万円以下の罰金」という刑事罰が科される可能性があります。
これにより、財産を隠して支払いを逃れられていた状況が改善されつつあります。

支払い期日の翌日から発生する遅延損害金

養育費の支払いが定められた期日より遅れた場合、その翌日から遅延損害金が発生します。
これは、支払いの遅延によって生じた損害を賠償するものであり、不倫などに対する慰謝料とは性質が異なります。
遅延損害金の利率は、離婚時の合意書や公正証書で定めていればその利率が適用され、特に定めがない場合は法定利率が適用されます。

未払い期間が長引くほど、請求できる金額は増えていきます。

養育費の未払いを解決するための具体的な請求手順

養育費の未払いを解決するための具体的な請求手順

養育費の未払いに直面した場合、感情的にならず、段階を踏んで冷静に対処することが重要です。
まずは相手との話し合いから始め、それでも解決しない場合は法的な手続きへと移行するのが一般的な流れです。
ここでは、実際に養育費の未払いを解決するための具体的なステップを3段階に分けて解説します。

ステップ1:まずは内容証明郵便で支払いを請求する

最初のステップとして、支払いを催促する内容証明郵便を送付します。
この文書には、未払いの養育費の金額と支払い期日を明記し、支払いに応じない場合は法的措置を検討する旨を記載します。
離婚時に作成した合意書や公正証書がある場合は、その取り決めに違反していることを指摘するとより効果的です。

これにより、相手に事の重大さを認識させ、任意での支払いを促すことができます。

ステップ2:家庭裁判所に養育費請求調停を申し立てる

内容証明郵便を送っても支払いがない場合や、そもそも離婚時に養育費の取り決めをしていない場合は、家庭裁判所に「養育費請求調停」を申し立てます。
調停では、調停委員という中立な第三者を交えて、当事者間の話し合いを進めます。
協議で金額や支払い方法について合意できれば、その内容が調停調書に記載され、法的な強制力を持ちます。

当事者同士では感情的になりがちな話し合いも、調停委員が間に入ることで冷静に進めやすくなります。

ステップ3:強制執行(差押え)で財産を回収する

調停や裁判で養育費の支払いが決まったにもかかわらず、相手が支払わない場合の最終手段が強制執行(差押え)です。
この手続きを行うには、「債務名義」と呼ばれる公的な文書が必要になります。
具体的には、調停調書、審判書、判決書のほか、執行認諾文言付きの公正証書などがこれにあたります。

債務名義があれば、地方裁判所に申し立てることで、相手の給与や預貯金といった財産を差し押さえることが可能です。

給与や財産を差し押さえる「強制執行」の申立て手続き

給与や財産を差し押さえる「強制執行」の申立て手続き

養育費の未払いを解決する最終手段が「強制執行」です。
これは、裁判所の力を借りて、相手の財産から強制的に養育費を回収する手続きを指します。
手続きを進めるには、申立てに必要な書類を準備し、相手のどの財産を差し押さえるかを特定しなければなりません。

ここでは、強制執行の申立て手続きの概要について解説します。

強制執行の申立てに必要となる債務名義とは

強制執行を申し立てるためには、「債務名義」という書類が不可欠です。
債務名義とは、養育費の請求権が法的に存在することを公的に証明する文書のことで、これがないと差押えは認められません。
代表的な債務名義には、家庭裁判所での調停が成立した際に作成される「調停調書」、裁判所の判決が記載された「判決書」、そして執行認諾文言が記載された「公正証書」などがあります。

法改正で強化された相手の財産を調査する手続き

強制執行を行うには、相手の財産を特定する必要がありますが、相手が情報を開示しないケースも少なくありませんでした。
しかし、2020年の民事執行法改正により、相手の財産を調査する手続きが強化されました。
これにより、裁判所を通じて金融機関に預貯金口座の情報を照会したり、市町村や日本年金機構に給与の支払者(勤務先)の情報を照会したりする「第三者からの情報取得手続」が利用可能になり、財産の特定が以前より容易になりました。

養育費の支払いが免除・減額される正当なケース

養育費の支払いが免除・減額される正当なケース

養育費は子どものための重要な権利ですが、支払い義務者の状況に大きな変化があった場合には、支払いが免除されたり、減額が認められたりすることがあります。
支払いが困難になったからといって、一方的に支払いを停止することは許されません。
家庭裁判所での手続きを通じて、双方の事情を考慮した上で判断されます。

ここでは、どのような場合に減額となる可能性があるのか、代表的なケースを紹介します。

元配偶者が再婚し、子どもと再婚相手が養子縁組をした場合

養育費を受け取る側の親が再婚しただけでは、支払い義務はなくなりません。
しかし、その再婚相手と子どもが養子縁組をした場合は状況が変わります。
養子縁組をすると、第一次的な扶養義務は養親(再婚相手)に移ります。

そのため、実親の扶養義務は二次的なものとなり、養育費の支払いが減額されたり、免除されたりする可能性が高くなります。
ただし、養親の収入が十分でない場合など、実親の扶養義務が完全になくならないケースもあります。

支払い義務者が失業や病気で経済的に困窮した場合

支払い義務者が会社の倒産やリストラによって失業した場合や、うつ病などの重い病気で働けなくなり収入が大幅に減少した場合は、養育費の減額が認められる可能性があります。
ただし、自己都合での退職や、より収入の低い仕事へ転職した場合などは、減額が認められないこともあります。
やむを得ない事情で経済的に困窮し、取り決めた養育費を支払うことが著しく困難になったことが客観的に証明できる場合に、減額の対象となります。

受け取る側の収入が義務者よりも大幅に高くなった場合

養育費の金額は、支払い義務者と受け取る側の双方の収入バランスを基に算定されます。
そのため、離婚時に取り決めた後、受け取る側の収入が大幅に増加した場合、例えば資格を取得して高収入の職に就いた場合などには、養育費の減額が認められることがあります。
特に、受け取る側の年収が支払い義務者の年収を上回るようなケースでは、減額の可能性が高まります。

これも当事者間の話し合いまたは家庭裁判所での調停や審判で判断されます。

子どもが就職して経済的に自立した場合

養育費は、子どもが未成熟で自分では生活費を稼げないことを前提に支払われるものです。
そのため、子どもが高校や大学を卒業して就職し、自分自身の収入で生活できるようになった場合、養育費の支払い義務は終了します。
例えば、支払い期間を「20歳まで」と定めていても、子どもが19歳で就職して経済的に自立すれば、その時点で支払い義務はなくなります。

子どもが1人あたり月5万円といった取り決めがあっても、自立した時点で終了するのが原則です。

注意!「子どもに会わせてもらえない」は養育費を払わない理由にはならない

注意!「子どもに会わせてもらえない」は養育費を払わない理由にはならない

養育費を支払う側から「子どもに会わせてもらえないから養育費を払わない」という主張が出ることがあります。
面会交流が実現しないことへの不満から支払いを拒否したい気持ちは理解できますが、この理由は法的に認められません。
養育費の支払いと面会交流は、それぞれ独立した子どもの権利であり、交換条件にすることはできないのです。

面会交流の拒否と養育費の支払いは法律上別の問題

養育費の支払いは、子どもの生活を支えるための親の義務です。
面会交流は、離れて暮らす親と交流することで、子どもの健全な成長を図るための権利です。
この二つは、法律上全く別の問題として扱われます。

そのため、面会交流を拒否されたことを理由に養育費の支払いを止めることはできません。
面会交流が実施されない場合は、別途、家庭裁判所に「面会交流調停」を申し立てて、話し合いの場を設けるべきです。

養育費の未払いに関するよくある質問

養育費の未払いに関するよくある質問

養育費の未払い問題は、個別の事情が複雑に絡み合うため、多くの疑問が生じます。
ここでは、養育費の不払いに関して特に多く寄せられる質問について、結論から簡潔に解説します。

養育費が払われないので給料の差押えをしたら、支払い義務者は会社に知られますか?

はい、知られます。
給与を差し押さえる場合、裁判所から勤務先へ「債権差押命令」という書類が送付されます。
この手続きは会社に対して行われるため、養育費を支払っていない事実が会社に知られてしまいます。

支払い義務者が養育費の未払いを会社に知られたくない場合は、差押えに至る前に誠実に対応するように伝えましょう。

相手の住所や勤務先が不明な場合でも、養育費は請求できますか?

はい、請求できる可能性があります。
2020年の民事執行法改正により、裁判所を通じて相手の財産情報を調査する制度が強化されました。
弁護士会照会や第三者からの情報取得手続を利用することで、相手の現住所や勤務先の情報を取得できる場合があります。

諦めずにまずは専門家である弁護士に相談することをお勧めします。

未払いの養育費を請求できる期間に時効はありますか?

はい、養育費には5年という消滅時効があります。
公正証書で定めた場合も同じ5年となります。

ただし、時効期間が経過しても、相手が時効を主張しない限り請求は可能です。未払い期間が長くなる前に、早めに行動を起こすことが肝心です。

養育費問題で弁護士法人キャストグローバルが選ばれる理由

養育費問題で弁護士法人キャストグローバルが選ばれる理由

養育費の未払い問題は、法的な知識と交渉力が不可欠です。
弁護士法人キャストグローバルでは、ご依頼者様の状況に合わせた最適な解決策をご提案し、一日も早い問題解決に向けて尽力します。
離婚問題の解決事例については「離婚・慰謝料 解決事例」で詳しく紹介しています。

離婚問題に特化した専門部署が担当

当事務所では、離婚問題のみを専門的に取り扱う「離婚専門部」を設置しています。
離婚や養育費の問題は、財産分与、親権、心理的な問題などが複雑に絡み合い、高度な専門性が求められます。
離婚専門部では、豊富な経験とノウハウを組織として蓄積・共有し、チーム体制でご依頼者様の案件に迅速かつ的確に対応します。

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当事務所の離婚専門部は、これまで6,200件以上のご相談に対応してまいりました。
この豊富な実績は、単なる数字ではなく、一つひとつのご家庭の悩みに真摯に向き合い、解決へと導いてきた証です。

性格の不一致やモラハラ、不貞行為など、様々な離婚原因に関するノウハウを蓄積しており、あらゆるケースにおいて最善の解決策をご提案できます。

税理士や司法書士などグループ内の士業連携によるワンストップサービス

キャストグローバルグループには、弁護士だけでなく、税理士や司法書士、土地家屋調査士など、様々な分野の専門家が在籍しています。

そのため、離婚に伴う財産分与での不動産登記や税金の問題などが発生した場合でも、グループ内で連携してワンストップで対応することが可能です。

複数の事務所に依頼する手間や費用を省き、スムーズな手続きを実現します。

まとめ:養育費の未払いは放置せず、まずは弁護士へ無料相談を

まとめ:養育費の未払いは放置せず、まずは弁護士へ無料相談を

養育費は、子どもの健やかな成長のために不可欠なものです。
未払いを放置することは、子どもの権利を侵害するだけでなく、将来受け取れるはずだった金額を時効によって失うリスクにもつながります。
相手が支払いに応じない場合でも、法的な手続きを踏むことで解決できる可能性は十分にあります。

一人で抱え込まず、まずは離婚問題に詳しい弁護士に相談し、今後の対応についてアドバイスを受けることが、解決への第一歩となります。
キャストグローバルへの無料相談については「離婚・慰謝料解決サポート」で詳しく紹介しています。

監修者

弁護士法人キャストグローバル 離婚部

離婚に関する記事は、当事務所の弁護士・専門スタッフが監修しています。離婚・男女問題のご相談を中心に、これまで6,200件以上のご相談に対応してきました。

離婚・男女問題で不安や悩みを抱えながら一歩を踏み出そうとしている方へ、法律のことはもちろん、心に寄り添う対応を心がけています。夫婦カウンセラーの資格を持つスタッフも在籍し、傷ついた心にも寄り添ったサポートを提供しています。

相談実績6,200件以上
弁護士紹介
藤井若菜、山本典佳、神田欽司
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