残業代請求

LABOR ISSUE

大阪事務所の弁護士が説明する残業代請求について

残業代は働いた分の賃金となり、残業代請求は労働者の権利です。しかしながら、未払いの残業代を会社に請求するとき、みなし残業・管理監督者・裁量労働・年俸制といった労働時間管理をめぐる諸々の事項が問題となり、スムーズに交渉が進まないケースも少なくありません。

弁護士の正しいアドバイスを受ければ、成功の可能性は高まります。キャストグローバル大阪事務所では、残業代請求を考えている方からの相談を受け付けております。

残業代請求権の時効が3年に延長されました

これまで、労働基準法に基づく賃金請求権の時効は2年とされていました。ところが2020年4月1日から施行された『労働基準法の一部を改正する法律』によって、賃金請求権の時効が5年に延長されました。

ただし、経過措置として当面の間は消滅時効期間が3年となっています。2020年4月1日以降に発生した未払いの残業代については、3年間であれば企業に請求することが可能です。

みなし残業制の残業代請求

みなし残業制とは、企業があらかじめ一定時間の残業時間を見込み、その時間内の残業代を定額で支払うことをいいます。

たとえば1ヵ月のみなし残業時間を10時間、残業代を2万円と定めた場合、仮に実際の残業時間が8時間であっても、2万円の残業代が支払われます。このような仕組みであれば「固定残業制」「定額残業制」など名称が異なる場合であっても、みなし残業制にあたります。

みなし残業制を定めること自体は問題はありませんが、企業側に有利になるように残業代の上限を定める制度ではありません。当初の見込み残業時間を超えて働いた場合には、残業代を請求できます。
また、みなし残業といえるために適切な規定が必要なのですが、規定に不備があり、みなし残業制度が認められず、みなし残業代が基本給と認定されることも多くあります。

管理監督者の残業代請求

労働基準法第41条では「事業の種類にかかわらず、監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者には、労働時間、休憩及び休日に関する規定は適用されない」と定められています。

しかし、会社内で管理職の肩書きがある場合でも、労働基準法の定める管理監督者の要件を満たすとは限りません。管理監督者とは「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者」を指すとしています。

多くの事項について上司の決裁を仰ぐ必要があったり、労働時間について厳格に管理されていたりする場合は、管理監督者にはあたりません。ご自身が管理監督者でない場合には、労働基準法に基づいて残業代の請求が可能です。

裁量労働制の残業代請求

裁量労働制とは、実際の労働時間にかかわらず、あらかじめ労使間で定めた時間を働いたとみなす制度です。研究開発やデザイン業務など、仕事の進め方や時間について労働者に任せた方が効率的とされる職種で導入されています。

この裁量労働制によって定めた「みなし労働時間」が法定労働時間に収まっている場合には、実際の労働時間にかかわらず残業代は発生しません。反対に、みなし労働時間が法定労働時間を超える場合には、その超過分に対して残業代が発生します。また、裁量労働制を導入している場合でも、休日手当や深夜手当は原則通り発生します。

変形労働時間制の残業代請求

変形労働時間制とは、1ヵ月や1年を単位として、期間内の平均労働時間が法定労働時間を超えないことを条件に、業務の繁閑に応じて労働時間を変えられる制度です。業務の繁忙期が決まっている職種において導入されています。

変形労働時間制が導入されている企業であっても、所定労働時間を超えて労働した場合には、残業代の請求が可能です。

退職後の残業代請求

すでに会社を退職した場合でも、発生した残業代を請求することは可能です。ただし、残業代請求権には時効があるため、速やかな対応が必要です。

2020年4月1日からの法改正によって消滅時効の期間は3年となりましたが、2020年4月1日以前の残業代については2年で消滅するため、できるだけ早い相談をおすすめします。

年俸制の残業代請求

年俸制とは、1年単位で給与を定める制度です。労使間の合意のもと、成果や能力によって翌年度の給与額を決定することが一般的です。

年俸制で給料が決まっている場合でも、月給制と同じように法定労働時間を超えて働いた場合には、残業代を請求できます。ただし、みなし残業制による固定の残業代が年俸に含まれている場合もあるため確認が必要です。

歩合給の残業代請求

成果に応じて給料が支払われる歩合給制の場合、「時間による残業代は支給しない」と企業から言われている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、歩合給制には「労働時間に応じて一定額の賃金を保障しなければならない」と定められており、労働時間を超えて働いた場合には、残業代を請求することが可能です。

残業代請求の交渉が難航しやすいケース

企業に対して残業代請求をする際、労働時間を正しく把握できないことや、労使間の取り決めがしっかり行われていないことなどにより、交渉が難航するケースがあります。

残業時間を立証する証拠が不十分

裁判で残業代を請求する場合、残業をした証拠を集めなければなりません。証拠としては次のようなものが考えられます。

  • タイムカード
  • 勤怠記録
  • 業務で使うパソコンのログインやログアウトの記録
  • 残業中に業務で送ったメール
  • 上司が残業を指示したメール

残業時間を客観的に確認できる証拠がない・不十分な場合、裁判で不利になることがあります。しかし、残業代請求の経験が豊富な弁護士とともに粘り強く証拠を集めることで、状況が好転するケースも少なくありません。

労働者ではなく請負契約または業務委託契約

残業代請求は、会社に雇われた労働者であることが前提です。「請負契約」や「業務委託契約」の場合は、労働基準法の適用とならず、残業代の請求はできません。

したがって、会社に雇われている労働者なのか、それとも会社と請負契約や業務委託契約を結んでいるのかが争点になり、交渉が難航するケースがあります。

こうした労使間の契約については、形式的な点ではなく「会社の指揮監督下で働いているか」などの実質的な点によって判断すべきとされています。つまり、契約書上は、請負契約書、業務委託契約書となっていても、実施的に請負または委託と言えない場合は、単なる労働者であり、残業代が発生し得ることとなります。

週に1回休日が確保されている場合の割増賃金

会社は労働者に対し、少なくとも週に1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。これを法定休日といいます。そして法定休日に働いた場合には、労働基準法上の休日労働とみなされます。

休日労働の場合は、通常の35%以上の割増を合わせて請求できます。ただし、毎週日曜日を法定休日としている会社が自主的に土曜日や祝日も休みとしている場合、土曜日や祝日は法定休日とはなりません。とはいえ、時間外労働の要件を満たしている場合には、25%の割増賃金の請求は可能です。

残業代請求を弁護士に相談するメリット

自分一人で会社に残業代を請求することも法律上は可能です。しかし、法律を正確に理解したうえで、残業代を計算して会社と交渉し、必要に応じて裁判を起こすことは大きな負担となります。また、直接会社と交渉するには手間と心労が伴い、時間もかかりますので、会社での業務活動や転職活動などに支障をきたすこともあります。

弁護士に依頼すれば、時間的・精神的な負担を抑えつつ、残業代請求が難航しやすいケースでも幅広い法律知識による適切な対応が可能です。さらに、ノウハウを持った弁護士が依頼者と代わって会社と交渉するため、裁判を念頭に置きつつ、交渉を有利に進められるといったメリットもあります。

大阪で残業代請求にお困りの方はキャストグローバル大阪事務所までお問い合わせください

残業代の請求は、証拠の収集や企業との交渉など、高度な専門性を必要とする手続きです。会社との交渉を有利に進めるには、弁護士の深い知識と豊富な経験が欠かせません。

キャストグローバルでは、顧客の方から信頼をいただくとともにノウハウを蓄積してきました。キャストグローバル大阪事務所でも、残業代を確実に請求するために、当事務所の弁護士が熱心にサポートいたします。お気軽にご相談ください。