労働災害(労災)

LABOR ACCIDENT

大阪事務所の弁護士が説明する労働災害(労災)について

労働災害(労災)とは、労働者が業務に従事したことにより負った怪我や病気、または死亡を指します。労働災害は、建設業、運送業等に多いですが、いつ、誰に起こってもおかしくありません。しかし、認定には基準があり、労災保険の給付金額が細かく決まっています。

労働災害の損害賠償は、従業員が企業相手に交渉する必要も出てくるため、交渉上不利になってしまうことがあります。キャストグローバル大阪事務所に相談いただければ、あなたの心強い味方としてサポートいたします。

労働災害事故発生から解決までの流れ

労働災害事故発生から解決までは、以下のような流れです。

労働災害事故の発生

被災してしまった場合は、なによりも、治療が最優先です。可能であれば、現場の写真撮影や証拠の収集、事実関係の確認などを行います。

労災保険給付を申請する

被災した労働者は、お金の心配をせずに治療を受けることができるよう、労働基準監督署へ労災保険給付を申請します。会社が協力的でなくても、申請することは可能です。

会社側への交渉、訴訟

会社側に安全配慮義務違反があり、労災保険でまかなえなかった場合に、会社に損害賠償を請求します。立場が弱く交渉は難航すると思われますが、会社側となんらかのトラブルが生じた場合は、弁護士を通して交渉や訴訟を行うことが望ましいでしょう。

解決

会社側と交渉が上手くまとまれば、示談による解決となり望ましいことかと思います。しかし、会社側と交渉が決裂してしまうと裁判を起こして賠償を求めるのかを検討します。訴訟となると、解決するまでに時間がかかってしまうことがあります。

労働災害の種類

業務災害とその認定基準

業務災害は、労働者が業務中に受けた災害で、「業務遂行性」と「業務起因性」を満たす必要があります。

業務遂行性とは、「仕事中」かどうかです。休憩や残業、出張、社用での外出なども、事業主の支配下・管理下であれば業務遂行性があると判断されます。

業務起因性とは、「仕事が原因で発生」したかどうかです。例えば、休憩中に行ったキャッチボールで負傷した場合は、私的な行為によって発生した災害となり認められません。特定の職業に就いて有害因子にさらされたために発症した病気を特に「業務上疾病」と呼びます。

通勤災害とその認定基準

通勤災害は、労働者が通勤中に受けた災害です。通勤とは、業務に就くため、または業務を終えたことにより行われる移動行為で、次に掲げる移動を指します。

  • 労働者が居住する住居と、就業場所との往復
  • 複数の異なる事業場で働く労働者が、1つ目の就業場所での勤務終了後、2つ目の就業場所へ向かう際の移動
  • 転任に伴い住居を移転した労働者が、転任直前の住居に帰省する間の移動

なお、通勤の途中に、就業と関係ない目的で経路を逸脱したり、中断して業務と関係がない行為を行ったりすると、原則として通勤になりません。ただし、日常生活上必要な行為を最小限度の範囲で行い経路に戻った場合には、逸脱または中断の間を除き、再び通勤と認められます。

労災保険の給付

療養給付

怪我や病気をした場合、症状固定・治癒するまでにかかる費用が原則全額給付されます。

休業給付

怪我や病気の療養により就業できないとき、休業4日目から給付されます。金額は、特別支給金を含む合計で給付基礎日額(過去3か月の平均賃金)の60%です。

傷病年金

怪我や病気が療養開始後1年6か月経過しても治癒しない場合、傷病による障害の等級に応じて給付されます。

障害給付

怪我や病気が治癒または症状が固定した後に障害が認められた場合、障害の程度に応じて給付されます。

遺族年金

被災した労働者が死亡したときに遺族の人数や状況に応じて遺族補償年金・遺族特別年金・遺族特別支給金が給付されます。

葬祭給付

被災した労働者が死亡した後、葬祭を行う者に対して給付されます。原則として31.5万円に給付基礎日額の30日分を足した額です。

葬祭給付

障害補償年金もしくは傷病補償年金受給者のうち、障害等級が第1級または第2級で常時介護が必要になった場合、給付されます。

損害賠償請求

安全配慮義務違反

安全配慮義務とは、労働者が安全・健康に働くことができるよう、会社がきちんと管理する義務です。労働者が被災した時に安全配慮義務が果たされていなければ、会社に対して損害賠償請求が可能です。以下のような例が挙げられます。

  • 過労死認定の基準を超える、1か月80~100時間以上の時間外労働をさせる
  • 室内温度が高温低温の環境で長時間作業をさせる
  • 台風の日に無理やり出勤させる
  • 施設や設備が不十分な環境で仕事をさせる

使用者責任

使用者責任とは、雇用している従業員が加害者となって起こした不法行為による損害賠償責任を会社も負うことです。会社(使用者)は従業員の活動によって利益を得ているため、会社にも損害賠償責任が発生します。以下のような例が挙げられます。

  • セクハラやパワハラといったハラスメント行為による損害
  • 業務執行中に起きた不注意による事故による怪我
  • 職務に関することが原因で起きた従業員同士のケンカによる怪我

工作物責任

工作物責任とは、工作物の設置または保存において安全性を欠かさないよう、損害発生防止に責任を負うことです。会社が工作物の占有者である場合、会社に対して損害賠償請求が可能です。以下のような例が挙げられます。

  • 工場に据え付けられた機械に安全装置が取り付けられておらず事故が発生
  • 工事現場に設置した足場が倒壊
  • 工事現場で作業中に土砂崩れに巻き込まれる
  • 作業中のビル内で漏電し、感電や火災が発生

第三者行為災害

第三者行為災害とは、労災の原因が第三者の行為によって生じた災害です。第三者とは、労災保険の当事者となる労働者・会社以外を指します。以下のような例が挙げられます。

  • 第三者による交通事故
  • 通勤中に第三者のペットに噛まれて負傷した
  • 業務に関して第三者から暴行を受けた

なお第三者行為災害が発生した場合、被災者は労災保険の給付だけでなく第三者に対する損害賠償請求をすることができます。ただし、重複して2重に獲得できるということではありません。

後遺障害と症状固定について

後遺障害とは、労働災害で負った症状が完治せず、医学的な面から治療を続けても改善が見込めない状態(症状固定)となり、体に何らかの障害(いわゆる後遺症)が残ることです。
後遺障害は症状の程度に応じて14段階に分類されており、障害等級1級が最も重く、14級が最も軽い後遺症です。この後遺障害等級の認定を受けることで、前述の「障害給付」を受け取ることができます。
ただし、障害給付の給付金額や内容は、後遺障害の等級によって大きく異なります。認定されるまでの流れは次の通りです。

  1. 症状固定となる(主治医等の診断)
  2. 後遺障害診断書と給付支給請求書などを用意して提出
  3. 労働基準監督署で面談・審査を行う
  4. 認定結果の通知書が届き、認定されれば給付

弁護士ができるサポート

迅速な申請手続き不利益の軽減

労働災害発生後は、できるだけ早く弁護士に相談してください。迅速かつ適正な申請手続きを行うことで、被災した労働者の不利益を軽減できます。専門知識がないまま会社の主張をすべて受け入れると、知らないうちに不当な扱いを受ける場合があります。

労災認定のための証拠収集

うつ病のような病気を労災として認定してもらうには、医師の診断書以外にも、業務と病気の因果関係を証明する証拠が必要です。しかし会社が非協力的だと、必要な情報を開示してもらえないことがあります。このような場合も弁護士であれば、どのような情報を集めれば証明できるか、的確にアドバイスできます。

会社に対する損害賠償請求

会社に対して損害賠償を請求するには、正確な法律知識と、個々の事情を考慮した法律判断が必要です。会社との交渉が決着しなければ、裁判に移行することもあります。怪我や病気を抱える労働者が、損害賠償請求をひとりで行うことは困難です。法律の専門家である弁護士に依頼してください。

大阪で労働災害に遭われた方はキャストグローバル大阪事務所までお問い合わせください。

労災事件は、業務遂行性と業務起因性が認められるか安全配慮義務違反がどの程度あるのかが重要です。キャストグローバル大阪事務所には、労災事件に強い弁護士がいます。正しく立証するためにも、ぜひ一度ご相談ください。