未払い賃金

UNPAID WAGES

未払い賃金について

従業員や退職者から、賃金や残業代の未払い請求をされるなど、サービス残業という言葉で片付けられていたことが、昨今の労働市場では重大な社会問題となっています。
厚生労働省が2019年度分として、1611社に計約98億円の残業代支払を指導したと公表しています。
もし、従業員から未払い賃金請求があった場合の対処法、基礎知識をご紹介します。

適正な賃金支払いを立証するポイント

従業員や退職者より未払い賃金請求があった場合、企業は「適正に賃金を支払っていた」事実を立証する必要があります。
請求する従業員も自身の賃金が不当である証拠を揃えることが予想できるため、企業側も適正な判断の元になった賃金の資料を準備しておくことが重要です。

原則として、賃金未払いの立証責任は請求者である労働者にあります。ただし、タイムカードなど、勤怠記録の証拠がない場合は、企業側の監督責任となりかねません。
適正な賃金支払っていると立証するためにも、こうした勤怠記録を保管しておくで、訴訟へ発展した場合に立証できる資料となります。

【適正な賃金支払いを立証できる資料例】

  • タイムカード
  • 業務日報
  • 入退室記録
  • 社内文書
  • 雇用契約書
  • 就業規則
  • その他、賃金支払い済みであることが分かる書類

使用者の基本的義務

賃金の支払いについて、労働基準法第24条で以下のように定められています。

”賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を、毎月1回以上、一定期日を定めて支払わなければならないとされています。既に働いた分の賃金は、当然に支払われなければなりません。”

引用元:厚生労働省「労働基準法第24条について」

賃金支払いには労働基準法第24条で定められた5原則があり、使用者の基本的な義務です。

1:現物給与の禁止

使用者が給与を支払う際は、通貨が原則です。貴金属や商品券のような現物支給を給与として支給することが認められていません。

2:直接払いの原則

給与の支払いは、労働者に直接支給することが原則です。親族も含めた第三者に支給することは認められていません。

3:全額払いの原則

使用者が労働者に給与を支払う際は、分割ではなく、まとめて全額支給することを原則とします。

4:毎月1回以上の原則

給与の支払いは、1ヶ月の間に1回以上は支払う必要があります。

5:一定期日払いの原則

給与の支払日付を明確に定め、定期的に支払うことが原則です。

未払い賃金請求が発生した場合のリスク

企業側が、適正に賃金を支払っていると認識していても、未払い賃金請求の発生する可能性は十分に有り得ます。
実際に未払い賃金が発生した際のリスクについてご紹介します。

労働基準監督署による是正勧告から刑事罰へと発展するリスク

請求者となる労働者が労働基準監督署に申告を行った際に、事実関係を確認するために調査します。
勤務時間を記した就業記録などを確認し、調査の過程で賃金未払いの事実が発覚した場合、労働基準法違反です。

労働基準監督署は企業に対して、是正勧告書を発行し、企業側に是正勧告を言い渡します。
この是正勧告はあくまでも行政指導にあたるため、強制力はなく、企業の判断に委ねられます。ただし、内容の改善が見られないと判断された場合、刑事罰を含む司法処分の対象になる可能性があります。
行政指導とはいえ、即時対応することがリスク回避に繋がるため、是正勧告には迅速な対応を心がけましょう。

代理人弁護士によって請求されるリスク

労働者の代理人として、弁護士から請求された場合は、
危機が迫っていると認識すべきです。

一般的に、労働者側の弁護士は、勝ち目のない依頼を引き受けることはほとんどありません。
よって、立証できる物証を揃えて請求されると考えられます。こうなってしまった場合、無傷で終わることは非常に難しいと予想できます。

交渉で終了せず、裁判上の手続にまで発展すると、裁判にかかる費用や時間もかかります。
企業で対応できることに越したことはありませんが、弁護士に相談して対応することで、結果的にコストや時間の削減に繋がります。

団体交渉となるリスク

請求者が労働組合に相談した場合には、労働組合が主体となる団体交渉にまで発展する可能性もあります。

団体交渉に慣れていない担当者の場合、このような交渉に慣れた組合の者に、圧倒されてしまい、不当な請求だったとしても早期解決のために支払ったケースもあります。
このような場合も、弁護士に相談し、対応を依頼することで、適切な解決につながります。

他の社員へ連鎖

未払い賃金請求が発生することは、請求者だけではなく、他の社員も同様の不満を抱えているケースもあります。
仮に、請求が認められなかった場合、その事実が他の社員へと伝わることで企業への反発心を持つかもしれません。
その結果、従業員の内部間で悪影響を与え、従業員のモチベーション低下や経営状態の悪化に繋がりかねない事態になることも考えられます。

こうした連鎖を防ぐためにも、適正な賃金を支払っているのであれば、他の従業員に対してもしっかりとした説明をすることが重要です。

風評被害

昨今ではSNSが普及しており、簡単に世間へ発信できます。
従って、SNSや各種ネット掲示板での書き込みで「あの会社はまともに給料を払ってくれない」というような悪い印象を受ける風評を流される可能性もあります。こうした風評を見た新卒の学生や転職を考えている者からすると、入社意欲がなくなるなど市場にいる優秀な人材のとりこぼしが発生しかねません。
また、各種取引先など提携している企業からの印象も悪くなりかねないことから、会社の評判にも影響します。

訴訟まで発展し、仮に敗訴した場合は請求者が正しかったことが世間に伝わってしまいます。こうなった際に、悪い印象をぬぐうことは困難です。

未払い賃金トラブルの再発防止策

未払い賃金トラブルが発生してしまった後は、再発防止に向けて取り組む必要があります。

防止策として有効な方法は、勤怠管理を徹底

タイムカードに記されていない残業などの勤務を厳しく取り締まり、適正な勤怠管理を徹底しなければなりません。
請求された際にきちんと立証できる資料を作成できる環境を作成してください。

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未払い賃金問題に頭を抱えている企業様も多くいます。適正な賃金を支払っていると認識していても、知識や経験値がなかったことで、支払わなければならなくなったケースも存在します。
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