従業員の不正・横領

EMBEZZLEMENT

従業員の不正・横領について

従業員が、会社に対する不正や横領をしていることが発覚した場合、どのような対処や対応が望ましいのか知っておくと、いざという時に焦らずに落ち着いた対応をとれます。適切な対応を企業として理解しておくことが大切です。

業務上横領のよくある手口

横領とは、占有に属さない他人の物を不法に自分の物とする行為と定義されています。
企業における横領は、業務上横領罪(刑法第253条)が成立する可能性があります。
以下は業務上横領としてよくある手口をまとめています。

  • 帳簿の偽造による現金引き出し
  • 金銭の管理を任されている従業員が、私的な買い物の支払いに会社のお金を使う
  • 集金業を担当している従業員が、顧客から回収した売り上げを着服
  • 売上金の管理を担当する店長が、売り上げを過小報告

業務上横領は、企業から売上等の金銭の管理を任されている従業員が行う必要があります。コンビニや店舗でアルバイト店員がレジから現金を持ち逃げする行為は、窃盗になります。

ただしどちら場合であっても刑事責任が生じるため、会社が関与している横領とされないためにも厳正な処分が必要です。

従業員の横領に対する処分の種類

業務上横領として、従業員に対する責任追及と処分を検討する必要があります。
懲戒処分を考えている場合、就業規則に基づいた懲戒事由の定めがある場合に限られます。
処分として軽いものから順に説明します。

戒告・けん責

警告とともに改善指導を行い、口頭で注意を受けます。
けん責の場合は戒めのために始末書の提出を求めて反省をさせます。被害額が少なく、従業員がしっかり反省していると認められる場合に適しています。

減給

労働に対する対価から、一定の賃金を差し引く処分で、経済的に処罰を与えます。
ただし、減給する額は労働基準法第91条により、定められています。

出勤停止

雇用を維持したまま、一定期間の就労を禁じてその間は賃金を払わず無給とする処分で、経済的・信用的立場への制裁効果が非常に高くなります。
出勤停止期間は目安として3ヶ月ですが、それ以上になる場合は、慎重に決定してください。

降格

役職や資格を引き下げる処分で、横領を行った従業員の経済的、心理的、社会的な制裁として大きなダメージを受けます。

解雇

解雇には、「普通解雇」「論旨解雇」「懲戒解雇」があります。企業が解雇を行う場合、労働基準法第20条により30日前に解雇予告するか、解雇予告手当の支給が必要ですが、懲戒解雇は、事前に所轄の労働基準監督署より解雇予告除外認定を受けることで、解雇予告や解雇予告手当なしで即時解雇が可能となります。

従業員の横領への対処の流れ

従業員の横領が発覚した場合に、具体的な対応と動き方を紹介します。
横領した従業員へすぐに確認するのではなく、まずは事実確認を行います。
金融業や宅地建物取引業に携わる者が横領した場合、業務停止など重い処分を受けることも考えられるため、慎重に行動してください。

横領の事実確認・証拠保全

コンプライアンス担当者や監査などの対策チームを組織し、事実確認を行います。
横領した従業員に調査を進めていることを察知されてしまうと、証拠隠滅や逃亡などを起こす危険があるため、最小限の人数で調査を行います。
対策チームに弁護士を含めていただければ、専門家として初期段階からサポートできます。

領収書・防犯カメラ映像のチェック等がポイントになります。
横領の事実確認と横領された金額を明確にしなければ、処分や損害賠償請求といった流れへつなげることができなくなります。取引先が関係している場合は、そちらからの聞き取りも必要となります。

横領の証拠は隠ぺいや改ざんを防ぐために、速やかに保全措置を講じます。証拠を保有するだけではなく、分析し関連性を確認する必要があります。

本人への聞き取り・事情確認

事実確認と証拠の保全が完了した段階で本人への聞き取りを行います。従業員の不祥事においても返人に弁明の機会は最低限必要ですし、事実確認の見地からも本人への聞き取りは必要です。

聴取役・書記役の2名体制で聞き取りを行い、従業員との会話や弁明はすべて記録してください。
聞き取りの状況も必ず録音します。事前に質問内容は明確にしておくと、混乱する心配がありません。重要な質問のみ準備して聞き忘れのないように注意します。

横領した従業員を聴取で確認するポイントは下記の通りです。

  • 横領したことを認めるか
  • 横領した時期や回数、金額
  • 横領した金銭の使いみち
  • 謝罪の意思や反省の様子が感じられるか
  • 返済の意思
  • 横領した際に不正に作成した書類の存在
  • 横領に協力した人間の存在

横領した事実を認めなかったり、証拠が見つからない・判断が難しいといった場合は、企業側が不利な状況になる可能性もあります。判断を急がず、弁護士にご相談ください。

横領分を返金させるには

横領した従業員に横領した金銭を返金させる、最終的には損害賠償請求を行うことになります。
しかし、訴訟を提起しても横領した金銭を使い切ってしまい、本人に賠償するための支払い能力がない可能性もあります。
その場合は、話し合いの中で分割払いを取り決めて解決します。

身元保証書の作成

従業員が入社する際に必要な書類となります。企業に損害を与えた場合は、身元保証人に損害賠償を請求する旨を書き添えておきます。

多くの企業が必要書類として提出を求めているこの書類は、従業員に支払い能力がない場合に身元保証人へ請求することを可能にします。ただし身元保証人に支払い能力があるとは限りません。

給料の差し押さえ

横領した従業員が退職して他の会社へ勤めている場合、その給与を差し押さえることも一つの方法です。差し押さえをを行うためには、従業員と返済約束をした際に強制執行認諾文言付の公正証書を作成しておくか、訴訟により債務名義を得る必要があります。

支払いが滞ってしまった場合

従業員との間で返済合意はしたものの、支払いが止まってしまったなどトラブルに発展しそうな場合は、弁護士にご相談ください。とるべき手段を一緒に検討させていただきます。

再発防止策の検討

再発防止へ企業は徹底的に取り組んでいく必要があります。
放っておくと企業内のことで済ませられず、必ず企業のレピュテーションリスク(風評被害)などリスクのある問題へと広がってしまいます。

就業規則に解雇規定がなかった場合は懲戒解雇や退職金の支給条件を加えて改定します。
改定する際は、知識を持つ専門家への確認をおすすめします。抜け穴や問題点を指摘してもらうことができます。

ルールの見直しと書面化することや、金銭や商品を扱う場合にダブルチェックする体制を強化、一人に業務や権限を与えすぎないことで、従業員の意識も高まり円滑なコミュニケーションにもつながります。
また、ルールの見直しの際は、従業員から不平や不満も出るかもしれません。企業のトップが独断で動かずに、外部の専門家を呼ぶなど、第三者の意見も容れたうえで、従業員にきちんと説明する等の配慮が必要です。

従業員の不正・横領問題にお困りの企業様は
キャストグローバル立川オフィスにご相談下さい

従業員の不正・横領が発覚した場合、心構えがないとすぐに横領した従業員へ聞き取りなど安易に対応してしまうかもしれません。迅速な対応は望ましいですが適切な解決へとスムーズに進めるためには、企業の担当者による対応だけでは難しい場合もあります。

不正や横領でお困りの方は、キャストグローバル立川オフィスにご相談ください。従業員の不正・横領問題に強い弁護士がしっかりとサポートしながら早期解決へと導きます。

キャストグローバルでは、平日は時間の確保が難しいB to Cビジネスの企業様にもご相談いただけるよう、平日も土曜も18時まで電話・メール・お問合せフォームから受け付けております。

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