労働災害補償

交通事故による労働災害

交通事故の損害賠償請求は原則として、被害者本人が加害者本人に行います。
相手が自動車保険に入っていることが多いため、労災を使う必要がない場合が多いことが多いのですが、業務中の運転であって労災を利用できる場合は、労災を利用した方が様々な点で有利です。
請求先をしっかり見極め、十分な損害賠償を受けましょう。

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加害者以外への損害賠償が可能なケース

加害者の保険の他に労災保険も利用できます

通勤災害ですので、労災保険を利用できます。また、加害者が加入している自動車保険に対しても請求できますし、加害者が会社所有の車を運転していた場合は運行供用者責任が認められるため、加害者の会社に対しても損害賠償請求が可能です。
仮に加害者が業務以外(旅行や引っ越しなどで会社の車を使用)で車を利用していた場合でも、過去の判例では会社の運行供用者責任が認められているケースがあります。

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労災保険を利用したほうがメリットがある場合

メリット1労災保険から休業給付等が支給されます

交通事故により仕事を4日以上休んだ場合、労災保険を使用すれば、4日目以降の休業日について休業補償給付や休業特別支給金が支給されます。その支給額は、休業給付が給付基礎日額の6割の金額+休業特別支給金が2割の金額、合計8割の金額が支給されます。
一方、加害者の任意保険会社が休業補償を支給してくれる場合、保険会社は日額全額を支給してもらえる上、労災保険を使用しても休業給付を二重に受給することはできないので、この場合には労災保険を使用する必要がなくなります。

メリット2治療費も労災保険から支払われます

通常、交通事故において被害者にも過失があった場合、過失割合に応じた分の治療費は被害者自身が負担することとなります。そのため、加害者が過失割合について争っているとなると、最終的に加害者側が支払わなければならない治療費の金額がはっきりしないことから、保険会社も容易には支払いません。
一方で、労災保険を使用すれば、上記のような過失割合に応じた減額等は行われず、治療費は全額労災保険金から支払われます。また、労災保険の場合、保険の性質上、治療期間を短くしようと圧力をかけてくることはありませんから、安心して治療できます。

メリット3後遺障害の等級認定審査を労災保険でも行います

交通事故で後遺症が残ってしまった場合、自賠責保険の後遺障害等級認定とは別に、労災保険の方でも独自に後遺障害の等級認定を行うことができます。認定方法は自賠責保険とは異なり、労働基準監督署での面談も行われます。

ただし、自賠責保険と労災保険の双方に申請をする場合はあまりありません。というのも、一般的には自賠責の後遺障害等級認定を受けてそれで足りるからです。異議等の手続きを経ても満足できる結果とならず、労災との利益調整をしてもなお、賠償額の差が大きくなるなどの特殊な場合には、その後に、労災保険に申請することになります。