解決までの流れ
いつ、誰にでも起こりうる可能性がある労働災害。
労働災害は、労働者が就業中、業務や作業などで負傷・疾病・死亡に至ることをいいます。
通勤途中の災害も労働災害として認められており、前者を「業務災害」、後者を「通勤災害」と呼びます。
労災事故発生から解決までの流れ
労災事故の発生
治癒+証拠の収集・保全※1
(写真撮影・目撃供述の聴取、診断書等)労災保険給付の申請※2
労災認定あり(決定に不服なし)
労働局に対して行政機関個人情報保護法等に基づき、
調査復命書等の開示請求
請求額の精査検討
会社側への損害賠償請求交渉※3
会社側との交渉成立
示談による解決
会社側との交渉決裂
裁判手続による解決
(1) 労災事故発生直後の対応
労災事故発生直後は、被災労働者自身の治療を第一に優先すべきです。
しかし、記憶は日に日に失われますので、事故発生時の状況は早く書き留めて置きましょう、また、現場の状況も変わってしまいます。
そのため、出来る限り現場を確認し、証拠となる現場写真を撮影しておさえておくことが大切です。スマートフォンがあるので、録音、写真等様々なことが出来ます。また、通勤災害、交通事故の場合は、所管の警察や保険会社へ連絡を忘れずに行わなければなりません。
混乱・動揺しているときに、すべての対応を行うのは難しいものです。当事務所では、専門の弁護士がアドバイスいたします。
(2) 労災保険給付の申請
労働災害発生時、規定の要件に該当する場合に、労災保険給付が受けられます。給付を受けるためには、まず、労働基準監督署へ申請手続きを行わなければなりません。中には、会社が申請手続に協力的な姿勢を示さない場合、労働基準監督署が給付要件に該当しないと判断を下すこともあります。
被災労働者の身分保障も考慮しつつ、主に後遺障害についてと会社への請求についてですが、証拠書類等の作成も含めて労災保険給付申請手続のサポートを行います。
(3) 会社に対する損害賠償交渉・訴訟
会社側の不注意などで事故にあい大けがをした場合、労災保険給付で賄われない損害に関して、被災労働者またその遺族は、会社に対して損害賠償請求を行うことができます。
安全配慮義務違反、過失割合はかなり難しい個別具体的な判断となりますので、過去の事例をいくら参考にしても、なかなか判断できるものではありません。ただ、裁判例をみても、比較的労働者よりの判断がなされていると思えますので、粘り強く交渉を続け、訴訟をすることも大切です。
請求手段は、「交渉」と「訴訟」の2手法が考えられます。
- 交渉について
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交渉による場合は、早期に解決することが多くあります。訴訟による場合と比べて、厳格な証拠提出が求められないため、会社側とも労働者と雇用者というこれまでの関係性を崩さず、全面解決へとつなげることが可能です。
請求手段を選択する際、訴訟による解決を選択した場合の費用対効果なども鑑みて、交渉か訴訟へ踏み切るかを判断する必要があります。
- 訴訟について
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訴訟による場合では、会社との交渉が成立せずに解決の糸口が見いだせないとき、裁判を起こして賠償を求めていくこととなります。損害賠償請求を行う上で、最後まで事実関係を争うことになるため、被災労働者が納得のいく解決を図れる一方で、解決するまでに長い時間を要することも考えられます。全て思い通りの判決を得られる確証がないという点も、理解しておく必要があります。