コラム

弁護士に依頼した場合の慰謝料相場は?理由ごとの離婚慰謝料の平均

  • 離婚・慰謝料

夫婦関係の破綻により離婚に至った場合、一方の配偶者は、破綻の原因について主たる責任のある他方の配偶者に対して、離婚慰謝料を請求できる場合があります。そして、実際の離婚慰謝料の金額は、具体的事案に応じて様々です。

なぜなら、離婚に至る経緯は各夫婦により様々であり、離婚事由の種類・内容により、精神的苦痛を慰謝するために必要となる金銭の額は異なるからです。

他方、離婚慰謝料の金額について、個別の事案における細かな事情に基づいて、正確に算定することは難しく、また、判断する裁判官の価値観等により、同じようなケースでも慰謝料の額に大きな差の生じることは公平に反します。

そこで離婚慰謝料の金額は、各離婚原因に応じた相場(過去の裁判例、裁判官もよっぽど独善的でない限り、類似の裁判例を確認するものです。)を基準にして、個別の事情に応じた微調整により決められることになります。

今回は、各離婚原因の離婚慰謝料の相場について解説します。

どのような場合には離婚慰謝料を請求することができる?

協議離婚・調停離婚の場合

協議離婚・調停離婚は、夫婦間の合意に基づきます。

離婚の原因及びその責任も含めて、話し合いにより解決するのであり、慰謝料を定めずに、離婚について合意すれば、離婚は成立することになるのです。

このとき、相手方配偶者に対して、離婚慰謝料を請求することはできます。しかし、話し合いによる解決ですから、相手が全く応じないと話になりません。

ところで、相手配偶者から慰謝料を取りたいという相談をよく受けます。しかし、慰謝料はそう簡単に発生するものではありません。赤の他人が、一つ屋根の下で暮らしていて、気に入らないこと、ちょっとした言い合いなんて日常茶飯事です。そんなことはお互い様ですから、慰謝料どうこうという問題になりません。

そのため、単なる性格・価値観の不一致のため、お互いに離婚を望み協議離婚するようなケースでは、そもそも離婚慰謝料を請求することは難しいことを知っておきましょう。もちろん、話し合いなので、相手が払うというなら問題ないです。

裁判離婚の場合

法定離婚事由に当たる事実を理由として裁判離婚の認められる場合でも、当然に離婚慰謝料を請求できるものではないことに注意しましょう。たしかに、不貞や悪意の遺棄、暴言・暴力などにより婚姻を継続し難い重大な事由のある場合には、慰謝料請求は認められるでしょう。

しかし、たとえば、性格の不一致を理由に長期間別居するに至り婚姻を継続し難い重大な事由のある場合、3年以上の生死不明、回復困難の重度の精神疾患等を理由とした離婚の場合には、一方の配偶者に離婚原因につき責任を認めることはできませんから、慰謝料請求は難しいでしょう。

離婚原因について離婚慰謝料は請求できるケース

このように離婚の種類に関係なく、離婚原因について、社会通念上あまりにそれはひどいなと認められる場合に限り、離婚慰謝料が発生します。

各離婚原因の離婚慰謝料の相場

不貞による離婚

不貞による離婚の慰謝料の相場は、100万円~300万円であると言われています。

かなり幅のある相場ではありますが、基本的に最低でも100万円として、後は、婚姻関係の期間、不貞関係の期間及び肉体関係の回数、不貞の関係に至った経緯、不貞開始当時の夫婦関係の状態、その他の不貞による精神的苦痛の程度に影響を与える特別な事情(不貞を許容する態度、不貞発覚のショックにより精神科に通院するようになったなど)を考慮して、最終的な金額を決定することになります。当事務所において、交渉段階で解決することも多いため、場合によっては、500万円以上とったケースもありますが、裁判となると180万円前後といったところでしょうか。

身体的・精神的暴力による離婚

次に、身体的・精神的暴力による離婚の場合の慰謝料の相場は50万円~500万円であると言われています。そこでは、暴力の回数、内容、暴力により生じた具体的被害の内容等を考慮して慰謝料の額を決めます。

ちなみに、仮に身体的・精神的暴力により、重傷を負い、後遺障害の残った場合には、慰謝料だけではなく、交通事故の場合と同じように、治療費、休業損害、後遺障害慰謝料、逸失利益の賠償を求めることができるため、その額は500万円を大きく超えることがあります。

悪意の遺棄の場合

悪意の遺棄とは、正当な理由なく夫婦の同居、協力、扶助の義務を履行しないことです。たとえば、単身赴任や介護などの特別の理由なく同居を拒否して家出する場合や理由なく生活費を渡さない場合などです。

このような悪意の遺棄を理由に離婚する場合の慰謝料の相場は、50万円~300万円であると言われています。そこでは、悪意の遺棄に当たる行為に出た理由・動機、行動の具体的内容等を踏まえ、最終的に慰謝料の額を決めます。

その他の場合

その他の理由により離婚に至った場合で慰謝料が発生する場合は、様々なので相場はお答えできません。

ところで、注意すべきは、相場は、あくまでも一般的に妥当であるとされる慰謝料の金額に過ぎないのであり、実際には、ある程度の具体的事情を踏まえて、相手方配偶者に与えた精神的苦痛の程度に応じ、その上、話し合いの余地が大きいことです。

離婚慰謝料を請求する際のポイント

証拠の収集・保全

離婚慰謝料を請求する際の第一のポイントは、証拠の収集・保全です。具体的には、相手方配偶者の離婚原因となる具体的行動に関する証拠の収集・保全です。

たとえば、不貞の場合には、ラブホテルに出入りする現場の写真、性交渉の存在を裏づけるメールの保存、不貞を認める書面・録音テープの作成などです。なお、証拠は多ければ多いほど慰謝料増額の可能性を高めます。

慰謝料請求の根拠となる事実についての証拠の収集・保全を確実に行うことは、仮に訴訟した場合の勝訴を約束することになり、そうであるがゆえに、和解交渉でも、話を優位に進めることができ、相手方配偶者から大幅な譲歩を引き出せるのです。

合意による解決は相場に縛られない

離婚慰謝料を請求する際の第二のポイントは、合意による解決は離婚慰謝料の相場に縛られることはないということです。先ほど説明した離婚慰謝料の相場は、あくまでも裁判を起こした場合の裁判所が認めるであろう慰謝料の額です。

他方、当事者間の合意により離婚慰謝料の問題を解決する場合には、離婚慰謝料の相場を超える金額の支払を内容とすることは問題ありません。

そこで、離婚慰謝料を請求する際には、いきなり裁判ではなく、相場の金額にとらわれない合意による解決を目指すことにより、相場より多い金額の慰謝料を受け取れることがあります。

離婚の慰謝料請求は弁護士に早めの相談を

離婚慰謝料は、離婚原因につき、社会的にみてそれはひどいという原因をつくった相手配偶者に対して請求できます。そして、離婚慰謝料は、各離婚原因に応じた相場をベースとして決まります。もっとも、ここでの相場は、あくまでも裁判した場合の裁判所の認める慰謝料の額の目安であり、合意により解決する場合には慰謝料額は相場に縛られることはありません。

なお、合意による解決でも、裁判による解決でも証拠の収集・保全は非常に重要ですから、離婚慰謝料を請求する場合には、何より事前にしっかり証拠を集めることを意識しましょう。

とはいえ、証拠の収集・保全、合意による解決のための交渉、訴訟を自力で行うことは非常に難しいですから、離婚慰謝料の請求を考えられたら、少しでも早期に多くの慰謝料を受け取るために経験豊富な弁護士に相談するのがよいでしょう。

当事務所では、なるべく相手と交渉して解決する、出来るだけ裁判手続きを使わない、早期解決を目指すという方針を原則としていますが、状況に応じて、時間をかけ、しっかり争う場合もあります。
お客様にとって最大の良い結果になれるよう全力でサポートいたしますので、まずは一度安心してご相談ください。