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離婚・慰謝料 解決事例、コラム

当事務所で解決した離婚・慰謝料事例の一部のご紹介となります。

男性
性別:
男性
年代:
30代
子ども:
あり

「離婚協議中の妻が子どもに一切会わせてくれない。面会交流が実現したケース」

1 事案の概要

 本件は、弊所にご相談いただく約半年前から妻と別居中である依頼者が、妻から離婚調停を申し立てられた事案になります。依頼者としては、最終的に妻と離婚することは致し方無いとの考えでした。ただ、別居開始時から2人のお子様たちと一切会わせてもらえず、今後一生会えない状態が続くのではと不安を抱えておられ、お子様たちと会えないまま離婚に応じることはできないとのご意向でした。
 また、別居開始時より依頼者名義の預金通帳とキャッシュカードを妻が管理していたため、給与を自由に引き出され続け、ご自身の生活費が不足しているという状況もお困りの点でした。

2 方針と弁護士の対応

(1) 面会への対応

まず、お子様たちと長期にわたり会えない状況が続いている点については、こちらから面会交流調停を申し立てました。離婚調停が申し立てられているケースでは、通常、離婚調停内で親子間の面会の条件についても協議の場が設けられます。しかし、当事者間で行った離婚調停で、「子どもが嫌がっているから」といった当事者の言い分を重視して面会の条件が有耶無耶にされてしまったという事案を耳にしたこともあります。これに対し、面会交流調停を申し立てるということは、法的拘束力をもった結論を正式に求めることを意味し、必要性に応じて調査官(紛争の原因に至った動機、子の生育歴、生活環境等を調査する職員)が事件を担当します。
子を監護する親が面会を拒否している事案では、調査官による調査を要する事態が想定できます。本件も妻側が頑なに面会拒否の意思を示していたため、面会交流調停の申し立てを行いました。

(2) 金銭問題への対応

給与口座の管理が妻に残っている件については、妻の代理人弁護士を通じて直ちに通帳の返還を求めました。半年の間で使われた依頼者の給与についても、本来支払うべき婚姻費用相当額との差額を清算することを求めました。確かに、一度多めに支払った婚姻費用の返還を求めることは一般的に難しいと思われますが、離婚交渉では、養育費・財産分与・慰謝料といった金銭問題についてトータルで如何に折り合えるかは事案により様々です。諦めることなく言い分を出し合い協議することが大事です。

3 面会交流

「面会交流」とは、子どもと離れて暮らしている父母の一方が子どもと定期的、継続的に、会って話をしたり、一緒に遊んだり、電話や手紙などの方法で交流することをいいます(法務省HPより)。面会交流権は、民法上でも定められた親の権利であると同時に、子が親から愛されていることを実感しながら親子関係を築くための子の権利でもあります。
面会交流の実施にあたり一番重要な観点は、交流が「子の福祉」に資するものなのかという点です。面会交流はどうしても子に会いたい親の希望、反対に会わせたくない親の希望を実現するためのものではなく、子の健全な成長にとって最適な方法を考えるという視点が必要となります。
子にとって適切な面会方法は、当然個々の案件によって全く異なります。そこで、本件では、最初に妻と別居に至った経緯、同居時の監護状況やお子様たちとの関係性について詳細に聞き取るところから開始しました。

4 面会交流実現までの経緯

(1) 調査官調査

 妻は依頼者の暴言や暴力があり、子どもが面会交流を希望していないと主張しており、面会を強く拒否している状況でした。
 そこで、お子様たちの様子につき調査官調査が実施されることになりました。調査官による調査は、たとえ真に子が親との面会を拒絶しているとしても、状況や感情を知ることに繋がります。
結果的に、お子様たちに特段父を拒否する様子はなく、父親との交流を実施しない理由は見受けられないとのものでした。

(2) テレビ電話機能を利用した間接交流の実施

 調査官調査の結果を受けても、妻は離婚が成立しなければ子どもと会わせることは難しいとの回答を続けていました。会えない状態が長くなるほど、交流再開時の溝が深まることが懸念されたため、テレビ電話機能を利用してお子様たちと会話をすることだけでもできないか申し入れました。移動の手間がなく、依頼者と直接接触する必要がない方法だったためか、ご協力いただけることになりました。

(3) 施行面会の実施から直接交流へ

 間接交流の実施報告を裁判所に行っていたところ、いよいよ依頼者とお子様たちが直接面会を行う方向で話が進みました。長期間会っていない状態であったため、裁判所の部屋を利用して試行的な面会交流(試行面会)を行うことになりました。
試行面会は、今後の適切な面会条件を検討する上でも重要な場となります。そこで、依頼者には、離婚協議が行われている特殊な状況下においてお子様たちの抱き得る複雑な感情、交流時の心掛けや注意点などをご説明しました。依頼者は、お子様たちが途中で飽きた素振りや見せたとしても、終始穏やかに寄り添っておられ、最後には楽しく遊ぶことができました。

4 結果

 面会交流の条件が整ったことで当事者間では離婚が成立し、依頼者が半年間支払い過ぎた金銭も清算がなされました。
離婚時には親どうしの関係性が悪化していることが大半で、面会交流の協議を冷静に行うことが難しい場合も多々あります。依頼者とお子様にとって最適な方法を一緒にご検討させていただくことができますので、ぜひ弊所までご相談ください。

監修:弁護士法人キャストグローバル
   大津オフィス 家事担当(離婚)