- 性別:
- 女性
- 年代:
- 30代
- 子ども:
- あり
解決事例(離婚・面会交流)
1 事案の概要
相談者様は、以前より相手方である夫との関係性に悩んでおられ、出産とともに夫との別居を開始され、ご相談時は育休中でした。別居期間が積み重なる中、離婚協議を進めたいものの交渉が心理的負担になるということでご相談に来られました。今後のお子様との生活のためにも親権・財産分与・養育費といった事項についてしっかり取り決めたいというオーダーでした。
2 方針・調停での対応
夫から毎月支払われる婚姻費用の金額が相場より少なかったことからも、受任と同時に離婚及び婚姻費用の調停を申し立てることとしました。第1回調停期日において相手方の考えを確認したところ、相手方は離婚に応じる意向があるもののお子様と今後も定期的に会うこと(すなわち面会交流)を強く希望していました。一方で、自身の家計が苦しいためこちらの求める養育費額には応じられないとの回答でした。
これに対し、相談者様は「子どものためを思うと父親との面会交流を行うことが望ましい」「父親から愛されていることを子どもにも感じてもらいたい」とのお考えで面会交流に協力する意向をお持ちでしたが、相手方と2人きりで対面することに不安感を抱いておられました。また、面会交流時に別居や離婚の理由について問いただされるのではないかとの懸念もありました。お子様の将来のためにも、離婚協議を円滑に進めるためにも暫定的な面会交流の実施が理想である一方で、当事者間で実施することが困難な状況でした。そこで、次回調停期日までに担当弁護士が立ち会う形で面会交流を実施することをご提案しました。
3 面会交流事件の流れ
面会交流の実施条件につき同居親と別居親の間に対立が生じて話合いがまとまらない場合、別居親としては調停申立てを行うことが通常となります。調停内でも合意ができない場合は、家庭裁判所調査官による調査が実施された後、審判により実施条件が定まることになります。
当事者間で円滑な取り決めがなされない場合に上記流れを辿ることになると思われますが、調査官調査や審判が必要となるケースでは自ずと事案が長期化します。事案の長期化によるデメリットは多々挙げられますが、子どもの心理的負担の増加や離婚交渉自体の長期化につながります。また、当事者間の対立が深刻化することで婚姻費用や養育費の支払いが止められ、生活費確保に向けた新たな対応が必要になる等の問題が発生することもあります。当事者間の感情的・法的対立が少ない初期段階に争いの種を減らすことができるかが早期解決の鍵になると言えます。
4 面会交流の実施とその後の調停
面会交流を実施するにあたり「子の利益を最も優先して考慮」しなければならないとされています。要するに親の都合で実施するのではなく、子どもにとってより負担が少なく、楽しいものであることが望まれます。
本件では面会交流の実施につき具体的なプランを相談者様と検討した結果、両当事者と担当弁護士が立会いのもと児童館にて1時間ほど執り行うこととなりました。お子様が日頃慣れ親しんだ場所でリラックスでき、遊び道具も多いため飽きずに遊べ、かつ雨天でも決行できる場所であるため相応しいと判断しました。
お子様の年齢・性格・親子の関係性・両当事者の関係性・居住場所等により相応しい方法は異なります。例えば、本件のように幼いお子様であれば母の立会いがなければ泣いてしまい実施が困難となる場合もあります。高校生のお子様であれば、必ずしも監護親が日時を取り決めずとも自由に連絡を取り合い、食事や買い物に出かけておられる方もいらっしゃいます。近年ではスマートフォンで容易に連絡を取り合えることから、遠方に暮らす当事者間ではテレビ電話を利用した面会を行っているケースも見受けられます。まさに「子の利益」を考慮して、子どもにとって適切な方法を選択することが重要です。
5 結果
第2回期日までに上記方法で弁護士立会いのもと面会交流を行った後、第3回期日までには弁護士の立会いを解除して両当事者のみで実施していただきました。結果として、第3回目の調停期日では相手方が支払額に抵抗を見せていた養育費の協議もまとまり、解決となりました。「離婚成立後であってもお子様に会うことができる」という具体的なビジョンが相手方である夫にも思い描けたことで、一定の安心感や理解が得られたことが早期解決を図れた要因であると思われます。
本件は面会交流に協力的姿勢を示すことで解決につながった事案ですが、当事者の関係性によっては穏便な交渉が難しく強気な姿勢や法的措置が求められる場合も当然あります。お客様それぞれの事案に即した方法をご提案できますので、ぜひお気軽に弁護士までご相談ください。
監修:弁護士法人キャストグローバル
滋賀オフィス 家事担当(離婚)