土地や家、不動産相続時の手続きと、知っておきたい注意点

遺言・相続

土地や家、不動産相続時の手続きと、知っておきたい注意点

相続に関連し土地や家、マンションなどの不動産に関するお悩みが発生するのはよくあることです。
そこで、土地や家など不動産の相続時にどのような手続きが必要になるのかといった解説と相続前に知っておきたい注意点を、相続問題に強い大阪・高槻の「弁護士法人キャストグローバル」が解説します。

1. 不動産(土地や家)を相続するとどうなる?

相続財産には、大きく分けて動産と不動産があります。動産とは、現金、有価証券(株など)や骨とう品などです。一方で、不動産とは土地や家などです。

この2つには、大きな違いがあります。動産の場合は相続人ごとに分けやすく、不動産は分割しにくいということです。もちろん、一つの不動産を共同所有するという方法もありますが、その後の相続・処分を考えた場合、得策とは言えません。
また、動産の場合は、相続する人にそのまま引き渡せば、相続の手続きが完了しますが、不動産の場合、所有権移転登記を行わなければなりません。なお、不動産を相続した人は、固定資産税などの税金を納める義務が生じてきます。

2. 不動産(土地や家)を相続したときの流れ

2-1. 不動産(土地や家)を相続したら相続登記を行う

先程ご説明したように、動産を相続した場合は、そのものを相続人に引き渡すことで完了します。不動産の場合は、法務局で所有権移転登記を行うことで完了します。
例えば、現金を相続した人は、現金を自分の財布、あるいは口座に入れます。誰から見ても、その現金はその人の物(正確にいいますと占有ですが)です。しかし、不動産は一目見ただけで、誰のものかわかりません。そのため、「登記」という制度によって、所有者がわかるようにしているのです。

2-2. 相続登記の3つの種類について

相続登記には、主に次の3つの種類があります。
まず一つ目は、法定相続分による相続登記です。民法では、亡くなった人と相続人との関係によって、相続する割合が決まっています。例えば、一つの土地を3人の相続人(妻、長男、長女)で法定相続分のままで相続した場合、それぞれの持ち分が「妻:2分の1」、「長男:4分の1」、「長女:4分の1」と登記されることになります(民法第900条第1項)。
二つ目は、遺産分割協議による相続登記です。法定相続分ではなく、相続人全員の話し合いによって、不動産を相続する人、あるいは持ち分を決めて、登記を行うことになります。
三つめは、遺言による相続登記です。亡くなった人が書いていた「遺言書」の内容に則り、所有権移転登記を行うものです。

2-3. 相続登記に発生する費用

相続登記に必要な費用は、登録免許税、つまり税金です。この金額は、登記を行う不動産の価格で決まります。相続登記の場合、「不動産評価額×0.4%」です(法務局ホームページより)。なお、不動産評価額に1,000円未満に金額がある場合には、切り捨てて計算します。また、算出した登録免許税に100円未満の金額がある場合には、切り捨てます。
相続登記の書類を法務局に提出する際に、窓口で登録免許税分の収入印紙を購入し、申請書に貼付します。その他、司法書士などに依頼する場合は、登記代行のための費用が必要です。

2-4. 相続登記に必要な書類

相続登記に必要な書類は、登記申請書、亡くなった人の住民票と戸籍謄本(生まれてからなくなるまでの連続したもの)、不動産を相続する人の住民票と戸籍謄本、不動産の固定資産評価証明書、相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明、相続関係説明図、委任状、現在の登記事項証明書、登記原因証明情報などです(法務局ホームページより)。
この必要書類の中で、登記原因証明情報というのは、土地の所有権を移転する根拠となる書類です。例えば、遺言書のとおりに所有権を変更する場合には遺言書、相続人の話し合いによって所有権を変更する場合には「遺産分割協議書」です。また、相続登記の種類によって、準備するものが異なりますので、あらかじめ法務局に確認する必要があります。

2-5. 相続登記には期限がない

相続放棄や相続税の申告には、期限があります。一方、相続登記には、特に期限は設けられていません。しかし、相続登記を怠ると、不都合が生じます。特に、固定資産税は登記簿上の名義人に請求されますから、いつまで経っても亡くなった人宛に支払通知書が届くことになります。また、その後の相続・処分の際、問題が生じることもあります。
たとえば、不動産の登記を正しくしていなければ、売却の必要性が出てきた場合、対応が遅くなり、必要な時に売却することができなくなりますし、貸し出す場合も問題がでてくるでしょう。
また、分割した不動産の登記を怠ったままにすると、遺産を他の相続人に横取りされてしまうリスクも考えられます。
さらに、将来、さらに誰かが無くなって相続が発生した場合、未登記の不動産をその相続人たる子どもなどが相続することになります。その際、その相続人たる子どもたちが、未登記分も含めて登記する必要が出てきます。この時の登記費用、資料集め、一次相続の相続人の同意など、さまざまなトラブルが起こる可能性があります。
将来のトラブルを防ぐという意味でも、やはり、できるだけ早く相続登記を行うようにすることが必要です。

2-6. 不動産(土地や家)は遺産分割協議により分けることも可能

亡くなった人が遺言書を書いていた場合に、一般的に相続人は、できるだけその内容に沿って相続します。
しかし、相続人全員が納得すれば、遺言書の内容どおりの相続でなくてもかまいません。特に不動産は、利用価値の高い財産ですから、遺言書よりも相続人の遺産分割協議によって、分割、あるいは相続することが少なくありません。

3. 不動産(土地や家)を相続したときに発生する税金

通常、不動産を入手すると、「不動産取得税」が課されます。しかし、これは不動産を購入した場合ですから、不動産を相続した場合には、課されません。
次に、「相続税」ですが、「基礎控除額」を超えた財産を相続した場合には、課税されます。この「基礎控除額」とは、「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」ですから、相続人の人数によって、変わってきます(国税庁ホームページより)。
相続後には、「固定資産税」が課税されます。固定資産税は、通常年に4回に分けて納付するようになっています。税率は、不動産価格の1.4%です(大阪市ホームページより)。 なお、固定資産税を納めなければならない人が生活保護の対象者であったり、火災や水害などで被害を受けたなど特別な事情があったりした場合には、税の全部または一部が免除されることがあります。

4. 相続財産に不動産(土地や家)がある場合の注意点

4-1. 被相続人などが認知症になってしまうと?

被相続人、相続財産を残す人が認知症になってしまった場合、特に問題になるのは、遺言書の作成時期です。もし被相続人が書いた遺言書があり、その時期に既に認知症であることがはっきりしている場合には、その遺言書すべてが無効になります。その場合には、遺産を法定相続分で分けるか、あるいは相続人全員で協議を行うことになります。

4-2. 共有名義は注意

数人の相続人で、不動産を共同名義にすることがあるかもしれません。しかし、注意したいのは、将来的に処分する場合にトラブルの原因になってしまうということです。例えば、共同名義の土地を誰かに売りたいという場合、名義人すべての同意が必要になってきます。一人でも反対すれば、売ることができません。ですから、不動産を共有名義にすること自体、あまりおススメはしませんが、どうしても共有名義にする場合は、将来的なリスクも十分考慮しておく必要があると言えるでしょう。

4-3. 生前にできる対策

不動産に関して、生前にできる対策は、いくつかあります。不動産は大きな財産ですが、その分、課税金額が大きくなりがちであり、評価が難しく、分けにくいという特長があります。
従って、できるだけ早く専門家へ相談することが必要です。
具体的な対策としては、売却し現金化してしまう、生前贈与をする、不動産管理会社を設立する、などがありますが、該当する不動産の価値やそのときの税制、不動産市場の動きなど、総合的な判断が必要となります。
また、相続税は、現金での一括払いが基本となりますので、相続財産に不動産がある場合は、納税資金を早めに考えておくことも重要です。

4-4. 知っておきたい遺留分のこと

被相続人の遺言書で、まったく相続人に遺産を相続させないといった内容の遺言書があった場合でも、相続人には遺留分があります。
遺留分とは、法定相続分の半分は、相続財産を相続できる権利です。もし遺言書が、自分にはまったく相続させないという内容であれば、家庭裁判所に「遺留分減殺請」をすることになります。不動産ももちろん、相続財産ですので、各相続人の遺留分を考慮しておく必要があります。

5. 相続に関する不動産問題にも強い無料相談や電話相談も対応している大阪・高槻の弁護士法人キャストグローバルの強み

相続財産の中に不動産がある場合には、相続の方法や手続きが複雑になります。相続問題に強い、「弁護士法人キャストグローバル」は、不動産に関わる相続問題を多く手掛けており、元司法書士である司法書士有資格者の弁護士が在籍していますし、税理士や他の専門士業、金融機関や不動産業者などそれぞれに信頼できる先との関係性を活かしたトータルサポートができることが強みです。
また、ご相談しやすいよう、平日午後7時まで、土曜日も午後7時まで対応もしており、お電話での無料相談にも対応しておりますので、ぜひご活用ください。

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