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アスベスト(石綿)被害

滋賀オフィスの弁護士が説明するアスベスト(石綿)被害について

アスベスト(石綿)による健康被害の
賠償金請求・救済制度

アスベスト(石綿)による健康被害は長年に渡って見過ごされており、多くの被害者が存在します。
2017年の時点で中皮腫によって死亡された方だけでも1555名にも上ります。
アスベストによる健康被害を受けた場合は、所定の条件を満たすことで国からの賠償金を請求可能です。また、労災保険給付、特別遺族給付金または石綿健康被害救済給付を受け取ることもできます。キャストグローバルでは、アスベスト被害で長年苦しんでいる方、健康被害を受けている方のご相談を広く受け付けています。アスベスト被害を受けて救済を望まれている方は、まずご相談をご検討ください。

アスベストによる健康被害の概要

アスベストとは

アスベストとは、鉱物繊維の「石綿」のことです。「いしわた」や「せきめん」と呼ばれています。アスベストは、髪の毛の5000分の1という非常に細い繊維です。アスベストは、熱や摩擦に強く、耐火性や防音制に優れていることから、広く建材として使用されていました。主に以下の用途で使われていましたが、全ての用途を合計すると3000種類あるとも言われています。

主なアスベストの用途

  • 断熱材
  • 吹き付け材
  • スレート材(屋根材)
  • 自動車のブレーキ部品
  • シール断熱材
  • 煙突や排気管
  • 上下水道用高圧缶
  • タンクやパイプラインの継ぎ目

アスベストの種類は以下の6種類です。

  • クリソタイル(白石綿)
  • アモサイト(茶石綿)
  • クロシドライト(青石綿)
  • アンソフィライト石綿
  • トレモライト石綿
  • アクチノライト石綿

この中でも最も発がん性が高い石綿が青石綿です、日本で使用が禁止されるまでの期間に使用された石綿は、約1000万トンです。石綿の吹きつけが禁止されたのが1975件、青石綿、茶石綿伸しようが禁止されたのが1995年。現在は、石綿の輸入量は0となっております。

アスベストで健康被害が生じるメカニズム

アスベストによる健康被害は、極めて細いアスベストの繊維が空気中に浮遊して、人の肺胞に付着することで引き起こされます。通常は、肺胞に吸い込んだ物質は痰の中に混ざって体外に排出されます。しかし、アスベストの繊維は細く変化しにくいため、肺の組織内に長くとどまってしまうのです。その結果、肺の線維化や肺がん、悪性中皮腫などの病気をもたらすリスクが上昇します。石綿の中でも青石綿の発がん性が高く、次いで、茶石綿、白石綿と続きます。一般的には、石綿の繊維の肺の滞在時間が長いほど、病気を発症しやすくなると言われています。一般的には、アスベストのばく露を受けてから、発病するまでの期間は約40年です。

中皮腫

中皮腫の概要

中皮腫とは、肺を取り囲む胸膜や肝臓、胃などの周囲にある腹膜、心臓を覆う心膜、精巣鞘膜にできる悪性腫瘍のことをいいます。胸膜に発症することが最も多く、腹膜が次いで多いです。中皮腫のほとんどは、石綿が原因となっており、喫煙によって中皮腫が発生することはありません。中皮腫は、石綿にばく露してから40年前後経過してから発症する病気です。中皮腫は業務で取り扱っていた方だけでなく、近所に石綿工場等があった、住宅に石綿があったなどの場合も発症することがあります。

中皮腫の症状と治療法

中皮腫の症状は、息切れ、胸痛、咳、発熱、全身倦怠感、体重減少などです。無症状でも、レントゲンで胸水がたまっていることから中皮腫が発見されることもあります。
中皮腫の治療は、手術、化学療法、放射線療法を組み合わせて行われます。

肺がん

肺がんの概要

石綿は、肺がんを引き起こします。肺がんは、喫煙等、石綿以外の原因でも発症リスクが高まる病気です。現在は、石綿を取り込んでから肺がん発症までの30年から40年ほどかかるといわれています。煙草を吸っている方が、石綿を取り込んだ場合は、石綿とも無関係の非喫煙者と比較すると53.24倍も肺がんの危険性が高まることがわかっています。

肺がんの症状と治療法

肺がんの症状は、咳や痰、血痰などです。症状がなく、レントゲン等で初めて発見される事例もあるので、石綿を取り扱ったことがある方は検査を受けるとよいでしょう。肺がんの治療は、手術や化学療法、放射線療法等を組み合わせて行われ、発見が早ければ生存率も高くなります。

石綿肺

石綿肺の概要

石綿肺とは、石綿を大量に吸入したことで、肺が線維化してしまう病気です。じん肺ともいいます。

石綿肺の症状と治療法

肺の線維化が進行すると、呼吸困難が生じ、日常生活に支障を来すこともあります。石綿肺は、大量に石綿を吸入した方に発症し、石綿を吸入開始してから10年以上経過すると石綿肺の所見が現れます。
石綿肺の治療法は、痰を抑える薬等による薬物療法や酸素療法などの対症療法がメインです。

びまん性胸膜肥厚

びまん性胸膜肥厚の概要

びまん性胸膜肥厚とは、臓側胸膜という肺を覆う胸膜という膜が慢性線維性胸膜炎を起こしている状態です。通常は、胸壁を覆う膜にも病変が及び臓側胸膜と癒着を起こしてしまいます。びまん性胸膜肥厚は石綿以外の結核性胸膜炎等でも引き起こされます。

びまん性胸膜肥厚の症状と治療法

びまん性胸膜肥厚の症状は、呼吸器感染や呼吸困難、共通等です。現在のところ治療法は確立されていないんため、呼吸機能障害が進行して慢性呼吸不全になると、在宅酸素療法を行います。

アスベストによる健康被害を受けた場合に
受け取ることができるお金

アスベストによる健康被害を、受けた場合は、以下の3つの救済制度が用意されています。

アスベストによる健康被害の救済制度

  • 国による賠償金
  • 労災保険給付(主に治療費、生活費の一部)
  • 石綿健康被害救済制度(主に治療費、弔慰金)

働いている際に石綿の被害を受けた場合は労災保険給付を請求します。

労働災害保険に加入していない方の救済制度

労働災害保険に加入していない船員や国鉄、公務員の場合は以下の救済制度の対象となります。

船員
船員は船員保険制度の対象となりますので、全国健康保険協会の船員保険部に連絡をします。
国鉄
元国鉄の従業員で、アスベストの健康被害を受けた場合は「元国鉄・アスベスト(石綿)補償制度」の対象となります。鉄道建設・運輸施設整備支援機構国鉄清算事業管理部が担当窓口です。
国家公務員
国家公務員として働いていた方は、「国家公務員災害補償制度」の対象となります。勤務していた省庁に問い合わせてください。
地方公務員
地方公務員として働いていた方は、「地方公務員災害補償制度」の対象です。各市区町村の、地方公務員災害補償制度の窓口への問い合わせが必要です。

石綿健康被害救済制度

労災保険給付や上記の制度の補償対象外の場合は、石綿健康被害救済制度の適用を受けることができます。労働災害給付と同様に、治療費や療養手当等がメインとなります。

国からの賠償金

労災給付や石綿健康被害救済制度とは別に請求できるのが、国からの賠償金です。石綿に健康被害が生じている方、またはご家族が石綿の健康被害で死亡されたご遺族の方は該当する給付金や賠償金がある場合は、請求手続きを行う必要があります。ご自身での手続きが難しい場合は、弁護士に手続き依頼することで、手間と時間をかけることなく補償を受けることができます。

企業からの賠償金

また、石綿による健康被害は、国の責任だけではなく労働者に対して適切な措置を講じなかった企業にもあると言われています。したがって、業務中に石綿にばく露して、健康被害を受けた場合は勤務先や関連企業に賠償金を請求することも可能です。実際に、工場で労働して石綿による健康被害を受けた場合の責任の割合は、「国が二分の一」という判断もあり、企業が責任を負う可能性があります。もっとも、石綿の危険性が知られる前、昭和30年以前については、賠償責任が否定される可能性が高いです。

アスベストによって健康被害を受けた方が
国から賠償を得られる理由

アスベストによって労働者に健康被害が生じた理由

現在は、一部のアスベストは非常に有毒性が高く、重大な病気を引き起こすことが広く知られています。

多用されたアスベスト

アスベストは戦前から様々な工業製品や建材に使用されており、1960年代から1990年代にかけては1000万トン以上のアスベストが輸入されてきました。体育館や住宅、パン焼き釜等日常的に接触がある様々な場所、製品にアスベストが使われております。

有毒性を認知しながら国が対策を講じなかった

アスベストには、強い有毒性があり先述したような死に至る病気を引き起こします。しかし、その潜伏期間が非常に長く、平均すると40年です。したがって、アスベストに関わっていた方の健康被害が分かるのは、40年後ということになり、1960年初頭にアスベストを扱っていた方が病気を発症するのは2000年ということになります。実際にアスベストによる健康被害が国内で初めて報告されたのは1960年でしたが、大きな問題としては取り扱われず、依然として多くの労働者やその家族、近隣住民がアスベストを吸引してしまう環境下に置かれていたのです。

アスベストによる健康被害の被害者による国との訴訟の歴史

アスベストによる健康被害で、国が賠償金を支払うことになったきっかけは、「泉南アスベスト訴訟」と呼ばれている訴訟です。

アスベスト産業の集積地泉南地区

泉南アスベスト訴訟とは、大阪のアスベスト産業が集積している泉南地区の労働者が、国に対して提起した訴訟です。泉南地区は100年に渡って日本のアスベスト産業を支えてきました。全国シェアは約8割です。当時は、アスベストの危険性が広く知られていなかったため、健康被害を防止する措置が一切講じられていませんでした。工場内が、石綿で真っ白になるような状態です。

泉南地区の被害者による集団訴訟

国は、早期にアスベストの健康被害を把握していたにも関わらず、使用禁止や規制等の措置を講じていませんでした。そこで、2006年5月に泉南地域の工場労働によってアスベスト健康被害者たちが集団訴訟を提起しました。4年後の2010年5月、大阪地裁がアスベスト被害における国の責任を問う判決を言い渡しました。その後、大阪高裁は国の責任を否定。争いは最高裁までもつれ込み2014年10月、最高裁が国の責任を明確に認める判決を下しました。これにより、国がアスベスト規制を怠ったことが違法であることが明確になったのです。
現在は、最高裁の判決に従って、国を提訴して和解が成立した場合は国から賠償金が支払われることになりました。

アスベスト被害で賠償を受けられる要件

国からアスベスト被害の賠償を受けられるのは、石綿工場型と、建設労働者型の2種類です。

石綿工場型の賠償金支払い要件

現在、国に対して訴訟を提起することで速やかに和解手続きが行われるのが、石綿工場に携わっていた場合です。

石綿工場型の賠償金支払い要件(大阪泉南アスベスト訴訟で示されたもの)

  • 昭和33年5月26日から、昭和46年4月28日までの間に局所排気装置を設置すべき石綿工場内において、労働者として、石綿粉じんにばく露する作業に従事したこと
  • 石綿関連疾患による健康被害を受けたこと
  • 提訴の時期が損害賠償請求権の期間内であること

以上の3つの要件をすべて満たしている場合は、国に訴訟を提起することで速やかに和解手続きが行われ、賠償金を受け取ることができる可能性があります。賠償金は、労災給付や石綿被害救済給付制度を受け取っている場合も、その金額はあまり考慮なく受け取れる可能性があります。

石綿工場型の賠償金請求時効

賠償金の請求期限は、石綿の健康被害を知りながら放置した行為が「不法行為」に該当しますので、被害を知ってから3年です。石綿健康被害の場合は、国が被害者に対して賠償金の対象となることを個別に告知しましたので、それから3年となります。また、不法行為には20年の除斥期間があります。損害が生じてから20年が経過してしまうと除斥期間が経過して、損害賠償する権利を失っていまいます。すでにご家族が死亡してしまったという方は早急に手続きに着手してください。

建設労働者型の賠償金支払い要件

先述した石綿工場型では、工場労働者しか賠償金を請求することができません。しかし、石綿にばく露したのは、工場労働者だけではないことは明白です。建物の解体作業に従事する解体業者や、アスベストの吹きつけ作業を行った建設作業員、それらを取り扱う建設作業現場で働いていた作業員等も石綿による健康被害を受けています。
こういった形でアスベストによる健康被害を受けた場合を、建設労働者型といいます。実は、建設労働者型のアスベスト被害においては、国が明確な賠償基準等を示していません。しかし、訴訟では、建設作業員のアスベスト被害に対する国の責任を認める判決が言い渡されています。したがって、建設労働者がとして、健康被害を受けた方は国に訴訟を提起することで賠償金を受け取ることができる可能性があります。
平成29年10月に東京高裁が言い渡した判決によると以下の条件を満たす場合に、国の責任を認めるとしています。

東京高等裁判所で認められた建設労働者型の賠償金支払い要件

昭和56年1月1日から平成7年3月31日までの間に屋内での建築作業現場、もしくは屋外の新築作業現場で働いていた方で、石綿肺、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚を罹患した場合
平成30年3月14日の判決では、昭和50年10月1日から平成16年9月30日までの間としています。建設労働者型は、工場型よりも対象となる期間が広くなっております。いつまで対象になるのかは今後の訴訟の判決で変化する可能性がありますので、昭和50年10月1日移行に建設現場で働いており、所定の健康被害が生じている方は、訴訟を検討しましょう。

アスベスト被害によって
受け取ることができる賠償金の金額

石綿工場型の場合

石綿工場型の労働者の場合の賠償金

  • じん肺管理区分の管理2で合併症がない場合 550万円
  • 管理2で合併症がある場合 700万円
  • 管理3で合併症がない場合800万円
  • 管理3で合併症がある場合 950万円
  • 管理4、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚 1150万円
  • 石綿肺(管理2・3で合併症なし)による死亡の場合 1200万円
  • 石綿肺(管理2・3で合併症ありまたは管理4)、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚による死亡の場合 1300万円

建設労働者型

建設労働者型の場合、石綿工場型とは異なり明確な賠償金額は明示されていません。
東京高裁の判決では以下の判決が下されています。ただし、国の賠償責任は3分の1とされていますので、全額が国から支払われる訳ではありません。

裁判で認められた建設労働者型の賠償金

  • 管理区分2、合併症ありで石綿肺 1300万円
  • 管理区分3、合併症ありで石綿肺 1800万円
  • 管理区分4石綿肺、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚 2200万円
  • 石綿関連疾患により死亡 2500万円

単純に計算すると上記の賠償金の三分の一を、国から受け取ることができると推測できます。

アスベスト被害の賠償金を請求する手順

厚生労働省は、公式ページにおいてアスベストの健康被害に関する訴訟については、弁護士に相談するようにとして弁護士会や法テラスの連絡先を掲載しています。これは、アスベスト訴訟の手続きや必要な証拠の収集は、弁護士でなければ難しいと判断されているためです。したがって、アスベストによる健康被害の賠償金を請求する場合は、弁護士に依頼するのが得策です。弁護士に依頼した場合は、弁護士に報酬を支払わなければなりませんが、賠償金には弁護士費用が上乗せされますので、実質的な負担額は小さくなります(ゼロではありません)。
ご自身が、賠償金の受け取り基準を満たしているかどうかを知りたい方、受け取り可能な賠償金の目安を知りたい方は弁護士への相談をお勧めします。弁護士法人キャストグローバル滋賀オフィスでは、アスベストによる健康被害の賠償金請求についてのご相談を広く受け付けており、親身になってサポートさせていただいておりますので、お気軽にご相談ください。

業務中にアスベストの健康被害を
受けた場合は労災保険給付

業務中にアスベストを取扱い、健康被害を受けた方やご遺族の方は、労災保険の給付を受けることができます。先述した賠償金は、慰謝料を支払うものでしたが、労災保険では医療費や休業補償等を受けることができます。実際に生じた損害を補償するのが労災保険といえます。

労災保険給付の支給対象者と支給対象疾病

労災保険においては、石綿ばく露作業を行って規定されている疾病を発病した場合に、給付金の申請が可能となります。

労災保険給付の支給対象者の一例

  • 石綿ばく露作業の種類
    労災保険では以下の作業を、石綿ばく露作業としています。
  • 石綿鉱山またはその付属施設におい行う石綿を含有する鉱石又は岩石の採掘、搬出またはその粉砕その他石綿の精製に関連する作業
  • 倉庫内などにおける石綿原料などの袋詰めまたは運搬作業
  • 石綿製品の製造工程における作業
  • 石綿の吹きつけ作業
  • 耐熱性の石綿製品を用いて行う断熱もしくは保温のための被膜またはその補修作業
  • 石綿製品の切断などの加工作業
  • 石綿製品が被膜材または建材として用いられている建物、その付属施設などの補修または解体作業
  • 石綿製品が用いられている船舶または車両の補修または解体作業
  • 石綿を不純物として含有する鉱物などの取り扱い作業

給付金の対象疾病の一例

給付金の請求対象となる疾病は以下の5つです。

  • 石綿肺
  • 中皮腫
  • 肺がん
  • 良性石綿胸水
  • びまん性胸膜肥厚

それぞれの疾患に対して詳しい条件が規定されていますので、ご自身が対象になるかどうかわからないという方は、都道府県の労働局、労働基準監督署、もしくは弁護士にご相談ください。

労災保険の給付金額

労災保険の給付金額は、給付金の種類によって異なります。労災保険において請求可能な給付金は以下の通りです。

労災保険で支給可能な給付金の種類

療養給付
療養給付は治療費や薬剤費等をいいます。原則として、労災給付の療養給付は「現物支給」とされており、窓口での費用負担をする必要はありません。療養給付がなされるのは、治癒、もしくは症状固定するまでです。治癒とは、症状が完治することをいい、症状固定とは、治療を行ったもののそれ以上の改善が見込まれない状態のことをいいます。症状固定となった場合は、後遺障害が生じている可能性があるため、障害給付を請求できる可能性があります。
休業給付
休業給付は、アスベストによる健康被害によって休業を余儀なくされた場合で、給与が支払わないに請求可能な給付金です。休業4日目から休業1日ににつき給付基礎日額の60%を受け取ることができます。
傷病年金
治療開始から1年6か月を経過しても治癒しない場合は、傷病等級に応じて年金を請求することができます。
障害給付
後遺障害が残った場合に請求できる給付金です。障害等級に応じて年金や一時金を請求できます。
介護給付
アスベストの被害による、重い後遺障害が生じて、介護が必要になった場合は、介護費用の実費を請求可能です。
遺族給付、葬祭料
アスベストの被害により家族を失った遺族に対しては、遺族給付が行われます。また葬祭費用も支払われます。

労災保険給付の請求方法

労災保険給付は、原則として労働基準監督署に所定の必要書類を提出することで請求します。給付内容によって必要な書類が異なります。

労災保険給付の必要書類の一例

療養の給付を請求する場合
「療養補償給付たる療養の給付請求書」という書類を請求します。
休業給付を請求する場合
「休業補償給付支給請求書」を提出します。
傷病年金を請求する場合
傷病年金は、労働基準監督署長が支給を決定するため、手続きは不要です。ただし、療養開始後1年6か月を経過しても治癒していない場合は、「傷病の状態等に関する届」を労働基準監督署長に提出します。
傷害給付を請求する場合
「傷害補償給付支給請求書」を提出します。
遺族給付を請求する場合
遺族給付を請求する場合は、遺族補償年金支給請求書を提出します。葬祭料を請求する場合は、葬祭料請求書を提出します。

労災保険は、一度請求したら様々な手続きが一括で行われるのではなく、給付ごとに請求書類を提出しなければなりません。

石綿健康被害救済給付制度とは?
制度の概要と支給要件、請求方法を解説

労災保険では、アスベストの健康被害に関する治療費等を給付します。しかし、労災保険は、勤務中に健康被害を受けた場合に請求できる保険ですので、すべてのアスベスト被害者が補償対象となる訳ではありません。例えば、石綿工場で働いていた従業員の服を洗濯していた配偶者や、家族、石綿工場の近くに済んでいて日常的に石綿を吸引していた方等は労災給付の対象外です。そういった被害者をも迅速に救済するために誕生したのが、「石綿健康被害救済給付」という制度です。石綿健康被害救済給付の受給条件や受給可能な金額、請求方法は以下の通りです。

石綿健康被害救済給付の受給条件

石綿健康被害救済給付で救済の対象となるのはアスベストを吸入することによって、以下の病気を発症したことが認められた方です。

石綿健康被害救済給付の対象となる疾病

  • 中皮腫
  • 肺がん
  • 著しい呼吸機能障害を伴う石綿肺
  • 著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚

これらの疾病を発症しているだけでなく、石綿との因果関係が認められた場合に救済制度の対象となります。石綿による疾患として認められるためには、胸部X線検査や、胸部CT検査による肺の線維化が認められていること、や胸膜プラーク所見があること、肺内部に石綿線維があることのいずれかの医学的所見が必要です。

石綿健康被害救済給付で受け取り可能な金額

石綿健康被害救済給付では以下の6種類の給付を受けることができます。

石綿健康被害救済給付の金額

医療費
石綿によって指定の疾病にかかったと認定を受けると、医療機関での窓口負担がなくなり医療費や薬剤費を支払う必要がなくなります。石綿によって指定疾病に罹患したと認められると「石綿健康被害医療手帳」が発行されますので、それを医療機関で提示することで窓口負担がなくなります。
療養手当
療養手当とは、入院屋通院に伴う諸経費を補償するものです。月額で10万3870円となっています。
未支給の医療費及び療養手当
石綿による健康被害を受けており石綿健康被害救済給付制度の受給対象となっている方が死亡したときに、受け取っていない医療費や療養手当がある場合は遺族が医療費や療養手当を請求できます。
葬祭費
葬祭費は、葬祭を行った方に対して一律19万9000円が支払われます。
特別遺族忌慰金及び特別葬祭料
石綿の吸入による疾病発病したにも関わらず、給付金の請求をせずに死亡した場合は、遺族が「特別遺族忌慰金及び特別葬祭料」を請求することができます。金額は、遺族忌慰金が280万円、特別葬祭料が19万9000円です。

石綿健康被害救済給付の請求方法

石綿健康被害救済給付金の請求窓口

  • 環境再生保全機構
  • 各地の保健所
  • 環境省の地方環境事務所

石綿健康被害救済給付請求の必要書類

  • 認定申請書
  • 戸籍の記載事項を確認できる書類(住民票の写しや戸籍の抄本、戸籍記載事項証明書)
  • 療養手当請求書
  • アンケート
  • 診断書
  • X線、CT検査等の画像
  • 病理診断書

診断書以下の書類は診断を受けた医療機関に、発行してもらえるように依頼しましょう。

給付が受けられるまでの所要時間

救済制度に給付を申し込んでから、給付が受けられるまでの期間は早くても3か月程度です。申請してから審査分科会での審査、小委員会での審査、環境大臣の判定という手順を経た上で、認定・不認定が通知されます。

まとめ

石綿による作業に従事し健康被害を受けた方は、国に対して国家賠償請求を提訴することで一定の賠償金を受け取ることができる可能性があります。特に石綿の関連工場で働いていた場合は、請求基準等が明確に定められており、訴訟を提起すれば迅速に賠償金を受け取ることができます。ただし、請求のためには、石綿関連の工場に従事していたことを証明する証拠や医学的所見がわかる診断書や画像等の専門的な書類の提出が必要です。訴訟を提起するためには、訴状を作成する等の手続きも求められます。訴訟によって和解が成立すれば、賠償金に上乗せして弁護士費用が支払われますので、訴訟の手続きはキャストグローバル滋賀オフィスの弁護士にお任せください。
また、それと同時に、労災給付や石綿健康被害救済制度の請求にも検討します。医療費だけでなく療養費や休業損害等の補償も受けることが可能です。

建設現場等で石綿を取り扱っていた場合は、工場のような明確な基準がまだ設けられていないものの、訴訟では国の責任が認められ、賠償金の支払いが命じられています。建設現場での石綿ばく露による健康被害については、昭和50年から平成16年までの期間に従事していた方が対象となる判決が出ております。中皮腫等のアスベストによる健康被害が生じている方は、弁護士法人キャストグローバル滋賀オフィスまでお気軽にお問い合わせください。弁護士法人キャストグローバル滋賀オフィスでは、アスベストに関する訴訟についてのご相談、ご依頼を承っておりますので親身になって今後の対策を助言させていただきます。