離婚問題
離婚時の財産分与とは?相場や具体的な方法、有利に交渉をする方法とは?
離婚の際、財産分与は、どのようにすべきなのでしょうか?
離婚時の財産分与についての全体像と、相場、具体的な分け方、有利になる方法などを離婚に強い弁護士が複数在籍する大阪・高槻の弁護士法人キャストグローバルが解説いたします。
- 1. 離婚時の財産分与とは?
- 1-1. 離婚時の財産分与の基本的な方法と相場
- 1-2. 離婚時の財産分与の種類
- 1-3. 夫婦共有の財産をわける清算的財産分与
- 1-4. 専業主婦など収入の少ない人を守る扶養的財産分与
- 1-5. 不倫などの慰謝料を加味した慰謝料的財産分与
- 1-6. 過去未払いの生活費(婚姻費用)などを加味した財産分与
- 2. 財産分与の対象となる財産について
- 2-1. 共有財産は対象となる
- 2-2. 特有財産は対象外
- 3. 借金について
- 4. 子どものための貯金の取り扱いについて
- 5. 学資保険や児童手当の取り扱いについて
- 6. 財産分与の方法
- 6-1. 話し合いによる決定
- 6-2. 調停による決定
- 7. 財産分与を有利に進める方法
- 8. 財産分与における税金の取り扱い
- 9. 離婚時の財産分与の時期について
- 10. 離婚時の財産分与の問題にも詳しい大阪・高槻の「弁護士法人キャストグローバル」の強み
1. 離婚時の財産分与とは?
離婚をする際には、これまでに夫婦で築いてきた財産を分けることができ、これを財産分与といいます。しかし、この分け方が非常に問題になりやすいポイントです。これまでに築いてきた財産を、どのようにわけるのが公平なのか?いつの分から、分けることができるのか?それぞれの夫婦によって分け方を変えるべきなのか?といった様々な論点が発生するからです。
そこで、今回は、夫婦が離婚をする場合の財産分与について、相場感や、ルールなど、全体像を、弁護士がご説明します。
1-1. 離婚時の財産分与の基本的な方法と相場
離婚時の財産分与の基本的な考え方は、結婚から離婚(別居)までに築いた財産を夫と妻が財産の半分ずつを受け取ることになります。夫婦の話し合い(協議)による財産分与が基本ですが、話し合いでは解決しない場合には、家庭裁判所の調停などで解決することになります。
財産分与の相場は、共有財産、結婚から築いた財産(相続した財産などは築いた財産ではありません)の半分です。共有財産が200万円の場合は、夫が100万円、妻が100万円受け取ることになります。ただし、結婚前から持っていた財産に関しては、財産分与の対象外になります。
1-2. 離婚時の財産分与の種類
離婚時の財産分与は、以下の4種類があります。
1-3. 夫婦共有の財産をわける清算的財産分与
「清算」という言葉には、お互いの貸し借りなどを整理・差引きして跡始末をつけるという意味があります。清算的財産分与は、まさに清算という言葉のとおり夫婦で築いてきた財産「共有財産」を、その夫婦ごとの事情に鑑みて清算(分ける)することを言います。
基本的に、夫婦が共同で築いてきた財産「共有財産」を対象として分けることとなり、共有財産には預貯金の他に家や土地、自動車、有価証券、各種保険、家財道具、骨董品などが含まれます。婚姻期間中に夫婦で築き上げた財産は、基本的には、清算的財産分与の対象となると言えるでしょう。
一方、夫もしくは妻が結婚前から保有していた財産は「特有財産」といい、原則として、共有財産に含まれず、財産分与の対象外となります。
1-4. 専業主婦など収入の少ない人を守る扶養的財産分与
扶養的財産分与は、専業主婦や病気で就労できないなどの事情がある場合に適用されます。扶養的財産分与の多くは、夫から妻に対して行われます。その理由は、離婚した後に男性はそのまま仕事を続けられますが、妻は結婚もしくは出産・介護などの理由で仕事を辞めるケースが多く、再就職も困難なためです。
扶養的財産分与は、扶養対象の相手の生活水準が一定以上になるまで行われます。目安として、毎月固定で1年~3年程度が支払われます。一括で支払われることもあります。
しかし、近年になって女性の地位向上や、結婚や出産でも働き続けられる企業が増えたこと、夫の育児参入などの理由により、扶養的財産分与の必要性は薄れつつあります。また、離婚後に実家に戻る場合や、再婚するなど経済的に余裕が生じた場合は、扶養的財産分与は適用されません。
1-5. 不倫などの慰謝料を加味した慰謝料的財産分与
離婚の際に、配偶者の一方に不倫などの不貞行為や暴力などがあった場合、慰謝料の支払い義務が発生します。慰謝料は金銭で支払われますが、金銭の代わりに財産を慰謝料の代わりとすることがあります。それが、慰謝料的財産分与です。慰謝料の金額が高額の場合に、家や土地などを慰謝料的財産分与として支払うことが可能です。
慰謝料的財産分与で受け取った財産の評価額が慰謝料の金額を上回る場合は、それ以上の慰謝料は支払われることになります。慰謝料の金額を下回る場合は、不足分の慰謝料が支払われることがあります。
1-6. 過去未払いの生活費(婚姻費用)などを加味した財産分与
離婚の際に、過去未払いの生活費(婚姻費用)がある場合、婚姻費用が精算されます。例えば、離婚前に夫婦が別居していた期間がある場合や、夫が家族の生活費を入れずに浪費していた場合などのケースで、離婚時に過去の婚姻費用の精算としての財産分与が適用されます。
婚姻費用を夫婦で話し合って決める方法もありますが、話がまとまらない場合は裁判所による調停または審判により決められます。婚姻費用の相場は、裁判所の「婚姻費用算定表」に準じ、「月○~○万円」のように決まります。婚姻費用は、子の数や年齢、夫婦それぞれの職業や年収などにより、細かく定められています。
2. 財産分与の対象となる財産について
財産分与は、清算的財産だけでなく他の3種類もあるため、事前に財産分与の対象になる財産の種類を知っておくことにより、財産分与の対象となる財産を見逃すことがないようにしましょう。逆に、財産分与の対象外の財産も知っておくべきでしょう。
2-1. 共有財産は対象となる
婚姻中に夫婦共同で築いた財産は、共有財産となります。そして、共有財産は原則として財産分与の対象となります。
共有財産は、夫婦共働きか、夫または妻のみが働いていたかに関わらず財産分与の対象となります。例え、夫の収入のみの支払いで購入した財産であっても、妻が専業主婦として貢献していたとみなされるからです。同様に、家や土地などを夫名義で購入した場合でも、共同財産です。
また、夫婦のどちらの財産となるか不明な場合は、民法762条2項の規定により、共有財産であると推定されます。
2-2. 特有財産は対象外
一方、婚姻前にすでに保有していた預貯金、不動産などの財産や、婚姻期間中であっても自分の計算のみで取得した財産、別居後に取得した財産は「特有財産」に該当します。(民法第762条1項)特有財産は、基本的に、財産分与の対象外です。
特有財産の具体例としては、独身時代に貯めた預貯金や有価証券、別居後の給与や新たに取得した財産などが該当します。さらに、婚姻中に取得した財産であっても、自己の計算において自己名義で取得したもの、例えば、相続によって得た不動産などは夫婦の協力とは無関係に取得した財産であることが多く、基本的には、特有財産となります。
なお、特有財産に該当する財産でも婚姻後の夫婦の協力によってその価値が維持されたものは、財産分与の対象となります。たとえば、夫が相続した財産について、妻がその財産の維持や散逸の防止に寄与していたことが認められる場合は、財産分与の対象となるでしょう。
3. 借金について
「共有財産」には、プラスの財産だけではなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。どこからが共有財産と考えられるか?という点はプラスの財産と同様、婚姻後、夫婦生活を営むために必要であったかどうかを基準に考えます。
財産分与において考慮される借金とは、具体的には、住宅ローン、自動車ローン、教育ローン、その他生活に必要な経費や購入費などが考えられます。これらの借金は、財産分与の際に精算されます。
それに対し、夫婦一方によるギャンブルや浪費、結婚前の借金などは、財産分与において考慮されず、借金をした配偶者のみが返済の義務を負います。
ただし、この点については、その証明が難しく、ケースごとに判断をする必要があるため、具体的な問題がある場合は、直接弁護士に相談するといいでしょう。
4. 子どものための貯金の取り扱いについて
子ども名義の預貯金通帳や教育ローン、学資ローンなど、夫婦が子どものために貯金した財産は、実質的に夫婦が積み立てて管理したものであれば、夫婦の共有財産となり、財産分与の対象です。
しかし、実際には監護権を持つ親が、夫婦間の合意によって養育費に充当するケースが多くあります。
5. 学資保険や児童手当の取り扱いについて
子ども名義の預貯金と同様に、子どもを養育するために夫婦共同で築いた財産であれば、財産分与の対象になります。
学資保険がある場合は、解約返戻金が財産分与の対象です。また、児童手当は子どものための給付金ですが、給付を受け取るのは親です。そのため、婚姻中に受け取った児童手当は財産分与の対象になります。
学資保険や児童手当に関しても、夫婦間の合意によって養育費に充当されることがあります。
6. 財産分与の方法
財産分与は、夫婦の話し合いですめば良いですが、それで解決しない場合は家庭裁判所の調停などで解決します。
6-1. 話し合いによる決定
夫婦の話し合いで財産分与を決定すると、自由に財産分与の内容を決定できます。また、第三者の介入がないため、スピーディーに話し合いが進みます。
しかし、夫婦いずれかが相手に対して妥協せざるをえないこともある上、精算対象となる財産の知識がないために協議離婚成立後に、後悔するというケースも多くみられます。
6-2. 調停による決定
夫婦の協議で決定しない場合は、家庭裁判所の調停や審判で財産分与を定めることができます。その際、財産の種類や夫婦の貢献度などにより異なりますが、原則としてそれぞれが半分ずつ財産を受け取るのが原則となります。
離婚前に別居している場合や、一方が暴力を受けている場合など、夫婦同士による話し合いが困難な場合には、調停により財産分与を決定する方が良いでしょう。
7. 財産分与を有利に進める方法
財産分与を有利に進めるためには、どの財産が財産分与の対象になるかを把握し、自分が受け取ることができる財産を正しく主張することが大事です。とはいえ、財産分与の種類が多いため、初めて離婚するかたにはわかりづらいと思われます。
また、相手に遠慮したり、相手から暴力をうけたり復讐されたりすることを恐れて、自分の要求を主張できない場合もあるかもしれません。
そのような場合でも、離婚問題に強い弁護士に依頼することにより、財産分与を有利に進めることが可能です。財産分与の対象となる財産を教えてくれるだけでなく、法律と交渉のプロフェッショナルである弁護士が、交渉の代理や調停などの手続きをします。
8. 財産分与における税金の取り扱い
財産分与は、受け取るは原則的に税金の類はかからないとされています。そのため、高額な慰謝料を支払う必要がある場合には、財産分与として住宅を譲渡することにより、税金の納付額を低くすることも可能です。
しかし、分けられた財産の金額が多すぎる場合には贈与税の対象となるケースがあります。たとえば、離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合は、離婚によってえた財産のすべてに贈与税がかかります。((相基通9-8、所基通33-1の4))
9. 離婚時の財産分与の時期について
離婚時の財産分与の時期については、通常、離婚と同時に取り決められます。関係と金銭を全て精算してしまうことが多いと言えるでしょう。
また、仮に離婚の際に、財産分与の取決めをしていなかったとしても少しの期間であれば、遡って、請求をすることも可能です。しかし、この期間は離婚後2年と定められているため注意が必要です。(民法768条2項)
10. 離婚時の財産分与の問題にも詳しい大阪・高槻の「弁護士法人キャストグローバル」の強み
以上、離婚時の財産分与の基本的な考え方、4つの財産分与の種類、借金がある場合や税金、子どもがいる場合などを説明しましたが、財産分与の解決はそれだけにとどまらず、多種多様な問題を孕んでおりますので、財産分与で揉めてしまっているケースは、特に弁護士に相談した方事案と言えるでしょう。
当事務所、大阪・高槻の弁護士法人キャストグローバルは1500件以上の相談実績があり、複数の弁護士が知恵を出し合ってサポートいたします。
また、ご依頼様にとって、負担が少なくなるように、なるべく相手と交渉して解決する、出来るだけ裁判手続きを使わない、早期解決を目指すという方針を原則としています。(もちろん、場合によっては、時間をかけて、しっかり争う場合もあります。)
私たちが目指すのは、ご依頼者様の利益の最大化です。
弁護士による電話無料相談も実施しておりますので、よろしければ、まずはご連絡ください。