コラム

著作権は相続財産になるのか?

  • 遺産・相続

一般に相続において、被相続人の人格に起因する一身専属的な権利は、相続の対象とはならないと知られています。他方で、「著作権」と呼ばれるものは、一般的な理解としては、自分の著作物が他人に勝手に利用等されない権利と理解されています。そうすると、一般の方にとっては、著作権は相続財産の対象となるのか、よく分からなくなるでしょう。著作権が相続財産の対象となるのかについて説明をいたします。

著作権とは?

著作権とは、一般的な意味としては、小説や絵画の作者、または、音楽の演奏・実演、舞踊や演劇の実演などがその内容として理解されています。
しかし、法律的には、著作権とは、著作物を創作した者が有する権利であり、著作物に該当するものとは、思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいいます(著作権法2条1号)。したがって、この著作物に該当するものの創作でない場合には、著作権としての保護は受けません。
類似する権利として、著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む。)に関わる権利は、著作隣接権と呼ばれ、著作権とは別に法律上の保護を受けます。

著作権の種類とは?

著作権(著作者の権利)の内容としては、著作者人格権(著作者の人格的利益を保護する権利)及び著作権(財産権)(著作物の利用を許諾・禁止する権利)があります。

著作者人格権とは、未公表の著作物を公表するかどうか等を決定する権利としての「公表権」(著作権法18条)、著作物に著作者名を付すかどうか、付す場合に名義をどうするかを決定する権利として「氏名表示権(著作権法19条)、著作物の内容や題号を著作者の意に反して改変されない権利として「同一性保持権」(著作権法20条)をその内容としています。

また、財産権としての著作権には、複製権(著作権法21条)、上演権・演奏権(著作権法22条)、上映権(著作権法22条の2)、公衆送信権等(著作権法23条)、口述権(著作権法24条)、展示権(著作権法25条)、頒布権(著作権法26条)、譲渡権(著作権法26条の2)、貸与権(著作権法26条の3)、翻訳権・反案権等(27条)、二次的著作物の利用に関する権利(著作権法28条)がその内容としてあります。

なお、上記に説明した、著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することはできません(著作権法59条)。このことは、後記で説明する、人格権が相続の内容とはならないことと、深く関連があります。

著作権と関連|実演家の権利とは?

著作隣接権とは、おおざっぱに説明すると、著作物の実演等を行う実演家、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者の有する権利です。
特に実演家について説明を加えると、前項で説明をした著作権と同様に、実演家人格権と、著作隣接権を有します。
実演家人格権の内容は、氏名表示権と同一性保持権がありますが、著作者の持つ公表権を持たないのは、実演家は「実演する」といった権利の発生形態の特性上、他人の前などで実演した時点で公表されるという性質を有するためでございます。

著作者人格権・実演家人格権は相続の対象とはならない?

冒頭で一身専属的権利は相続の対象とはならないとのことを少々触れました。
相続とは、法律的にその現象をとらえると、「事件」としての性質を有し、原則としては、被相続人の死亡によって、観念的にその者の権利・義務の全てを包括的に承継することをいいます。
しかしながら、義務といっても、例えば、プロの演奏家が演奏することや、プロの絵描きが肖像画を描くことは、その者にしか実現しえないことであることから、一身専属性を有し、相続が発生しても、演奏や絵を描く義務は相続人には承継されません。

ところで、著作者人格権・実演家人格権は一身専属権である旨が法律上明記されています(著作権法59条、同法101条の2)。したがいまして、著作者人格権・実演家人格権は相続の対象とはなりません。
なお、相続できるかどうかとは、内容がそれますが関連することとして、著作者の死亡、実演家の死亡があった場合であっても、その者らが生存していたならば、著作者人格権・実演家人格権の侵害となるような行為はできず、死後もその人格権に一定の保護が与えられています(著作権法60条、101条の3)

著作権の存続期間とは

著作権の存続期間を大ざっぱにいうと公表後70年の間保護の対象となります。
また同様に、実演家の著作隣接権については、実演を行った日の属する年の翌年から起算して70年間となります。

まとめ

著作権とは、著作者人格権と著作権(財産権)とのように、人格的性質を有する権利と、財産的な性質を有する権利が含まれる権利です。
そのため、財産的性質を有する著作権については、相続の対象となります。また、財産権の一種と法的に評価できるため、税法上も相続財産の一部と評価されえます。著作者が社会的に一定の評価を得ていた場合、その財産的な価値がおおきくなり、その結果相続財産が高額となる場合があります。こうした場合には、基礎控除額を超過する可能性があるため、このような場合には、早期に弁護士等に相談するのがよいでしょう。