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家主やビルのオーナーとの賃料や費用請求をめぐるトラブル対応

滋賀オフィスの弁護士が説明する家主やビルのオーナーとの賃料や費用請求をめぐるトラブル対応

「オーナーが賃料の減額に応じてくれない」「店舗の修繕費を返してもらえない」などでお困りのことはございませんか?賃貸でオフィスや店舗を借りて事業を営んでいくにあたり、このような家主やオーナーとの間にトラブルが起こることは少なくありません。

なかでも賃料は固定費として毎月かかる経費のため、近隣にある同等物件の賃料より高くなっている場合などでは「賃料の減額請求」も視野に入れるべきといえます。また、入居中に発生した修繕費などの「必要費」や、物件の価値を向上するために要した「有益費」は、貸主へ請求できる権利が認められています。

不利益を被らないためには、借主として認められている権利を行使し、家主やオーナーに対して適切な対応を取ってもらうことが大切です。

弁護士法人キャストグローバル滋賀オフィスでは、このような貸主とのトラブルでお困りの借主様からの多数のご相談にお応えしております。「適法だと思われる請求にも対応してもらえない」などのお悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください。

賃借人からの賃料減額請求

賃借人は、さまざまな理由から物件のオーナーに対して「賃料を安くしてほしい」と減額を求めることが可能です。賃料の増減請求権は借地借家法で認められている権利であり、減額の必要性があると判断された場合には、賃料を減額してもらえることがあります。ただし、賃借人からの賃料減額請求は、すべてのケースで認められるわけではありません。

賃料の減額請求では、周辺の地価などが分かる客観的な根拠を示す必要があるため、不動産鑑定士との連携も重要です。オーナーとの任意交渉を優位に進めるためには、物件の状況や周辺の状況、賃貸借契約の内容などを考慮しつつ、適切な範囲で交渉を進めることが大切です。さらに、これまでの経緯も重要視されます。

当事務所では、あらゆる理由から「賃料を減額してほしい」という賃借人に対して、その必要性を判断し、貸主との関係が悪化しないよう考慮したうえで交渉を進めます。賃料減額の交渉に取り合ってくれないなどでお困りの方も、弁護士による適切な判断と交渉によって、減額を円滑に進められる可能性が高くなります。

賃料減額請求が容認される場合、否定される場合

借主から賃料の減額を求める場合にはさまざまな理由がありますが、借主の経済状況によって左右されるものではありません。

民法第611条では、賃料の減額について以下のように規定されています。

第611条 賃借物の一部滅失等による賃料の減額等

  • 賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される。

この法律では、物件に日常生活や事業を行うことが困難となる不具合が生じている場合で、それが借主の責任を問うものでないときには、オーナーが賃料の減額に応じなければならないと定められています。では、どのようなケースが賃料減額にあたる事由となるのでしょうか。

賃料の減額が認められやすいケース

  • 雨漏り
  • 水漏れ
  • カビ
  • 窓の破損
  • 排水管の詰まり
  • 便器のつまりによる汚水の漏れ
  • 近隣の賃料相場と大きく乖離している

台風や水害などで物件の一部が使用できない状況となった場合や、カビや汚水漏れなどが原因で借主が必要とする用途の使用ができなくなった場合などは、減額が認められやすいケースといえます。物件が滅失していないものの、経年劣化などで物件の一部が使用できず収益を得られなくなった場合にも、賃料の減額を請求できることがあります。

また、長期間契約していると、地価の下落等によって近隣にある同等物件の相場と大きく乖離してしまうこともあります。賃料相場と比較して高額になっている場合なども、賃料を減額できる可能性があります。

一方、以下のようなケースでは、賃料の減額が否定されることが一般的です。

賃料の減額が否定されやすいケース

  • 備品の軽微な不具合
  • エアコンに関する不具合
  • 照明器具の故障
  • 換気扇の故障

日常生活や事業継続に大きな影響がないと見なされる不具合や設備等の故障については、賃料の減額が認められないケースもあります。賃金減額をオーナーに請求する際は、状況に応じてその必要性の有無を判断し、貸主が納得できる根拠を示さなければなりません。

賃料減額請求の手順

借主自ら賃料の減額を申し出たにもかかわらず、オーナーとの話し合いで応じてもらえないケースも少なくありません。オーナーとの交渉がもつれた場合には、弁護士に相談して「減額請求が妥当なものかどうか」、根拠を確認することから検討が必要になります。

任意での交渉

弁護士が近隣の賃料相場や物件の現状を確認してうえで、賃料の減額が正当だと判断した場合には、まずは「任意交渉」を行います。弁護士が借主の代理人となり、オーナーへ賃料減額に応じる旨を通知します。賃料減額請求の事由が、物件の損傷や設備故障などの不具合によるものである場合には、「不具合を修繕する」といった内容を通知し、状況の改善を図ります。

ただし、オーナーとの関係性を考慮すると、借主が直接交渉を行い、弁護士が後方で支援することもひとつの手段です。当事務所では、借主様の希望と状況を踏まえたうえで、適切な交渉方法を決定いたします。

調停の申し立て

任意交渉で減額に応じてもらえなかった場合は、弁護士が代理人となり賃料減額の調停を申し立てることも可能です。訴訟を提起することもできますが、賃貸借契約は一般的に長期的な関係を持つものと見なされるため、訴訟の前にまず双方の話し合いで解決を図ることが重要とされています(調停前置主義)。

調停では、裁判官1名に加えて不動産鑑定士などの調停委員2名が協議に参加します。賃料減額について、不動産鑑定士などの専門家から客観的な意見が当事者に伝えられるため、双方が納得できる解決策を見出しやすくなります。

調停でも話しがまとまらない場合には訴訟に至りますが、裁判にかかる費用や労力といった双方の負担を考慮すると、調停で解決に至るケースが多いことも事実です。

賃料減額請求は任意交渉が基本となりますが、オーナーが減額に応じてくれない場合などは弁護士に相談することが効果的です。物件の状況や周辺の賃料が分かる客観的な根拠を示すことで、任意交渉を優位に進めやすくなるためです。また、任意交渉で話しがまとまらない場合でも、契約内容や交渉経過などの一連の経緯を把握しておくことで、調停や裁判手続きを円滑に進めやすくなるという利点があります。

賃借人からの必要費・有益費の請求

「入居中に経年劣化した物件の一部を修繕した」「和式から洋式のトイレへ設備を改造した」などのように、借主が物件の修繕等を行った場合には、かかった必要費や有益費をオーナーへ請求できるケースがあります。

当事務所では、借主様が入居中に支出した必要費や有益費について、貸主への請求が認められるかどうか、客観的な根拠や状況に応じて適切に判断いたします。「請求に応じてくれない」などでお困りの方は、弁護士への相談をご検討ください。

必要費・有益費とは

必要費とは、その物件を保存・管理するための費用のことで、現状の維持や回復に必要となる費用のことをいいます。故障した窓やドアの修理費、備付け給湯器の修理などがこれに当たります。必要費は本来所有者が負担するものとされているため、貸主に対して支出額を請求することができます。

一方、有益費とは、物件の価値を客観的に見て向上するために要した費用のことで、クロスの張替えや、洋式トイレやウォシュレットへの変更などが挙げられます。借主様が物件に対して価値を向上する有益費を支出した場合は、それによって貸主が利益を得ているとして、その増加分を請求することができます。

入居中に請求できることがある必要費

入居中に物件の維持や回復のために必要な修繕を行った場合は、必要費を貸主に請求できます。必要費として認められるのは、経年劣化などの賃借人以外の責任によって起こった、破損・故障を修繕した場合とされています。

民法第608条第1項では、不動産の修繕等にかかった費用請求について以下のように定めています。

  • 賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。

必要費については、支出した金額をすべてオーナーに対して請求でき、支出が発生した時点で直ちに請求することが可能です。

退去時に請求できることがある有益費

マンションの造作をより利便性の高いものに改良したり、クロスや床板の張り替え等を行うなど、物件の価値が客観的に見て向上するためにかかった有益費は、民法の規定にしたがって貸主がその償還をしなければならないと定められています。

有益費として認められるのは、外壁タイルの補修や道路の舗装、トイレのウォシュレット式への変更など、物件から容易に取り外すことができない「一体化している設備」が挙げられます。

民法608条第2項、民法第196条2項では、有益費の請求によって以下のように定められています。

民法608条第2項
賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第196条第2項の規定に従い、その償還をしなければならない。
民法第196条2項
占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増加額を召喚させることができる。

有益費は、賃貸借契約が終了するときに請求が可能ですが、必ずしも全額の償還請求が認められるわけではありません。規定では、有益費を請求できる条件として、設備の取り替え等によって「物件の価格が増加している場合」に限り、その増加部分が「現存」している必要があります。

また、賃貸借契約によっては、設備の改良や取り換えに貸主の了承が必要になるケースも多くあります。許可なく改良等を行った場合に、有益費として請求できるかどうかの判断は容易ではありません。

有益費の請求には、契約内容や客観的な価値の増加などを考慮しなければならないため、償還に応じてくれない場合は、弁護士への相談をおすすめします。

必要費償還請求、有益費償還請求に応じてくれない場合の対処法

入居中に必要費や有益費を支出した場合は、民法の規定に従ってオーナーへかかった費用を請求できます。しかし、その請求が必要費や有益費として認められるものであるか、適法適正な請求であるか判断が難しいケースも多く、オーナーが支払に応じてくれない場合も考えられます。

オーナーへ費用の償還請求を行う場合は、修繕費や改良費がどのように充てられたかなど、個別の事情を判断したうえで請求を行うかどうか検討する必要があります。

必要費の範囲については、借主の責任によって起きた故障や修繕の費用を請求することはできませんが、物件の現状維持や回復にかかる費用は必要費として認められます。とはいえ、賃貸借契約の内容や、行った修繕等によっては判断が難しいケースも多いため、応じてもらえない場合には弁護士への相談が有効です。

また、有益費償還請求権が認められるのは、物件の価値が客観的に見て増加している場合に限られます。判例では、賃借店舗の入口の改装工事や、飲食店でのカウンターの改造、流し台の改良費用等が有益費に該当するものとされています。ただし、「それが物件の価値を増加するものかどうか」を判断することは容易ではなく、状況によっては必ずしも有益費にならない場合もあります。

貸主との必要費・有益費の償還請求でトラブルが深刻化しないためにも、正当に請求できる費用であるかどうか適切な判断が求められます。請求が妥当だと思われるケースであっても支払に応じてもらえない場合は、弁護士による任意交渉を検討しましょう。

まとめ

賃貸の店舗やビルなどで事業を営むにあたり、オーナーと賃料やその他の費用請求でトラブルが起きることも珍しくありません。賃借人が直接話し合っても問題が解決しない場合は、弁護士への相談をご検討ください。

弁護士法人キャストグローバル滋賀オフィスでは、賃借人による家賃の減額請求や、必要費・有益費の償還請求をサポートいたします。借主様だけでは話しが進まなかったケースでも、物件の状況や周囲の賃料相場、物件の価値を判断する客観的な根拠を提示することで、交渉を優位に進められる可能性が高くなります。正当に請求できるかどうか判断が難しい場合も、ご希望と状況を踏まえたうえで、適切な交渉方針を決定いたしますのでご安心ください。

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