従業員の不正・横領
従業員の横領について
従業員の不正・横領についてもっと詳しく知りたい方は
企業のための労務問題解決サポート横領した従業員の対処方法
調査から懲戒解雇・損害賠償・刑事告訴
会社の金品が従業員に横領された場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。
対応フローのなかで最も重要なのは、問題の従業員に察知されないよう調査を進め、なるべく穏当に人事処分を受け入れさせることです。
横領発覚時の初動から処分までの流れに加え、返金を約束させるときのポイント・再発防止策を紹介します。
従業員の横領に会社がとるべき処分
従業員の横領が発覚したときは、最終的に以下3つの処分を状況に応じて使い分けます。
返金さえあれば雇用を継続してもいいのか、事件が重大かつ厳正な処分を必要とする状況なのか、トップの判断で選択することになるでしょう。
会社がとるべき3種類の対応
- 就業規則・業務命令・上長判断による処分
- 損害賠償請求(民事責任の追及)
- 横領罪での告訴(刑事責任の追及)
いずれにしても、判断の決め手となるのは「調査から返金までの一連の流れ」です。
左記対応フローを解説する前に、まずは各処分の要点をまとめます。
就業規則・業務命令・上長判断による処分
従業員がまだ社を離れていないのであれば、就業規則・業務命令・上長判断による返金及び処分はかならず行うことになります。雇用継続する場合には、給与天引きを行った上で降格や減給などのペナルティ的処分を実施するのが適当でしょう。ただし、給与天引きは従業員と十分に話し合ったうえで了承させる必要があります。勝手に給与天引きするのは労基法違反になりかねないので注意が必要です。
注意すべきなのは「退職金不支給を伴う懲戒解雇」が容易には出来ない点です。就業規則に懲戒解雇規定がある場合でも、会社の動きを察知した従業員に出し抜かれ、自主退職してしまう懸念はぬぐえません。
以上の点から、上長・トップともに処分を決めるまで用意周到に動く必要があります。
就業規則・業務命令による処分
- 業務命令または権限者判断でできる処分
- 戒告・けん責・降格・減給・自宅待機命令・諭旨退職
- 就業規則に定めがある場合にできる処分
- 出勤停止命令・懲戒解雇
損害賠償請求(民事責任の追及)
退職者による横領ケースなど、社内運用だけで返金と処分が実現しそうにない場合は、民法第709条に基づく損害賠償請求が適切です。
多額の金銭横領等会社にとって重大で強制力を持って返金を約束させる必要がある場合は、不動産に担保を付けさせる、従業員本人とともに公証役場で証書を作成する、裁判内で判決(合意)を得ることで、約束事に法的執行力(ただちに差押えや仮処分などを行える効力)を持たせることが出来ますので検討が必要です。
横領罪での告訴(刑事責任の追及)
被害額が大きい場合・重大な背信行為と判断せざるを得ない場合には、刑法第253条(または刑法252条1項)に基づき、横領罪で刑事告訴することが出来ます。
すでに会社と従業員とのあいだの信頼関係が完全に破たんしており、確実に返金されることを望む場合にも、刑事告訴は適切な手段です。
横領が発覚したときの対応の流れ
対応のゴールとなる処分方法を紹介したところで、ここからは横領発覚時の初動から処分までの全体の流れを解説します。はじめに動きを大きくまとめると、次のフローとなります。
対応の流れ
- 証拠収集
- 状況の整理(就業規則や労働協約の確認)
- 本人への聴取
- 処分検討・返金請
すでに述べた通り、会社の動きを問題の従業員に察知されないよう慎重に行動しなければなりません。処分に先手を打たれるというばかりでなく、証拠隠滅や共犯者との口裏合わせの懸念もあるからです。
1. 調査による証拠収集
最初に行うのは「誰が・いつ・どのように金品横領をしていたか」が分かる証拠資料です。
疑いのある状況に合わせ、以下のようなものを取得しましょう。
横領の証拠となるもの
- 領収書・請求書・見積書
- 金額が上乗せされていることが分かるもの
- 通帳記載
- 法人名義の口座から従業員個人へ送金したことを示すもの
- 会計帳簿
- 内容が改ざんされ、誰によって改ざんされたか分かるもの
- 取引関係書類
- 会社の請負業務の報酬を横領したことが分かるもの
- 防犯カメラ映像
- 金品盗難を録画したデータ
ここでのポイントは、共犯者全員分の証拠を同時に確保することです。1人ずつ確認していると、その間に当事者たちに察知されてしまいかねません。
証拠獲得の際は、あらかじめ疑わしい人物・資料をすべて洗い出し、一挙に取得することが大切です。
有力な証拠を発見できない時は
社内で有力な証拠を確保できそうにないときは、取引先へのアンケート・入退室記録の洗い出しといった手広い調査が必要です。複数の調査記録を組み合わせることで、いま把握している横領の証拠を補強することが出来ます。
証拠隠蔽の恐れがあるときは自宅待機命令を
すでに従業員本人が自身にかけられた疑いを認識しているなら、調査前に自宅待機命令を発しておくべきです。社内に自由に出入りできる状態にしておくと、調査担当者が発見する前に証拠隠蔽を図られる恐れがあるからです。
ただし、自宅待機中も賃金支払いは原則として必要です。
賃金を支払わなくてもよい例外は、判例で「最終的に就業規則に定めのある出勤停止命令へと転化させる場合」のみであるとされています(名古屋地裁平成3年7月22日)。
出勤を禁止するだけで外出禁止は出来ない点からも、落としどころを始めから読んで慎重に命令の是非を検討したほうがよいでしょう。
2. 状況の整理
次に行うのは、横領の全容把握です。
収集した証拠から金品盗難の事情やいきさつを整理し、まずは共犯者(他の従業員や取引先など)の存在の可能性を十分に検討しましょう。把握していない共犯者の存在が浮上した場合は、繰り返し証拠収集を行います。
3. 本人への聴取
調査がおおかた終了したあとは、処分決定前に横領者本人への聴取を実施しなければなりません。従業員の不祥事における「弁明の機会は最低限必要」との司法見解に基づき、会社が深慮の末に処分を決めたとの実績を作る必要があるからです。
本人への聴取時は、聴取役・書記役の2名体制で実施しましょう。
すでに証拠取得の段階で把握しているような事実も含め(以下一覧)、本人の自白を引き出して書記役がメモを取ります。録音するのも良いのですが、それでも2名体制で聞き取りをしてください。2名体制であることも重要です。
横領者本人への聴取事項
- 横領を認めるか
- 横領の時期
- 横領対象物とその評価額
- 横領に用いた手段
- 横領に用いられた書類の筆跡・捺印が本人のものか
- 他の従業員や取引先等の共犯者がいるかどうか
- 反省し謝罪する意思があるか
- 返金する意思があるか
聞き取りの際は、自白の矛盾点やウソなどにも注意しましょう。悪質性の高いケースでは、事前に周到に準備して巧妙に誤魔化される場合が少なくありません。
会社が調査段階で収集した客観的資料と食い違う点をいつでも見つけられるよう、書記役による正確な記録も必要です。
4. 処分検討・返金請求
横領の全容が把握できた段階で、返金させる方法と処分を本格的に検討します。
ここではひとまず、確実に返金させるための「配達証明付き内容証明郵便の送付」「身元保証の取得」の2点を検討してください。
内容証明郵便の送付により、横領初期の被害額について時効完成を阻止できます(時効については後述)。具体的な行為を自任して返金をする合意文書を作成できていればいいですが、そうでなければ消滅時効を意識する必要があります。また、返金請求に応じなかった場合、応じたとしても多額で返金の目途が立たない場合には、身元保証人を付けてもらうよう請求することも大切です。
これらの対応は横領者本人への無言の圧力となり、速やかな自主返金を実現しやすくなります。
それでは、返金請求と処分は具体的にどのように行えばいいのでしょうか。
次章以降で詳しく解説します。
横領分を会社に返金させる方法
従業員に横領分を返金させるときは、労基法や類似事例の判例には十分注意しましょう。
まずは横領者の全額返金に関する司法判断を紹介した上で、返金約束の取り付け方・給料天引きの是非や退職者への対応方法を解説します。
※減給・退職金不支給はペナルティとしての人事処分として扱い、後章で紹介します。
全額返金が法的に認められにくい理由
損害賠償訴訟や横領罪の判例によると、横領者からの全額返金に司法はやや消極的です。
横領された会社の財産には「労働者の貢献によって会社が得た利益」としての性質を認め、損害賠償額を制限しようとする傾向が見られます。
参考:東京地裁平成19年8月27日判決・東京高裁平成15年12月11日判決
返金方法を決める際の重要な留意点となるため、こうした司法判断の傾向は最初に押さえておきましょう。
まずは本人とのあいだで返金約束を交わす
司法で全額返金が認められにくいと言っても、従業員が自ら同意した事実を残しておけば、これを根拠に返金の妥当性を主張できます。
そこでまずは、横領者とのあいだで返金約束を書面(支払誓約書)で交わしましょう。執行力を具備できるため、支払誓約書は公正証書で作成すると安心です。
会社で書面を作成するときは、本人聴取時の書記内容を以下のようにまとめ、横領者本人に署名捺印させます。
支払誓約書(または公正証書)の内容
- 横領金額と横領した事実を認める一文
- 上記金額の返金を約束する条項
- 返金期日(一括払いの場合)
- 分割払いの期日・回数(分割払いの場合)
- 返金方法(銀行振込もしくは現金手渡しなど)
- 期限の利益喪失※1・遅延損害金に関する条項
- 強制執行認諾文言※2
- 期限の利益喪失
- 分割払いで規定回数以上の連続した滞納があった場合に、残返金分を一括払いに変更する旨の文言です。
- 強制執行認諾文言について
-
公正証書を作成する場合に付与可能です。
例文:「債務者は、本証書記載の金銭債務を履行しないときは、ただちに強制執行に服する旨を陳述した」
給料天引きはできないのか
会社として雇用継続の意思があれば、給料と相殺する形式で返金させるのも一手です。
ただし、給料からの天引きについては、横領者の同意を書面に残しておかなければなりません。「賃金全額支払いの原則」(労働基準法第24条1項)に基づき、源泉徴収や保険料以外の天引きは原則禁じられるからです。
天引きを実施するときは、支払誓約書内に同意条項を設けるか、別途「相殺の同意書」を作成しましょう。
罰金規定は適用できないのか
それでは、罰金を科す形式で横領分ないし経営上の損害分を回収することは出来ないのでしょうか。
従業員に対する罰金も、やはり「賠償予定」(労働基準法第16条)として禁じられています。就業規則や雇用契約書で「横領時に金〇万円が生じる」といった規則を設けていたとしても、労基法では認められません。
ただし、横領を通じて現実的に生じた損害(破談になった取引など)について損害賠償請求することは、労基法における賠償予定の禁止には抵触しません。
すでに退職している場合は「損害賠償請求」を
問題の従業員がすでに退職している場合、損害賠償請求が有効です。まずは対応の流れの章で解説したとおり「配達証明付き内容証明郵便」で請求を開始し、相手方からアクションがないときは訴状を管轄裁判所に提出します。
いったん訴状を提出して裁判上の請求に発展すると、退職したからといって請求を無視することは出来ません。横領者本人からの答弁がないまま訴訟が進行すると、当方の勝訴となり転職先の給料の差押えを実施できるようになるからです。
刑事告訴のメリット
返金に意図的に応じないケース・横領そのものに強い悪意があるケースでは、最終手段として刑事告訴することをおすすめします。
刑事告訴の隠れたメリットとして「返金を心理的に強く促せる」点が挙げられます。
横領者に対する起訴処分や刑事罰の重さは、被害者(=会社)との和解状況により軽減されます。当然、金品返金が実際に行われない限り、示談に繋げることは出来ません。会社側からも「返金、返金の約束をしなければ示談しない」と明確に伝えることで、横領者自身の人生にかかわる問題として返金の必要性を認識させることができます。
刑事告訴は退職済みの横領者にも有効
刑事告訴は退職者にも有効です。
会社との和解が成立せず起訴されると、前科扱いとなります。いったん前科扱いとなってしまうと、現在の職場では就業規則に基づいて懲戒解雇されるリスクがあり、転職に際しても著しく不利とならざるを得ません。
上記事実を自ら認識させることで、同じく返金について無言の圧力をかけることが出来ます。
損害賠償請求・刑事告訴の時効
損害賠償請求には「消滅時効」・刑事告訴には「公訴時効」が存在します。
社内ルールではなく民事または刑事で返金を求めようとするときは、以下のタイムリミットに注意しなければなりません。
責任追及の方法 | 時効年数 |
---|---|
損害賠償請求 | 3年(知った時から) |
単純横領罪での告訴 (刑法252条1項) |
5年 |
業務上横領罪での告訴 (刑法第253条) |
7年 |
損害賠償請求については、処分の当初に送付する内容証明郵便により、時効成立を阻止することが出来ます。いずれにおいても、早期対応の重要性を意識しましょう。
減給・懲戒解雇・退職金不支給のポイント
横領者がまだ社内にいる場合、返金とは別のペナルティとして人事処分を検討する必要があります。
注意しなければならないのは、反対に労働訴訟を提起されて、会社側の責任が追及されてしまう懸念がある点です。ここでも労基法や判例の見解に留意し、あくまでも穏便に処分を受け入れさせるよう心掛けましょう。
減給処分の注意点
減給処分は、原則として「1日分の給与額の半額」が限度です(労働基準法第91条)。これ以上の減給処分を行うには、就業規則での事前の取り決めが必須です。
ただし、減給処分の回数に制限はありません。以前にも問題行動が見られた場合は、今回の横領事件も含め、何回でも給与を半額に減じることが出来ます。
減給額の算出方法
- 1.賃金の総額を算出する
- 減給処分直前の賃金締切日から3ヵ月を合算。
- 2.平均賃金を算出する
- (1)÷(1)に対応する日数
- 3.最大減額幅を算出する
- (2)÷2=最大減額幅
懲戒解雇できる条件
懲戒解雇は特に慎重さが求められる処分です。
少なくとも「客観的に合理的な理由がある」「社会通念上相当である」を前提に、以下条件1~3を満たさなければなりません。
条件1:就業規則に懲戒解雇の条項がある
懲戒解雇は就業規則(または労働協約)に定めがある場合です。
現時点で特に懲戒解雇規定を定めていない場合には、退職金の生じる普通解雇もしくは諭旨退職(上長の説得による自己都合退職)のいずれかを選択する必要があります。
条件2:解雇予告を行って手当を支給する
懲戒解雇であれ普通解雇であれ、解雇予告と手当の支給は不要となるとは言えません。労働基準法第20条では、労働者保護の観点から次のように規定しています。
解雇予告・手当支給の原則
- 使用者は少なくとも30日前に解雇予告を行う
- 予告しない場合は30日分以上の平均賃金を支払う
- 日数分の平均賃金を支払うことで、解雇予告に必要な日数を短縮できる
つまり、即日解雇か1ヶ月前の予告済み解雇かによらず、原則として、30日分の賃金は支払わなければなりません。ただし、解雇予告除外認定を受けることで支払いを免れることが出来ます。
条件3:求めに応じて「解雇理由証明書」を発行する
横領による解雇であることは明確ですが、職業安定所に提出する等の理由で求めが合ったときは「解雇理由証明書」を発行する必要があります。発行しなかった場合、不当解雇として法的手段に訴えられかねません。
前章の対応フローのなかで証拠収集や記録を丁寧に残しておくことが、本条件のクリアに役立ちます。
懲戒解雇できないケース
懲戒解雇規定が社内ルールにあるかどうかに関わらず、次の状況にある労働者を解雇することは法律で禁じられています(労働基準法第19条)。
懲戒解雇できないケース
- 1. 業務上生じた傷病(業務災害)での休業期間
- 2. 上記(1)の期間後の30日間
- 3. 6週間以内(多胎妊娠の場合は14週間以内)に出産予定で、その申出による休業期間
- 4. 産後8週間以内の休業期間(妊娠等を理由とする場合に限る)
- 5. 上記(3)・(4)の期間が終わった後30日間
以上のほか、すでに退職済みの社員を懲戒解雇処分とすることは不可能です。
在職中にタイミングを見計らい、法令を遵守する形で処分を進めるよう留意しましょう。
退職金ゼロでの解雇は法的に難しい
会社にとって最も判断が難しいのが「退職金ゼロでの解雇」です。当然ですが、就業規則に定める必要がありますが、定めがあったとしても、多くの判例で「退職金には労働者賃金の後払い的性質がある」とされており、懲戒解雇に相当する事由があったとしても退職金請求を拒めないと結論付けられているケースが複数あるからです。
東京高裁平成15年12月11日判決(小田急電鉄事件)
「懲戒解雇は有効であるが、このような賃金の後払い的要素の強い退職金について、その退職金全額を不支給とするには、それが当該労働者の永年の勤続の功を抹消してしまうほどの重大な不信行為があることが必要である」
懲戒解雇で退職金不支給とする場合には、横領者が条件を自ら飲むように、ある程度は穏便に話し合いを進める必要があります。従業員の不祥事に詳しい専門家の経験を活かすべき場面だとも言えるでしょう。
再発防止に向けた今後の対応
現時点で生じている横領問題に対応した後は、再発防止に徹底して取り組まなければなりません。企業のレピュテーションリスク(風評被害)だけでなく、税務上のリスクも生じるからです。
実際に「横領されることを容易に認識できたにも関わらず再発防止の措置を講じなかった」として、重加算税が課せられるケースが存在します(最高裁平成18年4月20日判決)。
まずは社内ルール・民事・刑事によってきちんと“けじめ”をつけた上で、最低限以下のような対策を講じましょう。
就業規則の見直し
最優先でやるべきことは、就業規則の見直しです。
解雇規定がない場合は作成し、懲戒解雇と退職金不支給の条項を盛り込みましょう。規則改定後は社内に周知することも大切です。
解雇事由の例文
次の各項の事由に該当する場合は解雇する。
- 心身の障害により業務遂行が難しいとき
- 勤務成績不良で業務に不適格である場合
- 社内で会社の許可を受けずに文書の配布・掲示したとき
- 社内で会社の許可を受けずに政治活動や宗教活動をおこなったとき。
- 事業整理など業務上の都合により必要性が生じたとき
- 天災等のやむを得ない事情により事業継続が困難になったとき
- 服務規程に度々違反し、改善の余地が見られないとき
- 懲戒解雇事由に該当したとき
- その他前各号に準ずるやむを得ない事由があるとき
退職金を支給しない条項の例文
「懲戒解雇事由に相当する事情がある場合には、退職金の全額を支給しないものとする」
上記文案はベストではありません。貴社に合わせた就業規則の文面作成は、従業員の不祥事に詳しい専門家に依頼するのがベストです。プロに任せることで、現在の規則文面の問題点を指摘し、的確に改定案を作成してもらうことが出来ます
入社時に身元保証人をつける
従業員の性格や行動の問題を完全に見抜くことは、熟練の面接官でも困難です。
出来るだけ入社時から全従業員に身元保証人をつけておき、不正の抑止力としておくべきでしょう。
まとめ
従業員の横領が発覚したときは、まず「事情聴取まで本人に動きを察知されないこと」を意識しながら調査を開始しましょう。会社が深慮の末に処分を行った実績を残すため、すでに把握している事実でも本人の口から語らせることが大切です。
最も重要なのは、返金約束や処分を行う際の対応です。労基法や判例を意識して、慎重かつ穏便に行う必要があります。
返金請求&処分のポイント
対応の最優先事項:身元保証書の獲得・内容証明郵便で返金請求
- 給料天引きは本人の同意必須
- 罰金規定は適用不可
- 退職している場合は損害賠償請求or刑事告訴を検討
- 減額処分は平均賃金の半額が限度
- 解雇する場合は予告と手当支給に注意
再発防止策までの全体の対応を通じ、当事者(会社と従業員)だけで解決するのは困難です。判断に繊細さが求められるため、弁護士法人キャストグローバル滋賀大津駅前事務所の専門家である弁護士にご相談いただければ、よりよい解決へつながります。
従業員の不正・横領についてもっと詳しく知りたい方は
企業のための労務問題解決サポート