建築業者の工事請負契約をめぐるトラブル対応
滋賀大津駅前事務所の弁護士が説明する建築業者の工事請負契約をめぐるトラブル対応
「変更工事の費用を支払ってもらえない」「下請業者の工事遅延で損害が出た」などのトラブルでお困りではございませんか?建築業やリフォーム業を営むにあたり、発注者や下請業者との間に予期せぬトラブルが起こるケースも少なくありません。
建築をめぐるトラブルでは大きな金額を争うことにもなるため、交渉が長期間に及ぶことも多く、費用や労力が大きな負担となる恐れがあります。また、建築業では業界の慣習として四会連合等のひな型をそのまま利用して「工事請負契約書」を締結していることも多く、これによって追加工事の代金や、損害に対する賠償請求をめぐって紛争に発展するケースも見受けられます。
こうしたトラブルを解消するためには、建築に関する専門的な知識をもとに、ケースに応じた問題解決を図ることが大切です。紛争に発展した場合にも、初期の段階から弁護士が介入することにより、最適な解決策を提示できるようになります。
キャストグローバルでは、発注者(施主や元請業者)や下請業者との建築に関わるさまざまなトラブルのご相談にお応えしております。司法書士などの不動産問題に強い弁護士が、建築トラブルでお困りの建築業者・リフォーム業者様をサポートいたしますので、ぜひご相談ください。
建築業者における弁護士の役割
建築業やリフォーム業において、発注者や下請業者とのトラブルは頻繁に起こり得ます。例えば、発注者から何度も工事のやり直しを要求されたり、下請業者の工事が遅延して損害が出てしまったりと、さまざまなトラブルが考えられます。
こうしたトラブルが起こる原因には、「契約書に重要事項を明記していない」「工事の追加・変更等を口約束で済ませている」など、お互いが工事内容や代金について明確に把握していないことが挙げられます。
また、建設業界では、元請や下請け、孫請けといった特有の構造を持つため、他社の影響を受けやすく、「工事の遅延」「追加工事の費用請求」などで発注者や下請業者からクレームを受けることもあります。建築物によっては影響する金額が莫大になるケースもあるため、紛争に発展した場合には、建築業者が多大な損失を被る恐れもあります。
建築業者とのトラブルに対応するためには、建築にまつわる法的知識を有した弁護士への相談が効果的です。トラブルが起きた初期段階から弁護士が介入することにより、建築業者との交渉を優位に進めることが可能です。
また、紛争が拡大化した場合には「訴訟」といった法的な手段を取ることも可能です。裁判の結果を争うだけでなく、「どのように問題が解決されたか」によって請求できる損害賠償額が変わってくるため、建築業者様の被害総額を考慮したうえで、訴訟を見据えた粘り強い交渉を行います。
発注者とのトラブル対処法
建築業やリフォーム業を営むにあたり、よく起こりやすいトラブルのひとつが施主や元請業者といった「発注者」とのトラブルです。「工事を何度もやり直しさせられる」「工事内容の変更による追加代金を払ってもらえない」など、双方の確認や認識が甘く「言った、言わない」の争いに発展するケースもよく見受けられます。
というのも、建築は専門的かつ技術的な分野であることから、一般の発注者には工事内容を理解しづらく、工事の詳細や工事代金についてきちんと確認できていないことがあります。また、詳細な工事請負契約書を作成していないケースでは、請負代金の支払いや、工事変更に関する代金をめぐって、長期的な紛争に発展することも少なくありません。
しかし、建設業界には特有の法的問題が数多く存在しているため、建築業者がすべてに対応することは困難かもしれません。トラブルが深刻化しないためにも、初期対応から弁護士に相談することが効果的です。弁護士に依頼することによって、建築や土木に関する法的知識はもちろん、適切な解決手段を検討することが可能になります。
発注者が請負代金を支払わないケース
「追加工事を発注されたのに、代金を支払ってもらえない」「不条理なクレームをつけて代金の支払いを拒否されている」などのように、発注者から請負代金を支払ってもらえないケースがあります。この場合は、弁護士によって段階的に交渉を行うとともに、仮差押えや訴訟といった法的手段を用いて代金回収を図ることになります。
弁護士による内容証明郵便の送付
支払いが遅れている、支払いを拒否される場合には、早期に弁護士から内容証明郵便を送付します。直接の話し合いをしても請求に応じない発注者であっても、弁護士による督促で心理的圧力を与えることによって支払に応じるケースがあります。
また、後に紛争になった場合にも内容証明郵便が効果的です。発注者に対して工事代金の支払督促を行ったことが「証拠」として残るため、建築業者の対応や意向が明確であることを示すことができます。
仮差押え
内容証明郵便による督促をしても発注者が支払に応じない場合には、「仮差押え」を検討します。仮差押えとは、訴訟の前段階として、相手方の財産を仮に差押さえる債権回収の手段のことをいいます。訴訟期間中に相手が財産を散逸してしまったり、隠してしまわないように保全することが目的で、裁判所費用や担保金といった費用はかかるものの、裁判所から認められやすい手段のひとつといえます。
工事請負代金の債権回収をめぐる訴訟では、実際に、発注者から工事請負代金を回収したいと思っていても、「工事内容に問題があった」「契約書に内容通りではなかった」などと反論されることで、裁判が長期化するケースが多くあります。こうした場合に、相手が持つ不動産や銀行預金などの財産を仮差押えできることで、勝訴したときに無事に債権を回収できるようになります。とはいえ、仮差押えを行った時点で、発注者が任意で弁済に応じるケースも多くあります。
訴訟を提起
仮差押えによって任意での弁済に応じない場合には、訴訟を提起し、勝訴による代金の回収を目指します。ただし、訴訟を起こしてから判決までには半年以上、難航すると2年ほどかかってしまうケースがあるため、労力と費用を考慮したうえでの判断が必要です。
工事のやり直しなど、クレームをつけられたケース
契約書通りに工事をしたものの、「完成後のイメージが違ったからやり直してほしい」「設計変更による追加工事で、代金が多額になった」など、仕事の質や、工事の変更・追加をめぐってトラブルに発展するケースが多く見受けられます。このようなクレームによって、違約金・遅延金を請求されたり、損害賠償を請求されることがあります。この場合は、弁護士によってその請求が「正当・不当であるか」を判断したうえで、発注者との交渉、法的手段を視野に入れることとなります。
弁護士による任意交渉
発注者との認識ズレによるトラブルや、理不尽なクレームによるトラブルには、まずは弁護士を通じて相手方との任意交渉を行います。ただし、工事内容の細部や変更・追加にかかる代金について契約書で明確に明記されていないことも多いため、クレームが起きた経緯や双方の主張を聞き取りながら、建築業法などの法的な視点で合意を取り付けることとなります。訴訟となると解決までに労力と費用がかかることから、弁護士による適正な合意内容で双方が納得するケースも多くあります。
訴訟を提起
任意交渉を行っても発注者に歩み寄りの意思がない場合には、裁判によって強制力のある問題解決の手段を図る必要があります。発注者が反論してくる場合や、争う金額が大きくなるほど裁判が長期化するため、建築業者の負担を考慮しつつ、最適な手段を提示します。
下請業者とのトラブル対処法
建築業者が悩むトラブルとして、下請業者によるトラブルがあります。
「下請業者が不適切な工事をして損害が出た」「発注内容と異なる工事をされたのに、追加費用を請求してくる」など、工事の質や下請代金の請求をめぐるトラブルも少なくありません。
こうした下請業者によるトラブルは、発注者や消費者からの損害賠償トラブルに繫がるほか、自社(建築業者)の評判悪化や、利益損失にも及ぶ恐れがあるため、毅然とした対応が求められます。これらの対応・手続きには専門的な知識が必要であるほか、建築業者が下請業者に直接交渉を行うだけでは、話がまとまりにくいのも実情です。
トラブルを収束させて、自社を守るためには、トラブルの初期段階から弁護士に相談し、適切な手段を行うことが大切です。
不適切な工事・欠陥等があるケース
下請業者によって不適切な工事が行われた、工事ミスによって欠陥等が見つかったなどの場合には、「瑕疵担保責任」「不法行為責任」を追求できるケースがあります。下請がなされている場合では、瑕疵担保責任は元請業者が負うことになりますが、その原因が下請業者によるものである場合には、元請業者と下請業者のいずれかに不法行為責任を追求できます。弁護士は、建築業者(発注者・元請業者)が被ってしまう被害を考慮したうえで、「工事のやり直し」「損害賠償の請求」といった対応が必要です。
弁護士による任意交渉
不適切な工事や欠陥等が見つかった場合は、まずはその責任の所在を明らかにすることが重要です。請負契約時の契約書や工事内容、建築物の状況などを確認し、その欠陥が「下請業者の責任に帰すべき事由」であるかを判断します。
訴訟を提起
建築業者(委託者)に責任がない事案であるにも関わらず、下請業者が損害賠償の支払いや、工事のやり直し等を受け入れない場合は、訴訟による法的な解決を検討します。裁判では、建築基準法をクリアしているか、契約書通りに施工されているか、特約は無いかなど、具体的な事実を証明します。裁判は、一般的に、長期化が見込まれます。訴訟に至るまでの初期段階での解決が求められるでしょう。
不当な請求を受けたケース
「発注をしていないのに工事を着手され、費用を請求される」「発注と異なる工事なのに追加費用を請求される」など、下請業者から不当な請求がなされる場合があります。この場合、その請求が認められるものではないこと具体的に証明し、不当な請求を止めるよう促す必要があります。また、電話による支払催促や、工事器具の持ち帰りなどの業務妨害行為があった場合には、警告書として内容証明郵便を送付することで、業務妨害行為をストップさせる必要があります。
弁護士による警告(内容証明郵便の送付)
下請業者による不当な請求や業務妨害行為がなされる場合には、事実確認を行ったうえで警告としての内容証明郵便を送付します。弁護士名で警告書を送付することによって、相手側へ正当な理由をもって、不当な行為を停止するよう求めることができます。一般的には、この書面の結果、下請業者が当該行為の停止を認めることが多く、訴訟に至らずに解決するケースも多くあります。
弁護士による任意交渉
下請業者からのクレームを受けたとき、それが正当なクレームである可能性もあります。相手の言い分にどこまで応じるか判断できない場合は、必要は範囲で相手方の主張を認め、「下請代金の減額」などの適切な範囲で解決を図ることも可能です。弁護士に依頼することで、法的な観点から適切な対応を判断します。
訴訟を提起
一方的に下請業者に落ち度がある場合や、任意交渉を行っても合意がなされない場合には、裁判での解決を図ることとなります。ただし、訴訟には時間的・経済的な損失も大きいため、弁護士による的確・スムーズな手続きが求められます。
リーガルチェックでトラブル予防を
建設業やリフォーム業において、発注者や下請業者との間でトラブルが起こることは決して珍しいことではありません。今回挙げた工事内容や代金の支払に関するトラブルだけでなく、工事の着手や完成時期、制作物の使用など多岐に渡ります。契約書があったとしても、工事途中で発生した使用変更や追加工事など、細部まで書面に記載していない建築業者も多いでしょう。
発注者や下請業者とのトラブルについては、こうした「契約内容が明確でない」「双方が正しく把握していない」ことが主な原因です。場合によっては相手方から不当な請求がなされる可能性もあるため、自社の利益と信頼を守るためには、あらゆるリスクを想定した契約書作成が必要といえるでしょう。
トラブルを予防するには、弁護士による工事請負契約書、追加工事契約書のリーガルチェック及び契約から施工に至る流れのチェックが効果的です。契約書の内容が法律に沿っているか、リスクに対する条項が盛り込まれているか、不利になる条件が無いかなどをチェックいたします。また、適切な契約書を作成することは、後に紛争に発展した場合にも自社を守る武器となります。
工事請負契約によるトラブルにお困りの方は、ぜひ弁護人法人キャストグローバル滋賀大津駅前事務所までご相談ください。契約書のリーガルチェックから作成アドバイス、相手方への任意交渉から法的手続きまで、幅広く対応いたします。
不動産・建築について、もっと詳しく知りたい方は
不動産トラブル相談窓口