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当事務所に依頼された借金問題を解決した方の声をご紹介します。
J様
<相談内容>
依頼者は、収入はそれなりにある方でした。しかしながら、お子さんの教育費(私立の授業料や塾など)や住宅ローンの支払いが段々と過大な負担となり、生活を圧迫するようになりました。それでも結構長い間踏ん張って、生活費等のために借り入れを繰り返した結果、全体として相当大きな債務を抱えてしまいました。将来を見据えてご家族と相談された結果、債務整理を決心されて当事務所にご相談に来られました。
<破産か個人再生か>
弁護士が行う個人の方の債務整理には色々と種類がありますが、ほとんどが破産、再生(個人再生)、任意整理という3つの手続になります。
破産手続は、ある時点でのプラスの財産とマイナスの財産を確定させ、一定保護されている財産を除いて清算してしまい、最終的には免責(債務の支払いを法的に免れること)を目指す手続です。
再生手続は、破産と同様に清算手続なのですが、諸々の理由から破産手続には向かないケースについて行うことが多いです。債務の支払いについて、全額ではないものの大きく圧縮することで、一定の財産を守りつつ債務の弁済も行うことができる手続です。
任意整理は、基本的には残る債務をそのまま支払うのですが、支払計画を現実的な内容に見直すことで、生活の安定と債務の弁済を両立させるために行うものです。
本件の場合、住宅ローンを含めて債務総額が相当大きかったので、任意整理をしても依頼者にメリットが乏しいケースでした。残る破産か個人再生かについて、依頼者としては、財産(特に自宅の不動産)がなくなってしまうことは避けたいということでしたので、個人再生を目指すこととなりました。
<個人再生のメリット>
個人再生は、特に給与所得者であり住宅ローン債務がある方にメリットのある制度であると言えます。安定収入があることで、住宅ローンをそのまま支払いつつ、その他の債務の総額をぐっと圧縮して支払うことが許されています(住宅ローン特別条項を用いた給与所得者再生)。本来であれば債務整理の手続内において債権者は平等に扱うこととされているのですが、その例外となるのです。本件は、まさにこのメリットを享受することを期待して個人再生を目指すケースです。
もっとも、住宅ローン特別条項付きの給与所得者再生も含めて、個人再生手続においては、破産手続との比較で「清算価値保障原則」という考え方があります。法律上定められているわけではないですが、解釈で認められているものです。簡単に言えば、破産をした場合と比較して個人再生の場合が債務者に有利に(というより債権者に不利に)ならないように、破産をした場合に清算対象となる財産の価値をベースとして、個人再生手続においては、その金額を下回らないように債務額を圧縮するべきだという内容です。
基本的には、それなりに財産(住宅以外)を持っている方の場合は、清算価値保障原則が適用されることが多く、財産が少ない方は、債務の総額の5分の1を支払うとなることが多いです。それ以外の場合もありますが、ここでは記載を割愛します。
本件の依頼者は、退職金の支払い予定もあり、生命保険にも加入されていて、それなりに財産を持っている部類の方でした。他方で、住宅ローンを除く債務の総額もそれなりにある方で、厳密に計算すると清算価値保障原則の適用場面にはなるものの、その差はわずかというところでした。
<清算価値保障原則の例外の主張>
色々と調べてみましたが、清算価値保障原則の例外が認められると説明するものは見当たりませんでした。しかし、そもそも清算価値保障原則が法律解釈によるものですので、当然解釈で例外が認められるべきです。そこで以下のように考えてみました。
破産手続との比較なのですから、破産の場合に清算対象になる財産のことだけでなく、破産した場合に当然かかる経費も考慮するべきです。具体的には、破産管財人の報酬や実費等の決まった費用、公租公課など通常の債権から優先して支払われる債務については、これらが支払われることが一般債権者を害することはありません。そうすると、破産になった場合に管財事件となることが想定されるケースでは、清算価値保障原則の中身として、真に清算対象となる財産だけでなく、破産申し立てをしたときに必ず発生する費用も考えることが自然となります。
何か根拠があるわけではないものの、このようなことを一生懸命に上申書にまとめて裁判所に提出しました。
<まとめ>
正直自信があったわけではありませんでしたが、結論としては、本件では清算価値保障原則を適用せずに総債務額ベースで計算することを前提とする再生計画案が認可されました。なぜ裁判官が認可決定をしたかは全く分かりませんので、もしかすると私が考えた理屈とは全く違う理由があるのかもしれません。しかし、とにもかくにも、依頼者にとって有利な計算方法が例外的に採用されたという事実は間違いないので、申立代理人としては一つ有益な仕事ができたと自負する次第です。