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当事務所に依頼された借金問題を解決した方の声をご紹介します。
高槻大津様
第1 事案の内容
当事務所で受任した法人及び法人代表者の破産申立事件についてご紹介します。
事案の内容としては、従前から資金繰りが悪化していた法人が新型コロナウイルスの影響により経営回復が不可能になったため、法人代表者とともに破産申立てをしたというものです。
新型コロナウイルスの影響による連鎖倒産が相次いで報道されています。もちろん、破産に至らないことが一番ですが、万が一そのような事態になった場合にどのような手続になるかを事前に知っておくことは有益かと思い、本事例を紹介させていただきました。
第2 破産申立ての際に留意すべき点
1 予納金の額
破産を申し立てる場合、弁護士費用、実費(印紙代、郵便切手等)に加えて、予納金が必要になります。東京地裁の場合、法人破産を申し立てると、破産管財人が就任します。破産管財人には弁護士が就任し、裁判所に代わって破産事件処理を担当します。破産管財人が就任する事件(以下、「管財事件」といいます。)の場合、管財人の報酬を予め裁判所に納付しなければなりません。これが予納金と呼ばれるもので、東京地裁の場合、最低でも20万円からになります。分割納付も一定の場合認められますが、東京地裁の場合、最大でも4回までしか認められません。法人が破産申立てに至っている段階においては、法人はもちろん、法人代表者にもキャッシュが存在しないことが多いため、この予納金を準備することに難儀します。しかも、予納金の額は定額ではなく、申立人代理人弁護士と裁判所が協議し、主に事件の困難性や破産管財人の仕事の多寡を踏まえて、事件ごとに決定されます。つまり、裁判官から予納金の額について告知があるまで、今回の破産申立ての予納金が最終的にいくらになるかがわからないのです。ですので、破産申立てをするに際して、親族等から借入れを行う場合には、弁護士費用や実費のみならず予納金として30万円から100万円程度借入れをしておくことが望ましいです。
では、どのような事情が予納金の額に影響を及ぼすのでしょうか。
まず、法人に破産申立直前まで活動していると、破産により利害関係者に多大な影響が生じ、管財人としても対応する事項が増えるため、予納金の額が増加する傾向にあります。
次に、法人所有の不動産や金融資産があると、それを換価する必要があります。不動産の場合、管財人が売買の仲介業者を通じて、不動産の買い手を探します。株式の場合、管財人が株式の引き取り先を探します。このように、法人所有の不動産や金融資産があると、管財人の仕事が増加するため、予納金の額が増加する傾向にあります。
そして、法人が回収可能性のある売掛債権を保有している場合、管財人が法人に代わって当該売掛債権を回収する必要があります。しかし、売掛債権の相手方からすれば、破産手続が開始した法人に対して、売掛金を支払うというのは心理的な抵抗が強く、交渉が難航する場合がしばしばあります。そのため、法人に回収可能性のある売掛債権があると、管財人の仕事が増加するため、予納金の額が増加する傾向にあります。
本件では、これらの事情がいずれも存在しませんでした。そのため、裁判所に対して、予納金の額を低額にすべきであると主張して、裁判所が当初提示してきた額の約半分に予納金の額を減額することができました。
2 連帯保証人に対する請求の件
破産申立てを行い、法人が消滅し、かつ法人代表者が免責許可決定を得た場合、法人代表者は会社・個人双方の債務について支払義務が免除されます。
しかし、だからといって、連帯保証義務が消滅するわけではありません。例えば、法人の借金について親族や懇意にしている取引先が連帯保証人になっている場合には、法人が消滅し、かつ法人代表者が免責許可決定を得た場合であっても、引き継ぎ連帯保証人は連帯保証義務を負います。
この場合、原則として連帯保証人は一括で債務を返済しなければならないため、連帯保証人に支払能力がない場合には、連帯保証人も破産申立てをする必要があります。
このように、破産申立ては連帯保証人に多大な影響を与えるので、破産申立てをする前に連帯保証人に対して連絡をしておくことが必要です。お叱りを受けることがあるかもしれませんが、黙って破産申立てをするよりも誠実かと思いますし、事前に連絡をしておけば、連帯保証人の側でも何らかの対処を行うことが可能な場合があります。
本件においても、法人の借金について親族が連帯保証人になっていたため、破産申立てをする前に、法人代表者から連絡をしてもらいました。
3 郵便物等の転送
破産手続中は申立人宛の郵便物等は破産管財人の弁護士事務所に転送されます。そして、破産管財人は転送されてきた郵便物等を開披して、内容を確認することができます。
郵便物等の中に裁判所に報告していない資産や負債に関する書類がある場合、免責の判断に影響を及ぼします。ですので、破産申立てをするにあたっては、未申告の資産や負債がないかどうかを慎重に確認する必要があります。
また、破産手続中に申立人に送られる予定の郵便物等の中に重要かつ緊急なものが含まれている場合には、事前に申立人代理人弁護士または管財人に伝えておく必要があります。
本件では、破産申立て前に、未申告の資産や負債がないことを法人代表者に確認したので、未申告の資産や負債はありませんでした。
他方、管財人に転送された郵便物等の中に公共料金の支払督促書があったので、早急に代表者の住所に郵送してもらいました。
第3 法人及び法人代表者の破産申立てを弁護士に依頼するメリット
これまで見てきたとおり、法人及び法人代表者の破産申立てをするにあたっては、様々な事情を考慮する必要があります。法人の破産申立てをする場合は法人代表者も破産申立てをする場合が多く、その場合代表者ご本人では適切な判断することは難しいかと思います。仮にご本人で判断できたとしても、ご本人で破産申立ての手続をすることは、大変な負荷がかかります。その点、弁護士にご依頼いいただければ、破産申立てにあたってどのような点に留意すべきかを事前に知ることができますし、予納金の額についてもご本人に代わって裁判所と協議することができます。
本件についても、当事務所が法人及び同法人代表者の代理人として、裁判所や管財人の直接の連絡窓口となり、各種必要な書面も作成いたしました。事件終了後、同法人代表者から心理的・事務的な負担の大部分が軽減されたと感謝の言葉をいただくことができました。
本記事を最後までご覧いただきありがとうございます。
以上