コラム

交通事故の過失割合はどのように決定されるのか

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「過失割合」とは?

「過失割合」とは一言で言うと、「事故が起きた原因となる過失責任が誰に何割あるのか」という責任の割当てのことです。

多くの場合、交通事故では当事者両方に多少の責任があります。
「この加害者が100%悪い」と言えるような事故は少ないのです。

しかし被害者にも少しは責任があるのに、加害者が損害を100%弁償しなければならないというのは不公平です。
そのため、当事者の過失割合に応じて、加害者が支払う損害賠償額は減額されることになっているのです。

過失割合による減額「過失相殺」とは

例えば、被害者が合計100万円相当の損害を負ったとしましょう。
被害者にも20%の過失があったとすると、加害者に請求できる損害賠償金額は以下のように計算されます。

100万円×(1−0.2)=80万円

このように、被害者側の過失割合が大きければ大きいほど、請求できる額も小さくなるのです。この過失割合による減額のことを「過失相殺」と呼びます。

上記の通り、過失割合の認定が損害賠償において非常に重要となってきます。

過失割合の大小を左右する要素は?

そもそも交通事故における「過失」とは、もっと具体的に言えばどういう状態なのでしょうか。
「過失」は、わかりやすく言うと「事故が起こるかもしれないと予測できて、事故を避けることもできたはずなのに、不注意で事故の原因を作ってしまった」ということです。

そのため、被害者側の不注意が示されるような事実があれば被害者側の過失割合が大きくなります。
逆に、加害者側の不注意が示されるような事実があれば、被害者側の過失割合は小さくなるのです。

では、事故のタイプ別に過失割合の修正要素をみていきましょう。

被害者が歩行者、加害者が車の事故

①〜⑤のように、被害者側が危険性を事前に把握できる場合には、被害者の過失割合は大きくなります。

  1. 幹線道路での事故
  2. 車両の直前・直後を横断しているときの事故
  3. 横断が禁止されている道路を横断しているときの事故
  4. 被害者が立ち止まったり、ふらふらと歩いたり、後退していたときの事故
  5. 相手の車がライトを点けていた場合の夜間の事故(歩行者が車を発見するほうが、車が歩行者を発見するよりも簡単であるため)

一方、以下のⅰ〜ⅴのように被害者の危険察知能力や回避能力が低いと考えられる場合や、車側の不注意を示す事実がある事故では、被害者の過失割合は小さくなります。

ⅰ.被害者が13歳未満の子どもや65歳以上の老人である事故
ⅱ.歩行者が集団で横断していたときの事故
(車側は歩行者がいることがすぐにわかるため)
ⅲ.前方不注意、酒気帯び運転、時速15〜30キロの速度制限違反、著しいハンドルやブレーキの操作ミスなど、車側の著しい過失がある事故
ⅳ.居眠り運転、無免許運転、酒酔い運転、時速30キロ以上の速度制限違反、嫌がらせ運転行っていた事実があるなど、車両側に重過失がある事故
ⅴ.車道と歩道の区別がハッキリしていない道路での事故

車同士の事故

車と車の事故では、以下①〜⑦に当てはまる側の過失割合が大きくなります。

  1. 上のⅲ、ⅳのような著しい過失や重過失がある
  2. 大型車
  3. 直進車の至近距離で右折していた
  4. 早回り右折をしていた
  5. 中央に寄らないで右折していた
  6. すでに右折しかけた車がいて、直進している自分が注意していれば事故が避けられた
  7. 交差道路を通行する車の妨害になるとわかって交差点に進入したなど

過失割合はどうやって決まるのか

では一体、誰が過失割合を決めるのでしょうか。
訴訟になった場合はもちろん、裁判官が過去の交通事故の裁判例と当該事件との事実関係を比較しつつ、過失割合修正要素なども加味しながら過失割合を判断します。

一方、示談の場合は、加害者側と被害者側の双方の合意で過失割合が決定されるのです。
しかし示談交渉であっても、過去の交通事故に関する裁判例で認定された過失割合を基準とすることに変わりはありません。

もちろん、過去にあった交通事故と全く同じ事故が起きるわけではありません。そのため、過去の事故と示談の対象となっている事故との間にどのような違い(上記の過失割合の修正要素など)があるのか、そしてその違いを理由に、どのくらい基準額から増額・減額するのかを当事者で話し合っていくことになります。

こうした示談で納得のいく結果を得るためには、事故当時の状況を示す証拠はしっかり保存しておくことが重要です。

例えば、ドライブレコーダーで事故の様子を動画で残しておけば、そこに相手が信号無視をしている状況がはっきり映っているかもしれません。
そうなると、相手の過失の程度がひどいため、自分の過失割合はその分ぐんと小さくなります。
また、交通事故直後の現場写真も重要です。ブレーキ痕が残っている・残っていないことや、車の損傷の程度なども含め、もし余裕があればできるだけいろんな角度から現場の写真を撮って残しておきましょう。

過失割合的に被害者でも損害賠償金を支払うケースもある

過失割合はあくまで「割合」です。
そのため、事故の当事者がお互いに損害を被った場合、こちらの過失割合が相手のそれより小さい場合でも、損害賠償金を支払わなければならない場合もあるのです。

例えば、以下のようなケースを考えましょう。

  • 過失割合 自分10%、相手90%
  • 損害額 自分100万円、相手1000万円

過失割合的には、相手のほうが圧倒的に「加害者」です。
しかし、実際に支払う損害賠償金額は以下のように計算されます。

  • 自分が支払う分 1000万円×0.1=100万円
  • 相手が支払う分 100万円×0.9=90万円

このように、自分の支払う損害賠償金が相手のそれより10万円も多くなってしまうのです。
こうした問題は、加害者の車が高級車である場合によく発生します。

しかし、上記の場合であっても、仮に自分の過失割合が5%であれば、相手から95万円−50万円=45万円を支払ってもらうことができるのです。
過失割合の認定がいかに重要か、ここでもわかります。

もし示談になったら相手の主張する過失割合には簡単に同意せず、弁護士に依頼して、できるだけ交渉を有利に進めることが大事です。

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