DV・モラハラとは何か?

夫のDV・モラハラは、妻側から上位として挙げられることの多い離婚理由の1つです。DV(ドメスティック・バイオレンス)とは、生活を共にする家族等による肉体的・精神的暴力のことです。

また、モラハラとは、倫理・道徳を振りかざして相手を侮辱するなどして精神的に追い詰めていく言動のことをいい、これは精神的暴力であり、DVの一種です。

女性からの離婚原因ランキング(平成28年度)

1位 性格が合わない 1万8994人(39%)
2位 生活費を渡さない 1万4090人(29%)
3位 精神的に虐待する 1万2361人(26%)
4位 暴力を振るう 1万0461人(22%)
5位 異性関係 8457人(17%)
6位 浪費する 5139人(11%)
7位 家庭を捨てて省みない 4125人(9%)
8位 性的不調和 3465人(7%)
9位 家族親族と折り合いが悪い 3355人(7%)
10位 酒を飲みすぎる 2984人(6%)
11位 同居に応じない 1024人(2%)
12位 病気 844人(2%)

【出典 最高裁判所平成28年度司法統計家事事件より】

当事務所でも、DV・モラハラに関する相談は近年増加しております。当サイトではモラハラに関する特設ページも設けております。
モラハラでお悩みの方に役立つ解説を掲載しておりますのでぜひご覧ください。

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DV・モラハラ被害から逃れるために別居することを考える!

心身の安全を守るための1番の方法は相手から離れること!

DV・モラハラ被害の特徴の1つは、加害者に罪の意識の乏しい点を挙げることができます。そのために当事者同士での話し合いによる解決は、極めて難しいものとなります。

したがって、DV・モラハラ被害から逃れるための一番の方策は、すぐに別居して加害者であるパートナーと生活を共にしない状態を作り出すことです。

簡単には別居できないときでも一人で悩まない!

もっとも、DV・モラハラの被害者は、逃げることに罪悪感を抱いてしまうことや加害者の暴力のエスカレートを恐れて、逃げることに躊躇してしまうことがあります。

また、子どものいる場合、逃げた後の生活基盤を確保する見込のない場合など色々な事情から簡単に逃げることのできないこともあります。そんなときは、一人で悩まず、家族や専門機関に相談しましょう。

緊急性のある場合には配偶者暴力相談支援センターまたは警察に相談する!

身体に対する暴力のため身の危険を感じるような緊急性のある場合には、必ず最寄りの配偶者暴力相談支援センターまたは警察署に相談すべきです。

なお、DV防止法に基づく保護命令を出してもらう場合には、原則として事前に配偶者の身体に対する暴力について配偶者暴力相談支援センターまたは、警察署に相談していることを要件としています。

DV防止法に基づく保護命令

保護命令とは?

DVの加害者から被害者の安全を確保する法的手段の1つは、DV防止法に基づく保護命令手続です。保護命令とは、加害者であるパートナーによる身体に対する暴力を防ぐため裁判所の判断により、加害者に対して被害者の住居に接近しないことを命じるものです。

また、保護命令において被害者の住居に接近することを禁じる場合には、それに付随して電話禁止、親族・子に対する接近禁止を命じてもらうこともできます。

保護命令に違反した場合は刑罰を科せられる

この保護命令に違反した場合には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられますから保護命令が出されたにもかかわらず、それでも配偶者が追いかけてくるようなときは、すぐに警察署に連絡しましょう。

保護命令の申立

裁判所に保護命令を出してもらうには、所定の申立書(参考:東京地方裁判所HP記載の申立書)を証拠書類等と一緒に管轄の裁判所に提出します。

提出先の裁判所は、被害者・加害者の住所地または配偶者による暴力・脅迫の行われた場所を管轄する裁判所になります。実際に手続する場合には、専門的知識を必要としますから、適宜、弁護士に相談しましょう。

DV・モラハラは離婚事由になる!

DV・モラハラ夫との協議離婚は難しい!

夫のDV・モラハラのため夫婦生活を続けることはできないと決意したならば、まずは、協議離婚のための話し合いを進めます。

しかし、一般的に、DV・モラハラの加害者は、自身の行為について罪の意識を持たない、あるいは希薄であるため被害者からの離婚の申出に対して誠実に応じないことが多いので協議離婚は簡単ではありません。

DV・モラハラを理由とする裁判離婚は認められる!

協議離婚できない場合、相手方の同意を必要としない裁判離婚を目指すことになります。その際、裁判離婚を認めてもらうには、法律上の離婚事由を必要とします。この点、配偶者のDV・モラハラは、婚姻を継続し難い重大な事由(民法770条1項5号)に該当する可能性があり裁判で離婚することは可能です。

DV・モラハラを理由に裁判離婚するための具体的手順

まずは離婚調停の申立をする!

協議離婚のできないとき、原則、いきなり離婚訴訟を提起することはできません。法律上、調停前置主義といい離婚訴訟を提起するには、事前に離婚調停を起こさなければならないとされているからです。そこで、まずは、離婚調停の申立を行います。

次に離婚訴訟を提起する!

離婚調停において、調停不成立すなわち家庭裁判所における話し合いでも離婚について合意に至らなければ、いよいよ離婚訴訟を提起することになります。具体的には、訴状(訴状の記載例:裁判所ウェブサイト)を作成してDV・モラハラに関する証拠、戸籍謄本、13,000円の収入印紙(離婚のみ求める場合)、切手などの関係書類等と一緒に管轄の裁判所に提出します。訴状を提出する裁判所は、原則、夫または妻の住所地を管轄する家庭裁判所になります。

離婚訴訟において、裁判所は、法律上の離婚事由の有無について、お互いの言い分や提出証拠を踏まえて判断することになり、夫のDV・モラハラの具体的内容を踏まえて婚姻を継続し難い重大な事由に当たると判断されれば、判決により夫婦は離婚することになります。

後の裁判に備えてDV・モラハラの証拠を収集・保全しておく!

裁判では、夫のDV・モラハラの有無・内容は証拠に基づいて判断されます。もちろん、被害者自身の証言は1つの証拠にはなりますが、それに加えて、たとえばDVによるケガの治療に関する診断書等の記録、DV・モラハラ被害に関する専門機関・警察に対する相談の記録、夫のモラハラに当たる具体的な言動について録音・メールなどを予め収集・保全しておく必要があります。

DV・モラハラに悩む前に相談を

夫のDV・モラハラに対する具体的対処方法をまとめると以下のようになります。

心身の安全第一

身の危険を感じるような緊急性の高い場合は、配偶者暴力相談支援センター・警察に相談することや裁判所に保護命令を出してもらいます。

DV・モラハラは立派な離婚事由

協議離婚できないときは、離婚調停、最終的には離婚訴訟を起こすことにより離婚できます。

証拠の収集・保全は重要

離婚訴訟では、夫のDV・モラハラに関する証拠を提出する必要がありますから、被害の内容を証明するための診断書、公的機関への相談の記録、録音・メールなどの証拠を事前に収集・保全しておくことが肝要です。

一人で悩まず弁護士に相談する

このように、夫のモラハラ・DVに対処するには、法律の専門的知識を必要とすることに加えて、DV・モラハラの被害による精神的疲労のため自分一人で全て対処することは非常に困難ですから決して一人で悩まず、なるべく早い段階で当事務所までご相談ください。DV・モラハラ問題に精通した弁護士がお客様の味方となり、最善の方向へと導きます。

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